Leon Vynehall - DJ-Kicks (!K7 Records:K7377CD)
Leon Vynehall - DJ-Kicks
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ストリーム配信により最新のMIXが無料で聞けるようになった今、敢えてMIXCDをリリースする意義は薄れつつあり、数多くあったMIXCDシリーズも時代と共に消えつつある現在。しかし恐らく現在残っているMIXCDシリーズでは一番古いであろう『DJ-Kicks』シリーズは、テクノ/ハウスに限らない音楽性と多種多様なジャンルからのDJを起用する事で、まんねりを回避しながら時流の音楽も掬い上げてMIXCDの存在感を示している。その新作はUKの新世代の中でも評価の高いLeon Vynehallによるものなのだが、このMIXCDシリーズがコンセプトとしてDJにとって自由でありパーソナル性が強い事を前提としても、このVynehallによるMIXは自由気ままである意味ではミックスというよりはコンピレーション的な雰囲気さえもある。ここではディープ・ハウスのアーティストというイメージはがらっとひっくり返され、幕開けは自身の新曲であるドローン・アンビエントな"Who Loved Before"により静粛な始まり方で、しかしそこからダンスホール・レゲエな"Genie"やノイズ混じりのアバンギャルドな"Giant Bitmap"、そして何と細野晴臣によるカントリー調の気の抜けた"Rose & Beast (薔薇と野獣)"まで幅広い音楽性を見せる事で、ミックススキルに拘るのではなく音楽そのものの表現力を主張しているようだ。ここまでの流れだけを見てもダンスフロアからは離れており何か統一感があるでもなく、本当にDJがかけたい音楽をただかけているという印象だ。ソウルかつファンキーな"Set Me Free"、アンニュイなシンセ・ポップの"August Is An Angel"、破壊的なインダストリアル調の"Moving Forward"、刺激的なエレクトロの"Nuws"など、全く予想もつかなければスムースな流れに乗って踊らされるでもなく、もしかしたら私的なホームリスニングの選曲という事なのだろうか。序盤は少々虚を突かれる展開ながらも、中盤のざっくりブレイク・ビーツとエモーショナルな旋律で一気に雰囲気を塗り替える"Mellow Vibe"以降はダンスフロアへと突入し、IDM調の鋭利なリズムが弾ける"Fushigi"や"Lapis Lazuli B2"、硬質なミニマル・テクノの"Ploy"、幻想を見るようなドリーミーなディープ・ハウスの"Ducee's Drawbar"と踊れるトラックを滑らかに繋いで、一気に高揚感を増してDJMIXらしい展開に一安心。終盤には更に激しくリズムは暴れ出して細かいリズムが刻まれるジャングルの"Unsung Hero Of Irrelevance"、そして余りにもアンビエントな浮遊感が心地好い名作ドラムン・ベース"Deep Rage"等のハイエナジーな時間を通過して、最後はピアノ演奏だけによる優雅ながらも静けさへと回帰する"Music For Piano"によって喧騒の後さえも消し去りMIXは終了する。一般的なMIXCDを想像していると確実に予想や期待は裏切られる、その意味では非常にユニークな内容で、Vynehallによる選曲重視としたアプローチによる音楽性は家で聞くMIXCDのホームリスニング性に適ってもいる。前半のばらばなら音楽性はやや違和感を感じなくもないが、こういった挑戦的なアプローチが『DJ-Kicks』が存続する理由の一つなのかもしれない。



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| ETC4 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |