Prins Thomas - Paradise Goulash (Eskimo Recordings:541416507275)
Prins Thomas - Paradise Goulash
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ノルウェーのニューディスコ大使と称されるPrins Thomasによる新作は、計3枚にも渡ってジャンルの壁を取っ払って、兎に角あらゆる音楽を楽しんで貰う意図でミックスされた大作だ。そのタイトルからも分かる通りNYの伝説的なクラブであるParadise Garageへのトリビュート的な内容であり、確かにジャンルレスという点においてその意思を受け継ぐコンセプトであろう。元々2007年には同様にニューディスコだけに限定されずに底抜けの多幸感を打ち出した怪作である『Cosmo Galactic Prism 』(過去レビュー)を披露しており、それを前提とすると2014年にリリースされた『Rainbow Disco Club Vol.1』(過去レビュー)はテクノを中心としたミックスとなった事で奇妙なユーモアは後退し、彼らしい賑やかなごった煮サウンドによる恍惚感は喪失してしまっていたと思う。そんな流れを踏まえて、本作は再度ジャンルレスかつタイムレスな選曲を行う事で、単にダンス・ミュージックの躍らせるという機能性だけにこだわらずに、変幻自在な流れによって惑わされながら何処か掴み所のない恍惚状態を引き起こす面白い作品に出来上がったと思う。勿論様々なジャンルは用いながらもバランスを壊す突飛な流れにはなっておらず、CD1〜3の流れに沿って大まかなジャンルの区分けはされている。CD1は最もレイドバックしており、牧歌的なロックから始まり民族的なジャズや懐かしみのあるハウス、夢現なアンビエントから艶かしいファンクを通過してのディープなアシッド・テクノまで、肩の力が抜けたプレイでゆっくりと温めながら多用なリズムと音色によって先ずは肩慣らし的な導入だ。CD2では2000年以降のニューディスコやテクノにハウスなど現代的なダンス・ミュージックが中心となり、徐々にビートは力強さを増しながら夜のパーティーへ向かうざわめきを喚起させる魅惑の快楽的な時間帯へと突入する。その流れを引き継いだCD3ではより快楽的な真夜中の時間帯から始まり、ディープかつミニマルな流れを保ちながらエクスペリメンタルな電子音楽へと遷移し、湿っぽく可愛らしいジャズやライブラリーミュージック的なリスニングの曲、そして熟成したような味わいのあるプログレッシヴ・ロックを経過して下降気味に終焉へと向かう。CD3枚に渡って起承転結がはっきりとした流れは非常にスムースで、パーティーの始まりから終わりまでを意識したようにも感じられるし、多数のジャンルを過剰に詰め込んだ事でその情報量の多さに抵抗の出来ない恍惚感も生まれている。流石に3枚合わせて200分越えなのでお腹いっぱいにはなるものの、Thomasらしく外向きの享楽的なパワーが発散するDJプレイが目に浮かぶようで、やっぱりこんなミックスが彼らしいと思わせられる内容だ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Marcel Dettmann - Conducted (Music Man Records:MMCD036)
Marcel Dettmann - Conducted
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現在ドイツを代表するクラブ・Berghainでレジデントを張り、またOstgut Tonなどのレーベルからストイックに研ぎ澄まされたミニマルテクノをリリースするMarcel Dettmann。ここ日本に於いてもBerghainやOstgut Tonと言う単語は半ばブランド化しテクノファンの注目を集めるに至ったが、しかしここからはハイプは淘汰されどこまでが残っていくか試されるとOstgut TonのレーベルマネージャーであるNick Hopperが語っていた。その意味ではMarcelにとって2枚目となるこのMIXCDは、絶対なる評価を得たその後の試金石と言える作品なのかもしれない。彼が以前来日してプレイした時には過剰なエネルギーを放出するハードなミックスを行なっていたが、本作では所謂ハードテクノと言う言葉は相応しくないだろう。オープニングからしてSandwell Districtのビートレスなアンビエントで、そしてドタドタとしたSignalやRoman Lindauの重厚なテクノへと繋がっていく。決してハイテンションかつハードではない…が、しかしビリビリと得体の知れない不気味な何かが蠢くように音が振動し、グルーヴよりもテクスチャー重視のプレイをしている。そして新旧関係なく彼が好きだと言うトラックを使用した本作には、90年代のロウなテクノ/ハウスも収録されており、質素で乾いたリズムにはシカゴ・ハウスのそれにも通じる粗悪さが感じられる。勿論最新のテクノであるMorphosisやShed、Redshape、O/V/Rもプレイしているが、これらも冷たい感情が通底するダークなテクノだ。突き抜けるハードさよりもラフな質感とディープな情感を表現した本作は、分り易い爆発力は無いがオールドスクールと現在のドイツテクノを理解した彼が、静かな凶暴性を隠し持ち新旧を融合させている。派手さはないがしかし徹底してダークに染められた流れには、ドイツテクノの硬派な洗礼を浴びせかけられるはずだ。



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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lawrence - Timeless (Cocoon Recordings:CORMIX035)
Lawrence - Timeless
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大仰な作品をリリースする印象が強いCocoon Recordingsですが、中にはレーベルの作風に捕らわれない音源もリリースしているようで、Lawrenceが手掛けたこのMIXCDは正にLawrenceらしい音が詰まった作品になっております。Lawrenceは自身でもDialやSmallville Recordsを運営する傍ら、Mule ElectronicやKompakt等からも欧州の洗練されたミニマルなディープハウスを送り出しているアーティストです。そんな経歴を知っている人にとってはこのMIXCDは期待通りの内容で、幕開けからして物悲しいエレクトロニックなハウスから始まり、そして序盤にしてChez Damier & Stacy Pullenの華麗なクラシックが投入され期待の高まる展開が。そこからスムースなハウスのグルーヴを保ちながら浮揚感のあるテッキーな流れへと突入し、Morphosisの陰鬱なハウスからAril Brikha、Delano Smithの心地良いディープハウスに繋がる瞬間は本作の山場と言えるでしょう。その後は一旦熱を冷ますように気の抜けたハウスを投入し、Mike DehnertやRobert Hoodのミニマルなテクノで再度かっちり引き締めつつ、ラストはPlaidのインテリジェントな曲で厳かに着地。Cocoonの快楽的な音とは異なる静かに燻るLawrenceの内省的な音が終始満ちていて、耽美な官能と厳かな美しさが堪能できるハウスミックスとして素晴らしい出来となっております。今っぽ過ぎる音なので"Timeless"と言うタイトルはどうかとは思うけれど、イケイケなCocoonから本作が出たと言う点でも評価出来るでしょう。

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| HOUSE7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Morphosis - What Have We Learned (Delsin:MMD-CD1)
Morphosis - What Have We Learned
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オランダからデトロイトテクノを継承するレーベル・DelsinとRush Hour傘下のM>O>Sが共同でリリースする新作は、レバノン出身のRabih BeainiことMorphosisのアルバム。昨年にもM>O>Sよりホワイト盤でEPをリリースするような謎めいたアーティストですが、作風の方も未知なる深海にダイヴするようなディープかつアブストラクトな雰囲気に満たされており、デトロイトよりもシカゴのジャッキンな荒削りな音が目立ちます。アナログのざらついたキックやスネアが無情に響く中を熱量の無い冷えた朧気なシンセが漂うように浮遊し、アンビエンスやトリップ感も匂わせながらもやはり荒廃した音が続き、希望も楽観も無い凶気にも似た世界観が奥底まで拡がっております。時折挿し込むスペーシーなSEで浮遊するかと思いきや暗雲立ち込める停滞感に押し潰され、息の詰まる音響で密閉空間に閉じ込められるかのよう。Delsinらしからぬダークな重苦しさが強烈ですが、しかし錆びついた音質とねっとりとしたグルーヴはデトロイト・ビートダウンを思わせる濃厚さもあり、聴けば聴く程はまりそうな魅力があるのも確か。分り易いメロディーも気分がハイになるような楽天的な音も無いけれど、ミステリアスな電子狂想曲としての異彩を放っています。

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| HOUSE6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Morphosis - What Have We Learned Remixes Part 1 (M>O>S Recordings:MMD-R1)
Morphosis - What Have We Learned Remixes Part 1

Rush Hour Recordings傘下のM>O>S RecordingsからRabih BeainiことMorphosisなるアーティストのリミックス盤。正規リリースのはずなのにクレジットも全く無しのホワイト盤っつ〜訳の分からんリリースですが、実はNewworldaquariumとJust For One Dayらのリミックスを収録しております。Newworldaquariumと言えばCarl Craigにも認められそしてDelsin等でも活躍しているオランダの奇才ですが、ここでも彼らしいざらついた質感の迷宮に迷いこむ不鮮明なディープハウスを披露しております。霞がかったざらついたシンセの奥から浮かび上がるアンビエントな空気が、上げ下げの無い平坦なキックのミニマルな覚醒効果でより強調され、何時の間にか気付いたら現実世界から逃避しているトリッピーな感覚。流石Newworldaquariumと言うべき不思議な世界観を創り上げておりますね。裏面の全く詳細の出てこないJust For One Dayなるアーティストのリミックスは、今風なダブステップ…ではあるけれど様々な効果音が散りばめられていて、ある意味宇宙的と言うかコズミックなダブステップ。エッジの効いたグルーヴは肉体に直接作用し、そしてヘンテコな効果音は脳に作用する。

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| HOUSE6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
UR Presents Galaxy 2 Galaxy-A Hi Tech Jazz Compilation (Submerge Recordings:SUBJPCD-004)
UR Presents Galaxy 2 Galaxy-A Hi Tech Jazz Compilation
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Now is the Time!

かつて孤高のミニマリスト・Jeff Millsと、デトロイトの熱き男・"Mad" Mike Banksが立ち上げた伝説的なプロジェクトかつレーベル、Underground Resistance。時には怒りによって、時には理想や夢を掲げて活動の幅を広げ、数々の名曲を世に送り出し、数多くのアーティストやファンから限りない賞賛と尊敬の眼差しを受ける。彼らの徹底的なまでのアンダーグラウンドな活動は、メジャーの様にお金をばらまいた宣伝方式では無く、ファンからファンへの熱い思いによって成し遂げられた。ただそのアンダーグラウンドな活動の為に、基本的に音源はレコードのみの流通になり一般的に手を出し辛いと言う事もあったのかもしれない。

そして…もしミラクルと言う言葉を使う機会があるとしたら、正にこの今がそうなのだろう。活動を初めて早14年、遂にアルバムが発表された。アルバムとは言えコンピレーションであり、新曲2曲以外は既発の曲である。新曲以外は全て持っている僕には特に目新しさもないのだが、こうしてアルバムとして聴けるのは喜ばしい事だ。そしてこのアルバムは、何よりもレコードを買わない層への新しい攻勢を成し遂げた物であり、彼らがより世に認知される事も間違いないだろう。

さて「A Hi Tech Jazz Compilation」と言う名の通り、このコンピレーションは彼らの中でも特に、ジャズやフューチャー指向の強いロマンティックな曲揃いである。全ての曲を紹介する訳にはいかないが、「A Moment In Time」は「New Electronica」シリーズのコンピレーションに収められていた1曲。URファンでも大抵の人は持っていないと思われるかなりのレアモノで、サックスソロが美しいノンビートの曲だ。そして新曲2曲、「Moma's Basement」はURの中でも特にバンド形態を強めたジャズ、ファンク色の強い曲。「Afro's Arp's And Minimoogs」はURにしては妙に明るくハッピーソング的なフィナーレを飾るに相応しい曲。もちろん、他にもテクノやハウス、ソウル、ジャズなどを昇華したデトロイトテクノのクラシックとも言えるべき曲ばかりである。Mad Mikeの熱き理想と夢と愛が今ここに集められ、今後のデトロイトテクノの指標ともなるべき存在になった。

Nation 2 Nation 民族から民族へ
World 2 World 国から国へ
Galaxy 2 Galaxy 銀河を越えて

今まさに最後のデトロイトテクノの秘宝が、世界へ飛びだった。さあ、後はGalaxy 2 Galaxyのライブによって、伝説が現実になる瞬間を待ちわびようではないか。

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| TECHNO1 | 16:30 | comments(11) | trackbacks(7) | |