Michael Mayer - DJ-KiCKS (Studio !K7:K7348CD)
Michael Mayer - DJ-KiCKS
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クラブに行かなくても、そしてCDすら買わなくても、最早オンラインでパーティーでのプレイを録音したDJMIXが無料で聞けてしまう時代に、敢えてお金を取ってMIXCDを販売する意味を見つけるのは難しい(勿論音が良いとか、良く練られているとかはあるだろうが)。だからこそ逆説的にクラブの雰囲気ではなくパーソナルな感情を綴ったようなDJMIXとして成功したのが、このStudio !K7が送る『DJ-KiCKS』シリーズだ。1995年に開始して20年以上60作を超えるこのシリーズは、浮き沈みの激しいダンス・ミュージックの業界に於いては最早ど定番と呼んでも差し支えないが、その一方でクラブのハイエナジーな雰囲気を再現しただけのMIXCDとも異なる点で独自性を確立させていた。本作はKompaktの主宰者の一人であるMichael Mayerによるもので、普段はテック・ハウスを軸にミニマルなグルーヴ感でポップやニューウェーブの雰囲気を含むプレイをする記憶があるが、ここでは本人も「できるだけパーソナルな内容にしたかった」と述べている通り一般的な真夜中のダンス・パーティーで聞けるプレイよりもリラックスした緩やかさと程良い甘さがあり、そして丁寧に各曲の魅力を伝える事に専念するかのように1曲を長くプレイしている。幕開けはアバンギャルドなトロンボーン楽曲の"The Tape Is Chill"で夢現の朧気な雰囲気で、そこに自身の新曲であるパーカッシブなハウスの"The Horn Conspiracy"を繋げてビートが動き出す。ギラついて毒っ気もあるニューディスコ調の"The Darkness (I:Cube Remix)"からジャーマン・プログレのダンス版みたいな"Feuerland"の流れは、Kompaktらしいユーモアとポップさもあるのはやはり頭領だけの事はあるか。中盤でのロックでニューウェーブ調の"Gary"で俗世的に攻めつつ、"Apart (Michael Mayer Remix)"や"Please Stay (Royksopp Remix)"等のメランコリーな歌物やポップなニューディスコによってしっとり感情が温まる後半の流れは盛り上がりどころで、そして"Hot On The Heels Of Love (Ratcliffe Remix)"によるエクスペリメンタルながらも叙情性ふんだんなダンス・トラックで多幸感はピークに達する。そしてビートが消失して落ち着きを取り戻す牧歌的な"Landscapes"から、再度力強くリズムを刻み出して感情を昂ぶらせる"Abandon Window (Moderat Remix)"でドラマティックなフィナーレを迎える。やや陰鬱さや内向的な要素もありながら、しかしポップでメランコリーに振れる展開もあり、普段のミニマル寄りのプレイと違っても確かにここにはうっとりと酔いしれてしまうような魅力があり、『DJ-KiCKS』として存在意義も感じられる好内容。夜の
ベッドルームでじっくり耳を傾けて聞くのにぴったりだ。



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| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Cluster - Sowiesoso (Captain Trip Records:CTCD-598)
Cluster - Sowiesoso
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先日来日公演を行ったClusterの76年作。初期のClusterと言えば無感情に奇妙な発信音や電子変調音を鳴らしているだけの抽象性を極度に高めた音楽でしたが、NEU!のMichael Rotherと結成したHarmoniaの活動を経てからは重みや閉塞感も減り、むしろ外向的で奇天烈ながらもほのぼのとしたムードの漂う電子音楽性が強くなりました。特に本作のジャケットを見れば感じるであろうこの自然回帰志向。これまでのおどろおどろしい重さは皆無で、逆にどこまでもフラットに伸び行く叙情溢れるシンセや環境音の様なSEが導入され、色彩鮮やかなロマンスさえ溢れている。タイトル曲の"Sowiesoso"は開放感に溢れオプティミズムの塊その物ではないか。勿論これまでの電子楽器を弄くり回して遊ぶ様なユーモア溢れる音使いは健在ながらも、単に鳴っているだけの音楽から美しい色彩さえも感じられる人間味が表現された事は、テクノソウルにも通じる物があるのでは。ラストの"In Ewigkeit"は自己主張、抑圧の無いただ奇妙な音が鳴っているだけのいかにもClusterらしい曲だが、これは後のアンビエントテクノとも言えるでしょう。実験的・前衛的ではあるけれど、同時にポップなエレクトロニックミュージックとしてお勧めです。



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| ETC3 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Harmonia - Harmonia (Brain:UICY-9559)
Harmonia-Harmonia
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本日も残りわずかになってきましたがジャーマンプログレッシブロックの紹介です。話題は元に戻りまして、Cluster関連のアルバムを聴いてみようと思います。本作をリリースしたHarmoniaとはClusterの二人に、元NEU!のMichael Rotherが合体したバンドです。このNEU!ってのがまたジャーマンプログレの中でも面白くて、アパッチビートとかハンマービートと呼ばれる頭打ちのミニマルなドラムが特徴なんですね。パンキッシュかつヒッピーで楽天的なのに攻撃的な音楽であり、ジャーマンプログレと言うよりはニューウェーブを想像して貰えると分かり易いロックバンドです。さて生真面目なClusterにそんな元NEU!のアーティストが加わると、予想通りと言うかClusterの荘厳で重々しい雰囲気は薄れポップで開放溢れる楽しい音楽になっていました。曲はノンビートとビート入りが半々位になっていますが、ビート入りの曲ではやはりNEU!の様に永遠に不変なミニマルなドラムが打ち鳴らされています。言葉では表現し辛いドタドタしたリズム、そして素っ気ない音の質感こそ正にNEU!直系。そしてRotherのギターとClusterの電子音は底抜けに明るく、奇妙な音もここでは桃源郷の様な心地良い空間を創り出します。またノンビートの曲は人力アンビエントと言っても差し支えない程良い意味で気が抜けていて、静謐の中を重く深い音が立体感をしっかりと生み出しています。これもClusterだけならばきっと重苦しさが残ってしまうのでしょうが、やはりRotherの参加のおかげでリラクゼーション的な和みが効いています。両方のアーティストの長所が上手く融合されていて、これぞコラボレーションの醍醐味が発揮されていると断言します。

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| ETC2 | 21:40 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Superpitcher - Today (Kompakt:KOMPAKTCD40)
Superpitcher-Today
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ドイツテクノと言えばKOMPAKT、僕の中ではそれ位KOMPAKTは素晴らしく尊敬に値するレーベルです。その功績は大きくポップさとアンダーグラウンドな音が共存し、過去の音楽を租借しつつ新しい音も生み出す事が出来ます。今となっては有名なアーティストが数多く所属していますが、このSuperpitcherも必ず名を馳せるだろうと期待を置くアーティストの一人です。今作はKOMPAKT直系の緩く紡がれる流麗で、美しくメランコリックなMIXCDです。収録曲数が少ないので一曲を長めに聴かせるタイプになっていますが、単曲で素晴らしい曲ばかりなので普段EPを集められない僕には聴き応えがあります。前半は淡々とひんやりしたミニマルな展開、中盤以降はグッと来るメランコリックな曲のオンパレードで、知らないアーティストばかりだったのですが心癒される選曲となっています。美しくもちょっと陰のある雰囲気は、真夜中の世間が寝静まった瞬間の静寂を思わせる様であり、なんだか儚い夢を見ている様です。ゆったりまったりな展開ながらも、緩く体を震わせる優しいグルーヴも有ってワイングラスを傾けながら聴きたくなりました。KOMPAKTのポップ&アンダーグラウンドな音にしっとりと耳を傾けてみましょう。

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| TECHNO2 | 23:00 | comments(4) | trackbacks(1) | |
Dave Clarke - World Service 2 (Resist:RESISTCD45)
Dave Clarke-World Service 2
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テクノ好きな人はきっと既に持っているであろうDave Clarkeの2枚組MIXCD。エレクトロサイドとテクノサイドに分かれていて、二つの味の楽しめるナイスなMIXなんだけど、ほんと良いDJだなDave Clarkeは。去年出た2NDアルバムには失望してたけど、やっぱりDJとしては一流ですよ。まずエレクトロサイドなんだけど、すっごい痺れるね。エレクトロ特有のチープな音がこれでもかとびきびき鳴り、ニューウェーブ調の曲も混ぜて懐古的な面もありつつ肌に突き刺さる様な刺激があります。でもやっぱりオススメはテクノサイドでしょっ!ゴリゴリのハードテクノにスカスカのシカゴハウス、鋭い切れがあるフィルター系をこれでもかと繋いでいきます。非常にざらついた質の悪そうな音が逆に、ワイルドで熱の籠もったプレイを感じさせます。高音と低音を強調した様な派手なMIXで、更には後半に進むに連れて卑猥度も増していきます。やぱり彼はシカゴハウスの影響下にあり、巧みに吸収して自分なりのプレイを創り出していますね。どこを切ってもピーク時の様なテンションには、頭が下がる思いですがそんな事を考える余裕も無いくらいパワフルです。うんうん、最近テクノでは良いMIXCDがなかっただけに満足ですな。

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| TECHNO2 | 23:00 | comments(3) | trackbacks(2) | |
Harmonia - De Luxe (Polydor K.K.:POCP2388)
Harmonia-De Luxe
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ClusterのメンバーとNEU!脱退後のMichael Rotherが一時的に手を組んだユニット。Clusterの方は元々Klusterと言う名前で活動をしていて、フリーインプロヴィゼーションによる音楽と言うよりは音が鳴っているだけの物らしい。そしてMichael Rotherは元Kraftwerk、そしてNEU!結成→脱退と言う経歴。こんな人たちが一緒になって奏でた音楽は、予想外にもポップ!NEU!のパンキッシュで衝動的な部分がより強調され、そして明るい。どこまでも突き抜けるかの様に、幸福感に満ちあふれている。きっとMichael RotherのNEU!での活動がこのアルバムに影響しているのだろう。リズム帯もNEU!の様な勢いのある反復ビートを思わせるし、その上を開放感のあるシンセサイザーやギターが縦横無尽に駆け巡る。ジャーマンプログレでここまで躍動的な音楽は、他にはあまり無い気がする。中にはシンセサイザー中心の曲もあり、現在のアンビエントにも通ずる心地良さを感じる事が出来る。こちらはClusterの影響が大か。最後の曲なんてカエルの鳴き声や、水の流れる音、鳥の鳴く音などがミックス(現在で言うサンプリング?)されてチルアウト状態。こんな音楽を聴いていたら家に引き籠もっていないで、外に出て太陽の光を浴びたくなってしまう。Kraftwerkがテクノの元祖と言われているけれど、Harmoniaだってそう言われてもおかしくないかも。

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| ETC1 | 23:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Neu! - 2 (Groenland:7243 53078126)
Neu!-2
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最初期KraftwerkのメンバーであるKlaus DingerとMichael RotherがKraftwerkを脱退後に作ったバンドが、この”新しい”と言う意味のNEUだ。Kraftwerkの電子音楽とは異なり、こちらはパンキッシュでロッキンなのちのPILJoy Divisionにも通じるような音楽が特徴。ギターを掻きむしり、ベースがベンベン唸る。と言ってもやはりジャーマンプログレ、尋常ではない。ハンマー・ビートと言われる反復リズムが特徴らしいが、僕には良く分かりません。しかし明らかにこの後のテクノに通じる反復ミニマルが既に確立されている。そしてその上に強烈で過激なエフェクトが施され、現在のサンプリングにも負けず劣らずな効果を生み出している。またテープを使い曲の途中でスピードを少しずつ変えていったり、明らかに今までのロックには無かった作風もある。そして何よりもKraftwerkは生真面目にそして精密に作品を作るのに対し、NEU!は衝動的と言うか音楽を作る時の勢いが作品自体に新鮮に封じ込まれている。聴いていて清々しく、悩みも吹き飛ぶような新鮮な作品だ。重苦しい作品だけがジャーマンプログレではないのだ。

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| ETC1 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |