Moomin - Yesterday's Tomorrows (Wolf Music Recordings:WOLFLP004)
Moomin - Yesterdays Tomorrows
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AimやWhiteといった繊細な美しさを放つディープ・ハウスのレーベルから、そしてハンブルクの特に叙情的なムードが強いディープ・ハウスを武器とするSmallville Recordsからのアルバムのリリースなどからも分かる通り、ダンス・ミュージックではありながらリスニングとしての性質に長けた音楽性を得意とするSebastian GenzことMoominの3枚目のアルバムがリリースされている。Smallvilleの美学を体現するような存在であった彼が、しかし意外にもWolf Musicからとなったその背景を知る由もないが、本作ではそんなレーベルの変化は音にも現れており今までの耽美な音を守りながらもヒップ・ホップやドラムン・ベースにまで手を広げて音楽の拡張を行っている。幕開けの"Daysdays"こそぼんやりとしたパッドのループと潜めた甘美なエレピ、そしてすっきりした4つ打ちで淡々としながらもムーディーの染めるディープ・ハウスで、途中から入ってくるボイス・サンプルの繰り返しでうっとりと微睡んでいく。続く"In Our Lifetime"も前作を踏襲するように膨らみのある大らかなハウス・グルーヴに合わせて耽美な鍵盤を合わせて、激しく訴えるかけるのではなくじんわりと染み込んでいく淡い情緒の世界観に心も温まる。しかし"Shibuya Feelings"では荒々しいハイハットと弾けるキックのブレイク・ビーツが現れ、Moominらしい優美な上モノとは対照的ながらも、揺れるリズム感を強調してやや意外性を含んでいる。ディスコ・サンプルであろうループを用いた"Maybe Tomorrow"はざっくりしたリズム感も相まってファンキーな鳴りもしているが、そこから続く4曲はドラムン・ベースとダウンテンポへと向かった正に彼にとっての新基軸だ。"Move On"は激しくもしなやかなリズムを刻むドラムン・ベースで、甘く誘うような女性ボーカルと幽玄な上モノのループを繰り返し、Moominらしい繊細な美麗音響を放ちながらもリズムは躍動するアートコア系。そこから一転してぐっとテンションを抑えたヒップ・ホップ調の"949494"も重心はずっしり低めながらも、ファンキーな管楽器のソロも加わってきたりと生っぽくざっくりした質感が新鮮だ。アルバムの前半と後半で表面的には作風はガラッと変わっているのが印象的で、しかしどんなリズムを用いようともMoominらしい幽玄な世界観は通底している。秋の夕暮が似合うようなしんみりしたアルバムだ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Good Mellows For Sunrise Dreaming (Suburbia Records:SUCD1004)
Good Mellows For Sunrise Dreaming
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週末の海辺〜海辺の夕暮れ時〜月明かりの下のランデブーと刻々と時間の経過を辿ってきた『Good Mellows』、次なるシリーズは真夜中の眠りから目覚め、朝日の到来と共に訪れるまだ瞼の重い夢の様な時間帯、それが『Good Mellows For Sunrise Dreaming』だ。メロウというコンセプトを様々な風景・時間帯で演出してきた橋本徹が、目覚めの為に用意した音楽はシリーズの中でも特に穏やかで、そして透き通るような透明感を持った清純な響きが静寂の中に広がるようだ。アルバムの冒頭は夢から優しく現実へと引き戻すMiguel Atwood-Fergusonによる"Intro Eternity"で、引いては寄せる波の音や鳥のさえずりと共にか弱いピアノの音色が夢現な状態にそっと目覚めを告げる和みのインストで、刺激を与える事なくゆっくりと心身を起床させる。続くWooによる"A Little Long Way"、気の抜けた笛の音色と牧歌的な電子音からなる現代で言うフォークトロニカと呼ぶべきか。夢の余韻を残しながら続く"Brasil (Abel's Gavea Mix)"では開放感を演出するアコギが爽やかなバレアリック感を生み、少しずつ肉体にも力が入るようにビートが流れだす。中盤ではクラブ・ミュージック性の強いディープ・ハウスであるDeep88による"Harmony"、Optikによる"Illusions"が続くが、この辺の浮遊感溢れるアンビエンスや清純な透明感は、今までのシリーズの中でも特に群を抜いており本作のコンセプトを象徴するようでもある。後半にはジャズ・ピアニストとその仲間のBugge & Friendsによる"Breed It"が待ち受けており、繊細で憂いに満ちたピアノソロから徐々にアフロなパーカッションも加わわってドラマティックに盛り上がる流れは、穏やかな興奮を誘うだろう。そこから哀愁のトライバルなハウスや落ち着いてエレクトロニックなハウスを通過して、最後はUyama Hirotoによる"End Of The Road"が魂を揺さぶるスピリチュアルな世界観のダウンビートを刻み、心の拠り所を見つけたように安堵なムードでラストを飾る。踊り疲れた後のチル・アウト…とも異なるこれからの活動を促すための促進剤と呼ぶべきか、開放的でバレアリックではあるが休むのではなく体に静かに活力を生む音楽性で、正に一日の始まりを告げる内容なのだ。

Tracklistは続きで。
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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/6/3 "The Spacewalk: 51 year anniversary" @ Contact
1965年6月3日はアメリカ人宇宙飛行士のEdward Whiteが、初めて宇宙遊泳(spacewalk)を果たした日であるという。つまりは人類が遂に宇宙へと足を踏み出した瞬間とも呼べる日であるが、その宇宙をテーマに音楽を作り続けているDJ/アーティストの第一人者と言えばJeff Millsをおいて他にいないだろう。宇宙に対する哲学的な思想をミニマルという音楽で表現する彼が、今回Contactにてこの歴史的な宇宙遊泳に対して捧げるコンセプチュアルなDJセットを披露すると言うのだ。それだけでなくベルリンからはGrounded Theoryを主宰し現在のハードかつミニマルなテクノを形成するHenning Baerも呼び寄せるなど非常に贅沢な布陣で、Contactというクラブの中に徹底的にハードかつスペーシーな夜を演出する。
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| EVENT REPORT6 | 09:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Moomin - A Minor Thought (Smallville Records:SMALLVILLE CD 11)
Moomin - A Minor Thought
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レーベルのカタログに名を連ねているアーティストを見れば、Smallville Recordsの音楽性はおおよそ理解出来なくはないだろう。フロアでやかましく鳴り強迫的に躍らせる曲はほぼ無く、派手は飾り気は無くとも優しい音使いと流麗なメロディーを用いて心にじんわりと染みる叙情性や淡い色彩を感じさせる世界観があり、例えばデトロイトやシカゴのハウスの要素をヨーロッパ風に精錬して綺麗に磨き上げたような作風だろう。Moomin自身は2010年にAimやWhiteといった同様に幽玄なディープ・ハウスを手掛けるレーベルからフックアップされデビューしており、その意味ではSmallvilleとの相性の良さは言うまでもなく、無事Smallvilleから4年ぶり2枚目となるアルバムをリリースした。アルバムの幕開けは打ち寄せる波の音から始まる"123"で、次第にリフレインするホーンのメロディーやカチッとしたシャープな4つ打ちが入ってくると、清涼感と透明感をたっぷりと含んだ朗らかで優しいディープ・ハウスが姿を現す。ビートは決して激しくはないが硬く尖った鳴りが軽快さを生んでおり、"Loop No. 1"でもそのリラックスはしつつも切れ味のあるリズムに上品さに満ちた優雅なエレピのメロディーが絡めば、白昼夢にへと溺れるようなうっとりとした世界を望む事になる。目覚めを爽やかに彩る美しいパッドと官能的なトランペットのメロディーが正にタイトル通りな"Morning Groove"は、朝からうきうきとするジャジー・ヴァイブス溢れるグルーヴを刻み、何だかレトロな味わいが感じられるストリングスやベースが躍動的な"Woman To Woman"は陽気な気分を生み出し、アルバムは常にそよ風が吹き続けるような爽やかさに溢れている。快楽的かつ熱狂的なダンス・トラックは無いからこそアルバムに大きな山場も無いのだが、静かに耳を傾けて聞きたくなる情緒的な音楽性はこれぞSmallvilleらしい。日常の中に自然と存在する空気のような、そんな安心して聴けるディープ・ハウスなのだ。



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| HOUSE11 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/2/20 Mule Musiq presents CATS @ Arc
ドイツのアンダーグラウンドなハウス・レーベルであるWhiteの主宰者であるOskar Offermannが、昨年は遂にMule Musiqからアルバムをリリースするなど、その活動は浮上をして日本でも注目を浴びつつあるように感じられる昨今。今までに2回の来日経験があり、GrassrootsやLiquidroomなど場所の大小問わずしてその個性的なDJで評判を集めるが、今回はMuleからのリリースに合わせてレーベルのパーティーであるCATSへの出演が決まった。日本から迎え撃つは同レーベルの中心的存在であるKuniyuki TakahashiやMuleのボスであるToshiya Kawasaki、Rainbow Disco ClubのSisiと、リリパに対してしっかりを脇を固めた布陣となった。
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| EVENT REPORT6 | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Smallville Way - 10 Years (Smallville Records:SMALLVILLE CD 10)
Smallville Way - 10 Years
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ドイツのハウスシーンで盤石の地位を築き上げたハンブルクのSmallville Recordsは、元々はレコード屋から始まったレーベルだ。デトロイトやシカゴ、そしてUSのディープ・ハウスなどを積極的に販売していたそうで、そういった背景を知ればレーベルとしてのSmallvilleの音楽性も、何となくは理解出来るのではないだろうか。派手な作風は殆ど見受けられず、静謐な佇まいと内向的な落ち着き、そして欧州の洗練された美も兼ね備えたディープ・ハウスを売り物とし、ドイツにてミニマルが隆盛を誇っていた時代もハウスの作風で地道に基盤を固めていた。その結果としてSmallvilleの音楽性は、ぶれる事なく確立され信頼に足るレーベルにまで成長した。そんなレーベルの設立10周年としてリリースされた本作は、今までレーベルに携わってきたアーティストによる新曲が収録されている。レーベルの主力として活動しているChristopher RauやMoominにSTL、そしてレーベルの主宰者であるLawrenceやSmallpeople(Julius Steinhoff & Just von Ahlefeld)、他にもレーベルに初めて顔を出すKornel KovacsやTilman Tausendfreundなどが名を連ねており、初めてSmallvilleに手を出す人にも元々好きだった人にも大変便利な一枚であろう。幾つか気になった曲を紹介しようと思うが、ややテクノやダブにも接近するSTLによる"Leaving Peaceful"は、多段になったような揺らめく残響がうっすらと官能すら発するダブ・ハウスで優美な陶酔さえ感じられるだろう。生っぽいざらついたハウスビートと朗らかで優しく撫でるようなシンセのメロディーが用いられたMoominによる"I Whisper A Prayer"は、そのすっきりと無駄の無い構成だからこそメロディーがより際立つ作風だ。そんな中でJacques Bonはシカゴのアシッド・ハウスを思わせる粗いリズムとアシッド・ベースを用いた"Tribute To You"を提供しているが、それでもファンキーと言うよりはねっとりと深みにはめるようなディープ・ハウス色を何とか保っているのが面白い。ただやはりSmallvilleらしい作風というのはRVDS & Rauによる"Umbe Data"みたいな、繊細で控えめの情緒的なメロディーとかっちりと刻まれるハウス・ビートを基調にした曲で、吐息のような官能的なスキャットも加わって甘く耽美な世界観を確立している。Smallvilleを知らない人は先ずは本作を手掛かりとして聴くのはうってつけであり、特に真夜中の騒がしいパーティーに馴染めない人でも、このしっとりと情緒深いハウスは部屋の中で落ち着いて耳を傾けるのにも適しているのだから、これを機会に聴いてみて欲しい。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Flori - Re-Foldings (Aim:Aim 011)
Flori - Re-Foldings
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Oskar Offermann / Edwardらで注目を集めているベルリンのWhiteレーベルが、新たに立ち上げたディープ・ハウスのレーベルがAimだ。Christopher RauやMoominなど既に実力のあるアーティストを手掛けているが、この新しい期待の星であるJamie TaylorことFloriも注目を集めている。SecretsundazeやQuintessentialsからもリリース歴があるこのアーティストは、前作はAimからEPをリリースしていたが、新作はその作品を他アーティストがリミックスした曲を纏めている。注目はベルリンアンダーグラウンドのベテランであるLowtecによる"Dusty Socks (Lowtec Remix)"で、原曲のスモーキーな黒さを残しつつもよりもミニマリズムと硬質でざらついた質感を強調し、DJツールとして機能性を高めたディープ・ハウスへと生まれ変わっている。初耳ではあるがDorisburgによる"Forsty Leo (Dorisburg Cave Jam Mix)"は、デトロイト・テクノ風だった原曲からアシッドシンセや奇妙なシンセが異国情緒漂うメロディーを発する妖艶で深いハウスへと塗り替えられ、陽から陰へとがらっと雰囲気を変えているのが面白い。そして前述のChristopher Rau & Moominによる変名で手掛けた"SU 3150 (Roaming Remix)"、鋭いハイハットやキックが淡々とリズムを刻む上にうっすらと情緒あるパッドを反復させるが、原曲よりもエモーショナルな感情を抑えるように仄かに温かい感情を放出するロウなディープ・ハウスとなっている。そしてBergによる少々ハードな音質ながらも幽玄さを兼ね備えたミニマル・ハウスの"SU 3150 (Berg Reduktion)"と、計4曲収録。元々がどれも素晴らしい作品だったのだが、リミックスの方も期待を裏切らないベルリンサウンドが堪能出来る。

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| HOUSE9 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |