Len Leise - Lingua Franca (International Feel Recordings:IFEEL049)
Len Leise - Lingua Franca
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現代のバレアリック・ミュージックを体現するレーベルの代表格と言えば、Mark Barrottが率いるInternational Feel Recordingsである事に異論を唱える者は少ないだろう。DJ HarveyのプロジェクトであるLocussolusやイビサを代表するJose Padilla、そして日本からはGonnoやSteve Cobbyなどそうそうたる顔ぶれが並んでおり、このレーベルから作品をリリースする事は成功する事を半ば保証されている。そして、レーベルが新たに立ち上げたミニアルバム・シリーズの第一弾に抜擢されたのは、メルボルンのレコード・コレクターであると言うLen Leiseによるものだ。何でもBarrottがLeiseのカセット作品を惚れ込みレーベルから作品をリリースする事を打診し、その結果として2014年には「Music For Forests」をリリースする事に成功したそうだが、そこでの高評価が本作へと繋がったのだろうか。本作ではどうやら曲によってはとある地名が曲名に盛り込まれているようで、それを眺めるだけでも世界各地を旅するような感覚に陥ってしまう。アルバムはモロッコを意識した"Forlorn Fields"はエキゾチックな鐘の音色とのっそりとした気怠いビートに先導され、続く"Leaving Llucmajor"ではスペインらしい爽やかで情熱的なシンセのフレーズが開放感を生む中で、笛らしき音や弦楽器風な旋律も加わって鮮やかな色彩を帯びる。”Route To Reutov”はロシアのイメージなのだろうが、情熱的なサックスにしんみりするジャジーダウンテンポなものの、全体の印象は何だかトロピカルな感覚もあってInternational Feelらしい。そして辿り着いた先はインドであろう"Mandala Maksim"で、宗教的な怪しさも発する瞑想的な電子音の反復とオーガニックな打楽器の響きは、快適なダンスビートでありながら確かにインドの風景が浮かび上がる。裏面へと移り変わるともっとダンスフロアを意識した曲が現れ、土着臭放つアフロと変異体ディスコが手を組んだ"O Caminho"や木管楽器とベルの音が麗しく躍動する"Tria Bells"と、表面の長閑なバレアリック感とは対照的なエネルギーの高い多幸感が待っている。世界各地を巡るコンセプトとして面白い事もあるが、青々しい自然と共生するオーガニックな響きと豊かな電子音の絡みや抑圧から解放された大らかな作風は正にInternational Feelの音楽性にはまっており、シリーズ第一弾として今後の期待を抱かせるには十分過ぎるだろう。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prins Thomas - Paradise Goulash (Eskimo Recordings:541416507275)
Prins Thomas - Paradise Goulash
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ノルウェーのニューディスコ大使と称されるPrins Thomasによる新作は、計3枚にも渡ってジャンルの壁を取っ払って、兎に角あらゆる音楽を楽しんで貰う意図でミックスされた大作だ。そのタイトルからも分かる通りNYの伝説的なクラブであるParadise Garageへのトリビュート的な内容であり、確かにジャンルレスという点においてその意思を受け継ぐコンセプトであろう。元々2007年には同様にニューディスコだけに限定されずに底抜けの多幸感を打ち出した怪作である『Cosmo Galactic Prism 』(過去レビュー)を披露しており、それを前提とすると2014年にリリースされた『Rainbow Disco Club Vol.1』(過去レビュー)はテクノを中心としたミックスとなった事で奇妙なユーモアは後退し、彼らしい賑やかなごった煮サウンドによる恍惚感は喪失してしまっていたと思う。そんな流れを踏まえて、本作は再度ジャンルレスかつタイムレスな選曲を行う事で、単にダンス・ミュージックの躍らせるという機能性だけにこだわらずに、変幻自在な流れによって惑わされながら何処か掴み所のない恍惚状態を引き起こす面白い作品に出来上がったと思う。勿論様々なジャンルは用いながらもバランスを壊す突飛な流れにはなっておらず、CD1〜3の流れに沿って大まかなジャンルの区分けはされている。CD1は最もレイドバックしており、牧歌的なロックから始まり民族的なジャズや懐かしみのあるハウス、夢現なアンビエントから艶かしいファンクを通過してのディープなアシッド・テクノまで、肩の力が抜けたプレイでゆっくりと温めながら多用なリズムと音色によって先ずは肩慣らし的な導入だ。CD2では2000年以降のニューディスコやテクノにハウスなど現代的なダンス・ミュージックが中心となり、徐々にビートは力強さを増しながら夜のパーティーへ向かうざわめきを喚起させる魅惑の快楽的な時間帯へと突入する。その流れを引き継いだCD3ではより快楽的な真夜中の時間帯から始まり、ディープかつミニマルな流れを保ちながらエクスペリメンタルな電子音楽へと遷移し、湿っぽく可愛らしいジャズやライブラリーミュージック的なリスニングの曲、そして熟成したような味わいのあるプログレッシヴ・ロックを経過して下降気味に終焉へと向かう。CD3枚に渡って起承転結がはっきりとした流れは非常にスムースで、パーティーの始まりから終わりまでを意識したようにも感じられるし、多数のジャンルを過剰に詰め込んだ事でその情報量の多さに抵抗の出来ない恍惚感も生まれている。流石に3枚合わせて200分越えなのでお腹いっぱいにはなるものの、Thomasらしく外向きの享楽的なパワーが発散するDJプレイが目に浮かぶようで、やっぱりこんなミックスが彼らしいと思わせられる内容だ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Good Mellows For Seaside Weekend (Suburbia Records:SUCD1001)
Good Mellows For Seaside Weekend
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ジャンルに拘らずに良質な音楽をコンパイルする『Free Soul』シリーズを立ち上げ、そして現在のカフェ・ブームの発端となった仲間と寛げる場所である『Cafe Apres-midi』を手掛けた事で知られる橋本徹。そんな彼が新たに立ち上げたSuburbia Recordsは、入手困難ながらも良質な音楽をアナログ化、またはアナログ音源のみをCD/配信の商用に乗せるなど、彼が素晴らしいと思う音楽をフォーマットの領域を超えて広げていく事を目的としているようだ。そんなレーベルの第一弾は由比ヶ浜にあるバーガーショップ“Good Mellows”でDJを行なった時の経験を端緒としているそうで、タイトルからも分かる通り海辺の夕暮れ時のメロウな感覚を表現おり、『Free Soul』との違いはよりバレアリックやチルアウトの成分が強い事だろうか。オープニングにはいきなりJoe Claussell率いるMental Remedyによる"Just Let Go"を持ってきており、溶けるように絡み合う清らかなアコギとピアノの甘美な調べからは正に夕暮れ時のしみったれた感情が染み出し、人がコントロールし作り出す事の出来ない神聖な風景が目の前に広がるようだ。続く期待の若手であるAxel Bomanによる"Fantastic Piano"も、やはりピアノがフィーチャーされた桃源郷のような世界が広がるダウンテンポだが、単に甘いだけでなく癖のある奇抜な作風がイージーリスニングとは一線を画している。そしてバレアリック最前線のInternational FeelからL.U.C.A.による"Blue Marine"が続き、海鳥の鳴き声と波の音のイントロから始まり広大な海へとのんびりとした航海を始めるような大らかなダウンテンポにより、ジャンルを越えて音楽の旅へと繰り出していく。その後も優美な輝きを放つアシッド・ジャズ、しっとりと有機的なフュージョン・ディスコ、フォーキーなダウンテンポ、夢に浸るアンビエント感のあるニュー・ディスコなど垣根を越えながらも、メロウと言うコンセプトの元に週末の浜辺の長閑ながらも切ないムードに染めていく。アルバムの最後には正に真夏の一曲である憂愁が満ち溢れる"Summer Daze"を橋本徹がエディットしたものを配置したおかげで、しんみりとした余韻を残して最高の流れで幕を閉じる。派手なミックスを必要とせずに一曲一曲をフルにプレイするスタイルは、選曲重視で存分に曲の良さを引き出しながら、海辺のサウンド・スケープを描き出すへと繋がっているのだ。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |