New World Science - Osmos (Movements) (Temple:TMPL005)
New World Science - Osmos (Movements)

電子音楽の界隈で見直されるニューエイジやアンビエントの世界、それらが活発化する事で現在の時代に即したモダンなそれらも生まれているが、カナダはモントリオールから初めて耳にするNew World Scienceなるユニットのアルバムは2019年度のニューエイジでも特に目を見張るものがある。ニューカマーなのかと思っていたものの調べてみるとPrioriとしても活動するFrancis Latreilleを筆頭に、TempleのレーベルオーナーでありEx-Terrestrialとして活動するAdam Feingold、サックスフォン奏者のEmあmanuel Thibau、ニューエイジやレフトフィールド路線で活躍するRamzi、そしてTempleから作品をリリースしているRichard Wengerの5人組プロジェクトである事が分かった。電子音楽やニューエイジの方面で経験を持つぞれぞれのアーティストの技術を反映させ、ヴィンテージなシンセにフルートやサックスにギター、コンガやパーカッションも用い、電子とアコースティックの調和、即興的でありながら構築的な作風によって深い瞑想世界へ誘うモダンなニューエイジを展開する。"Movement 1"は15分にも及ぶ大作でどんよりとしながらアンビエンスを発するドローンから始まり広がるシンセのリフレインに合わせ、抽象的でスピリチュアルなサックスが現実世界でなく異空間へと誘うディープ・メディテーションな一曲。ゆっくりとした速度感でドロドロと変容しながら15分にも渡って、深い精神世界の旅が始まる。"Movement 2"ではドラムマシンやギターも用いられたダンス寄りの作風だが、朗らかなシンセのメロディーに奇妙な効果音を重ねながら土着的なパーカッションや生々しいリズムが民族間溢れるニューエイジ性を発し、原始的な祭事の踊りのようだ。そしてシンセのアルペジオが牧歌的でバレアリックな雰囲気もある"Movement 3"は、複数のシンセの層が淡い絵の具の色をぼかしていくような透明感溢れる美しさがあり、その中で叙情的なサックスフォンが引っ張っていく。"Movement 4"は5人のメンバー総員で制作した曲で、コンガ等の土着的なリズムの中に生暖かいフルートやサックスフォンが混沌と溶け合いながら生命の胎動の如く自由さがあり、ジャズやアンビエントに現代音楽等の要素が融解して一つになったようなインプロビゼーション性溢れる本EP屈指のニューエイジだ。内向的/外向的、ダンス/リスニングと振れ幅を持ちながらどれにもニューエイジによく引用される辺境性とスピリチュアル性が備わっており、例えばSuso Saiz辺りの音楽性が好きな人にとってはこのNew World Scienceもピンとくるだろう。



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Powder - Powder In Space (Beats In Space Records:BIS036)
Powder - Powder In Space
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2015年にESP Instituteからデビューして以降、Born Free RecordsやCockTail d'Amore Musicと現在人気を博すダンス・ミュージックのレーベルからEPをリリースし、瞬く間に世界的に高い人気を獲得したMoko ShibataことPowder。ダンス・ミュージックである前提の向こう側にユーモアとポップと奇妙さが混じり合った不思議な要素を含むその音楽はPowderという個性として確立され、ここ日本に於いてはパーティーに出演する事も多くはないため、余計に好奇心を駆り立てる存在になってきている。そんな最中、Beats In Spaceの新シリーズのスタートにPowderが抜擢されミックスを行ったのが本作『Powder In Space』で(同時に同タイトルのEP(過去レビュー)もリリースされ、そちらにはPowderの新曲も収録)、彼女が制作する曲同様にエキセントリックなユーモアさえ感じられるダンス・ミュージックは、キック等による強いグルーヴよりもメロディーや音響によって独特の世界観を生んでいる。序盤からしてトリッキーな構成に惑わされるようで、牧歌的な雰囲気の中に厳つくも変則的なキックとパーカッションが連打される"Захват Сзади Rox"で始まり、層になったダビーなパーカッションの中から神々しいピアノが滴るバレアリックな"Open Door (Born Inna Tent mix)"、グニャグニャと万華鏡のような色彩感に包まれるニューエイジ風な"Release"と、圧のあるキックは全く現れずに朗らかなムードによって道を作っていく。"When You Love Someone (Groove Instrumental)"辺りからようやく安定したダンスのグルーヴのハウスへと転調し、安っぽいリズムマシンが辿々しいロウ・ハウス"When You Love Someone (Groove Instrumental)"やスモーキーで訝しいジャジーな"Roy Brooks"、ダーティーでドラッギーなエレクトロ・ハウス調の"Ton 10"とジャンルは様々なれど、激しいグルーヴに傾倒する事なく時にポップに時に覚醒的にと精神的な作用を働きかける選曲で引き込んでいく。Powderの新曲もぐっと盛り上がってくる瞬間に入ってくるが、泡が弾けるような可愛らしい電子音のループを用いたキュートなハウスの"Gift"、鞭に打たれるようなビートと壮大な音響により飛翔していくテクノの"New Tribe"と、どちらもこのミックスの中でも強い個性を放つ面白い曲だ。それ以降は徐々に勢いを落としながら再度エクスペリメンタルかつフォーキーな"Your Smile"等によって日常の平穏へと帰還する展開で、様々な音楽を通過していく流れはさながら旅の様でもあり、ダンスとリスニングの均衡を保ちながら和やかに聞かせてくれるミックスはひたすら心地好い。アーティスト性から感じる事が出来るユニークさはDJにも反映されており、Powderの音楽が好きならこのミックスもお気に入りの一枚となるだろう。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
S&W - A Weekend Far Out (Dub Disco:DuDi005)
S&W - A Weekend Far Out

2016年末にDub Discoからデビューを果たしたものの、その後2年間作品のリリースがなく、2019年の初頭にようやく初のアルバムを完成させたS&W。ベルリンを拠点に活動するデュオのS&Wは自らの音楽をイタロ・ディスコと述べているが、熱帯の観葉植物の先に広がる海景色を投影したジャケットから感じられるのはトロピカルやバレアリックといった言葉だ。確かにデビューEPは比較的快楽的なシンセベースのラインと豊潤なシンセの高揚感を生かして4つ打ちが快活なイタロ・ディスコだったが、それから音沙汰もなく2年も経てば多少なりとも音楽の変化があってもおかしくはないが、このアルバムではディスコの要素は残しつつも肩の力は抜けてレイドバックしたバレアリック/ダウンテンポの要素が前面に出て、部屋に清涼な空気を持ち込むBGMとして優れている。引いては寄せる波の音の中から浮かび上がる、静けさを強調する長閑なフェンダー・ローズのコードから始まる"Arrival At The Shore"で既に大らかなアンビエント性を発揮し、続く"Ocean View Drive"ではポップな光沢感のあるシンセとまったりとしたディスコなビートによる夢心地なシンセ・ポップを披露し、"Cloud Place"では軽く弾けるシンセドラムのリズムに柔らかいヴィブラフォンや薄っすら情緒的なパッドを被せて実に清々しくも甘いドリーミー加減だ。"New Age Fantasy"はそのタイトルが示す通り序盤はビートレスでスラップベースとぼんやりとしたシンセが有機的で微睡んだニュー・エイジ風だが、途中からさらっとリズムも加わり捻られたようなシンセの響きが奇妙ながらもポップさに包んで、短いながらも牧歌的な癒やしとなる。比較的前作の路線に近い"Monte Pellegrino Part Part I & II"は9分にも及ぶニュー・ディスコ調だが、切れのあるファンキーなベースに乾いて爽快なパーカッション、そして透明感と伸びのあるパッドと丸みのある柔らかいマリンバらしきが生み出すトロピカルなリゾート感は、清涼な空気が溢れ出しつつドラマティックでアルバムの中で最も陶酔させられる曲だ。そして"After The Tempest"、正に嵐が過ぎ去った後の青空が何処までも広がり静けさが続くドリーミーなダウンテンポと、アルバム全体を通して曲名からもバレアリックな雰囲気が実直に伝わってくる。2年間という沈黙の間に熟成したかの如く清涼なバレアリック性を獲得し、真夜中のクラブとは対照的に日中の屋外は太陽の光の下で聞きたくなる開放感のあるアルバムを完成させたS&W、これは注目すべき存在が現れたものだ。



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Chmmr - Try New Things (Full Pupp:FPLP014)
Chmmr - Try New Things
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ニュー・ディスコ大使のPrins Thomas主宰によるFull Pupp、ノルウェーを中心としたアーティストの作品を大量に送り出してきた正にノルウェーを代表するニュー・ディスコなレーベルだが、この新作はそんな中でやや異色にも思われる音楽性を展開している。手掛けているのはノルウェーのEven BrendenことChmmrで、2010年頃からリリースを開始し途中からはFull Puppへと移籍し、2017年には初のアルバムとなる『Auto』において陽気なニュー・ディスコを軸にしながらも熱帯の豊かな色彩溢れるバレアリックやイタロのムードを持ち込んで、ダンスとリスニングを自然と横断する心地好いアルバムを完成させていた。それから2年を経たこの2ndアルバムはより空気は緩み最早ダンスフロアを全く意識させる事なく、アンビエントやフュージョンへと足を踏み入れて至上の楽園のような長閑な風景を見せる。アルバムの始まりは可愛らしいエレピと優美なシンセのコードだけによる子守唄のような"Ultrafine"、ビートは無くアンビエントな雰囲気もあり微睡みに誘う。続く崩れたダウンテンポがゆったりとリズムを刻む"1 More Day 2 Play"は、光沢感あるシンセが躍動し耽美なピアノが夜の帳を下ろしてダンスなパーティーの雰囲気も無いわけではないが、真夜中というよりは夕方の早いまだ和んだ時間帯。コンガや他のパーカッションも用いた"Adult Land #6"は微かにジャズやファンクの影響も滲ませて、情緒的なパッドやきらびやかなシンセに彩られる白昼夢状態のダウンテンポを展開し、"NFO Love Song"ではカチッとしたマシンファンクなリズムを刻む中で艷やかなシンセと朧気なエレピが意識も溶けてしまう程の甘い夢に誘う。トーク・ボックスを用いてロボット・ファンクな感も出しつつしかしぼんやりと緩んだシンセが持続する"We Live In Melas Chasma, Baby"は昨今のニュー・エイジにも共鳴し、シンプルなピアノと電子音の繊細なコードだけで簡素な響きながらもしんみりと心に染みるコンテンポラリー・ジャズな"1 4 cc"はChick Coreaへと捧げたと本人は述べている。耽美な鍵盤使いやフュージョン風な優美な響き、アンビエントの瞑想的な平穏にはダンスフロアの狂騒や興奮は一切無く、長閑な昼下がりの3時にうたた寝をするように甘美な時間帯を演出する。もはやニュー・ディスコの影さえも残さない意外や意外なアルバムだが、近年のバレアリックやニュー・エイジにアンビエントの再興が続く中で、このアルバムは見事に時代に適合した傑作だ。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Bonobo - Fabric Presents Bonobo (Fabric:fabric201)
Bonobo - Fabric Presents Bonobo
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ロンドンの名門クラブ・Fabricがパーティーの雰囲気を再現すべく17年間に渡りリリースし続けてきた4つ打ちを軸とした『Fabric』とブレイク・ビーツを打ち出した『Fabric Live』のミックスシリーズは、しかしネット上に溢れるストリーミングの無料ミックスの台頭を前に、遂にそのリリースは終焉を迎えた。最早販売されるミックスに未来は無いのか…否、確固たるコンセプトやマネージメント力のあるレーベルをバックに制作されたミックスだからこそ、ある一定の品質が保たれ信頼を寄せる事が可能となる事だってある筈だ。一度はミックスのリリースを止めたFabricもクラブ/パーティーの現在形を表現するべく、再度その歩みを始動させて手掛けるのが『Fabric Presents』シリーズで、タイトルからして殆ど変わってないのはご愛嬌か。第一弾に抜擢されたのはトリップ・ホップやジャズにアンビエントやエレクトロニカと様々に音楽を横断するNinja Tuneの人気アーティストであるSimon GreenことBonoboで、その知名度や実力からしてシリーズ立ち上げに迎えられたのも納得だろう。さて、当方はBonoboのDJプレイを体験した事はないが、ここでのプレイは4つ打ちのテクノ/ハウスを主軸に用いて高揚感のあるパーティーの雰囲気で、そこにスパイスとしてジャズやアンビエントも盛り込むなど、思っていたよりもダンス性の強い内容ながらもBonoboの音楽性も表現されている。初っ端自身の未発表曲である"Flicker"はセンチメンタルモードなエレクトロニカ風で、そこからまたも自身のどっしり4つ打ちながらもエキゾチックな"Boston Common"、そしてブラジリアンなサンバのりながらも優雅な"Jacquot (Waters Of Praslin)"、森林の訝しいエキゾチック感溢れるハウスの"Hidden Tropics"と、音楽性は様々ながらも確実に序盤から踊らせにくる選曲だ。また"Nia"や"Maia"などヒプノティックなシンセを前面に出した覚醒的でメランコリックなディープ・ハウスで盛り上がりつつ、中盤は"TKOTN"や"By Your Side"など変化球的に崩した情緒的な雰囲気に包まれるブロークン・ビーツのリズムで揺らしつつ、同じブロークン・ビーツでも何処か刺々しく不穏でもある"Roach"や"Perpetrator"で攻撃的に攻める瞬間もあり山あり谷ありで大きく揺さぶる。そこからドラマティックにじわじわと盛り上がるテクノの"Mirapolis (Laurent Garnier Remix)"を通過し、終盤はフューチャー・ジャズやブロークン・ビーツのしなやかなリズムとメランコリーで空気で落ち着きを取り戻し、最後は微睡みに落ちていく有機的なアンビエントの"Collage Of Dreams"によって平穏を取り戻す。色々なリズムと温かく豊かな感情性でBonoboらしい幅広いクロスオーヴァーな音楽性ではあるが、しかし滑らかなグルーヴ感によって持続的なダンスな感覚に纏められており、これがDJミックスではあるがおおよそBonoboらしい音楽性が表現されている。この新シリーズにどういった意味が込められているのかまだ分からないものの、幸先が良いスタートを切っている。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Dimitri From Paris & DJ Rocca - Works (Toy Tonics:TOYT 094)
Dimitri From Paris & DJ Rocca - Works
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2012年始動とまだそれ程歴史が長いわけではないが、既にカタログナンバー100に迫ろうとする程の勢いで量産体制を続けるドイツのToy Tonics。ディスコやイタロ、ファンクやバレアリックといった音楽性を包括し多くの次世代タレントによるフロア即戦力なダンス・ミュージックを送り出す人気レーベルの一つだが、こちらはその親レーベルであるGommaなどから素晴らしい相性を披露するパリジャン屈指のディスコDJなDimitri From ParisとイタリアのDJ Roccaのコンピが、過去にリリースした名作群を纏めたその名も正に『Works』。Gomma自体は既に活動を停止してしまったようだが、そこからリリースされていた古い作品は今になって新鮮に聞こえるからと敢えてサブレーベルであるToy Tonicsからそんな名作を纏めてリリースする事にしたそうで、事実ここに収録された曲はどれもキラートラックである事に異論はない。何と言っても目玉は2012年作の"Glad To Know You (Ray Mang's Flying Dub)"で、Chaz Jankelによる80年代ディスコ・クラシックをDimitri From Parisらがカバーした曲を更にRay Mangがリミックスしたものだが、どたどたしたドラムのリズムにゴージャスな響きのシンセコードやオルガン、ファンキーなギターカッティングや綺羅びやかなコーラスワーク、そしてブレイクでの懐かしさ溢れるピアノの展開など何処を切り取っても完全なディスコ・スタイル。一発で耳を魅了するキャッチーさは言うまでもないが、Ray Mangによるダビーな音響処理によってスケール感を増して気持ち良くノックアウトしてくれる。"Ero Disco Theme"は2011年作、こちらはよりアッパーでノリノリなグルーヴ感にスペーシーなシンセで爽快感を出しつつも、安定感のあるベースラインが底辺で主張し、ぐいぐいと力強く押し迫る骨太ブギー・ディスコだ。2012年のHard Tonの曲をリミックスした"In This Moment (Dimitri From Paris & DJ Rocca Erodiscomix)"は原曲はアシッドやシカゴを匂わせる曲調だったものの、リミックスではそんな雰囲気は一掃されディスコな煌めくピアノやシンセを前面に打ち出し、色っぽいファルセットボイスも合わせて随分と甘めのポップなディスコに様変わり。途中から入ってくる朗らかなフルートの旋律なんかも、古き良き時代のディスコを思い起こさせる。また配信のみ2011年作の"I Love New York"を収録しているが、こちらは90年代前後のニューヨーク系のヒップ・ハウスといった印象で、ずんずんと重心の低いグルーヴが揺れつつファンキーなボーカル・サンプルや熱くも妖艶なサックスが彩り、オールド・スクール感が爆発している。流石に名作を纏めただけに全曲素晴らしいディスコ〜ハウスばかりで、何ともお買い得な一枚だ。



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| HOUSE14 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Specter - Built To Last (Sound Signature:SSCD13)
Specter - Built To Last
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近年は主宰のTheo Parrish以外のアーティストによる作品を積極的にリリースし、それによって音楽性の拡大を成し遂げているデトロイトの重要レーベルであるSound Signature。本作はそのレーベルから2018年8月にリリースされたアルバムで、手掛けているのはシカゴ出身のAndres OrdonezことSpecterだ。過去には同レーベルより2010年に『Pipe Bomb』や2012年作の『The Gooch EP』がリリースされており、Parrishの御眼鏡に適った人材である事は明白だ。2000年の初頭からリリースを開始しているもののそれは散発的であり、デトロイトという才能が集まる場所に於いてもその知名度は大きいものではなかったが、このキャリア20年にして初となるアルバムで(レーベルの後押しもあって)その存在感ははっきりとしたものになるに違いない。過去のEPは色味が無く錆び付いた音響のロウ・ハウスであったが、その流れは基本的に変わらずにシカゴ・ハウスの簡素なマシン・グルーヴに仄かに燻るようなデトロイトの叙情性が一つとなったダウンビートなハウスが中心で、レーベル性でもあるブラック・サイケデリアにも沿っている。アルバムは安っぽい音響の簡素なリズムマシンのロウなビート感に不気味なボーカル・サンプリングをループさせ、闇の中にくすんだような上モノが微かに持続する"What Else You Do"で始まる。続く"Under The Viaduct"ではチキチキとしたハイハットと金属的なパーカッションに鈍いベース音が目立つしっとり目のディープ・ハウスで、薄っすらと浮かび上がる幽玄なシンセには燻るように燃えるエモーショナル性が感じられ、剥き出し感あるシカゴのローファイな音響ながらもじんわりと肌に染み込む感情性がある。奇妙な電子音響とカチカチとしたシンプルなリズムの"0829 Fifty Fifty"は鈍くずぶずぶとしたアシッディーなベースも相まって、混沌からトリッピーかつサイケデリックな雰囲気が生まれているが、ピアノの和やかなコードによってディスコな感覚も伴っている。一方で"Not New To This"は彼の初期の作風を踏襲したクラシカルかつメロウなディープ・ハウス性が強く、コンガのからっと爽快な響きや滑らかなビート感に情緒的なシンセや闇夜に映えるピアノを被せて、エモーショナルな漆黒のデトロイト・ハウスそのものだ。しかしやはり近年のSpecterの音楽性を表すのは、例えば"Tamarindo"のようにドタドタとした辿々しいリズムマシンのビートと鋭利なハイハットが激しく刻まれ、オルガンのミニマルなフレーズを用いて混迷とした雰囲気の中を突き進む衝動剥き出しのロウ・ハウスのような曲ではないだろうか。シカゴ・ハウスの荒くもタフな音響を受け継ぎビートダウン・ハウスによって混沌としたサイケデリック性を見せるSpecterは、Parrishが確立させた音楽の継承者と呼んでも差し支えないだろう。



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| HOUSE14 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Powder - Powder In Space (Beats In Space Records:BIS036)
Powder - Powder In Space
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2015年のESP Instituteからのデビューに始まりBorn Free RecordsやCockTail d'Amore Musicからの作品もヒットかつ高い評価を獲得しているPowder。今では世界各地のパーティー/フェスにも出演するなど、今日本の若手アーティストの中では最も勢いがあり期待が注がれているアーティスト、それがPowderだ。久しぶりとなる新作は人気レーベルのBeats In Spaceからで、何でも新ミックスシリーズ立ち上げとなる初作からのシングルカット的なEPだそうだ。勿論このレーベルからでもPowderらしい個性的で踊れる電子音楽は変わらず、より一層Powderの特異性を強めてその評価を着実なものにする事は間違いないだろう。新曲は2曲のみだが、どちらもユニークかつ間違いなくフロアで戦力となる性能を秘めている。"New Tribe"は既に先日パーティーでプレイされているのも体験したエグい曲で、鞭打つ痺れるリズムに鈍くうねる電子音のループがビートを叩き出すダークで緊張感が張り詰める雰囲気があるが、薄っすらと女性のウイスパーボイスも聞こえたり爽快な電子音の上モノが壮大に覆っていきながら、徐々に宇宙へと飛び立っていくようなスケール感の大きさによって間違いなくフロアを沸かすキラートラックに成り得る。対照的に"Gift"は序盤から泡が弾けるような可愛らしい電子音のループに合わせずっしりしたキックの4つ打ちが安定感を生み出しており、そこに入ってくる透明感のある水彩画風なシンセの旋律が和んだ牧歌的ムードに染めて、軽やかなダンスのグルーヴに大らかさを感じて天真爛漫な無邪気さが感じられる。裏面には前述のMIXCDに収録されている曲から2曲が収録されており、その内のDaphneによる"When You Love Someone (Groove Instrumental)"は1993年作の古典ディープ・ハウスで、弾性のあるビート感が走りつつヴィブラフォンや鍵盤を用いたムーディーな上モノによっていかにもな時代感を閉じ込めた名曲。そしてもう1曲はSamo & Hidden Operatorによる新録となる"Capture Behind Rox"、低音が効きロウな質感による溜めのあるリズムが変則的ながらも、素朴な響きによるエモーショナルなシンセも相まってじわじわと引っ張られ、ダビーなボイスサンプリングなども効果的に用いて惑わすようなトリッキーさが面白い。Powderの素晴らしい新曲と他の2曲も合わせてどれもDJMIX仕様は前提として個性やクラシカル性があったりと、文句無しの出来栄えでテクノ/ハウスの両面から推したい一枚だ。



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| TECHNO14 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Chris Coco - Indigo (Music Conception:MUCOCD031)
Chris Coco - Indigo
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バレアリック・ミュージックが世界的に盛り上がる現在のシーン、日本においてはその道を求道的に歩み続けるCalmがその先駆者である事は間違いないが、そのCalmが自信を持って彼が主宰するMusic Conceptionから送り出したのがChris Cocoによるニューアルバムだ。Cocoは80年代後半から活動を開始し、90年代初期に訪れたイビザのバレアリック・ミュージックに強い影響を受け開眼し、その中心的存在であるイビザのCafe Del MarやCafe MamboのレジデントDJを務めるなどこのシーンの重鎮の一人。そんなアーティストが最新作に名付けたタイトルは『Indigo』で、日本に何度か訪れる度に日本の藍色に魅了されたそうで、この色に対するイメージや意味を音楽へと転換させたと本人は述べている(参照)。そんなコンセプトから生まれた音楽は全編淀みの無いクリアな多幸感に満たされたチルアウト/バレアリックな響きで、開始となる"Event Horizon (In)"からしてビートレスな空間にほのぼのとした電子音のメロディーが静かに浮遊しながら淡いシンセのディレイが広がるこの曲は、Meditation Y.S.(Yoshihiro Sawasaki)の音に意味を込めずに底抜けにオプティミスティックなアンビエントを思い起こさせる。続く"Pou Des Lleo"もビートの無いぼんやりとしたアンビエントだが、ピアノやギターにベース等の有機的な音色を前面に打ち出しながら透明感あるエレクトロニクスも自然に溶け込んで、喧騒から離れた何処か落ち着いた時間が過ぎる田園地帯の牧歌的な雰囲気に心が安らぐ。そしてCalmと一緒に制作した"Indigo"は胸を締め付けるトランペットやピアノも用いられて確かにCalmらしいセンチメンタルな雰囲気が強く出ており、ざっくり生っぽいリズムも合わせてしみじみとした郷愁が溢れ出る音楽は、静寂の中に凛とした気品が感じられる。"You Are Exactly Where You Need To Be"も繊細で美しいピアノが静けさの中に点々と描かれ、抽象的でぼやけたシンセがキャンパスに滲みながら広がっていくようで、淡くも美しい色彩感覚がドリーミーな風景を喚起させる。"Onda"はまたしてもMeditation Y.S.路線のオプティミスティックな響きを活かしたダウンテンポ・アンビエント、天上へと誘われる夢心地な時間。最後は"Event Horizon (In)"と遂になった"Event Horizon (Out)"、豊かな色彩とクリアの響きの電子音と壮大なオーケストラの音が一つとなり豪華絢爛でありながら、音の隙間を活かす事で気品良さも残した壮大なバレアリック・サウンドは、またここからアルバムの開始へと繋がる事でアルバムの世界は何度でもループする。イビザと言うとどうしても夏の商業的で享楽的なパーティー・シーズンが有名なものの、其の地には豊かな自然が自由奔放に広がる場所もあるようで、このアルバムからはやはり後者のイメージが適しているだろうし、それは日本の藍色の深い感情や穏やかな安堵のイメージと被さる点もあったのだろう。ただひたすら心の安静を取り戻す清々しくもドリーミーなこのバレアリック・ミュージックは、流石イビザでの長い音楽経験に裏打ちされた真髄がある。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
山口美央子 - 月姫 (pinewaves:PW-04)
山口美央子 - 月姫
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ダンス・ミュージックの界隈で発生している和モノ・ブームだが、例えばニューエイジやアンビエント方面で前衛的な活動を行うMusic From Memoryからもニューウェーブ・ポップのdip in the poolがリイシューされるなどの流れを見ると、それを単なるブームとして冷ややかな視点で見逃してしまうのはもったいない。時代に埋もれながらも魅力ある作品だからこそリイシューに至っている事も事実であり、例えば2017年に纏めて3枚リイシューとなった山口美央子のアルバムも、当時は売れなかったものの同様に魅力的だ。1980年に「シンセポップの歌姫」というキャッチコピーでデビューしたそうだが、売上的には芳しくなくその当時の最終作品である本作で自身の作品を制作する事は止めてしまう。その代わりに作曲家として様々なアーティストに楽曲を提供し、表舞台には立たずとも音楽的才能を発揮していたようだ。

さて、1983年にリリースされた本作は、それまでのオリエンタルなシンセ・ポップ/テクノ・ポップな作風ががらっと変わったわけではないが、しかしジャンルとしてのアンビエントではなくアンビエントなムードが全体に立ち込めており、その意味では昨今のアンビエントやニューエイジの再評価の中に含められてもおかしくはないだろう。プロデューサーに立川直樹、アレンジャーに土屋昌巳、シンセサイザープログラマーに松武秀樹など一流のサポーターが揃っている事も影響は大きいだろうが、何処か懐かしいレトロなシンセのサウンドの響きと共に哀愁が溢れ出す山口のメロディーの素晴らしさは、非常に耳馴染みが良いという意味でポップだ。風鈴のサンプリングから始まるアンビエント調の"夕顔 ―あはれ―"はしかし繊細で美しいピアノのコードへと展開し、シンセの効果音も色々と鳴る中に切なく悲哀の歌が続く。続く"夏"は流麗なシンセストリングスやアナログのキックが印象的で、演歌にも似たようなゴージャスな感もありつつ、物悲しい歌によってしんみりと纏められている。そして"沈みゆく"では何とTR-808のリズムマシンによる素朴で簡素なリズムが鳴っており、そこにシンプルながらも繊細な美しさが際立つピアノが淡い叙情を付け加え、シンプルな構成だからこそ音の響きや心に染みる旋律の良さが際立っている。本作を最も特徴付けているのは"白昼夢"で間違いなく、浮遊するようなアブストラクトなシンセから始まり、そこからほんのりとメランコリーなピアノの旋律が現れ霧がかったようなシンセが全体を覆うこの曲は、正に白昼夢に溺れている状態のポップ・アンビエントだ。中には"月姫 - Moon Light Princess -"のようにアニメソングにも似たような弾けるシンセ・ポップな曲もあるが、変わったシンセの使い方の響きやアタック感の強いキックなど、ここら辺はYMO辺りのファンにも訴求出来るだろう。アンニュイだったりメランコリーだったりという要素が曲によって現れながらも 全体としてはポップでアンビエントな響きで山口の書く旋律が非常に心打つもので、時が経とうとも全く風化しない普遍性がある。何故当時これが売れなかったのか、それは時代が早過ぎたのかもしれないが、こうやって和モノ・ブームの中で再発掘されたのは当方にとっても山口というアーティストに出会うきっかけとなり非常にありがたいものだ。





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Rolf Trostel - Edward Versions (Die Orakel:ORKL-11)
Rolf Trostel - Edward Versions
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かつてはWhite、そして現在はGieglingと職人芸のように繊細で美しい音響を聞かせる電子音楽を得意とするレーベルの主軸アーティストであるEdwardが、2018年にDie OrakelからリリースしたEPが興味深い。2013年にはクラウト・ロック方面で多大なる功績を残したConny Plank、そして2015年にはアンビエント重鎮のHarmonia & Enoのリミックスを行ったEdwardが次に挑戦をしたのは、Rolf Trostelの1982年作のリミックスだ。Trostelは1980年代初頭に活動していたシンセサイザー奏者で、特にTangerine Dreamなどのような奇妙な電子音が特徴的なジャーマン・プログレに影響を受けて音楽制作を行っていたようだ。本作は彼がリリースしたアルバム『Der Prophet』からの曲がリミックスされているが、原曲はTB-303のベースシンセやTR-808のリズムマシンも取り入れながらもそれよりもPPG Waveの毒々しいデジタルシンセ音が印象的なイマジネーションを刺激するエレクトロ・ポップ調な曲でもあり、その当時からの遠い未来を想像するようなレトロ・フューチャーな雰囲気もある。そんな曲を現代的なダンス・ミュージックとして解釈すると、"New Age Of Intelligence (Edward Version)"では原曲のシンセの雰囲気は残しながらも壮大なサウンド・トラック的な雰囲気は削ぎ落とされ、逆に軽く歯切れの良い4つ打ちのリズムを終始保ちながら細かい電子音響も散りばめて、如何にもEdwardらしい繊細な音響の美しさが際立つテクノへと生まれ変わっている。12分にも渡る長尺にて大きな展開をする事はなくミニマルとしての機能性を強調して持続感を引き出し、その長い時間ながらも微細な変化によって飽きさせずに酩酊感を作っていくモダンなミニマル・テクノは、Edwardの新作と呼んでも差し支えはない。そしてよりフロアでの機能性を高めたのが"Der Prophet (Edward Version)"で、ザクザクとしながらうねるリズムによってグルーヴ感が持続するトラックはミニマル・ハウスそのもので、そこに快楽的なミニマルなシンセの反復の中を奇妙に変化する電子音が掻い潜り、そして中盤からはオーケストラ風の豊かなシンセメロディーが感情性豊かに展開する事でドラマティックな盛り上がりも演出する。揺さぶりを生む激しさではなくグルーヴの持続性とメロディーの快楽性によって、フロアの雰囲気をコントロールしながらもじわじわと高揚を誘う曲で、Edwardのミニマルな美学が感じられるだろう。



Check Edward
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Jun Fukamachi - Nicole (86 Spring And Summer Collection - Instrumental Images) (We Release Whatever The Fuck We Want Records:WRWTFWW022CD)
 Jun Fukamachi - Nicole (86 Spring And Summer Collection - Instrumental Images)
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近年著しく注目を集める過去の日本の音源、それはダンス・ミュージックに限らずサウンド・トラックやジャズにアンビエント等多岐に渡り、それらの再発によって若いリスナーに対しても新鮮さと魅力を提供している事と間違いない。本作もそれらと同様に1986年に深町純によって制作されたアルバムで、タイトルの通りファッション・ブランド「ニコル」の86年春夏コレクション時に流すための作品集だ。深町は作曲家でありピアノ/シンセサイザー奏者でもあり特にフュージョンを制作する音楽家として知られているようだが、決してそれだけではなくフォークにソフト・ロックにジャズやファンク、そしてディスコやニューエイジまで幅広い音楽性にまで手を広げていたようで、実際に本作もただフュージョンと一括りに出来る内容ではなくジャンルをクロスオーヴァーするシンセサイザー音楽と呼んだ方が適切だろう。始まりの"Morning Glow"では透明感あるフローティングなシンセに華麗なピアノソロを被せて美しい桃源郷のような世界観を展開する音楽はアンビエント的でもあるが、実に品の良いモダンな感覚は今も尚古臭さを感じさせない。続く"Breathing New Life"は様々な電子音楽によって装飾されたヨーロピアンを思わせる美しい室内楽で、イメージを含ませるような性質はサウンド・トラック的でもある。そして一転してピアノのみで演奏された"Garden"では柔らかく繊細なタッチで心を落ち着かせるクラシックな作風を披露する等、電子音楽に依らず元々の曲自体の素晴らしさは作曲家としての才能にも秀でている。他にも"Nile Blue"のマリンバの朗らかなシーケンスにフローティングなシンセや弦楽器が伸びていくアンビエントの夢心地、"At The Cutting Edge"で聞ける金属的でアタックの強いリズムマシンと共に郷愁たっぷりなシンセやファンキーなベースから成るシンセ・ポップな懐かしさ、どれもこれも人間的な感情の動きが誘発される電子音楽ならも有機的な音楽性で豊潤な芳香さえ漂ってくるようだ。最近のMusic From Memory等のオブスキュアな音楽を求めている人にはばっちりな内容で、ホームリスニングとして部屋を豊かに彩ってくれるに違いない。



Check Jun Fukamachi
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 15:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Damon Wild - Cosmic Path (Infrastructure New York:INFCD 003)
Damon Wild - Cosmic Path
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実に13年ぶりとなるアルバムを出したニューヨークを拠点に活動するDamon Wildは、自身で運営するSynewave等から良質なミニマル・テクノを90年代から送り出しているベテランの一人。初期活動に於いてはTim Taylorとのアシッド・ユニットであるThe Rising SonsやThe Pump Panelで暴力的なアシッド・テクノを送り出し、90年代中盤以降は時代に沿いながらクールな機能性に特化したミニマル・テクノで才能を開花させ、ニューヨークのテクノシーンを代表してもおかしくはない位までの存在感を放っていた。2010年以降になると作品のリリースペースはがたっと落ちその名前を聞く事も滅多になくなってはいたものの、突如として2017年の暮れに届けられたニューアルバムは以前にも増して無駄の無いミニマル性に特化しつつ、その上Jeff Millsばりのスペーシーな感覚も伴うひんやりとした機械的テクノへと傾倒している。特に勢いで押し通すのではなくしっかりとムードも重視されており、オープニングの"1242"ではビートレスの中に無機質な鳴りのSF的な電子音を用いてイントロとしての意味合いを持たせており、サウンド・トラック的な始まり方だ。続く"Aquarius"では淡々としたキックを刻むテクノでスピード感を得るが、ソナー音のような反復音やミステリアスなシンセの響きなどによる宇宙空間らしい世界観は、Millsが歩む道を辿っている。空間の広がりを得るシーケンスが浮遊感を生むスペーシーなミニマル・テクノの"Red"、ゴリゴリと岩石が砕けるような荒いビート感に奇妙なシーケンスに惑わされる"Mars Lander"、分厚い重低音が連続しながらも微弱な発信音が飛び交う骨太なテクノの"Amber"など、どの曲も厳つく芯の強さはあるが激しいグルーヴで押し通すのではなく、効果的な音の相互作用によってスペーシーな響きを生む作風で確かに今の時代のテクノらしいと言うか。『Cosmic Path』、つまり宇宙の道というタイトルが示す通りに宇宙をコンセプトにしたアルバムはその世界観は正しく確立されており、果てのない宇宙旅行へと誘う。無駄な装飾は削ぎ落とされ多層的な電子音のシーケンスと秩序のとれたビート感によるテクノは、勿論爆音で響くフロアではミックスされる事で効果的な流れを作り出すだろうし、この冷たい温度感の音はやはりフロアで聞いてみたいものだ。



Check Damon Wild
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ross 154 - Fragments (Applied Rhythmic Technology:ART-EL1)
Ross 154 - Fragments
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Kirk Degiorgio主宰のApplied Rhythmic Technologyから再発されたのは、オランダのビートダウン・ハウサーのJochem PeteriことNewworldaquariumことRoss 154による一番最初の作品だ。元々は1993年にStefan Robbersによるポスト・デトロイト的なEevo Lute Muziqueからリリースされていた作品で、そのレーベルは本家デトロイトを意識したようにその当時一斉を風靡したインテリジェンス・テクノな作風もあったのだが、それを思い出せば同年代から続く正にインテリジェンス・テクノを代表するARTから再発されるのも全くおかしくはない。勿論Ross 154と言えば迷宮に迷い込んだアブストラクトなビートダウン・ハウスに象徴される煙たい音像が特徴ではあるが、この作品は最初期の作品と言う事もあってまだまだ荒削りなテクノな要素が打ち勝っている。それでも尚その後の片鱗も覗かせる"Hybrids I"はうっすら情緒も漂うアンビエントではあるが、続く"Fragments"では膨らむ重低音のベースとかっちりとした硬い明瞭なリズムのビートに攻められながらも、ミステリアスな上モノによって覚醒感を煽るようにドープに嵌めていく構成は何処かCarl Craigの作風を思わせる点もある。再度インタールードとして挿入された"Hybrids III"は、朗らかな雰囲気のあるアンビエントで先程の喧騒が嘘のようだ。"Remembrance"は当時の時代性が反映された荒々しいブレイク・ビーツが耳に付くが、朧気で抽象的な上モノが浮遊しておりその後のNewworldaquariumの音楽性が萌芽している。裏面に続いてもインタールードが挿入され星の煌きの如く美しい音響を奏でる"Hybrids II"から、これぞインテリジェンス・テクノと言わんばかりの複雑なリズムとSFの世界観が浮かぶパッドを用いて近未来を投影した"Mayflower"へと繋がれ、ラストは歪んだドラム・マシーンによるねっとりしたダウンテンポにトリッピーな電子音を被せていく"Within You"はThe Black Dogの作風にも近い。1993年作だから時代の空気を含んでいるのは当然であり、音自体は古臭くもありつつもこの原始の胎動があるテクノは、UKからデトロイトに対する回答として捉える事が出来る点で評価すべきだろう。この後のPeteriは更にディープな方向へと深化していったわけだが、その原点としてこんなテクノもあったのかと感慨深い。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2017
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。近年の日本における音楽業界の厳しさは今年も変わらずクラブ/パーティーも以前に比べるとパワーが低下しているのは否めないですが、それでもその逆境の中から特に日本人アーティストによる素晴らしい作品も生まれたりと、希望が見えたりする事も感じる一年でした。当方が以前程には新譜発掘やレビューに時間を割く事が難しく、またパーティーへ行ける機会も減る中でなかなか流行なり時代なりの音を追いかける事も手に付かない状況ですが、その代わりに時代に左右されないタイムレスな音楽にも向き合う事が出来たとも感じております。以下に選んだ作品は正にそんなタイムレスと呼んでも差し支えない物ばかりで、当ブログ開設時からかなり方向性は変わって決してダンス・ミュージックだけではないですが、音楽としての素晴らしさにジャンルは関係ないですよね。これが何か少しでも皆様の音楽ライフの充足の為の手助けになれば幸いです。それでは、来年も良いお年を!
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| BEST | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kerri Chandler - DJ-Kicks (Studio !K7:K7358CD)
Kerri Chandler - DJ-Kicks
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一般的なDJMIXシリーズとは一線を画し、敢えて真夜中の熱狂的なパーティーのフロアではなくDJ/アーティストの個人的な楽しみにも近いミックスを聞かせるような内容の「DJ-Kicks」は、それぞれのDJのルーツや自然な好みを体験出来る楽しみとまたホームリスニング性を意識したプレイの楽しみがあり、WEB上でミックスが無料で聞けてしまう今という時代においてもMIXCDとしての存在意義を十分に示している。そしてここにシリーズ中でも特にそんなコンセプトを強く意識して実現させたのがUSハウスの大御所、Kerri Chandlerだ。Kerriと言えばズンドコ太い4つ打ちのビートに流麗なコーボード使いにシンセやテッキーな電子音を用いて、クラシカルでソウルフルなハウスからモダンなテック系まで手掛ける稀代のDJ/トラック・メーカーだが、ここではそういったパワフルなダンスビートは一切含まれていない。本作について彼は「皆をニューヨークの街歩きに連れて行くようなイメージ」と述べており、彼のブラック・ミュージックとしてのルーツを掘り起こしながらダンス・ミュージックと言う定義に拘らずに、音楽そのものを楽しんで貰うような雰囲気を感じ取れる。ジャンルで言えばハウスは無く、ジャズやR&Bにヒップ・ホップやディスコにソウルと、そして収録された曲の殆どは7〜80年代の楽曲と新鮮味は無い筈なのに、しかしKerriの優れた審美眼によって選ばれた楽曲が目も覚めるような素晴らしい展開を見せる。雑踏の環境音を用いた"Intro"から始まりLeroy Hutsonによる優美なピアノと感情的なホーンによる静かに燻るソウルの"Cool Out"、Rasaによる夕暮れ時の切なさにも似た感傷的なAORの"When Will The Day Come"、The Foreign Exchangeによる光沢感のあるシンセ使いが麗しいネオ・ソウルの"Body"と、序盤から緊張が解けたようにレイドバックしつつ身も心も穏やかに温まるソウルフルな選曲にこれは確かにKerriの音楽性だと納得させられる。中盤にはまさかのT La Rockによるスクラッチもばりばり入ったエッジの効いたヒップ・ホップの"It's Yours"を通過し、Andre Ceccarelliの土着的なのに優美なジャズ・グルーヴの"Stock No. 1"へと繋ぐ驚きを感じさせつつ違和感を感じさせないはまった展開を披露し、流石DJとしての選曲や流れにも全く隙きが無い。中盤のハイライトであるBeckie Bellによるフレンチ・ディスコの"Music Madness (Extended Charles Maurice Version)"は、誰しもそのキャッチーな構成と可愛らしいボーカルに耳を奪われるに違いなく、当方のように古い音楽に造詣がない人にとってはブラック・ミュージックの歴史を教示されるような思いも受ける。そしてJames Masonによるブギーで麗しいフュージョンの歴史的名曲"Sweet Power Of Your Embrace"も通過し、Kerriによるエクスクルーシブな粘性の高いレゲエ/ダブ調の"Stop Wasting My Time"でぐっとテンポを落としつつ、Innerzone Orchestraカバーによる名曲"People Make The World Go Round"で燻り続ける炎のようなソウルでじわじわと感情を熱くし、最後はヴィブラフォンの響きが甘美で黒くアダルティーに湿る"Liquid Love"でしっとりとしたラストを迎える。ハウス・ミュージックのDJによるバック・トゥ・ザ・ルーツ的な音楽観は、音楽の掘り起こしや再認識の意味を持ちつつそれ以上に選曲自体が素晴らしくどれもメロウでソウルフルな性質があり、クラシカルな作風は時代に左右されずに楽しむ事が出来るだろう。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Newworldaquarium - Chubby Knuckles EP (NWAQ:ape 05)
Newworldaquarium - Chubby Knuckles EP

コンピレーション等への提供を除けば自身の新作としては実に8年ぶりとなるEPをリリースしたのはオランダのNewworldaquarium。Ross 154としても活動するJochem Peteriによるこのプロジェクトは、大胆にビートを落としてアンビエント性もあるスモーキーな音像で包み込む迷宮的ディープ・ハウスが特徴で、ヨーロッパからデトロイトのビートダウン・ハウスに対する回答の一つとも思っている。実際にPlanet-Eに作品がライセンスされリリースされそうになったり(結果的にはプロモのみ出回った)もするなど、鈍く黒光りするようなデトロイトらしさもあり、最近は活動していなかったせいで忘れ去られていた感もあるが実力に関しては嘘偽り無しの存在だ。本作は新作とは言いながらもどうやら過去に制作された未発表曲のお蔵出しのようだが、そのせいもあってか00年代のNewworldaquariumらしさが発揮されている。"Chubby Knuckles"は彼にしては比較的アッパーなハウスではあるが、湿り気を帯びたキックによるタイトな4つ打ちビートの上にお得意のサンプリング・ループを執拗に用い、軽やかなパーカッションやトリッキーな効果音を織り交ぜながら、土着的かつダーティーでファンキーな黒さのあるディープ・ハウスを展開している。がしかし、やはりNewworldaquariumらしい作品と断言出来るのは"42"の方で、感情が失われた如く機械的に錆び付いたキックを延々と刻、むスローなビート、そこに微妙に揺らめきながら幻惑させるアブストラクトなシンセが浮遊し続けるサイケデリックで抽象的なディープ・ハウスは、10分以上に渡って出口の無いラビリンスの中を彷徨わせる。殆ど抑揚の無い展開にもかかわらず、徐々に現実の時間軸から遅れを感じる遅効性の麻酔が効いたかのようなドープでトリッピーな音像が、長い展開だからこそじんわりと効いてくるのだ。久しぶりの新作は期待を裏切らないNewworldaquariumの個性が輝いており、この流れで新作も期待したいものだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Akis - Space, Time and Beyond (Selected Works 1986-2016) (Into The Light Records:ITL005)
Akis - Space, Time and Beyond (Selected Works 1986-2016)
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近年目立つのが世界各地に眠る実験的な電子音楽の発掘で、その先端でもあるMusic From Memoryの流れに寄り添うように他からもその動きが活発化している。2012年に設立されたInto The Light Recordsは特にギリシャのレアな音源の編纂に尽力しており、Vangelis KatsoulisやGeorge Theodorakisといったギリシャアーティストの編集盤や又は1978〜1991年にリリースされたギリシャ産の電子音楽のコンピレーションを手掛けたりと、レーベルのコンセプトが明確だ。そのレーベルの新作は当然と言うべきかギリシャのコンポーザーであるAkis Daoutisの編集盤で、タイトル通りに1986〜2016年までの作品を纏めたものだ。Akisについて詳細は分からないものの映画音楽等も手掛けつつ、ジャズ〜ファンク〜フュージョン等も制作するアーティストだそうだが、この30年で公式にリリースされた音源は非常に少ない事からも分かる通り決して高い知名度は無い。しかしここに纏められた未発表も含めた音源を聞くと、ギリシャという地にも予てから面白い電子音楽が存在していた事に驚きを感じずにはいられず、確かに映画音楽も手掛けるアーティストとしての世界観もありながらアンビエントからニューエイジ、または現代的に言うならばバレアリック・ミュージックのような開放感さえ含んでいる音楽が新鮮に響いてくる。牧歌的な笛の音らしき音が静かな幕開けを告げる"Biofields"は映画のオープニングを思わせるような落ち着いた中にも壮大さが広がる曲で、鳥の鳴き声らしき音を背景に美しいシンセの持続音が伸びる"New Age Rising (Part I)"はアンビエントにも接近しつつ中盤からは多幸感溢れるシンセのアルペジオでバレアリックへと飛翔する。その一方で不気味な電子音が蠢きアブストラクトな音響を鳴らして実験的な方面へと向かった"The Powers of Pi"や、逆に哀愁をたっぷりと打ち出してしみじみとしたシンセポップ調の"Erotica"など、編集盤だけあって曲調は様々だ。9分超えの大作である"Solar Rain"は水の音を思わせる環境音らしき音に薄いノイズや無機質な電子音が持続するだけの実験的な曲だが、そこに続く"Christmas"は可愛らしく優しい音色のアルペジオを用いた透明感のある曲調で、こういった曲調の変化はシーンが移り変わる映画を見ているようでもある。メロウものからバレアリックにアンビエント、ひんやりとしたエクスペリメンタルな電子音響まで多岐に渡る音楽性を包括しているが、どれも基本的にはリスニングとして日常の生活に溶け込むような快適性があり、そして制作から30年を経て現在のダンス・ミュージックへと接続するのは何とも面白いものだ。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kuniyuki Takahashi - Newwave Project (Mule Musiq:MMD-61)
Kuniyuki Takahashi - Newwave Project
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生演奏の温かさ、スピリチュアルな世界観、有機的な響きを含んだハウス・ミュージック、高橋邦幸の音楽についての一般的に知られているイメージはそのようなものだ。工業で機械的というイメージとは真逆で、電子楽器を用いながらも生命の営みを彷彿させるハウスは慎ましく厳かで、何より大地の胎動と共鳴するような霊的な力を含んでいる。しかしそんな彼が近年取り組んでいたニューウェーブ・プロジェクトと名付けられたシリーズは、そのタイトル通りにニューウェーブやインダストリアルミュージックに寄り添ったものだ。本人に拠れば元々それらの音楽性もルーツにあったそうで、実際にDRPというEBM(Electronic Body Music)系のユニットも組んでいたりするのだが、ここにきて"新たな波"を生み出した原動力はやはり彼の創造性に対する渇望が故なのだろう。これまでのオーガニックなハウスは封印し、むしろサンプリングも用いてダークで退廃的なテクノへと寄り添った本作は、Kuniyukiが考える現在のニューウェーブなのだ。そうは言いながらもKuniyukiらしさはそこかしこに残っており、民族的なパーカッションの響きが目立つ"Steam"は正にそれだが、しかし機械的に刻まれる冷えたスネアの8ビートや灰色のトーンが工業的な風景を喚起させる。続く"Cycle"は擦れたような荒いリズムでグルーヴは走り出すが、色褪せたようなモノトーンな音が続く。先行EPの一つである"Newwave Project #2"は展開は抑制してミニマルでハウシーなグルーヴで踊らせるツール系の曲だが、そういったところはダンス・フロアを忘れないKuniyukiらしくもある。ブレイク・ビーツ系のざらっとしたエレクトロのリズムとヒプノティックなシンセを用いた"Blue Neon"、アシッド・ハウスを更にインダストリアル的に歪ませたような"Mind Madness"、ニューウェーブとジャズが融合したような奇怪なリズムを見せる前衛的な"Puzzle"などは、このプロジェクトだからこその挑戦が強く打ち出た曲だ。Kuniyukiの既存のオーガーニックでメロディアスな路線とは異なるこのプロジェクト、異色を感じはさせるがやはりライブでこそ映えそうな曲質は、そこもKuniyukiらしい音楽性があり是非ともフロアで体験すべきだろう。



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| TECHNO13 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mr. YT - Brand New Day (Apollo Records:AMB1703)
Mr. YT - Brand New Day
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近年はRon Trentが主宰するFuture Vision RecordsからのMissing Soulのリイシューによって再び注目を集めているYuji Takenouchi。TECHNOuchi名義ではゲームミュージックの作曲家としても知名度は高いが、Mr. YTやMissing Projectに前述のMissing Soulでは豊かな感情性を持ったジャジー・ハウスな音楽性でApollo Records等から作品をリリースしており、90年台後半の隠れた存在だ。昨今のジャパニーズ・ハウスの再評価の一貫でTakenouchiの音楽の掘り起こしに繋がったのだろうか、この度Apollo Recordsが「Brand New Day」と「Parfum E.P.」と「Southern Paradise」の3枚のEPをコンパイルし、新たにリマスター済みのアルバムとして目出度くリイシューを行っている。音楽的には2000年前後に流行っていたジャジー・ハウスそのもので、現在ではこの手の音楽はやや廃れてしまい決して流行の真ん中にあるものでもないが、しかしこのMr. YTの軽快なハウスグルーヴや美しい鍵盤のラインを活かした楽曲性はエヴァーグリーンと呼べるもので、時が経とうと色褪せるものではない。幕開けは朝の幻想的な霧が満ちたようなアンビエンスが漂う"Morning"、ビートレスな作風がこれから始まるダンスへの期待を高めていくような流れ。続く"Reve"では透明感と光を含んだピュアなシンセと図太いキックの4つ打ちによって早速心地良いハウスで踊らされるが、瑞々しさもある綺麗な電子音の使い方が懐かしくもあり、しかし清流に洗われるような清々しさだ。再び"Souvenir"ではビートが消えつつ引いては寄せる波のように感傷的なパッドが現れメロウなバレアリック感を演出し、そこから一転して"Afternoon"は昼下がりの木漏れ日の明るさに満ちたような嬉々としたジャジー・ハウスで、透明感のある薄いパッドやリフレインするシンセは涼風を巻き起こし、跳ねるようなリズムが心も軽くする。アルバムの中で最も力強い4つ打ちを刻みポジティブな活力に溢れたハウストラックの"Evening"、そしてそこから夜へと時は移ろい落ち着いた優雅な時間帯を演出するアンビエント・テイストな"Nite"と、各時間帯をコンセプトにした曲調もしっかりと表現されている。終盤の正に天国の海を遊泳するかのふわふわとした多幸感が続くジャジー・ヴァイブス溢れる"Ocean In Heaven"も、朝方の光が溢れてくるフロアで聞きたくなる爽やかな曲だ。全体的にリマスタリングのおかげかボトムも厚めになりしっかりとフロア対応になりつつも、やはり上モノの透明感やピュアな響きが特徴で非常に耳に心地良いメロディーが通底しており、捨て曲は嘘偽り無く一切無し。当時は注目を集める事が出来なかったジャパニーズ・ハウスの名作が、今ここに蘇った。

| HOUSE12 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ryo Murakami - Esto (Bedouin Records:BDNLP 002)
Ryo Murakami - Esto
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孤高の存在、いや隠棲的と呼んでもよいか、もはや踊らせる事を前提としたダンス・ミュージックに執着する事もなく我道を突き進むRyo Murakami。覚えているだろうか、かつてはPoker Flat RecordingsやQuintessentialsなどから洗練されたミニマルなディープ・ハウスをリリースしていた事を。しかしそれももはや忘却の彼方、2013年作の『Depth Of Decay』から突如ダンスビートからの脱却を図り、インダストリアルやドローンを含む抽象的な音響テクノへと転換した事で完全なるオリジナティーを確立し、音楽に対して自由である事を謳歌している。本作は2015年にリリースされたアルバムに続いて同様にアラブ首長国連邦のBedouin Recordsからリリースされた2016年作であり、彼にとって3枚目のアルバムとなる。RAの記事によれば「本人によると、タイトルの『Esto』はエスペラント語で「存在」を意味し、全11曲の曲名は、今思うことや感じたこと、願いや希望、絶望などを断片的に切り取った単語で構成」されているそうで、つまりはよりパーソナルな作品と考えられるだろうか。勿論音楽的に大きな変化があるわけではないが、しかし闇が支配しながらも前作よりは音の響きが生っぽいというかよりライブ感を得ているように思われる。始まりの"Pray"、祈りというタイトルにしては呻き声のような電子音から始まり不気味で宗教的な重苦しさがあり、不協和音のような音響が空間を捻じ曲げていく。膨れ上がる低音、闇を切り裂くメタルパーカッションによるヘビーでドローンな"Divisive"は静かに始まったかと思えば、途中から金切声のような電子音が雄叫びを挙げてインダストリアルな世界へと突入する。しかし続く"Thirst"はディストーションを効かせたギター風な電子音のノイズが持続するも、音の密度が減る事で途端に開放感へと向かい闇から這い出たような雰囲気さえも。が"Fanatical"では潰れたような生々しいドラムに錆びたメタルパーカッションが入ってきて、テンポを更に極限まで落としたドゥーム・メタルのようなダウナーさだ。B面に移るとより表現は豊かになり、痺れるような電子音の持続にピアノが滴り落ちてきて悲哀のムードになる"Doom"、意外にも小刻みに動き回る電子音が用いられて躍動的な動きのある(それでも尚重苦しくはあるが)"Sun"、グリッチ音のような音を用いつつも弦楽器風な音や錆びた電子音など様々な音を用いてエレクトロニカ的でありながら殺伐とした荒野が広がる"They Know"など、確かに感情表現が今までよりも前面に出ているように思われる。決して軽々しく聞き流せるような音楽ではなく非常に神経質的ではあるが、ノイズやフィードバックには繊細さもあり、この重圧を含む音楽は全身で音を浴びる事の出来るライブでこそ真価を体感出来る筈だ。音源を聞いて興味を持った方は、是非とも現場に足を運ぶべきだろう。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Harvey Sutherland - Harvey Sutherland (Music 4 Your Legs:MFYLR002)
Harvey Sutherland - Harvey Sutherland
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日本への再来日ライブが間近に迫っているオーストリラリアはメルボルンのHarvey Sutherland。何と言っても2015年にMCDEからリリースされた『Bermuda』でのシンセブギーな作品でその知名度を一気に高めて、今や世界各地でDJではなくライブアーティストとしてツアーを行う程になっている。残念ながらアナログ中心でのリリースのため聞く機会が少なかった人もいたであろが、ここ日本では幸いな事に今までにリリースされたアナログから8曲を纏め、更に未発表曲2曲を追加して本アルバム化された。本人はキーボードをプレイする演奏家であり、最近ではドラマーや弦楽器奏者とのセッションも行う事でより昔のブギーなディスコ色を強めて、現在の機能的なダンス・ミュージックとの親和性もありながらソウルフルな感覚を生み出している。特に近年の曲になればなる程その楽曲性の豊かさは増しており、生ドラムを導入した"Bravado"はヴィンテージなアナログ・シンセの艶のある音色も気持ち良いものだが、途中からゴージャス感を強めてシンセ・ファンクやディスコのバンド風な一体感を見せて盛り上がっていく展開は実に華々しい。MCDEからリリースされら"Bermuda"も光沢のあるシンセに耽美なエレピにストリングスなどふんだんに艶のある音を用い豊かな色彩を見せ、ジャジーなドラムが軽快なグルーヴを生み、うきうきとしたブギーな雰囲気に包まれる。ただプレイヤーではありながらも過剰に広げ過ぎない事も現在のダンス・ミュージックに沿う点であり、"Bamboo"でも美しい電子ピアノやざっくりした生のドラムを用いたジャジーな要素はあるが、シンセやドラムにしても基本は程々にミニマルな展開であり、そこからドラマティックに盛り上げていく構成の上手さがある。また未発表曲の"Lovenest"はいつ頃の作品かは不明だが、昔のディスコのダブ的要素も用いて他の作品とはやや毛並みが異なっており、落ち着いた空気の中にしんみりとした切ないシンセを加える辺りはHarvey Sutherlandのエモーショナル性が発揮されている。どれもこれも演奏家としての作曲性に裏打ちされたメロディーや構成と展開があり、当然ライブでこそ聞きたくなる豊かな音楽性を秘めているからこそ、こうしてアルバム化されて纏めて聞く事が出来るのはありがたい。素晴らしい企画作品である。







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| HOUSE12 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Carl Craig | Sonja Moonear - Cocoon In The Mix (Cocoon Recordings:CORMIX053)
Carl Craig Sonja Moonear - Cocoon In The Mix
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真夏の夜の饗宴を繰り広げるイビサはAmnesiaで開催されるCocoonのパーティーは毎年の恒例行事となっているが、そのパーティーの公式MIXとなっている『Cocoon In The Mix』の最新作(と言ってもリリースは昨夏ですが)は、デトロイト・テクノの至宝であるCarl Craigとスイスの女性DJでありミニマル系で評価を得ているSonja Moonearが手掛けている。このシリーズのコンセプトは二人のDJのミックスを収録するだけなので、音楽的な繋がりから言えば共通項は見えてこないので、それぞれ全く別のプレイとして本作は楽しむべきなのだろう。それでも本作を聞けば例えば当方のようにAmnesiaのパーティーを体験した事のない人にとっても、その雰囲気だけでも何となく掴める事は可能なのかもしれない。それは特にC2のプレイの方が顕著と感じ、序盤から"What Is House Muzik (Ricardo Villalobos What Is Remix)"や"7 Directions (Dennis Ferrer Drum Mix)"などミニマルかつドラッギーな大ネタを繰り出して、大箱らしい派手な盛り上がりを作っていく。制作するトラックに比べるとプレイの方は余りデトロイトらしさは感じさせないのがC2の特徴だが、それでも疾走しうねるビート感や覚醒的な上モノを用いたヨーロッパ寄りのテクノやテック・ハウスなどは一般的には馴染みやすい音ではあり、またFloorplanやOxiaなどクラシックも当然の如く用いて真夜中の興奮を演出し、終盤ではデトロイト系の"Episode"や"Speechless (C2 Remix)"を投下して感動のエンディングへとスムースに盛り上がっていく。ミックス自体に何か特別な個性を感じるような内容ではないものの、Amnesiaの興奮に包まれた景色が浮かんでくるような、これぞ大箱らしいプレイだろう。対してMoonearの方がDJとしての力量を感じさせるプレイが体験出来る内容で、色っぽい呟きによりハウスを宣言するような"New Age House"に始まり"Music, Music (The I Humped Mix)"によって滑らかに加速し、常にグルーヴをキープする。大袈裟に展開を作る事はせずに淡々とした抑制されたビートを刻み、Cocoonらしいドラッギーなテック・ハウスも織り交ぜながら中盤でのエモーショナルな"Creepin"や"Translated Translations Translated"等のハウスでドラマティックな流れも生み、ミニマルな展開の中にも淡い叙情性を盛り込む。中盤以降は更に深い空間を感じさせるディープ・テックな闇に進んで、ラストに向かって80年代シンセ・ポップらしさを含む"M9"からアンビエントな音響処理の強いダビーな"98%"で微睡みつつ、最後にはVillalobosによるその名も"Amnesia"でじわじわと感覚が鈍っていくようなドープ・ミニマルで深みに嵌まりながらいつしかパーティーは終わりを迎える。半ば強引なまでに盛り上げるC2、対してフロアの感覚を掴むように嵌めていくMoonear、DJとしては当然後者に軍配が上がるだろう。



Check "Carl Craig" & "Sonja Moonear"

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| TECHNO12 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Louie Vega - Louie Vega Starring...XXVIII (Vega Records:02VEG04)
Louie Vega - Louie Vega Starring...XXVIII
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Kenny Dopeと共に結成したMasters At Workに於けるハウス・ミュージックへの功績はもはや説明不要であろうが、ジャズやラテンをハウスに落とし込んだ特異性だけでなく、大勢のアーティストを起用し大規模な共同制作によってプログラミングだけに頼るのではなく生演奏の魅力も打ち出したセッションの高い音楽は、もはやハウス・ミュージックの枠に収まりきるものではなかった。Vegaは同様の手法をElements Of Lifeプロジェクトによる『Eclipse』(過去レビュー)でも用いたが、その延長線上としてソロ名義では初となる本アルバムでも多くのアーティストのとのコラボーレションを行う事で、ハウスの枠組みの拡張とソウルフルなハウスの再確認を同時に行っている。アルバムの始まりはFunkadelicとのコラボレーションと言うか、リミックスである"Ain't That Funkin' Kinda Hard On You? (Louie Vega Remix)"で、ねっとり熱量の高い原曲のP-Funkをラフな質感は残しつつも颯爽としたハウス・ビートへと生まれ変わらせ、出だしから軽快ながらもソウルフルな歌の魅力を発揮させている。続くは3 Winans Brothersの"Dance"のリミックスだが、ざっくりとしながらも軽快なラテンビートと怪しげなオルガンにリードされながらもコーラスも加わったボーカルにより、これぞNYハウスらしい温かみに溢れたクラシカルなハウスになっており、今の時代に於いても歌の重要性を説いているようだ。女性シンガーのMonique Binghamを迎えた"Elevator (Going Up)"は、舞い踊るピアノと甘くもキリッとしたボーカルが軽やかに疾走し、南アフリカのシンガーであるBucieをメインに、そして制作にBlazeのJosh Milanを迎えた"Angels Are Watching Me"はモロにBlazeらしいメロウかつ耽美なエレピや爽やかなコンゴが響き渡る歌モノハウスで、期待通り以外の何物でもないだろう。そして本作では所謂古典と呼ばれる名作のカバーも収録しており、Convertionによる”Let's Do It (Dance Ritual Mix)”やBobby Womackによる”Stop On By”、そしてStevie Wonderによる"You've Got It Bad Girl"まで、ハウスにR&Bやヒップ・ホップにファンク等の要素を自然に溶け込ませてクラシックを現在の形へと生まれ変わらせている。CD2枚組計28曲の大作が故に全てが完璧とは言えないものの、過去の作品への振り返りにより現在/未来へと良質な音楽の伝達を行い、そしてボーカリストに演奏者らアルバムの隅々まで数多くのアーティストの協力を得る事で、本作はハウス・ミュージックの一大エンターテイメントとでも作品である事に異論は無いだろう。ソウルフルで、古典的な、そして歌モノのハウスのその魅力を再度伝えようとしているのだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
FP-Oner - 6 (Mule Musiq:MUSIQ 055CD)
FP-Oner - 6
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自ら主宰するSoul People Musicからは自身の作品のみならず才能ある新鋭の作品をも送り出し、また自身はAnomalyやBlack Jazz Consortiumなど多数の名義を用いてエモーショナルかつハイテックなディープ・ハウス〜テクノを量産し、今やUSハウスシーンのトップにまで上り詰めたFred P.。2015年には新たなる名義であるFP-Onerの新シリーズの門出となる『5』(過去レビュー)を制作し、Fred P.の特徴でもある幻想的なアンビエンス感をふんだんに取り込んだ情緒的なディープ・ハウスを聞かせ、ダンスとリスニングの釣り合いが取れた絶妙なアルバムを披露した。それから一年、続編となる本作もやはり一連のシリーズであるからして、音楽性に目を見張るような変化は見られない。だからこそだろう、自身の揺るぎない音楽性が確立されているが故の安定感があり、アルバムの始まりである"Awakening Co Creator"は朝靄の中にいるような微睡みのアンビエンスが通底するディープ・ハウスで、穏やかな情景が目の前に広がるようだ。続くのは爽快さ抜群のパーカッションが刻む中を豊かな音色が発色するパッドが突き抜ける"Kundalini Rising"で、一気にスピード感を増したテック・ハウス気味の世界へと進む。中盤にもアフロなパーカッションやうねるようなベースラインが耳を惹き付けつつ、しかし幻惑的なシンセがアンビエンス感を纏った"New Life Form"や、芯のあるキックが正確な4つ打ちを刻み地底から情緒ある芳香が湧き立つようにパッドが迫り上がってくる"Adjusted Perception"などがあり、体感的なダンス・トラックとして体裁は保ちつつも意識に働きかけるようなメロディアスな作風は十八番だろう。勿論"Learning Process"のようにフロアの闇に溶け込むような疾走感に満ちたテクノ色強い曲もあるが、それすらも大らかなパッドに覆われて仄かな情緒が匂っている。特に秀逸なのが"Reap Love"で、コズミック感あるシンセを散りばめつつメランコリーなシンセによる情緒爆発なしんみり系テック・ハウスによって、切なさが本作の中でピークへと達する瞬間を作っている。そしてアルバムの最後(前作は渋谷をテーマにした"Sleepless In Shibuya")前作同様にアンビエント色を前面に打ち出した"Vision In Osaka"で、大阪らしいかはさておき神秘的な空気を生む瑞々しいシンセが浮揚し、霧の中へと溶け込んで消えるように儚い終焉が待ち受けている。あっと言わせる驚きはない、寧ろ電子音による穏やかな神秘性をこれでもかと演出した本作は、じっくりと耳を傾けて夢想に酔いしれるべき作品だ。Fred P.による深い精神世界へ旅がここにある。



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| HOUSE12 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Petar Dundov - At The Turn Of Equilibrium (Music Man Records:MMCD042)
Petar Dundov - At The Turn Of Equilibrium
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Labyrinthを代表するアーティスト/DJでもあり日本でも人気を獲得しているPetar Dundovは、しかし一体何処へ向かおうとしているのか。美しいシンセのメロディーラインや長尺な大作志向は得も言われぬトランス感を生み、彼の個性/武器とはなっているものの、ここ数年は成熟と言うべきか勢いのあるグルーヴ感よりも旋律を意識して聞かせる作風がベースになっている。2年半振りとなるアルバムも全くその路線から変わる事はなく、自身の作風の完成形を作り上げている。本作に於いてはKraftwerkやVangelisに影響を受けて制作をしたそうだが、特に後者の影響が感じられるのは"Then Life"だろう。ビートレスな構成だからこそ羽をゆっくりと広げるようなシンセの美しいメロディー、壮大さを演出する荘厳なストリングスの響きが際立ち、その音楽はサウンドトラックかまたは交響曲にも感じられる。"New Hope"はKraftwerkの影響だろうか、ユーモアの感じられる牧歌的なシンセが戯れるように鳴り、大きな展開を用いる事なく気の抜けたような作風は電子音楽を自由に用いたジャーマン・プログレを思わせる。勿論"The Lattice"のようにしっとりしたキックが刻むダンス・トラックもあるが、これにしても決して図太いリズム感がある訳でもなく、悲壮感にも感じられる繊細なメロディーを軸にストーリ性さえも含むようなドラマティックな展開で惹き付ける作風だ。他にも残響の広がりによる空間の奥深さに官能的なピアノが夜の艶を演出する"Before It All Ends"、生っぽいドラムの刺激にすっと伸びる光沢感のあるシンセが近未来のSF志向なイメージを植え付ける"Mist"、ダウンテンポなおかげでより哀愁の度合いが強くなった"Missing You"と、それぞれ繊細なシンセや音響を活かしながらもアルバムの中で変化を生み出す事にも糸目を付けない。どれも抑圧なグルーヴからは解放されながら、芸術的にまで思う程に綺麗な旋律とコード感を尊重している。この路線ではもうこれ以上は無いのでは?と思う程に完成されており、後は逆にフロアでの肉体的なグルーヴを打ち出した作風も久しぶりには聴いてみたいとも思うが、それは我侭だろうか。



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| TECHNO12 | 12:00 | comments(3) | trackbacks(0) | |
Motor City Drum Ensemble - Selectors 001 (Dekmantel:DKMNTL-SLCTRS001)
Motor City Drum Ensemble - Selectors 001
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デトロイトの音楽性も咀嚼し黒い芳香と粘性の高いディープ・ハウスやビートダウン・ハウスを完成させ、一躍時の人となったDanilo PlessowことMotor City Drum Ensembleは、作曲家としてでだけでなくDJとしての評価も一際抜きん出ている。5年前のMIXCDである『DJ Kicks』(過去レビュー)においてもテクノやシカゴ・ハウスのみならず、懐かしいディスコやコズミックなジャズに湿地帯を匂わせるダブもミックスし、ブラック・ミュージックを根底に置きながら単に踊る為だけ以上の豊かな音楽性を披露した。そこに当然必要となるのが各DJ毎のネタ、つまりはレコードとなる訳だが、デジタル配信が増えた現在に於いてもまだデジタル化されない貴重な音源は数多く、それらを如何に入手するかがDJにとっての一つの仕事である事に異論はないだろう。だがしかし、Plessowはそういった秘密兵器を隠す事なく、多くの人と共有する事を躊躇わない。そんな背景もあってDekmantelからリリースされた本作は、正に彼の秘密兵器を公開し、そして他の若いDJ達にも使って欲しいという思いも込められた正に「Selectors」としての内容だ。古くは1978年のファンクから最も新しいのでは1997年のディープ・ハウスまで、しかし一般的には恐らく知れ渡っていないであろうレアな曲が収録されている。アルバムの前半は主にハウスで、DJ Slym Fas(知らなかったのだが何とTony Ollivierraの変名だ)の"Luv Music"の耽美なエレピの旋律やコズミックなシンセの使い方が特徴の野暮ったいディープ・ハウスは、例えばMCDEの新曲だと言われても気付かない位に音楽性に類似点が見受けられる。House Of Jazzによる典型的な90年代のUSハウスである"Hold Your Head Up"の甘くもゴスペル的な歌、20 Belowの弾力性のあるファットなベースがうねりシンセが優雅な芳香を匂わせる"A Lil Tribute To The Moody Black Keys"など、これらもMCDEのDJセットに入るのもその音楽性を理解すれば極自然に思われる。アルバムの後半は更に時代を遡り、Lickyによるアフロな熱さもある陽気なファンクな"African Rock"、RAhzzのテンション沸騰で血が滾るゴージャスなディスコの"New York's Movin"など、ファンク/ソウル/ディスコといったよりルーツ的な選曲だ。ミックスではなく敢えてコンピレーションとしたのは当然DJとし使って欲しいという気持ちの表れだが、そのおかげでリスニングとしても各曲の魅力をそのままに体験出来るに事にも繋がっており、DJにもリスナーにもありがたい作品なのだ。MCDEのルーツを探る意味でも、面白さもある。



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| HOUSE11 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
I'm Starting to Feel Okay Vol.7 (Mule Musiq:MULE MUSIQ CD 53)
Im Starting to Feel Okay Vol.7
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恐らくダンス・ミュージックで括られるレーベルの中でも、Mule Musiq程に幅広く才能あるタレントを抱えたレーベルを他に列挙するのは難しいだろう。例えばこのレーベルに所属するアーティストだけでパーティーを行ったとしても、それはフェスティバルとして成立してもおかしくはなく、間違いないのない審美眼と継続してリリース出来る運営力を兼ね備えた日本が誇るべきレーベルだ。そのように多くのタレントを抱えているからこそ、多様な個性を一つに集約するコンピレーションの体裁はMule Musiqに適しているのだろうか、近年は2年おきにショーケース的なコンピレーションをリリースしている。本作はその第7弾でここ2年間にリリースされた既発の曲や、また本作の為に制作されたであろう新作までが纏められており、例えレーベルに興味が無くとも参加したアーティストの豪華さに惹き付けられてもおかしくはない。レーベルに初参加となるLord Of The IslesやFrankey & SandrinoにKim Brown、または蜜月の関係を築いているEddie CやOskar OffermannにFred P、そして日本からはお馴染みのKuniyuki TakahashiにSauce81、その他に多くのアーティストが収録されているのだが、その幅の広さと各々の素質の高さが際立つ人選に頭を垂れる思いになる。Eddie Cによるサンプリングをベースとした生っぽいニューディスコの"Flying Blue"、Rubiniによるエレクトロニックな質感を活かしたディープ・ハウスの"Still Clock"、Kuniyukiがニューウェーブからの影響を受けて退廃的な雰囲気を打ち出した"Newwave Project #11"など、それぞれの個性は自然と表現されながらそのどれもがフロアに即したダンス・ミュージックである事を外れない。また、Bell Towersによる柔らかな音色とゆったりとしたグルーヴで広がるディープ・ハウスの"Midday Theme"、Fred Pによるエモーショナルなパッド使いが素晴らしいテック・ハウスの"Days In Time"辺りを聴くと、Mule Musiqが決して真夜中の享楽的なクラブで踊る事を目的とした音楽だけではなく、リスニングとしても耐えうる普遍性も目指している事が感じられる。意外なところでは奇抜なエレクトロニカを奏でるGold Pandaが変名のDJ Jenifaで"Dresscode"を提供し、Gold Pandaとは異なりシカゴ・ハウス風の乾いたビートで不良的なハウスを披露してたり、またAril Brikha & Sebastian Mullaertが"Illuminate"で彼等の個性を発揮したトランス感の強いミニマルなトラックを提供していたり、レーベルに控え目程度ではあるが新風を吹き込んでいる。既に大御所レーベルとしての存在感がこれだけのアーティストを集約出来るのだろうが、それでも尚レーベルの質の高さが全く失われないのは、やはりレーベルを主宰するToshiya Kawasakiによるセンスの賜物に違いない。



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| HOUSE11 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/4/2 Contact Opening Party -Deep Space- @ Contact
惜しまれつつも2015年末にクローズしてしまった代官山Air。知名度だけを重視するのではなく将来を期待された新星も積極的にブッキングする音楽面での確かなセンス、適度な大きさでアンダーグラウンドからポップなフィールドまでカバー出来る箱の作りなど、クラブ・ミュージックを愛する者にとっては無くてはならない存在だった。14年以上に渡る活動故にそのクラブのクローズは、パーティーに対する希望の喪失にも近い気持ちがあった。しかし2016年3月、そんなAirの意志を受け継ぐクラブの誕生が発表された。それこそがDerrick Mayが名付けたというContactで、YellowやElevenにAirのテイストを受け継いでビッグネームのDJと共に新進アーティストを同時に招聘し、アンダーグラウンドと道玄坂のメジャーな客層の融解を目指していく方針であるというクラブだ。オープニングパーティーは2日に渡って開催される事になり、その2日目にはElevenのオープニングを務めたFrancois K.がメインフロアを担当する。
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| EVENT REPORT6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mood II Swing - Strictly Mood II Swing (Strictly Rhythm:SRNYC022CD)
Mood II Swing - Strictly Mood II Swing
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90年代のNYハウスは正に黄金時代、兎にも角にも雨後のタケノコようにハウス・ミュージックが量産され、そしてそれらは今も尚燦然と輝くクラシックとして現代へと語り継がれている。多くのアーティストが生まれ、育ち、一時代を築き上げたが、そんな時代の空気を目一杯吸い込んだ作品が、Mood II Swingによる3枚組コンピレーションの本作だ。Lem SpringsteenとJohn Ciafoneの二人組によるユニットは、Nervous RecordsやKing Street SoundsにCutting Traxx等のハウスの名門レーベルから作品をリリースし、またその手腕が買われハウスのみならずR&Bやポップ方面からもリミキサーとして起用され、そのアーティストとしての音楽性は評価も名高い。つまりは彼等は完全なるプロダクション・チームであり、NYハウスと呼ばれる音楽の立役者の一人(いや、二人か)と呼んでもよい存在だ。作風自体が何か特徴があるかと考えるとそうでもなく、スムースーなハウスの4つ打ちの上に丁寧なコード展開やメロディーを載せて、実直に温かくソウルフルな雰囲気に染めるシンプルかつ丁寧な、つまりは非常にクラシカルなスタイルを貫いている。だからこそ、今になってこの様にコンピレーションが企画されても、時代に影響を受けない音楽性がある事でハウスの素晴らしさを伝える事が出来るのではないか。冒頭の"Do It Your Way"からして滑らかなハウス・グルーヴと控え目に耽美なリフを軸に囁くようなボーカルを用いたベーシックを守るハウスであり、決して派手さを強調する事はない。続く"Living In Ecstasy (Mood II Swing NY Mix)"はもっとソウルフルなボーカルが前面に出て、飛び跳ねるような軽快な4つ打ちと綺麗目のメロディーが伸びる心がウキウキとするハウスで、もうこの時点でハウスの魅力が全開だ。更に数々のMIXCDに使われるハウスのクラシックである"Closer (King Street Moody Club Mix)"は、このシャウトするような熱量の高いボーカルに情熱的に展開されるコードや生っぽさも残したラフなビートも相まって、体の芯から熱くするようなソウルフルな感情が爆発する。オリジナルの素晴らしさは当然として、ハウスへと系統していた時代のEBTGやトランシーなBTの曲等を見事にアンダーグラウンドなハウスへと生まれ変わらせたリミックスも収録しており、それらもMood II Swingらしい人間味と温度感のあるハウスなのだから、リミックスと言えでも彼等の音楽性が十分に反映されたものとして見做してよいだろう。全33曲で4時間20分のお腹いっぱいなボリュームでオリジナルとは別にダブバージョンでも収録されている曲があり、もう少し曲を絞った方がより質を高めつつ聴きやすくなるのではと思う点もあるが、Mood II Swingの魅力を伝える観点からは問題はないだろう。ハウス・ミュージックの入門としても適切な作品だ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Keita Sano - Holding New Cards (1080p:1080P45)
Keita Sano - Holding New Cards
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アナログでも配信でもどちらでもよいが、熱心にダンス・ミュージックを追いかけている者ならば、最近Keita Sanoの名を目にする事は珍しくないだろう。岡山在住のこのトラックメーカーは2012年頃からデジタルでのリリースを開始し、2014年から2015年の2年間の間には何と10枚近くのアナログをリリースするようになり、その活動量の多さは日本だけでなく海外からも注目を集めている事を意味する。事実Mister Saturday Night RecordsやHolic Traxといった名のあるレーベル、または逆によりアンダーグラウンドなレーベルからと何処か一つのレーベルに固執する事なく、世界各地のレーベルから敢えて音楽性もバラバラに雑然と作品をリリースし、その個性を掴ませないような多面的な音楽性が受けているのではと推測している。本作は2015年5月にバンクーバーのカセット/デジタルのレーベルである1080pからリリースされたアルバムであり、ここでは各EPで展開されていた音楽性を纏めて一つの作品にぶち込んだような、つまりはアルバムの中で音楽性を収束させるのではなく拡散させる折衷主義が存在する。冒頭の"Fake Blood"から愉快で可愛らしいシンセを用いた曲は、テクノやハウスでもありながらシンセ・ポップのようなキャッチーな雰囲気もあり、これだけ聴けばアルバムは随分とドリーミーな物だと推測するだろう。しかし続く"Onion Slice"は古いレイヴ時代を思い起こさせる強烈なジャングルで、だが中盤からはプリミティブなメロディーも主張してドラマティックな展開をする瞬間はスリリングでさえある。と思えば荘厳に覆い被さるシンセや奇妙なボーカルを用いた"Ends How It Ends"は、持続感を打ち出したディープなミニマルで、すんなりと真夜中のフロアに馴染むような曲だ。そして昨今のロウハウスを思わせるノイジーなテクスチャを用いた"Holding Ne Cards"や、4つ打ちの中に奇っ怪なパーカッションを複雑にふんだんに詰め込んだ"African Blue"など、予想以上に曲毎にその音楽の姿を変える様は驚くしかないだろう。その中でもロウなマシンビートを軸に郷愁たっぷりなシンセで味付けをしたディープ・ハウス調の"Happiness"や、不気味なアシッド・ベースが蠢くアシッド・ハウスの"Escape To Bronx"や"Insomnia"は、初期シカゴ・ハウスのまだあどけなさが残るものの原始的な対応を帯びたクラシカルなハウスで、決して彼が特異な音楽性だけによって評価されるべきではない事を示唆している。彼の音楽性を理解するのにEPを集めるには大変だと言う人は、一先ずこのアルバムを聴けば十分にその多様性を理解しつつ、そこから生まれる奇妙な楽しさをきっと体感するだろう。



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| TECHNO12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Asian Psilocybe Foundation - Cosmic Dance EP (New Heroes:NH001)
Asian Psilocybe Foundation - Cosmic Dance EP

まだ作品数は少なく、2014年にHypnotic Roomからリリースされたスプリット盤の『Tokyo EP Vol. 1』でデビューを飾るやいなや、そして何と海外からはスイスのMental GrooveとデトロイトのOrlando Voornによる新レーベルのNew Heroesからのリリースが決まり、何だかよく分からない状態ではありながらこれからの飛翔の予兆があったのがAsian Psilocybe Foundationだ。soundcloud上では多くの楽曲を公開しているが、単にミックスのためのツール性よりは感情がはっきり出ながらメロディーの豊かさとライブ感を重視したテクノからディープ・ハウスにアンビエントまでと、電子楽器を巧みに操りながら作曲家としての実力は期待を裏切らない。発表から約1年程経過して先ずはリリースされたのはVoornのレーベルからの本作で、ここでは何とVoornのリミックスのみならずUnderground ResistanceことTimelineのメンバーであるJon Dixonのリミックスも収録と、破格のサポートを頂いて新レーベルの門出を祝うようだ。だがしかし、何と言っても素晴らしいのは"Cosmic Dance"のオリジナルバージョンで、ベタではあるだろうがそのタイトルが嘘偽りなくその性質を体現している。ガツガツと攻める粗いスネアと図太いキックのグルーヴ感はかなりテクノ寄りな勢いを感じさせるが、その上を滑るような色とりどりの豊かな音色を持ったシンセのメロディーはコズミックと呼ばずにはいられない。デトロイト・テクノの叙情性や希望に満ちたエモーションが炸裂した躍動的なメロディーは、内側から弾けるようなエネルギーを放出しながら疾走し、広大な宇宙の星の間を駆け抜けるようだ。一方で"Jon Dixon Timeline Remix"はオリジナルとは対照的にメロディーもビートを落ち着きを取り戻し、ぼんやりとした音色のシンセをミニマルに配して細かな効果音も散りばめながら、ずぶずぶと潜っていくような重心低めのディープ路線へとアレンジされている。逆に"Orlando Voorn Remix"は元のコズミック感を上手く活用しており、ビートレスなイントロでその凛としたメロディーの展開を我慢強く引き伸ばして溜めを作りつつ、そして徐々にシャッフルするビートが入れば、遂にロケットに乗って宇宙へと飛び立つような飛翔モードへと突入する劇的な展開を繰り広げる。それぞれに異なる味わいがあり場面それぞれで使い道はあるだろうが、やはりAsian Psilocybe Foundationによるオリジナルが何よりもそのタイトルを体現しており、デトロイト・テクノ好きな方にも是非ともお薦めな一枚だ。



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| TECHNO12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gari Romalis - Detroit Rollerskate Disko 2 (JD Records:JDR009)
Gari Romalis - Detroit Rollerskate Disko 2

近頃レコード屋でその名を見かける事も多いGari Romalisは、90年代から活動しているデトロイトのアーティストだ。とは言ってもその90年代にはほんの2~3枚しかEPをリリースしておらず、当方もここ1~2年の活動でその存在を知ったばかり。どうやら2012年から制作活動を再開させたようで、それ以降はDockside RecordsにRawaxやBosconi RecordsにEat More Houseなど、ハウス・ミュージックにおいてはアンダーグラウンド方面で注目すべきレーベルから作品をリリースしており、2015年に至っては10枚程のEPを発表するなどその活動の勢いには目を見張るものがある。本作は以前にもリリース歴のあるJD Recordsからの第二弾で、タイトルにも「デトロイト」なんて単語が入っているのだから、当然デトロイト・ハウス好きならばチェックしておいて損はないだろう。目玉は"Let U Go"で、過去にもガラージ・クラシックのサンプリングを用いていたようにここでも"First True Love Affair"を引っ張りだして、強烈なフィルター処理を施しつつ骨太なキックを加えてミニマルな展開のディスコ・ハウス化を披露しているが、そこから滲み出るエモーショナルな温もりはデトロイト・ハウスらしいと言うか。"Come 2 Gether (2 The Sun)"は流麗なエレピのコード展開を軸にファットな4つ打ちとボイスサンプルを絡め、随分と低音が前面に出たファンキーなハウスだ。裏面の"Shuga Frosted"も80年代ディスコの"Sugar Frosted Lover"をネタに使用しているそうで、原曲の甲高いボーカルや高音などはフィルターによって取り除かれ、低音から中音にかけて膨らみのあるフロア対応型の優美なミニマル・ディスコへと変わっていたり、随分と機能性を尊重しているのはデトロイトの人にしては珍しいような。最後の"Sumbody New"も何かのディスコを用いているのか、ウニョウニョとしたシンセにコズミックなSE風の電子音が目立っており、総じてどれもそのシリーズ名通りにディスコへの偏愛を示しているのは明白だ。それらが単に古く錆びれる事もなく、どっしりした低音の安定感を活かした反復性の強いツールへと鍛え直し、クラシックとモダンが自然と両立しているのだ。2015年は躍進の年だったが、さて2016年のRomalisは如何に。



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| HOUSE11 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Defected Presents House Masters - Masters At Work Volume Two (Defected Records:HOMAS24CD)
Defected Presents House Masters - Masters At Work Volume Two
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ハウス・ミュージックという音楽の中で最強のコンビ、それはLouie VegaとKenny Dopeから成るMasters At Workである事に異論はないだろう。いや、単にハウス・ミュージックという枠組みの中だけで語る事は最早困難で、二人の異なる多様なルーツが混ざる事で、ラテンやアフロの血湧き肉躍るビート感やソウルフルな歌と情熱的な旋律でアンダーグラウンドなダンス・トラックからポップな音楽までクロスオーヴァーし、時代を先取りながら後世に残るクラシックを膨大に生み出した稀代のDJ/アーティストだ。オリジナルからリミックスまでその素晴らしい作品群は嘘偽り無く膨大であり、レアな曲まで含めればその全てを集めるのは困難に等しい。そんな状況下で2014年にリリースされた第1弾(過去レビュー)のコンピレーションだけでも40曲収録であったが、それから1年経ってリリースされた第2弾の本作でもまたもや40曲収録と、両者を揃えればMAWの魅力を十分に理解するには十分過ぎる程のボリュームと質だ。喜ばしい事に4枚組というボリュームを活かしてどの曲もフルバージョンで収録されており、例えばGeorge Bensonによるメロウなギターと憂愁の歌、そして優しく包み込む美しいキーボードがフィーチャーされた"You Can Do It (Baby) (Nuyorican Style Mix)"は15分での完全版で聴く事が出来るのは、想像するだけで感涙必至だろう。またLoose JointsやFirst Choice、Donna SummerやNina Simoneなど過去のディスコやジャズに於ける巨匠の名曲を、MAWがリミックスして再度生まれ変わらせるように新たな魅力を引き出した曲も収録されており、当方のようにそんなリミックスを知らなかった人も多いだろうから守るべき遺産を世に知らせるベスト盤としての価値もあるのだ。ちなみにレーベルの広報によればクラブ向けの曲を中心とした第1弾に比べると、本作はどちらかと言うと緩んでリラックスしダウンテンポな曲が多いとの事だが、実際に聴いてみればそれは雰囲気からの判断で、実際にはメロウながらもMAWらしいざっくりと生っぽくも躍動感のあるグルーヴが通底している。文句無しに素晴らしい至宝のハウス・ミュージックが並んでおり、第1弾と合わせて聴けば一先ずMAWでお腹いっぱいになるだろう。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Kai Alce Featuring Rico + Kafele Bandele - Take A Chance (NDATL Muzik:NDATL013)
Kai Alce Featuring Rico + Kafele Bandele - Take A Chance

Kai Alce主宰のNDATL Muzikはシカゴやデトロイトのテクノ/ハウスを基調に、そして時にはその周辺の巨匠による非常に貴重な未発表曲を掘り起こしたりと、地味にEPを粛々とリリースするアンダーグラウンドな活動性ながらもその音楽の質の高さは疑いようがない。ちなみに最近知ったのだがNDATL Muzikは、New YorkとDetroitとAtlantaの頭文字から名付けられており、その地域の音楽からの影響を受けている事を意味しているそうだ。そんなレーベルの新作は主宰者であるKai Alceによるもので、ボーカリストのRicoとトランペッターのKafele Bandeleを起用したボーカルハウスを披露している。変わる事なく淡々と刻まれるくすんだ4つ打ちとアフロなパーカッションに、静かに情緒を添える温かいシンセのコードと低温で燻るようなムーディーなトランペットのメロディーが加わり、そして囁くように官能的に歌われるボーカルによって一層そのソウルフルな雰囲気は強みを増す。決して派手な展開や大きな衝動はないものの、厳かで内省的な音楽性を探求するLarry Heardのように感情に静かに訴えかける音が着実に耳を惹き付ける。とそんなオリジナル作品をリミックスしたのが何とLarry Heardで、まるで師弟関係のような両者の音楽性なのだから当然リミックスの相性もベストと言っても間違い無しの出来だ。先ずはLarry名義でのリミックスとなる"Take A Chance (Larry Heard Vocal)"は原曲のメロウな面をそのまま活かしつつ、更に洗練に磨きを掛けて透明度を増したシルキーとでも呼べばよいのか、非常に上品でタイムレスな響きを放つディープ・ハウスへと昇華している。そしてMr.Fingers名義でのリミックスとなる"Take A Chance (Fingers Ambient Vocal Mix)"は、近年原点回帰も見せている流れに沿ったアシッド・ハウスとアンビエントが入り交じるディープ・ハウスで、ヒプノティックながらも何処か夢の中で響くようなアシッド・ベースの胎動と胸を締め付ける切ないトランペットのメロディーが交錯するフロアでの存在感を示すスタイルだ。いやはや、やはりLarry Heardの全てを許容する包容力と心に染み入る郷愁に満ちたディープ・ハウスは別格と言わざるを得ない。タイムレスとは正にこの事だ。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Harvey Sutherland - Bermuda (MCDE:MCDE 1213)
Harvey Sutherland - Bermuda
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Motor City Drum Ensembleの活動の場であるMCDEから作品をリリースする事は、ある意味ではそれだけでお墨付きを貰ったようなものだ。生々しくファンキーなビートダウン・ハウスを手掛ける事においては、なかなか右に出る者はいない。そして、そんなレーベルから新たにお墨付きを貰ったのがオーストラリア発のMike KatzことHarvey Sutherlandだ。時を遡り過去の作品を調べてみると、2014年にはVoyage Recordingsから"Brothers"なるEPをリリースしていたが、その時点でも既にアナログで新鮮なライブ感のあるディープ・ハウスを手掛けており、確かにMCDEが惚れ込むのも納得の出来だ。そしてその流れからの新作は、彼の知名度を一躍高める事間違いなしの褒め称えるべき内容となっている。一時はセッション・ミュージシャンでもあったというKatzの作風は、単なるツールとしてではなくハーモニーやメロディーと鮮やかな音色を尊重し、生演奏的にも聴こえるライブ感を打ち出した曲調が特徴だ。"Bermuda"においてもジャズ・ファンクのようなざらついた質感のリズムと、艶のある優美なメロディーと腰に来るベース・ラインを軸に、その他にもストリングスやシンセなど多層に装飾されながらゴージャスで陽気な気分を振りまくブギーなハウスだ。裏面の"New Paradise"はぐっとテンションを抑えながら、小洒落たエレピのコード展開に薄っすらと着飾るように美しいストリングスを添え、途中から入ってくる光沢を放つシンセのメロディーにより切なさを増していくディスコとハウスの甘美な邂逅だ。ややもすれば突き詰めると懐古的な音楽性へと回帰するだけになりがちなハウスという音楽において、懐かしくも全く古臭くもないモダンさと揺るぎない豊かな音楽性を以ってして、聴く者を納得させるだけの完成度がここにはある。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Andres - Believin' (La Vida:LA VIDA 003)
Andres -Believin

デトロイト・ハウスを愛する者だけでなくDJ DezことDez Andresの2012年作、"New For U"は多くのクラバーを魅了したその年を代表する曲となったのではないか。事実、Resident Advisorのトラック・オブ・ザ・イヤーのベスト1にも選出されるなど、ソウルやファンクにヒップホップなどの黒人音楽の要素を元に感情豊かなクラブトラックとして磨き上げたこの曲は、パーティーで聴かれる機会も多かった。Andresと言えばMoodymannにその才能を見出され過去にはMahogani MusicやKDJからのリリースが中心だったが、2012年に自身で立ち上げたLa Vida(第一弾は前述の"New For U"だ)からの作品でよりエモーショナルで温かいハウスミュージックの性質を強め、その注目度はデトロイト一派の中でも特別な程に成長している。La Vidaからの3作目、実に3年ぶりとなるこの新作も文句無しに素晴らしい。タイトル曲である"Believin'"はセクシーな男性ボーカルと熱い女性ボーカルが交互に現れ、しっとりと温かくメロウなキーボード使いが感情的で、そこに乾いて質素なビートがタイトなグルーヴで飲み込んでいく優雅に黒いディープ・ハウスだ。デトロイト・ハウスと言うともっとねっとりと粘着性があったり、より熱量の高いソウルフルな物もあるが、Andresのこの感情的ながらも生っぽく爽やかな心地良さは彼の特徴であろう。生っぽいベースがしっかりと基礎を支え乾いたパーカッションが小気味良いビートを叩き出す"Can't Shake It"は、展開は抑えめなミニマルな性質ながらもうっとりと耽美なエレピも添えられて、DJツール的な作風の中に人間味のある温かさも注入されている。一方"Jungle Pain"はローズやコズミックなシンセが華々しく用いられ、そこに跳ねるようにスウィングするジャズのようなビートが軽い躍動感をもたらしている。しかしどの曲も古ぼけたラジオから流れてくるような、何だか味わいのあるラフな音使いが耳に優しく馴染み、このサンプル使いがAndresの音楽性を確立させている。きっと本作も2015年のパーティーで幾度と聴かれる事になるような、そんな予感がせずにはいられない。



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Prosumer - Fabric 79 (Fabric Records:fabric157)
Prosumer - Fabric 79
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Berghain/Panorama Bar一派の中でも特にハウス・ミュージックに対しての誠実な愛を表現するProsumer。既にPanorama Barレジデントから身を引き、今ではそういった肩書きに左右される事なく世界各地のパーティーでプレイしているが、そんな彼にとって3年ぶりとなるオフィシャルMIXCDは名門Fabricからとなる。前作は古巣Ostgut TonからPanorama Barシリーズの一環としてのMIXCDだったが、Fabricからのリリースとなる本作も基本的にはProsumerの普遍的なハウス・ミュージックに対する視線は変わらない。MIXCDの冒頭を飾る"Time"からして93年作となる古典的なハウスだが、その軽快でパーカッシヴなグルーヴとシンプルで素朴なピアノのメロディーからは正にクラシカルという趣が発せられている。続くは妖艶なストリングスが先導するChez Damierによるこれまたクラシックな"Untitled B2"で、やはりProsumerのプレイはオールド・スクールという風格があるのだ。その後もA Black Man, A Black Man And Another Black ManやThe Traxxmenなどシカゴのゲットーハウスも登場し、序盤は素朴ながらも粗雑な質感のハウスでファンキーな展開を推し進めている。それ以降はクラシックなハウスも織り交ぜながらも、洗練されたモダンなディープ・ハウスから仄かに情熱的なテック・ハウスなどを中心に滑らかな展開で、ハウス・ミュージックの4つ打ちのグルーヴの心地良さを組み立てていく。面白いのは中盤でブレイク・ビーツやジャジー・ハウスを使用している時間帯だろうか、さらっとしなやかなビートと華麗な世界観を作り上げ、ほんの短い時間ながらも優雅に舞い踊るような瞬間さえもある。その後は再度、最新のハウスから古き良き時代のシカゴ・ハウスまで通過しながら、最後には82年作の"She's Got Her E.R.A."による艶かしいファンクでしっとりと幕を閉じる。新旧ハウス・ミュージックを織り交ぜながら決して大仰になる事なく、丁寧に曲のメロディーや雰囲気を尊重しながら繋ぎ合わせ最後までダンサンブルな展開を作るプレイは、正にハウス・ミュージックの感情的な面を表現しておりこれぞProsumerの持ち味が表現されている。




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| HOUSE10 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Francis Inferno Orchestra - A New Way Of Living (Voyeurhythm Records:VRLP01)
Francis Inferno Orchestra - A New Way Of Living
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2010年のUnder The Shadeからのデビュー以降、Sleazy Beats RecordingsやDrumpoet Communityなどのレーベルからディープ・ハウスからビートダウンな作風まで手掛けて、それぞれの作品が高い評価を得ていたメルボルン発のGriffin JamesことFrancis Inferno Orchestra。生っぽいブギーな質感に緩くメロウな感性から熱く昂ぶるファンキーな情熱まで込めて、フロアで映えるようなハウス・ミュージックを得意とするアーティストが、デビューから4年を経て初のアルバムを完成させた。アナログでは1枚でのボリュームなのでミニアルバムとして受け止めるべきであろうが、今までのEPとは異なりアルバムとしての流れはしっかりと出来上がっている。幕開けとなる"First Light"では華麗なピアノのコード展開が凛としているが、対照的にざらついてけたたましいビートがロウ・ハウス的で、荒い中からだからこそ美しさが際立っている。続く"Rap Beef"もやはりヒップ・ホップらしいドタドタとした荒い4つ打ちが目につき、そこにディスコのサンプルを用いたのであろうボーカルを反復させ、手に汗握るようなファンキーな展開を披露する。"Watching The Stars"ではオールド・スクールなシカゴ・アシッドらしいベースラインも登場し、硬いパーカッションも相まってほぼ現在のロウ・ハウスへと一致する作風になっている。そして裏面へと続くと、今までの荒い作風から一転してエモーショナルな温度感を強めたハウスが登場する。優雅に舞い踊るようなストリングスを配してスムースな展開を行う"Ellingford Road"、どっしりと重いキックが大地に根を張ったようなビートを刻みながらも切ないエレピが郷愁を誘う"The More You Like"、アルバムの最後を飾るに相応しいファンキーながらも華々しいゴージャスな音使いが目立つ"G.A.B.O.S."と、そのどれもが情熱的で切なく心にぐっと染み入るようだ。捨て曲はなくボリューム的にも適度な量なので上手くアルバムとして纏まっており、初のアルバムはFrancis Inferno Orchestraの名声をより高めるのではと思う。作風としては特に斬新な面は見受けられないのは否めないが、ハウス・ミュージックに対する誠実さと言う点で評価すべきだろう。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Glenn Underground Featuring Charles Matlock - The Isms (Strictly Jaz Unit Muzic:SJU12R13)
Glenn Underground Featuring Charles Matlock - The Isms

シカゴ・ハウスの第2世代の中でもGlenn Undergroundの近年の目覚ましい活動には、目を見張るものがある。ここ数年は自身が主宰するStrictly Jaz Unit Muzicから、アルバム/EP問わずに早いペースで新作をリリースしているが、だからといって質を下げる事もなくメロウかつ生音を打ち出した黒いハウスを量産している。本作も同様にStrictly Jaz Unit Muzicからの作品だが、ここではLil LouisとAnthony Nicholsonというシカゴ・ハウスの巨匠がリミキサーとして参加しており、ハウス・ミュージックのファンであれば注目せずにはいられないだろう。GUによる"The Isms"のオリジナルはCharles Matlockの淡々としたポエトリーを配したファンキーなハウスだが、渋いエレピやワウギターなどが終始うねって力強いグルーヴを生んでいる。大きく盛り上がる事も逆に落ち着く事もなく終始ミニマルな展開が続くので、DJ向けの機能性も高められているが、GUらしいオーガニックな作風は黒いハウスとしての匂いを発している。対してAnthony Nicholsonによる"Anthony Nicholson Sleazy Remix"は、爽やかで透明感のあるフュージョン的なシンセを導入しながらポエトリーにもダブ処理を施し、リズムはより砕けたビート感と生音の温かさを打ち出して、正にAnthonyらしい優美なフュージョン・ハウスの音楽性が前面に出た期待通りのリミックスだ。異色なのが奇才・Lil Louisによる"Lil Louis Dub"で、オリジナルに自らの"New Dance Beat"のサンプルを織り交ぜてしまったマッシュアップ的なリミックスを施しており、これはもうアイデア勝負でやったもん勝ちな内容だろう。三者三様、各々の持ち味を主張しながらそのどれもがパーティーを映えるような作風になっていて、充実した一枚になっている。




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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Rick Wilhite - Vibes New & Rare Music 2 (Rush Hour Recordings:RHM 010 CD)
Rick Wilhite - Vibes New & Rare Music 2
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Theo ParrishやMoodymannにMarcellus Pittmanと共に3 Chairsのメンバーとして、またデトロイトのレコ屋である「Vibes」(現在は閉店)のオーナー兼バイヤーとして、そしてDJ/アーティストとしても高い評価を得るRick Wilhite。2010年にはオランダのRush Hourと手を組み"Vibes : New & Rare Music"(過去レビュー)なるデトロイト/シカゴのアンダーグラウンドな音楽を集めたコンピレーションを手掛けた際に、そこで大物から隠れた原石まで引っ張り出して新旧世代を交えたソウルフルな音源を集め、流石のローカルなベテラン故の音楽センスを披露した。それから4年、再度Rush Hourと協力して手掛けた続編となる作品が本作なのだが、ここでは前作以上に意外ともとれるアーティストが集まっている。例えばニュージャージ・ハウスからBlazeのJosh Milan、NYハウスのベテランであるJovoon、シカゴの変態的なK-Alexi、そしてまだ余り名の知られていないJon Easleyがそうだろう。その一方ではデトロイトからはGerald MitchellやMoodymannにOrlando Voorn、Urban TribeことDJ Stingrayも招集し、Rickのセレクターとして人望の厚さが伝わってくる程のアーティストが揃っている。このように前作よりもその幅の広い人選故に音楽的にも多少のばらつきは見受けられるが、Josh Milanによる"Electro Dreams"にしても彼らしいソウルフルな温かさはありながらも、普段のBlazeよりは幾分かより無骨な質を強めていて、方向性としてはやはりデトロイトのハードな気質が勝っているようだ。Gerald Mitchellはいつも通りで"It's The Future"と言うタイトルを表現するような希望に満ちたアフロ・ハウスを展開し、Orlando Voornは"The Recipe"で煌めくような明るさを発するビートダウンを聞かせ、デトロイト勢はあるがままに自身の音楽性を披露している。レコ屋の元バイヤーとしての手腕を存分に発揮しているRickだが、アーティストのしての腕も間違いなく、Norm Talleyとの共作である"30 Years Later"では地面を這いずり回るような重心の低いビートダウン・ハウスで粘着質な黒さを発している。アルバムとしてジャンル的な纏まりはないかもしれないが、精神的な意味での音楽に対するアティチュードではアンダーグラウンドであり、その心意気は存分に伝わってくるだろう。




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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Defected Presents House Masters - Masters At Work (Defected Records:HOMAS21CD)
Defected Presents House Masters - Masters At Work
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ハウス・ミュージックにおける歴史においてどうしても通らずにいる事は出来ないアーティストがおり、今尚パーティーで燦然と輝くクラシックな音楽がある。Defected Recordsはそんなアーティスト毎に焦点を絞り過去の作品をコンパイルした「House Masters」というシリーズをリリースしているが、その最新作には遂にMasters At Workが登場した(ちなみに以前にもVegaとDopeは、それぞれ単独となる名義でこのシリーズにも登場している)。Louie VegaとKenny DopeによるMAWは今でこそ一緒に活動をする事は少なくなったが、ラテン・ミュージックやジャズから育ったVegaとヒップ・ホップやファンクからの影響が強いDopeは、互いの音楽性をクロスオーヴァーさせながらハウス・ミュージックの地盤を固めつつ、そして柔軟に拡大を行ってきた稀代のユニットだ。その余りある意欲と才能の為かオリジナル曲もリミックス曲も膨大な量があり、それらを遍く収録する為にこのシリーズでは初となる4枚組の大作となった。ここには現在も尚パーティーで聴く事が出来るクラシックが収録されているが、何はともあれMAWの中でも外す事の出来ない曲と言えばNuyorican Soul名義による"The Nervous Track (Ballsy Mix)"ではないだろうか。4つ打ちからの脱却としてヒップ・ホップ風ブレイク・ビーツと生のライブ感覚を持ち込み、ハウス・ミュージックに彼等の多様なルーツを落とし込んだ作風は今でこそ当たり前に聞こえるが、リリース当時の衝撃はきっと大きかったと想像するのは容易い。またRiver Ocean名義による"Love & Happiness (Yemeya Y Ochun) (MAW Original Remix Extended)"も生のラテンなパーカッションが怒涛のグルーヴを生み出し、何処かスピリチュアルでもある歌も相まって熱狂的なアフロ・ハウスを鳴らしている。そんな肉感的で人間味のあるダンス・ミュージックを手掛ける一方で、彼等は音楽的にメロディーやメッセージ性も大事にしており、Bebe Winansによる"Thank You (MAW Mix)"ではゴスペルのような歌と耳に自然と残る愛らしいメロディーが生きており、時代に左右されない普遍的な音楽性を手掛ける事という点でも類まれな才能を発揮している。その他にも本作にはMAWの代表曲が多数収録されており、もしこれから彼等の音楽を初めて聴くという人には、間違いなく本作を勧める事が出来る程に充実した内容となっている。リヴィング・レジェンドという言葉が一人歩きしてしまっている時代、しかしMAWこそリヴィング・レジェンドと呼ぶに相応しい存在である事を知らしめるコンピレーションだ。



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| HOUSE10 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
I'm Starting To Feel Okay Volume 6 10 Years Edition (Mule Musiq:MULE MUSIQ CD 44)
Im Starting To Feel Okay Volume 6 10 Years Edition
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本作のリリースにより何時の間にか日本発のMule Musiqが、設立10周年を迎えていた事に気付いた。そこで思うのは、日本に於いては個々のアーティスト活動は海外からも認められながらも、しかしダンス・ミュージックのレーベルが世界規模で運営を継続する事は非常に稀な事で、世界的に認められるレーベルはなかなか育たない。だがMule Musiqに関していえば傘下のMule ElectronicやEndless Flightなどを含めると、テクノ/ハウスだけに限らない音楽性と知名度に頼らない国内外の実力あるアーティストを起用する事で、多様性を伴うダンス・ミュージックを世界に展開してきている。インディペンデントな立ち位置を守りつつも世界へとダンス・ミュージックを発信する役割を担うMule Musiqの活動は、嘘偽りなくシーンの中で重畳な存在になっている。さて、そんなレーベルの10周年、そして「I'm Starting To Feel Okay」シリーズの6作目は、遂に2枚組へのボリュームへと発展した。国内勢ではKuniyukiにGonno、KzaやThe Backwoods、海外勢ではFred PやEddie Cに新鋭のMatt KarmilやMuskまで、手広く新旧実力あるアーティストの新曲を収録してMule Musiqの魅力をあまねく披露している。CD1はディープめのトラックからビートダウンにミニマルな作風が多いが基本はハウスのグルーヴで纏められており、CD2はニューウェーブやディスコにクラウトロックなどの影響も見受けられるダンス・トラックが中心かと思うが、特にどの作品からも感じるのは流行の音に寄り添う印象は受けずに(レーベル性・アーティスト性として)自分たちの音を持っている事だ。これだけレーベルが大きくなれば多少なりとも商業的な面が出てくるのは少なくない事だが、しかしMule Musiqにはそれとは相反する普遍的でありかつアーティストの個性を尊重する姿勢が伺えるのだ。規模が大きくなろうとインディペンデントな姿勢は崩さない、だからこそMule Musiqが高く評価される所以の一つだろう。そしてこのCDにはDJ Kent(The Backwoods)が本作に収録されている音源を使用してミックスを行ったDJMIXのダウンロードコードも収録されているので、MIXCDとしての楽しみ方も出来るようになっており、Mule Musiqの魅力を十分に堪能出来る作品である事は言うまでもない。



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| TECHNO11 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deetron - Fabric 76 (Fabric Records:fabric151)
Deetron - Fabric 76
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これでもにもメジャーからアンダーグラウンドまで数多のDJを起用し、人気を博しているMIXCDシリーズ「Fabric」の76作目は、スイスを代表するテクノアーティストの一人であるDeetron。00年代のハードミニマル全盛の時代に芽を出し、そのハードなスタイルにデトロイト・テクノにも通じるメロディアスな要素を加えた作風は、その世代の中でも個性が際立っていた。そしてハードミニマルが衰退する中で多くのアーティストが作風を変え、Deetronもよりディープかつ歌モノを手掛ける事で、時代に即しながら活動を続けている。本音でいうと当初はそのスタイルにも疑問はあったのだが、このMIXCDを聴く事でそんな変化もようやく馴染んできたのではと思う内容で、デトロイト・テクノ/シカゴ・ハウスのクラシックから現在形のトラック、果てはダブ・ステップやロックまで持ち込んでDeetronの私的な好みも匂わせ、ハードなスタイルから感情の起伏を感じさせるスタイルへの転身が結実している。出だしでいきなりジャジーな"Picadillo (Carl Craig's Breakdown Version)"を用意し、そこからスムースに透明感のあるメローなテック・ハウスへ移行、そこからファンキーなシカゴ・ハウスへと即座に展開が広がっていく。RedshapeやRippertonらのモダンなテック・ハウスもミックスし、中盤ではクラシックであるGalaxy 2 Galaxyの"Timeline"をさらりと落とし込むが、大ネタを用いながらも大袈裟になる事はなく揺蕩うようなリラックスした流れは実に大人びている。前半は4つ打ちを中心としたテクノ/ハウスが中心だったのに対し、中盤以降はパーソナルな音楽性を表現するようにバラエティー豊かに変則的に刻むリズムや癖のあるメロディーを伴うブレイク・ビーツやダブ・ステップも織り込み、Deetronのメロウで柔軟な音楽性が素直に打ち出されている。しまいには物悲しくもサイケデリックなAtoms For Peaceの"Before Your Very Eyes"も飛び出すが、そこにディープかつミニマルな"Falling The Same Way (Dommune Version)"が繋がる瞬間には、はっと息さえ飲むだろう。そしてラスト3曲ではパーティーの興奮が終息するようにがくっとテンションを落とし、しみじみとした余韻を残すシネマティックな流れでミックスは終わりを迎える。結果としてここにはかつてのハードなスタイルは殆どなく、クロスオーヴァーとでもいう柔軟かつ豊潤な音楽性があり、そして何よりもエモーショナルなムードが通底している。Deetronが製作するトラックがエモーショナルな方向に傾いている事を考慮すれば、このMIXCDもその結果として自然なように感じられるだろう。




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| TECHNO11 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Sascha Dive - Dark Shadow (Deep Vibes Recordings:DVR024CD)
Sascha Dive - Dark Shadow
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ベルリンでモダンなディープ・ハウスを手掛けるDeep Vibes Recordingsを運営するSascha Diveは、自らもRaum...musikやDrumpoet CommunityにTsuba Recordsなどの著名なレーベルからテクノとハウスを橋渡しするような作品をリリースし、アーティストとしても高い評価を得ている。機能的にミニマルな展開と洗練されたモダンなサウンドにひっそりと黒さ溶け込ませた音楽性は、事実Chez DamierやMoodymannにVirgo Fourもリミキサーに起用していた事からも分かる通り、ソウルフルなUSハウスの要素も秘めている。しかし4年ぶりとなるこの2ndアルバムではよりテクノ的と呼ぶべきか、以前のアルバムに見られたエモーショナルな方向性からダークでクールな音楽性に傾倒し、自身の音楽性を確固たるものとしている。アルバムの冒頭を飾る"Red Planet (Intro)"では闇の中で得体のしれない物体が蠢くようなサイケデリックかつドープなアンビエントを展開し、そこに続く"Dark Shadow"はアフロなパーカッションが躍動する中をマッドなボーカルサンプルと酩酊感を覚える暗いサウンドが散りばめられ、闇の深海を潜行するような流れでアルバムの方向性を決定付けている。続く穏やかな4つ打ちが現れる"In Your Soul"はアルバムの中でUSハウス色が打ち出たエモーショナルな作風だが、そこから再度"Dance With Me"や"New Moon"で暗い闇の中にスペーシーなサウンドが浮かび上がらせながらも、やはり温度感としては徹底して低く冷えている。その後も適切に抑制された4つ打ちハウスのグルーヴ感を継続しながらも、肉体的というよりはトリップ感溢れる覚醒的なサウンドが精神に作用するような曲調に纏められており、終始深い闇の空間の中を突き進むようなミニマルな流れとテック・ハウスの音質でダンスフロアへと導くようなアルバムだ。



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| TECHNO11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Move D - Fabric 74 (Fabric Record:fabric147)
Move D - Fabric 74
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ロンドン屈指のクラブであるFabricが送り出すMIXCDシリーズも既に74作目、ミックスを手掛けたのはDavid MoufangことMove Dだ。アーティストの面から言えば90年代のReagenz名義ではインテリジェンスなテクノを開拓し、故Pete Namlookとは実験的なアンビエントに取り組み、近年のMagic Mountain High名義ではよりロウで奇妙なハウスを試みている。その長い音楽活動をただ一つのジャンルに定義するのは難しい程に、アーティストとして多才である事は明白だ。がこのMIXCDにおいてはそんな多岐に渡る音楽性とは真逆の、フロアを意識したハウスに焦点を絞っている。幕開けはRoy Davis Jr.による余りにもエモーショナルなディープ・ハウスで始まるが、太いボトムがありながらも決して享楽的になり過ぎずに、慎ましい世界観にインテリジェンスを感じる。そこからもしっとりした音質をベースにファンキーな歌モノやソウルフルなハウスで、熱狂的ではなく穏やかな微熱で包み込むような音が続くが、中盤では幾分か昂揚するパーティー感を演出するように開放的なサウンドが増えていく。しかしやはり安定感、継続感のあるハウスの4つ打ちを頑なに守り、決して道を外すような独創的なミックスは行わずにハウスに収束する。思い出すと2年前にパーティーで彼のDJを聴いた時には、ハウスだけでなくディスコやエレクトロなども巧みに混ぜながらパーティーを盛り上げるプレイだった記憶があるが、このMIXCDでは敢えてハウスに焦点を絞っているのが意外に思える。アルバムの後半に進むと再度しっとりとしつつリズムは落ち着きを取り戻し、深く潜って行く厳かで流麗なディープ・ハウスへと回帰し、儚くも夢の世界にいたような余韻を残してミックスは終了する。作曲家としての多才さとは真逆のハウス一本に絞った本作は確かにMove Dの個性を感じ取るのは難しいだろう。しかし90年代のクラシカルなハウスと、またJuju & JordashやSmallpeopleなど近年のモダンなハウスまでが自然に編み込まれ、最初から最後までメロウな聞かせる音で貫き通した事でセンチな感情に浸れるのは請け合いだ。




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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
100DSR Compilation (Delsin Records:100DSR)
100DSR Compilation
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オランダと言えば古くからデトロイト・テクノに影響を受け、実験的かつフロアだけに集約されない広範囲なテクノをリリースする事に長けたレーベルが多い。その中でも1996年にオランダはアムステルダムに設立されたDelsin Records(とその傘下のAnn Aimee)は、ベテラン勢の安定した作品を手掛けると共に新人の発掘・育英にも力を注ぎ、数々の名作を世に送り出してきた重要なレーベルだ。最初にデトロイト・テクノに影響を受けたと述べたが、勿論そこから大きく飛翔しミニマルやブレイク・ビーツにリスニング系なども手掛けており、その多様性を十把一絡げに述べる事は最早出来ない。そんなレーベルの運営も17年に及ぶが、そのカタログ100番を飾るために用意されたのが本コンピレーションである。CDでは2枚組で、Delsinに関わりの深い新旧アーティストが(全てが新曲と言う訳ではないが)曲を提供しており、正にDelsinの音楽性を知るためにはこれぞと言うべき内容になっている。如何にもDelsinらしいピュアな響きを持つBNJMNによるリスニング系の曲もあれば、Delta Funktionenによる鈍い響きと低いベース音がダークな雰囲気を持つテクノもあり、ダブ・ステップに傾倒した今っぽいA Made Up Soundによる曲もある。Claro Intelectoの荒々しい残響が交錯するダブ・テクノもあれば、IDM的な音と戯れるようなCimのエレクトロニカもあり、Ross 154(Newworldaquarium)の退廃的なビートダウンだってある。極み付きはデトロイト第2世代のJohn Beltranが雨上がりの感動的な情景が浮かび上がる余りにも切ないアンビエントを披露している。これがDelsinだ、決して安住の地に留まらずに様々な音を吸収しながら、今という時代の音を創り出す現在形のテクノ・レーベルなのである。もしテクノを聴いていてDelsinに馴染みが無いのであれば、是非この機会に接触するには良い機会となるだろう。



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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jason Grove - Late Night Connections (Skylax Extra Series:LAX ES1)
Jason Grove - Late Night Connections

デトロイトのローカルシーンで80年代から活動しているDJと言う触れ込みのJason Grove(Groove?)は、2011年に突如としてSkylax傘下のWax Classicからデビュー作をリリースする。その後もSkylax周辺からのみリリースを続けつつ、Moodymannの作品をJMFG名義でエディットしたりと注目を集めているが、一向に正体が明かされない事から誰かの変名ではないかと最近では考えている。そんな謎に包まれつつも最新作をSkylaxから新シリーズとなるSkylax Extra Seriesの第1弾としてリリースしたが、なんとそこにはシカゴ・ハウスの伝説的ユニットであるVirgo FourのMerwyn Sandersとデトロイト・ハウスシーンからNiko Marksが共作として名を連ねている。流麗なピアノのコード展開とソウルフルなボーカルを活かしたベーシックなトラックの"Newlove"からして、小細工無しにハウスのクラシック性を説いているようだが、Merwyn Sandersが参加した"Let It Go"はもったりとしたベースラインとドタドタしたリズムが相まって、最近のアナログ感を強調したロウハウスとも共振するローファイな音質が良い味を出している。裏面には胸を締め付けるロマンティックなムードが強いハウスが収録されていて、パーカッシヴなリズムが力強くもLarry Heardばりの透明感のあるキーボードが望郷の念を駆り立てる"Xxx"、雑踏の音を取り込みつつ図太いキックと呟きボーカルがKDJを思わせる"Division Street"、Niko Marksのメランコリーな歌とフュージョン風なエレピが心揺さぶる"My Language"と、どれもお世辞抜きにして良質なハウス・ミュージックの時代が封入されているようだ。新しさを必要とせずとも変わらない事で守られるもの、タイムレスと言うべきハウス・ミュージックがここにある。



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| HOUSE9 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2013/12/28 夜の日本オシロサービス 〜笑顔と振動をあなたに〜 @ Oath
「笑顔を振動をあなたに」と言うコンセプトを掲げて不定期開催されている日本オシロサービス。STEREOCiTIとDenがホストとなってサンデーアフタヌーンのパーティーとして開催されており、特に二人によるパーティーの為より私的な音楽性が強く打ち出されている。来年にはSTEREOCiTIがドイツへと活動の拠点を移す予定なので今回で一旦は休止となるが、それに合わせて初の夜開催となった。
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| EVENT REPORT4 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Francois K - Renaissance The Masters Series Part 19 (Renaissance Recordings:RENEW05CD)
Francois K - Renaissance The Masters Series Part 19
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以前に比べると勢いは落ちているように思われるUKプログレッシヴハウスの指標となっていたRenaissance。そのレーベルでは大物プログレDJを招いてMIXCDをシリース化していたのだが、その最新作にはなんと意外にもFrancois Kを招き入れている。Francois Kがプログレッシヴハウス?いやいや、まさかそんな安直な事を彼が当然するわけもないが、しかしジャンルの垣根を越えて音楽に対して隔たりなく平等に向き合ってきたからこそ、このRenaissanceのシリーズを手掛ける事も本来はおかしな事でもないのだろう。先ず以て断言しておくとやはり内容は最近の彼の傾向が強く出たテクノセットにはなっているが、良い意味でのベテラン的な安定感と成熟した大人の親父の包容力を持ち合わせており、パーティーの一夜の流れを感じさせつつも非常に丁寧なミックスを施している。1枚目はJazzanovaのレイドバックしたディープ・ハウスから始まり、Francois自身のラグジュアリーな新曲のハウス、そして音響系ダブハウスなどでじっくりとフロアに火を入れていく。メロディアスなシーケンス、かっちり安定感のあるビートが強まりながらテクノやハウスが気付かない内に融解した流れに巻き込まれ、トレンドもしっかりと掴んだ硬めの厳ついダブ・ステップも混ぜながら1枚目は終了。そして2枚目は最初からパーティーが盛り上がっている時間帯の雰囲気から始まり、パーカッシヴで野性的なハウスやエモーショナルなデトロイト風のテクノ、またはTechnasiaによるシカゴ・ハウスらしいジャッキンなトラックなどピークタイムに合わせた曲を用いて、真夜中の狂騒へと雪崩れ込んでいく。終盤では破壊力のあるLen Faki Remixや大箱仕様のスケール感の大きいテクノを投下し、最後の最後でChronophoneによる感動的なラストに相応しい切ないデトロイト・テクノで見事に幕を閉じる。余りにも自然な流れ、現在のモードを掌握したセンスは、意外性ではなく正攻法で自身の音楽性を存分に表現しているようであり、王道的でありながら時代のさなかに存在している事を証明しているのだ。派手ではないかもしれないが、DJと言う行為に対して非常に真面目な性格が伝わってくる良心の作品だろう。



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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Hacienda 30 (Newstate Entertainment:newcd9121)
Hacienda 30
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1982年5月21日、ロンドンなどの先進都市に比べれば到底モダンとは言えない工業都市であるマンチェスターにて、後々語り草となるクラブ"Hacienda"はオープンした。途方もない資金を投資し野暮ったい街には似つかわしくないハイセンスなクラブを造り、エクスタシーが流行ったせいで酒が売れずに常に赤字経営にもかかわらず、クローズするまで妄信的にもHaciendaを走らせ続けた共同運営者の中にはNew OrderのPeter Hookもいた。決して経営的には成功とは言えないこのクラブが、しかし名声を獲得したのはジャンルを超越したオープンマインドな音楽性だった。当方も含め勿論リアルタイムでそれを体験している人はそれ程多くはないだろうが、それでもこのHacienda創立30周年記念のCDを聴けば幾らかは、いや十分に時代の空気を感じ取れる筈だ。本作でミックスを手掛けたのは前述のPeterに、HaciendaのレジデントDJでもあったGraeme ParkとMike Pickeringだ。Graemeは徹底的にハウスに拘りを見せ、ソウルフルで胸が熱くなるトラックから覚醒感のあるアシッディーなトラックを緩いBMPながらも跳ねたグルーヴで繋ぎ、Mikeは毒気付いたブリープ・ハウスから始まり粗悪なシカゴ・ハウスやレイヴィーなテクノまでクラブの混沌とした空間を描き出している。Peterはお世辞にも上手いDJとは言えないが(笑)、お得意のロッキンな曲もふんだんに使用しマッドチェスターな時代を再現している。ここにパッケージされたその多くの曲が、今となってはクラシックと呼ばれる時代を越えて愛される曲であり、Haciendaを狂乱の渦に包み込んでいた曲であったのだろう。決して新鮮味があるでもないし余りにも時代を象徴し過ぎている音はダサくもあるのだが、このごった煮な狂騒が一夜をどんなに素晴らしいものとしていたかは、きっと伝わってくるだろう。

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| HOUSE8 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
2012/11/24 Mixmaster Morris Japan Tour 2012 "NEWSUN " @ OPPA-LA
丁度一年前にも開催されたNEWSUN @ Oppa-Laが昨年に引き続きMixmaster Morrisをゲストに迎え、そしてMorrisとも交流のあるDJ YogurtやGross DresserにKeiが脇を固める布陣により、NEWSUN 兇箸覆蟶Gも開催されました。Oppa-Laは江ノ島が見える海の前にあるPOP喫茶と言う形態のクラブで、朝方は天候が良ければ日の出を拝める珍しいクラブです。それにパーティー名を合わせたかのようなNEWSUNと言うパーティー、今年は一体どうだったのでしょうか。
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| EVENT REPORT4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Hacienda : How Not To Run A Club / Peter Hook (著)
The Hacienda : How Not To Run A Club Peter Hook
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The Hacienda、1982〜1997年まで営業を続けていたマンチェスターの元祖スーパークラブ。Factory Recordsが手掛ける作品としてFAC51のカタログナンバーを持つクラブであり、そしてUKにおけるアシッドハウス・ムーヴメントの起点にもなった伝説的なクラブだ。それを運営していたのがFactoryのメンバーでもあるかの有名なTony WilsonやRob Grettonであったのだが、そこにNew Orderのメンバーも共同経営者として参加させられてしまった。本書はNew Orderとして活躍していたPeter Hookの視点から見たThe Haciendaに纏わるストーリーであり、Peter Hookの波乱万丈な人生の回顧録でもある。Hookの記憶によれば真実のみを書いたと言う本書を読むと、The Haciendaの負の側面として認められているエクスタシーをクラブで使用していた人は実際には多くても1割だった言う意外な話や、New Orderが産み出した多くの利益はThe Haciendaと言うブラックホールの殆ど飲み込まれていたと言う冗談にも聞こえた伝聞が、今やっと真実として受け止める事が出来る。そして80年代前半、Paradise Garageの音楽とオーディエンスこそが全てと言う姿勢に影響を受けライブハウスからクラブ営業へとシフトし、80年代後半のアシッド・ハウスとエクスタシーによる大爆発を得るまでの音楽的な変遷を読むだけでも面白いのだが、その裏で常に赤字を垂れ流していたのがThe Haciendaだったのだ。お粗末にも経営的手腕が無いメンバーがしかし音楽に対する深い愛情があったからこそ、その様なクラブが成功(?)を収めた事には悦びと共に虚無感も漂うが、もしNew Orderが売れて利益を出していなかったらThe Haciendaとその後に続くカルチャーも無かったのかもしれないのだ。全てはFactory RecordsのメンバーとNew Orderの音楽への愛情が成せた変革だったのかもしれない。そしてドラッグと結び付いたアシッドハウス・ムーヴメントの過剰な盛り上がりは、負の側面としてドラッグ密売や暴力と言った問題を生み出し、その結果クラブの衰退へと繋がっていくのは何とも皮肉な事だ。クラブでの11周年記念ではDavid Moralesがゲストに呼ばれていたのだが、誰かがMoralesの背中を瓶で殴り彼の背中がぱっくりと切れてしまったそうだ。その時のMoralesの発言が「血を流すほどのギャラはもらってないんだけど」とあり、いかにクラブ内が混沌と危険に満ちてしまったかのかを示唆している。Hookにとっては暗くなるような話もあるが、当時のシーンを皮肉混じり語る筆者の口調に陰鬱さはなく興奮や隆盛が素直に伝わってくる作品だ。
| FOOD,TRAVEL,HOT SPRING,ETC2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2011/08/12 SONICMANIA @ 幕張メッセ
普段クラブばかり行って大型フェスには行かない自分ですが、今年はPrimal Screamの"Screamadelica"誕生から20周年。その記念の一環としてバンドは"Screamadelica"ライブツアーを行っており、日本にも来る事になったのでこれ目当てにSonicmaniaへと行ってきました。まあ最初に結論を言うとSonicmaniaと言うフェス自体は正直つまらなかったな〜と言う気持ちです。
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| EVENT REPORT3 | 09:00 | comments(4) | trackbacks(1) | |
Junior Boys - Banana Ripple (Domino Recording Company Ltd.:RUG410T)
Junior Boys - Banana Ripple
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ポストロックからエレクトロニカまで幅広く、そして奇抜なアーティストを擁する今となってはインディーの大御所レーベルとなったDomino Recording。で今日紹介するJunior Boysもそんなレーベルに所属するカナダのエレポップデュオ。今までにもクラブサウンドにリミックスされた彼等の楽曲は聴いた事はあるものの、純粋なオリジナル音源はこのEPが初めて。今まで聴いてきたがっつりテクノなリミックスに比べると随分とポップで洗練された歌物で、まあ良く言えばNew Orderを上品に作り込ませて優等生にしたような感じ。勿論これ自体が都会的な夜の賑わいを感じさせるダンスなグルーヴはあるし、初々しい歌いっぷりには爽やかな青春の甘さも感じられます。しかし本盤の一押しはやはりKompaktからのシューゲイザーユニット・The Fieldのリミックス。ポコポコと流れるようなグルーヴを生み出すパーカッション使いや、シューゲイザー風なモヤモヤとした上物のミニマルな展開は、オリジナルのポップさを残しながら完全なるクラブサウンドへと生まれ変わっていて、と言うかどこを聴いてもThe Fieldになっちゃっています。光の中に飛び込んで行くような多幸感に包まれるバレアリック×シューゲイザー×ハウスなリミックスで、見事にオリジナルを喰いましたね。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Signaless - No Signal (Felicity:FCT-1007)
Signaless - No Signal
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"あらかじめ決められた恋人たちへ"の池永正二と、ゆーきゃんから成る"ゆーきゃんmeetsあらかじめ決められた恋人たち"改めシグレナスとなった二人組のユニット。僕自身は個々のユニットに関しては全く未聴なのだけど、このユニットに関して言えば90年代前半のマッドチェスタームーブメントやインディーダンス、サイケデリックやチルウェイブを通過し、そして懐かしさと虚無感の混在する今風なユニットだと認識している。音的に言えば特に斬新さと言える物は無いだろう。Chapterhouseを思い出させるシューゲイザーな"y.s.s.o."、Pet Shop Boysみたいなユーロダンスな"ローカルサーファー"、New Orderらしいロッキンなダンスチューン"パレード"、打ち込み時代のSupercar風な"Lost"、切なさを心の奥底から呼び起こすフォークソング"星の唄"など90年代前半にも通じる懐かしさがふんだんに詰まっている。まあしかしあの時代のような狂乱騒ぎで現実を逃避するのでもなく、弱さに飲み込まれないように高らかに詩を歌い負けないように力強いビートで踊り、あくまでもまだ現実感も保っている。言うならばそれはまるで現実的なファンタジーとでも言うべきか、厳しい現実があるからこそ夢想にのめり込めるのだろう。甘酸っぱい感傷に浸り、涙を振り切り精一杯踊り、ほんのひと時だけでも淡いサイケデリアに包まれるのも悪くない。

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| ETC3 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2010/10/10 MADCHESTER NIGHT 2010 @ SEATA
イギリスにおいて90年前後に爆発したムーブメント、それがマッドチェスター。ダンスとロックの邂逅によるインディーダンス、アシッドハウスによるトリップ、危険なエクスタシーの誘惑はクラブ・ハシエンダでの狂乱を呼び起こし、ロック野郎共さえもダンスの道に引き込んでしまった。今回はマッドチェスターの時代を体験したDJ Yoda、Kenji Takimi、DJ Yogurtの3人がそんな時代を再現した。

内容に関してはもうツボに入りまくりの選曲で、Primal Scream、My Bloody Valentine、The Stone Roses、New Order、The Charlatans、James、The La's、KLF、The Boo Radleys、Rideなどのロックミュージックのダンスリミックスを中心とした踊れてロッキンなプレイ。つまりはロックとダンスが交差して個人的には一番ロックが楽しかった時代を思い出させる内容で、今となってはちょっとダサさも漂うインディーダンスを懐かしくも思いつつ腰にグイグイくるグルーヴでしっかりと踊らせて頂きました。予想していたアシッドハウスやアンビエントハウスは殆どかからなかったはずで、踊れるロックと言うコンセプトでプレイしたのかもしれないですね。残念ながら朝方4時頃にクラブを出てしまったのでDJ Yodaのプレイは聴けなかったのですが、その後にもBlurやMassive AttackもプレイされUKロック満載な一夜だった様です。一年に一度のパーティーだそうですが、たまにはこんな時代を感じさせるコテコテなパーティーは懐かしさもあって楽しいものです。また来年も是非!
| EVENT REPORT3 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Stone Roses - Elephant Stoned (Yo&Ko Super Long Edit) (White:YOKO002)
The Stone Roses - Elephant Stoned (Yo&Ko Super Long Edit)

一時代を築いたグレートブリテンの奇跡、The Stone Rosesの名曲を謎のYo&Koユニットがエディット。ちなみに原曲が収録されているローゼスの1stはJohn Leckieがプロデュースしておりますが、"Elephant Stone"だけは実はNew OrderのPeter Hookが手掛けております。そのせいか彼らの楽曲の中でも、やたらとダンスグルーヴが強調された曲でもあります。このYo&Koエディットでは原曲のエヴァーグリーンなイメージは壊さずに、4つ打ち仕様かつロングエディットしたフロアでミックスし易い様にアレンジされております。終わるかと思っても終わらない何度でも何度でも盛り上がりと高揚が押し寄せてくる展開、キラキラとした輝きが辺りを包むポップなサウンド、これを至福と言わずして何と言う。20年以上も前の曲なのに、現在も尚光り輝く珠玉の名曲です。そして裏面にはインストと言うかダブミックスが収録。ボーカルが無い分だけ、エディットされた状態がより明確になりトラックそのものの良さを感じられるバージョンです。

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| HOUSE6 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Joaquin Joe Claussell Presents The World Of Sacred Rhythm Music Part One (Music 4 Your Legs:MFYL003)
Joaquin Joe Claussell Presents The World Of Sacred Rhythm Music Part One
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90年代にスピリチュアルハウスなるオーガニックなダンスミュージック大旋風を巻き起こし、00年代後半に入ってからもSacred Rhythm Musicを設立しより荘厳で神聖さを極めたダンスミュージックを創作するJoe Claussell。場合によってはスピリチュアルと言う言葉が一人歩きし、デジタル配信が隆盛を誇る現代においても時代に抗う様に12インチどころか7インチも大量にカットするなど、ともすれば妄信的で胡散臭い宗教思想ともとられてしまう彼の音楽人生だが、実の所彼が関わった音楽を聴けばそんな心配はただの杞憂に過ぎない事が分かる。生命力に溢れた大地の鼓動と共振するリズムと耳触りの良い温かみのあるアコースティックな音色、そして彼独特のサウンドエフェクトを駆使した音楽は、ハウスまたはダンスミュージックの枠を超えた神秘的でありながら普遍的な音楽へと昇華され、まるで慎み深い祈りの様でさえもある。Sacred Rhythm Music初のコンピレーションとなる本作において、大半の楽曲には何らかの形でJoeが関わりを持ち、そしてJoeがその才能を惚れ込んだ日本人のトラックも収録されている。そのどれもが生命力に溢れた力強さと凛とした美しさを兼ね備えている。全てを聴き終わり静寂の後に訪れる余韻は、雨上がりの朝の清々しさや安堵にも似ている。まるで聖なる雨が人の心の中に溜まった汚れを洗い流した様に。

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| HOUSE5 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
2010/02/12 bug III @ Lazy Workers Bar
小野島大さん、24noさんが開催しているbug IIIでちょこっと回してきました。場所は渋谷の小さなバー・Lazy Workers Bar。以前は無かったDJブースが作られていて、しかも最新のCDJも用意されていたり、なかなかの設備。20名入ればいっぱいになってしまう小さなバーですが、むぅなかなか侮れん。

自分が着いた頃にはハッチΨさんがプレイ中。90年代のシューゲイザーを中心に回してましたが、ダムドの予想外なゴシックな曲も回したりしてびっくり。ダムドってパンクだけじゃなかったんだ…

で自分は一時間の中で下記のトラックをプレイ。新しいトラックと懐かしめのトラックを混ぜながら、黒っぽさとムーディーさとエモーショナルな音を表現したつもりです。しかしまあ好きな曲をかけると気分爽快ですね、スカッとしました。
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| EVENT REPORT2 | 09:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
2009/11/20 AT-FIELD @ EFFECT
祝・脱DJ童貞!!

友達の下川カユコさんと全玉ちゃんが企画するAT-FIELDと言うパーティーでDJしました〜。自分が思ったよりも多くの人に遊びに来て頂いて、本当にどうもありがとうございました。ミキサーも持ってないんで当然繋ぎも出来ないので内心不安でしたが、取り敢えず自分の好きな曲をがしがしと回させて頂きました。う〜ん、レコードはやはりピッチ合わせや繋ぎが難しい…。後でCDJも使ったんだけど、BPM出るからレコードよりかなり扱いが楽でしたね。続きで回した曲やパーティーのお写真でもどうぞ〜
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| EVENT REPORT2 | 17:45 | comments(12) | trackbacks(2) | |
Hacienda Acid House Classics Compiled And Mixed By Peter Hook (New State Music:NEWCD9054)
Hacienda Acid House Classics Compiled And Mixed By Peter Hook
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New OrderのPeter Hookが選曲&ミックスを行ったクラブハシェンダの夜を蘇らすアシッドハウスコンピレーション。って、この手の企画は今までにも山ほど出てるんだけど、なんか似たようなのが去年にもあった気がする。と思ったら「The Hacienda Manchester,England Acid House Classics Vol.2 Compiled By Peter Hook」(過去レビュー)の事か!!!幸いにも収録曲は被ってないので良かったけど、流石に乱立させ過ぎじゃないでしょうか。でもまあ内容に関してはなかなか良いと言うか、割とクラシカルなアシッドハウスが収録されていて、この手のコンピを持ってない人には十分に楽しめる内容だと思います。基本的にビキビキなアシッドフレーズが炸裂するチープなハウスが中心で、懐メロ大会みたいな感じかな。目玉もちゃんとある。Peter Hookがこの作品の為に作ったのかどうかは知らないが、Manray名義で新曲を2曲提供しているのだ。そして名曲"True Faith"のダブバージョンである"True Dub"なんて言う珍しい曲もある。哀愁漂う"Last Rhythm"もセンチメンタルで泣ける位素晴らしい。狂気と歓喜に溢れたハシェンダの空気が、正にこのコンピレーションに詰まっているはず。

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| HOUSE5 | 09:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Factory Records : Communications 1978-92 (Warner Music UK Ltd.:2564-69379-0)
Factory Records : Communications 1978-92
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イギリスのマンチェスターで創立された伝説のインディーレーベル・Factory。まさに音楽の工場的にJoy Division(New Order)やHappy Mondays、The Durutti Column、A Certain Ratioらを輩出した素晴らしく馬鹿馬鹿しいレーベルだ。そんなレーベルの音源を時代順に正しく収めた4枚組みのコンピレーションが本作。Factoryと言えばやはりクラブハシエンダを忘れてはならない。オマンチェブームの発端であり、UKにおいてアシッドハウス爆発のきっかけになったクラブでもある。しかしドラッグが流行ってお酒が売れないから常に赤字経営だったとか、ドラッグ抗争による危機に晒されていたとか、とにかくその知名度とは裏腹に不安定なクラブだったらしい。そして母体Factory、初期のニューウェーブから後期のダンスムーブメントまで時代を作っていったレーベルの一つである事は言うまでも無い。本作収録曲を見て驚いたのは、Cabaret VoltaireやJamesまでの作品もリリースしていたと言う事。確かに前衛的だったんだね。自分もNOやハピマン位は聴くものの他のアーティストに関しては聴く機会が無かったので、この手のコンピは大変有難い。時代が時代だけに音が古いんだけど、そのダサささえも愛らしい。そしてブックレットには収録曲の解説やジャケット絵も収録されていて、その美しいアートワークにも感動物だ。非常に美味しいコンピレーションですな。

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| ETC3 | 01:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
The Best of James (Fontana:536 898-2)
The Best of James
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例えばNirvanaがカルト的な人気を得てもPearl Jamが正当な評価を得なかった様に、例えばManic Street Preachersがイギリスにおいては絶大な人気を誇ろうと日本では過小評価される様に、例えばSmashing Pumpkinsがオルタナ代表格として認知されてもLive(ライブって言う超人気のあったUSのバンドね)は無視され続けたように、そして日本においてThe Smithに対してのJamesが正にそんな位置付け。The Smithと同じくオマンコ…じゃなくてオマンチェ出身で、活動開始もだいたい同じ頃の1981年位かしら。でもまあとにかくJamesは初期の頃は確かに本国UKにおいても、The Smithに比べると格段に人気がなかったんだ、そりゃ当初は名曲が無かったですから。しかし、しかし91年に再レコーディングされリイシューされた"Sit Down"は爆発的な人気を博し一躍トップアーティストの仲間入りしたもんですよ。がですよ、それでも日本では一部の評論家やへヴィーリスナーを除き無視され続け、今でも同じ様な扱いを受けている。オマンチェと言えばThe SmithからNew Order、The Stone Roses、Happy Mondays、そしてOasisまでも輩出した由緒あるロックの街で、Jamesも同じ様に語られてもおかしくないバンドのはずなんだけど…。初期U2とかThe Smithのサウンドが好きな人には、Jamesの音楽もきっと心に響くはず。ギミック無しでメロディー重視の直球ブリティッシュロックで、甘さとほろ苦さの混じった青臭い音楽ですよ。





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| ETC3 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ryuichi Sakamoto - 未来派野郎 (Midi Inc.:MDC7-1015)
Ryuichi Sakamoto-未来派野郎
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ソフトバンク:携帯契約、就活学生に「営業」 厚労省調査
ソフトバンクこと孫正義はまじで氏んでいいだろ。就職前の学生に携帯契約数で採用の可否の判断基準にする特別枠を設けているって話。嫌ならそんな特別枠に受けなければ良いだろって話は無しの方向で。就業していない学生さんを無償で働かせるんだ?孫の考えは日本人には思いつかないわw。つかこいつはまじで倫理観や道徳観が完全に欠如しているけど、こんなのが社長な会社はまじでやばいだろ。言い訳で「多く契約が取れたからといって、すぐに採用するというものではなく、問題はないと思う」とかほざいてるんだけど、逆に言うと沢山契約取っても不合格にさせますよって事じゃん。どう考えても罠だろ。ソフトバンクはまじで潰れた方が日本の為になる。そしてこれをネットでは擁護している馬鹿が意外といて驚いた。ソフトバンクの工作員なのかしら?

坂本龍一の1986年リリースの通算6枚目のアルバム。80年代までの教授の作品はほぼ傑作ばかりなので、本作も間違いなく買いの一枚。詳しい制作環境は分からないのだけどなんでも本作からDTMを本格的に導入したそうで、強烈なデジタルシンセや金属的なサンプリング音がふんだんに使用されております。ただそう言った機械がメインになったからと言って機械にコントロールされ人間性を失うどころか、逆によりロック的にダイナミックな作風になっているのが特徴。最先端技術を幾ら導入しようと目先の技術に陥る事無く、それらを巧みに生かしてファンキーなリズムやアタックの強い音がより強靭な音楽を生み出しているのです。なんと言ってもドラムキックの音が格好良くて、ぐちゃっと潰れた触感が堪らないですね。いかにも80年代的な懐かしい音の作りだけど、今聴いてもめちゃめちゃイケてるサウンドだと思います。また先端技術を使った制作環境以外に目を向けると、曲その物は意外にもポップであり、またブイブイ唸りをあげるベースラインがファンキーだったりヒップホップ風のリズムがあったりと、実はかなり耳に馴染みやすい作風が多いですね。教授のポップセンスって昔から非凡なる物があったんですね〜。ちなみに"Ballet Mecanique"は、後に中谷美紀によって"クロニックラブ"としてカヴァーされております。





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| ETC3 | 00:10 | comments(5) | trackbacks(1) | |
New Order - Republic (London Records:828 413-2)
New Order-Republic
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最近ニューオーダーのこの6枚目のアルバムをよく聴いております。昔深夜にBeat UKと言うUK音楽を紹介する番組があったのだけど、そこで93年当時にこのアルバムのリードシングルである"Regret"が流れていて、兄貴に薦められて聴いておりました。この"Regret"の後悔の念を吹き飛ばすかの如く前に突き進むきポジティブなエネルギーに溢れた曲は、ニューオーダーの曲の中でも最も美しく、そして聴く者全ての不安を払拭出来る最高の曲です。しかしここに辿り着くまでには彼らのアイデア発信地でもあるFactoryレーベルの身売りやら、彼らも運営に携わっていたクラブ・The Haciendaの衰退など、決して彼らにとって良い状況ではなかったのでした。実際このアルバムが出るまでに各メンバーは勝手にソロプロジェクトを始めたりしバンドは半ば分裂状態にあったのですが、しかし前作から4年越しのこのアルバムはニューオーダー史上最もメランコリーかつポップで完成度の高い内容となっていたのでしす。冒頭の"Regret"が凄すぎて他の曲が霞んでしまっていると言う意見もよく聞きますが、僕はそうは思っておらずむしろ一番バランスの取れたアルバムだと思っています。鋭角的な音は減り丸みを帯び耳辺りは優しくなって洗練され、ポップなメロディーを前面に出し、そしてどこか寂しげな気持ちを喚起させるメランコリーの嵐が吹き荒れる展開で、良く言えば取っ付き易いアルバムなのです。勿論初期の荒廃し尖っていた頃の彼らも好きですが、どうにもこうにも本作での深い哀愁が涙を誘い心を離さないのです。きっとマンチェスターブームの終焉がダンスではなく、メランコリーを選ばせたと言う事なのでしょうね。

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| ETC2 | 21:20 | comments(5) | trackbacks(0) | |
New Order - Retro (Rhino Entertainment Company:5186504532)
New Order-Retro
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何故かまだ廃盤でもないのに、2002年にリリースされているNew Orderの4枚組ボックスセットがリイシューされました。New Orderと言えばギター中心のロックスタイルから電子楽器中心へのダンスミュージックバンドへと見事に転身したUK屈指の親父バンドで、特に今でもクラブで多々回される事がある"Blue Monday"が有名ですね。演奏はど下手だし歌も軟弱で本当にベテランかよと疑いたくなりますが、強烈なデジタルビートとメランコリックなメロディーを武器に肉体と心を震わすその音楽性は、21世紀になった今でも唯一無二のもの。またNew Orderはクラブミュージックファンからも人気が高く、まだ余りNew Orderは知らないよってお方には是非とも聴いて欲しいと思います。この4枚組は、Pop(シングル集)、Fan(隠れた名曲?)、Club(リミックス集)、Live(そのまんま)の4つの盤から成り立っていまして、ビギナー向けと言うよりはNew Orderにずっぽりはまっている人向けの内容です。何故なら入門向けにはベスト盤が幾つか出ているから、そっちを買えば良い訳ですからね。じゃあこのボックスセットは価値が無いのかと言うとそうでもなくて、今までのベスト盤からは違う視点で選ばれたPopとクラバー向けのClubの楽曲はなかなか面白いし、特にLiveの内容が一番注目です。なんとLiveの楽曲はPrimal ScreamのBobby Gillespieが選曲をしていて、1981年から2002年までのなんと20年間の変遷を感じる事が出来る内容です。初期の頃のたどたどしく荒削りながらも、骨身を削り燃え尽きるような迫力のある音は本当に素晴らしいです。また年代が新しくなるにつれ打ち込みが増え、よりグルーヴィな曲が増えていくのも彼等なりの進化と言えるでしょう。Liveの盤だけでも十二分に価値がありますね。自分が買った当時は6000円位してたんだけど、現在の円高の影響かリイシュー盤は3000円代で買えるなんてお得ですな。

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| ETC2 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Hacienda Manchester,England Acid House Classics Vol.2 Compiled By Peter Hook (DefSTAR Records:DFCP52)
The Hacienda Manchester,England Acid House Classics Vol.2 Compiled By Peter Hook
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マンチェスター、ファクトリー、アシッドハウス、セカンド・サマー・オブ・ラブ、そしてハシエンダ。90年前後、イギリスでロックとダンスが歩み寄りインディーダンスなんてジャンルも生まれ、みんなが夜な夜なEを喰らって踊り狂っていた時代があったそうで。Stone Roses、Happy Mondays、Primal Scream、Charlatans、Inspiral Carpetsなどなど数多くのロックバンドがダンスに接近し、短い時間の中を夢見ていた頃があった。そしてそんな時代を誘発した音楽こそ、狂気のアシッドハウス。TB-303の調子外れの覚醒的なベース音こそが人々を狂わせるには絶好の薬だったのです。とそんな時代の音楽をそんな時代を生き抜いてきたNew OrderのPeter Hookがコンパイルしたのが本作です。流石に時代が時代の音だけに古臭さは否めず、リアルタイムでその時代を体験していない僕には本作を聴いても大した感動も無いのですが、これを聴くだけでもその時のクラブでの一夜はさぞかし楽しく狂えたであろうと予想出来る快楽と享楽に満ちた選曲です。この様な編集盤を聴いていると、テクノやらハウスだとかロックだとかそんな事はどうでも良くて、とにかく快楽的に踊れれば良いと言う本能に忠実な気持ちになれます。ハシエンダでは今ではスーパー有名なDJもプレイしていたりとにかく色んな意味で凄いクラブだったらしいけれど、最終的にはドラッグ関連の殺人事件などが引き金になってクローズしてしまいました。音楽(とドラッグ)の魔力は人をも狂わせたのでした。

しかしよ、この手のアシッドハウスコンピはどれだけリリースされれば気が済むんだ?既にアシッドハウスコンピは、家に10枚位は溜まっている気がする…

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| HOUSE4 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nine Inch Nails - Y34RZ3R0R3MIX3D (Interscope Records:B0010331-60)
Nine Inch Nails-Y34RZ3R0R3MIX3D
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90年代は圧倒的なオーラを纏いカリスマ的な存在と君臨したNINのTrent Reznor様ですが、近年のオーラの低下っぷりに正直ファンとしては興味を失っているこの頃であります。2005年の"With Teeth"(過去レビュー)、そして本年度の"Year Zero"(過去レビュー)と肉体性を増すにつれて神々しさを失っていくのは、なんとも皮肉めいた事でしょうか。やっぱりNINならキチガイな壊れっぷりを発揮していた"The Downward Spiral"(過去レビュー)のインダストリアルサウンドが最強で、あれはある意味インダストリアルの頂点でもあると考えております。

まあそんな昔を懐かしんでもしょうがないのですが、"Year Zero"のリミックス版である本作は予想よりも全然良いじゃないですか。正直リミキサーの面子見た時には、New OrderのStephen Morris & Gillian Gilbert、Bill Laswell、Fennesz位しか分からなかったから期待してなかったんですわ。でもオリジナルが凡庸過ぎたせいか、このリミックス盤ではオリジナルより幾分かノイジーで壊れかけていてだから格好良い。幾つか気になった曲を挙げると格段に良いのがFenneszで、痺れるほどのノイズを発しながら極限美まで上り詰めるエレクトロニカを聴かせてくれます。元々非常に美しいメロディーをかけるNINとの相性は想像以上にばっちりですね。Modwheelmodはダンスビートをがんがん打ち込んでいて、エレポップ風だった最初期のNINっぽくて懐かしいですね。ノイジーなスラッシュギターを載せたBill Laswellのリミックスは、まるで全盛期のNINみたいです。New Order組はまあ予想通りだけど、ニューウェーブ色濃い目のエレポップですが廃退的なNINの雰囲気には合っています。一番独特なのがKronos & Enriqueで、弦楽器を前面に押し出してクラシック風にアレンジしているのだけれど、これが予想外にも荘厳な世界観を演出していてナイスです。結局リミックスそれぞれの音がありつつNINのイメージを壊さない本作は、オリジナルより遥かに満足できました。

つか全部Fenneszにリミックスさせてみたい、まじFenneszヤバスギ。

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| ETC2 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Dave Clarke - Remixes & Rarities 1992-2005 (Music Man Records:MMCD026)
Dave Clarke-Remixes & Rarities 1992-2005
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Dave Clarkeと言えば兎にも角にもフィルター流行の起爆剤となった"RED"シリーズが有名なんですが、近年はFatboy Slimのレーベル・Skintから作品をリリースしていて平凡なブレイクビーツをやったりしてなんだかなーと言う状態です。しかしそんな彼に愛想を尽かしている人には、彼が今までに手掛けたリミックス集を聴いてみて欲しいと思います。タイトル通り新旧のリミックスが収録されておりますが、やはりどちらかと言うと昔の作品の方が素晴らしい出来が多いでしょうか。DJ Rush、Green Velvet、Leftfield、New Order、Robert Armaniなどのリミックス仕事は冴えまくっていて、狂気のシカゴハウスを通過したラフでハードな4つ打ちテクノを披露しています。やっぱりDave Clarkeはフィルターハウス/テクノをやらせると超一流で、個人的にはこの路線でオリジナル楽曲を創って欲しいんだけどねー。だって比較的近年のリミックスになると特に目立たないブレイクビーツ作品ばかりで、かつてのDave Clarkeの才能が陰ってる気がするんですよね。Skintと言うレーベル性には合ってるけれど、一体この路線変更した訳は何なのか気になるな。

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| TECHNO5 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(1) | |
New Order - Someone Like You (London Records:NUOXX10)
New Order-Someone Like You
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さてBorder Community特集も佳境に入ってきましたが、今度はJames Holdenのリミックスワークを紹介したいと思います。レーベルの人気とは裏腹に近年は彼の新曲がリリースされる事は少なくなっておりますが、リミックスワークに関しては依然変わらぬ依頼がある様でぼちぼちとリミックスを行っております。オリジナル作品と共にリミックスも素晴らしい出来映えで、Holdenに関して深く知りたいならば必ずリミックスも聴かないといけません。本作はUKロックのベテラン・New Orderの曲をJames HoldenとFunk D'Voidがリミックスした内容で、今作に関してはHoldenの方が俄然インパクトを感じるぶっ飛びな内容です。時代は2001年と彼の仕事の中ではかなり古い方なのですが、それだけに今よりもかなり勢いがあってアッパーです。ある意味変態性が少ないとも言えますが、強烈な4つ打ちビートのプログレッシヴハウスなので一般的な受けは良さそうですね。それに狂ったサイケデリアが既に芽を出していて、ダークな雰囲気を身に纏っていました。まじでこれは格好いいぞ。対してFunk D'Voidの方は、Holdenの方を聴いた後だと凡庸に感じてしまいましたね。綺麗目のテックハウスで彼らしいと言えばそうだけど、地味に感じてしまうのはHoldenの方が強烈過ぎるからでしょう。いや、自分はFunk D'Void自体は大好きだし、他に素晴らしいリミックスワークは色々とありますけどね。

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| TECHNO5 | 20:50 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Transit Kings - Living in a Giant Candle Winking at God (Victor Entertainment:VICP-63534)
Transit Kings-Living in a Giant Candle Winking at God
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さー遂にやってきましたよ、コイツラが。The OrbのAlex Paterson+元KLFのJimmy Cauty+Pink Froydのセッションメンバー・Guy Pratt+エンジニア・Dom Beken=Transit Kings!!テクノ好きの人ならばご存じ、90年代においてアンビエントテクノをナショナルチャート1位に送り込む偉業を成し遂げたアンビエントの伝道師・Alex Paterson。そして様々な無断サンプリングを使用し、著作権解放前線として奇行を繰り返したJimmy Cauty。KLFの傑作アンビエントアルバム「Chill Out」(過去レビュー)ではAlex Patersonも手を貸していたとか、またThe OrbにおいてJimmy Cautyと共作したりだとか、昔から何かと縁のある二人が遂に再開を果たしました。

さてその最新の音はどうかと言うと、アンビエントハウスを全く含まない今更的なレトロテクノになっていました。リズムはブレイクビーツやドラムンベースがメインで、そこに派手なシンセ音やらサンプリングやらを取り入れ、90年代に戻ったかの様な錯覚を覚える音。Guy Prattらの影響かギターやドラムなどがふんだんに使われ、生楽器による生き生きとしたプレイも目立ちます。去年のThe Orbが出したアルバムみたいにシリアスで生真面目な点は無く、むしろThe Orbの初期のパロディーな作風が蘇った様にも感じられます。下世話で享楽的、メジャーにかなり足を突っ込んだレトロテクノなので、果たしてこれは今の時代に通用するのでしょうか?90年代のOrbitalやNew Orderらに共通する懐古さがプンプン。斬新な音を求めるのであれば受け入る事は出来ないでしょうが、馬鹿さ加減を求めるのであれば通用するのでは。

ちなみにアルバム制作完了直後に、Jimmy Cautyは早速脱退。相変わらずの奇行を繰り返してますね。

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| TECHNO3 | 22:00 | comments(4) | trackbacks(0) | |
Primal Scream - XTRMNTR (Creation Records:CRECD239)
Primal Scream-XTRMNTR
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プライマルはエレクトロニクスを導入しながらも、精神的にはつくづくパンクス、ロックスであると感じさせられたのがこのアルバム。このアルバム、まず制作に協力したメンバーからして最強。New OrderのBernard Sumner、My Bloody ValentineのKevin Shields、泥臭いロック向けのプロデューサー・Brendan Lynch、名ヒップホッププロデューサー・Dan The Automator、ダブ界からは重鎮・Adrian Sherwood、そしてテクノサイドからはThe Chemical BrothersとDavid Holmes、そしてかつて歴史的傑作「Scremadelica」(過去レビュー)を手掛けたAndrew WeatherallとThe Sabres Of Paradiseを組んでいたJagz Kooner、また「Scremadelica」にも参加したHugo Nicolsonととにかくやばい事になっていました。このアルバムにおいてプライマルは遂に集大成とも言える地点にまで来てしまった感もある出来で、ヒリヒリとする様な殺伐感と毒に満ちた覚醒感がこれでもかと溢れています。ドリーミーなバラードもあれば、不良っぽいラップもあるし、またはガレージロックもある。電子音を随所に導入しながらも、全体的に肉体を突き刺す刺激的な音には、エレクトロパンクとでも言うべき時代に反抗した精神を感じました。「Scremadelica」は彼らが時代の流れに乗りファンと一体化した快楽的なサウンドを目指したのに対し、このアルバムでは徹底的に好戦的な姿勢で反旗を翻し聴く者を圧倒するのであります。僕はアシッドハウス全開の「Scremadelica」がプライマルの中で一番好きですが、「XTRMNTR」こそが彼らの根元を一番表現しているアルバムであると思うのです。何故ならプライマルは何時まで経っても、根っからのロッカーなんですから。

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| ETC1 | 23:00 | comments(8) | trackbacks(3) | |
Chicken Lips - DJ Kicks (Studio !K7:!K7155CD)
Chicken Lips-DJ Kicks
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近頃はディスコダブなるブームが流行っているらしく、僕は全く興味はないのですが一応そのディスコダブを広める事に貢献したChicken LipsのMIXCDでも紹介しておきます。ディスコダブがいまいちどんな物かは理解していませんが、アンダーグラウンド色が強く80年代のディスコにダビーな奥深さを追加した様な感じなのでしょうか(間違ってたらごめんなさい)。なんでベースはでんでけだしリズムはずっしりな4つ打ちで、半ば古臭い音ではありますがドロドロのサイケデリック感があります。しかしStudio !K7の送る名物MIXCDシリーズ・DJ Kicksと言う事なので質が悪いって事はないんですけど、このディスコダブって音は自分には合いませんね。なんつーか音の古臭さが嫌って言うか、ニューウェーブの鋭い感覚はあるけれど別にダンスミュージックにはそれを求めてないって言うのかな。80年代のNew OrderとかDepeche Modeとかと同じ空気を感じて、New Orderとかはロックで格好良かったけどダンスミュージックだとなんか違うのですわ。古い感覚と新しい感覚が混ざってるのは分かりますが、自分の好きな音ではないの一言。悪いとか良いとかではございませんので、あしからず。

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| HOUSE2 | 18:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tom Middleton - The Sound Of The Cosmos (Label: Hooj Choons:HOOJ CDLP011)
Tom Middleton-The Sound Of The Cosmos
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Global CommunicationのTom Middletonが気合いを入れて作った3枚組のMIXCDを、ようやく手に入れたので気合いを入れて聴きました。いやー、3枚もあるとほんと全部聴くの大変ですね。数日前に紹介したGlobal Communication名義の「Fabric 26」はそれ程アンビエント色もなく、ファンはちょっとがっかりしていたかもしれません。しかしこれはボリュームもさることながら、内容もアンビエント色強めなプレイも入っていて納得して頂けるのではないでしょうか。CD1はRhythmがテーマでありまして、テクノ、ハウス、クラブジャズなどジャンルに拘らずに、リズムが強調されているトラックが中心です。多彩なビートを織り交ぜて、爽やかで軽やかなプレイを披露しています。対してCD2のテーマはMelodyで、まあいわゆるハウスですね。最初から最後まで4つ打ちで通し、甘さたっぷりのスウィートな展開でムードたっぷりです。Melodyがテーマと言う事に嘘偽り無く、一聴して耳に残るハウスばかりです。これはかなり良かったですね。そしてCD3こそGlobal Communicationファンがお待ちかね、Harmonyがテーマのアンビエント色強めなプレイです。トラック的にはダウンテンポやクラブジャズっぽいのが使われていますが、身体の中から疲れが抜けていく様な気持ち良さは正にチルアウト。重くドラッギーなアンビエントではなくて、快楽を重視したヒーリングアンビエントって感じでしょうか。こちらも充実したプレイで満足です。相当なボリュームながらも、三者三様のプレイが楽しめて文句の付けようがないですね。Middletonの宇宙を全身に感じられる素晴らしいMIXCDです。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ1 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Playgroup - DJ Kicks (Studio !K7:!K7127CD)
Playgroup-DJ Kicks
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Four Tet、Black Strobe、DK7、Colder、MU、The Raptureなどなどテクノやハウス、ロック、ニューウェーブを今風に鋭く表現するユニットが、Outputと言う一つのレーベルから作品をリリースしています。ここら辺のジャンルは自分はいまいち疎いので良く分からないんですけど、前述のアーティストはどうやら人気があるらしく、一種の流行なんかになっているみたいです。DK7はJesper Dahlbackのテクノユニットだし、MUはエレクトロパンク、Four Tetはポストロックだし、いまいちレーベルの方向性は分からないのですが刺激的な音を送り出している事は間違いなさそうです。そのOutputを設立したのがPlaygroupのTrevor Jacksonで、刺激的なレーベル運営を続けさせている彼の嗅覚がこのMIXCDに顕著に現れています。ディスコやハウス、そして大半は80年代調のニューウェーブやをディスコダブ中心で、脳天気なゆったりした展開でありつつも殺伐とした閉塞感が漂っています。激しくはないのにこの尖り具合は社会への反抗の様であり、パンクでありロック。普段4つ打ちを聴く自分ではこれじゃあ踊れないけれど、ニューウェーブ調の廃退的な音に刺激されます。昔のNew OrderやDepeche Modeが好きな人は、グッと来る物があるんじゃないでしょうか。

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| ETC1 | 23:30 | comments(2) | trackbacks(0) | |
New Order - Waiting for the Sirens' Call (Warner Brothers:49307-2)
New Order-Waiting for the Sirens' Call
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New Orderの新作…意外にも普通だな。ここまでしっかりとしたアルバムを作ってくるなんて、New Orderからは考えられん。キャッチーだし調和が取れているし、ポップスしてもロックとしても良いと思う。みんな歳くって親父になって、落ち着いたなって感じです。こんだけの作品を現在でも作れるのならば、過去と比べてはいけないのかもしれない。

しかしながら僕個人としては、不安定でとてもプロが作ったとは思えない過去のアルバムの方が好きです。音だって新作みたいにこなれてないし、お世辞にも上手いボーカルでもないし、演奏も下手クソだし、じゃあ何が良いんだよって?ん〜やっぱりJoy Divisionのイアンカーティス亡き後の悲壮感や、セカンドサマーオブラブ真っ直中の高揚感って言うのは、今じゃ感じられない物だよね。特にNew Orderは何が良いって、ギターを捨てて新世代のロックバンドになったって事。シーケンサーを多様して、キーボードをピコピコならして、みんなそれに合わせてファンは踊りまくる。Blue Mondayは今でもクラブで回されたり、とにかくNew Orderはロックバンドではあるが、踊らせる事の出来るバンドでもあるのです。

まあ新作でも打ち込みは多様されているので、ロックもダンスも良い塩梅で取り入れられていると思う。しかし何かが違うんだよなぁ…。キャッチーだしほんと聴きやすいんだけど、棘が無いと言うか。でも琴線を振るわす哀愁たっぷりな感じ、これが大人の円熟味なのね(はぁと)。いや、色々言ってますけどほんと良いアルバムですよ。久しぶりにロックアルバム買ったけど、満足しております(ほくほく)。でもジャケットはダサイ。以前みたいにDesigners Republicを起用すべきでしょう。

どうでも良いけど日本盤にはアジカン?が日本語で歌詞を付け、それをバーナードが歌ったバージョンも入っているらしい。余計なファンサービスはいらねーだろっ!良い子のみなさんは決して日本盤など買わずに、安い輸入盤を買った方が身の為です。更にこれを買って気に入ったら「RETRO」の購入もお勧めします。New Orderファンはマストバイなマニアックなコンピレーションです。

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| ETC1 | 22:57 | comments(7) | trackbacks(5) | |
Coldcut - Journeys By DJ: 70 Minutes of Madness (Journeys By DJ:JDJCDS004)
Coldcut-Journeys By DJ:70 Minutes of Madness
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このCD有名だから結構前に買ったのだけど、実はあまり聴いていなかった。評判だと、テクノ、ハウス、ブレイクビーツ、ヒップホップ、ドラムンベースなどありとあらゆる音楽をMIXしていてとにかく凄いんだと。元々95年に発売されたが廃盤になってしまい、それが2002年にめでたく再発された時に丁度買った物です。実際聴いてみるとブレイクビーツ系が大半を占めている様な気がしないでもない。しかしさすがNINJATUNEを統括しているだけはあり、どんなジャンルでも難なく繋ぎ展開を壊さない事にはビートへの拘りを感じる。どうやらHDDレコーディングと言う事なので繋ぎもスムースと言う事だが、それでもまあ凄いんじゃないかな?Master At WorkとPlastikmanとLuke SlaterとGescomが、一緒にMIXされているCDなんて聴いた事ないよね?ただやはりビートの変遷が大きいから逆に僕は踊りつらい。踊るにはビートが一定の方が踊りやすいよね。それに僕個人が特にブレイクビーツ系の音楽が好みでもないので、いくらこのMIXCDが凄いと思っても何度も聴く気にはなれない。95年と言う時代においては、かなり時代を先取りしたMIXCDだったのかもしれないが…。

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| ETC1 | 22:30 | comments(2) | trackbacks(1) | |
Francois K. - Deep Space NYC Vol.1 (Wave Music:WM50150-2)
Deep Space NYC Vol.1
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待ちわびていた人も多いのではないでしょうか?このFrancois KのMIXCDを。Body & Soulが亡き今、彼の新しい創造性はこの「Deep Space」に向けられています。「Deep Space」と言うのはダブをメインに、ジャンルに拘る事なく良質な音楽を聴ける新しい彼のパーティーであります。そのパーティー名をタイトルに冠したこのMIXCDもやはり幅広い選曲で、新たなる息吹を感じさせます。CDのジャケットにはこう書いてあります-「An Adventure Into The Future Dub,Spacey Vibes And Abstract Grooves」。まさにその文面通りの物がこのMIXCDには詰まっています。ただダブをメインにとは謳ってはいますが、これはジャンル上のダブと言う訳ではなさそうです。実際選曲に関しては、Instant House、Ferrer & Sydenhamと言ったディープハウス、Tres Demented(Carl Craig)、Jeff Millsと言ったデトロイト系、果てはMatrix & Fierceの様なドラムンまであります。音的にダビーで深い物が中心だと言う事なのでしょう。一体Francois Kは何処まで行けば、その足を緩めるのか?彼の深淵なる宇宙の旅は、まだまだ終わりを見せません。Francois Kの新曲も入っているので、要チェック。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ1 | 21:17 | comments(6) | trackbacks(2) | |