Masanori Nozawa - III (Medium Music:MECD-02)
Masanori Nozawa - III
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「宇都宮から生まれ出た眩い輝きを放つ星、Masanori Nozawaの初のアルバムはテクノが感情的である事を証明する。」

宇都宮を拠点として活動するMasanori Nozawaは元々は配信で攻撃的なテクノ中心にリリースを行っていたアーティストだが、2014年にMedium Musicを立ち上げて以降の音楽性ではよりエモーショナルな方向へと進み、深く胸に突き刺さるような感情性はテクノソウルと呼ぶべきものになった。そして2017年末、遂に初のアルバムである本作のリリースへと至ったのだが、何とその内容はオリジナル音源とそれを実力派アーティストがリミックスした2枚組となっており、初のアルバムにしては果敢な挑戦にも思われる。今回幸いにも野澤氏から声を掛けられてアルバムのライナーノーツを書かせて頂いたが、そちらはオリジナル音源について言及しているので是非とも作品を購入された方は読んで頂ければと思う。ここではリミックス音源について紹介させて頂くが、参加しているアーティストからしてXTALやHiroshi Watanabeと言った名を馳せている人、アンビエントに造詣の深いInner ScienceやMatsusaka Daisuke、元Mexicoとして活躍したjunyamabe、そしてKEITA YANOやHironori TakahashiにYuuki Horiらまで邦人のみにもかかわらず実に期待せずにはいられない面子だ。それぞれのリミックスには当然アーティストの個性が反映されているのだが、特に面白いのは"Felt The Sphere(junyamabe Remix)"で、ノンビートで壮大なアンビエンスを発していた原曲から一転してアンビエントの側面は残しつつも抽象的な音像で覆い尽くした作風は厳寒の雪が吹き荒れる真っ白な世界のようで、アブストラクトな音響によって深みへと誘われる。同様に金属がひしゃげるような奇怪な音を付け加えて実験的な面もある"Unknown Ruins(KEITA YANO Remix)"も面白いが、一方で雰囲気を変化させずに図太いリズム感で強固さを増した"Chrono (Hironori Takahashi Remix)"はテクノらしい硬い力強さの安定感がある。元々はアルバム中でも最も色彩豊かでエモーショナルな曲だったものの、"Iridescence (Yuuki Hori Remix)"はぐっと感情を内面に押し込めたようにソウルを燻らせる引き算の美学的な作風で、これもリミックスの妙技が感じられる。"The Orb of Day feat. shiba @ FreedomSunset (XTAL Remix)"は原曲のイメージを損なわずにXtalらしいニューディスコ風でアーティスト性が感じられ、そして濃霧に包まれるような音響の中にエレクトロニカらしいリズム感を得た"Beatific Planet(Matsusaka Daisuke Remix)"はアンビエントに対しての深い愛が伝わってくる。リミックスの中で最も情熱的だったのは当然と言うべきか、Kaitoによる"Mercury Breath(Hiroshi Watanabe aka Kaito Remix)"で、壮大なシンセストリングスと力強いビート感を伴って完全に彼の熱き感情が込み上げる世界観へと上塗りされており、輝かしくも激情が展開するテクノだ。最後はこれまたアンビエントでは独特の個性のある"Return to The Galaxy(Inner Science Remix)"で、豊かで色とりどりの音の粒が湧いてくる心地良いアンビエント・トラックは実に可愛らしい。それぞれのリミックスにそれぞれのアーティストの個性が確かに反映されており、リミックスとしての面白みは十分な事は間違いく、初のアルバムながらもリミックスも盛り込んだ事は野澤氏の本作に対する意気込みの強さが伝わってくるだろう。オリジナル音源、リミックス共にこれぞテクノソウルと呼びたい感情性豊かな音楽で、何度でもリピートして聞いている自分がいる。



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| TECHNO13 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Junyamabe - Serenade EP (Junyamabe:jnymb-2)
Junyamabe - Serenade EP

元Mexicoというプロジェクトの時代から見ればベテランの域にいるJun Yamabeは、2001年に日本のテクノ黎明期のレーベルとして名を馳せるFrogman傘下のU.S.B.と言うハウスレーベルからデビューを果たしている。繊細な響きや素朴な雰囲気のダンストラックは熱狂的ではなく、どちらかと言えば部屋に篭って耳をしっとり傾けたくなる淡い情緒が広がるハウシーな音楽で、それは幻想の中に存在するロマンティックな風景画のような物だった。期待される日本の新鋭として注目している人は少なくなかったと思うが、00年代後半に入ると活動はほぼ見られなくなり、時折単発での新作や未発表曲をリリースする位で一線からは退いていたように見受けられる。が2015年の暮れ、突如として自身のレーベルであるJNYMBを立ち上げて『slowdowndown/slowslowdown』をリリースし復活の狼煙を上げた。それは過去の既発曲と未発表曲を纏めた内容で、今考えれば再出発の意思を込めた作品だったのかもしれない。そして本作へと繋がりここに於いては完全に新作となる3曲を収録しているが、これが今までよりも非常にダンサンブルで眼差しはフロアを向いているように思われる。しなやかで太く弾けるようなリズムトラックによって疾走感を得た"Sail Away"、しかしながら繊細で透けるような上モノや霧の中に消え行くようなか弱い電子音の響きを用い、これまでと変わらない淡い情緒も含んだ幻想のテック・ハウスはYamabeらしくもありフロアのエネルギーと言うか骨太さも獲得している。よりキックが太くベースが重い"Let's Show Them!"は疾走感よりも地に根を張った安定したグルーヴ感があり、美しいシンセのコード展開を用いてスムースな流れを作っている。厳寒の中で幻想的な雪景色を見せるような美しさを持っているのは"Hakuei (No One There)"か、カラッとした乾いたパーカッションが弾ける中にうっすらと耽美なピアノの調べやか細いウィスパーボイスが現れるロマンティックなこの曲は、初期Mexicoの繊細さと優しさに満ちた世界観を思い起こさせる。確かにフロアに適合した揺れるテック・ハウスであり、そしてまたMexicoらしい素朴な情緒も変わっておらず、過去の作品からアップデートして現在へと辿り着いたYamabeの音楽そのものだ。この勢いに乗ってアルバム制作もと期待せずにはいられない。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2012/8/3 HIROSHI WATANABE "Contact To The Spirits 2" RELEASE PARTY @ Air
ワタナベヒロシにとって特別な意味合いを持つまでになったMIXCD「Contact To The Spirits 2」のリリースパーティーが日本各地に渡って開催されましたが、その最終章は代官山はAIRにて開かれました。特にこの最終章ではMIXCDにも曲が起用されワタナベさんが気になっているアーティストを集め、デトロイトからはミニマル・ダブ狂のDeepchord presents Echospace、日本からはワタナベさんもプロデュースしたMingussにJun Yamabe exe MexicoやBirdcageが出演とリリースパーティーのラストを飾るに相応しいパーティーとなりました。
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| EVENT REPORT3 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jonas Bering - Behind The Silence (Klik Records:KLCD045)
Jonas Bering-Behind The Silence
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テックハウス〜プログレッシヴハウスを中心にKaitoことHiroshi WatanabeやJun Yamabe(EX.Mexico)も作品をリリースするギリシャのレーベル・Klik Recordsは、レーベルオーナーの親が富豪であり、その圧倒的な財力を以ってして自分の好きな作品だけをリリースしているそうです。この運営方法は金が無いと出来ない事だけれども、誰しも理想と考えているレーベル方針で羨ましい限りですね。さてそんなレーベルからKompaktで活躍するJonas Beringのベストアルバムがリリースされております。Kompaktからリリースされたシングルなどを中心に選曲されておりますが、何故Klik Recordsからのリリースに至ったんでしょうね。音的には両レーベルに共通性はあるので違和感は無いですが、Kompaktからリリースするのが普通の流れだと思うのですが。ま、ベスト盤なので格好良いディープ〜テックハウスが粒揃いしていて、Kompakt好きなら文句無しですね。僕はKaitoのMIXCD"Contact To The Spirits"(過去レビュー)の冒頭でも使われていた"Before Sunset"が一番好きですよ。ざくざくと切り込んでくるシンセのフレーズが、ドラマティックに鳴り響いて盛り上がりますね。他の曲も幻想的でメロディアスなシンセ使いが存分に聴けて、いかにも欧州的で耽美なテックハウスが満載でお腹いっぱいです。

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| TECHNO6 | 19:45 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jun Yamabe & Enitokwa - Bisai (Klik Records:Klik Records)
Jun Yamabe & Enitokwa-Bisai
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Kaitoのワタナベヒロシ氏の作品もリリースするギリシャのKlik Recordsから、今度は元MEXICOのJun YamabeとEnitokwaのコラボアルバムが登場。MEXICOと言えばロマンティックで優しいテックハウスを得意としていたアーティストで、クラブでの使用に耐えうるビートが有りながらもそのほのぼのとした音楽が特徴でした。そしてEnitokwa、こちらは詳細は不明なものの、関西で活動するテクノ/アンビエント系のアーティストらしいです。さて本作は二人の作品と言う事にはなっておりますが、実際の中身は個々が創った曲を交互に並べていてコラボレーションと言う事ではありません。まずJun Yamabeの楽曲はと言うと、アンビエント色が強い哀愁漂うリスニングミュージックがメインです。雪の降る冬のしんみりとしたシーンが似合うような切ない思いが込み上げてきて、なんだかほのぼのしてしまいますね。そして対照的にEnitokwaの楽曲はダンスフロアを意識したテックハウスが多いですが、非常に綺麗目の音でまとめられていて踊れてかつホームでも聴ける内容となっております。特筆すべきは互いの楽曲を出し合ったアルバムではありますが、互いの楽曲の違和感が無い事でしょう。どちらも透明感のある澄んだ音で幻想的な世界観に統一されているので、交互に互いの曲が流れてきても自然と彼らの世界観に引き込まれて行くのですね。冬の似合う哀愁テックハウスですよ、これは。

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| TECHNO5 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
UPCOMING EVENT
2008/01/25 (FRI)
Taicoclub Presents So Very Show! @ WOMB
LIVE : Sleeparchive, Kuniyuki Takahashi
DJ : Fumiya Tanaka, Foog

2008/01/25 (FRI)
SQ presents FINE : Frogman “Cold Sleep” Party @ UNIT
SPECIAL LIVE SET : Quadra (a.k.a. Hiroshi Watanabe / Kaito), Hitoshi Ohishi
DJ : Kagami, Taichi Master, Toby

SALOON (B3F)
DJ : C.T. Scan (a.k.a. CMJK), Hirofumi Goto (a.k.a. Rondenion), Susumu Yokota, KEN=GO→
SPECIAL LIVE SET : Hulot, Jun Yamabe (a.k.a. Mexico), Riow Arai

2008/01/26 (SAT)
FACE presents ANDRE COLLINS JAPAN TOUR 2008 @ YELLOW
DJ : Andre Collins, Ryo Watanabe

2008/02/02 (FRI)
LUKE SOLOMON "The Difference Engine" Release Tour @ YELLOW
DJ : Luke Solomon, Remi

2008/02/07 (THU)
SPiN30 : ElecTek @ YELLOW
Guest DJ : Rennie Foster
DJ : DJ Khadji, Shigeru Tanabu

2008/02/08 (FRI)
Orbdjsessions feat. Alex Paterson & Thomas Fehlmann @ UNIT
DJ : Alex Paterson & Thomas Fehlmann

2008/02/08 (FRI)
King Street Sounds presents Kerri Chandler Japan Tour @ YELLOW
DJ : Kerri Chandler

2008/02/10 (SUN)
Deep Space @ YELLOW
DJ : Francois K.
LIVE : Henrik Schwarz, Kuniyuki Takahashi
| UPCOMING EVENT | 22:30 | comments(1) | trackbacks(0) | |
The Essential Blank - Dirty Grind (Blank:blcd-1001)
Essential Blank-Dirty Grind
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HMVの特売で100円で販売されていたので見かけた時に即購入。内容はと言うとWOMBでのテクノパーティー"CYCLONE"を主宰するDJ Mikuが、新たに立ち上げた"Blank"の初のコンピレーションアルバム。でもBlank RecordsってそんなにEP出してたっけ?と少々不可解な点もありますが、きっとDJ Mikuが交流のあるアーティストに楽曲提供を依頼したのでは。日本からはテックハウスでは最上級のHiroshi WatanabeやMexico、そしてDJ Miku自身も、海外からはディープでミニマルなJay HazeやAndy Vaz、Jake Fairley、クリッキーなテクノが得意のPan/Toneなどちょっと渋めのアーティストが集められていて、特筆すべきは全て未発表曲=新曲だと言う事。まだ出来て間もないレーベルの為に全員が新曲を提供するなんて、なかなか考えられない事ですよね。幾つか気になった曲を挙げますと、やはりHiroshi Watanabeの幽玄で透明感のあるシンセサウンドが特徴なテックハウスは、涙を誘う哀愁感で満ちていて極上です。初期のほのぼのハウスを脱却し、格段に切れ味を増したパキパキなシンセが格好良いMexicoのテックハウスも良いね。バブルが弾ける様な不思議なクリックハウスはAndy Vaz、淡々としながらも重心が低くフロアで地味に効きそうです。テッキーで綺麗目な音とクリッキーなリズムを合わせたJin Hiyamaは、初耳ながらも充分に興味をひく物でした。DJ Shirakuraって誰かは知らないけれど、アシッドブリブリで一番強烈な音を出しています。ディスコティックを現代風にリメイクした様でもあり、陽気なテンションで盛り上がりそう。とまあそんな感じでバラエティーに富んだコンピレーションで、統一性は無いけれどなかなか聴き応えはありました。しかしコンピレーション出したは良いけれど、今はBlank Recordsって全然新作出して無くない?

Tracklistは続きで。
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| TECHNO4 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mexico - Park Avenue (United Sounds Of Blue:usb-001cd)
Mexico-Park Avenue
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東京に雪が降った。静寂の中真っ白な雪景色に一時の休息を感じる。そんな僕が今日聴きたかった音楽は、このFrogman Recordsのサブレーベル・USBからのJun Yamabe氏のMEXICO。Global Communicationを敬愛すると言うMexicoの音楽は、繊細な美しさに満ちている。シンプルかつ淡々と打ち鳴らされる4つ打ちのリズムに、ロマンティックで神秘的なシンセメロディーが乗って儚くも美しい世界観を作り出している。強要される事はない、自然と耳に音が入ってくる優しさがある。雪が降る静寂の中に、ほんのりと明かりを灯し少しだけ温かい気持ちにさせてくれる。何も考えずともただただ平穏な時間と空気を与えてくれる。まるで夢の中の世界に行ってしまったかのような心地良い音楽で、寒い冬に聴きたくなってしまった。優しく浮遊感のある4つ打ち「Moon Over Hotline」、幻想的な世界に迷い込んだアンビエントトラック「Illuminated 45」、アッパーなテックハウス「Mr.Through」辺りがお勧め。

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| HOUSE2 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |