Niko Marks - Day Of Knowing (Planet E:PLE 653781-2)
Niko Marks - Day Of Knowing
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特別な注目を集める事は多くはなかったが、デトロイト・テクノ/ハウスと呼ばれるシーンの中では特に楽曲制作を力を入れて大量に作品を残しているNiko Marks。自身のU2X ProductionsからはCDRや配信で毎年のようにアルバムを送り出し、Planet EやDelsin等からもEPのリリース歴があるなど、その知名度の低さとは逆に安定して音楽制作を行っている信頼に足るアーティストだ。本人はキーボードをプレイし歌唱も披露するなどDJ気質ではなく完全にアーティストであり、その為か音楽性もテクノやハウスのみならずジャズやファンクまでも網羅する、つまりはデトロイトのモーターシティーとしての音楽を十分に理解している事もあり、デトロイトのアーティストとしてはもっと注目を集めてもおかしくはない。ならばこそ、このPlanet-Eからリリースされたアルバムはその契機にも成りうる筈で、事実ここには前述の豊かな音楽性が閉じ込められている。アルバムの始まりである"Crank Shaft"からしてキーボードの華麗なコード展開を強調したハウスであり、背景にはコズミックなSEが散りばめられつつぶいぶいと唸るベースやシンセからはファンクの要素が感じられ、実にエモーショナルに展開する作風がアーティスト性を表している。本作で面白いのはリミックスも収録されている点で、Icanとしても活躍するSantiago Salazarがリミックスした"Day Of Knowing (Santiago Salazar Remix)"は情緒的なピアノの音色を活かしながらもスムースな4う打ちでぐっと熱量を増したソウルフル・ハウスを聞かせるが、 原曲の"Day Of Knowing (Original)"はぐっと勢いを抑えてジャジーなリズム感がある事でバンド風なアレンジが黒人音楽のルーツを掘り起こすようだ。本作には以前からコラボを果たしているCarlos Nilmmnsも制作に参加しており、その一つである"Elle Est Une Danseuse A Minuit"は快適なハウスの4つ打ちに合わせて流麗なシンセのコードの響きがのびのびと広がるような効果をもたらし、上下に軽快に弾けるグルーヴを刻む。また"Many Other Places"のように夜っぽい艶のあるダークなテック・ハウスや、耽美な音色を聞かせるエレピが軸になるジャジーファンクなハウスの"Thrill Of The Chase"など、曲毎にキーボーディストとしての力量を発揮しながらエモーショナルな要素を込めている。デトロイト・テクノ/ハウスが好きな人ならばこのアルバムはきっと気に入る事は当然として、これからデトロイトを聞く人にとってもそこにあるソウルやエモーションを感じるにはうってつけだ。



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| HOUSE12 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Andy Vaz - House Warming (Yore Records:YRE-033CD)
Andy Vaz - House Warming
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ドイツはデュッセルドルフにて実験的なクリック・ハウスやミニマルを手掛けていたBackground、そしてよりエモーショナルなディープ・ハウスを手掛けていたA Touch Of Class、それを主宰していたのがAndy Vazだ。しかしそれも今や昔、ミニマルの流行から決別したVazは2007年以降はがらっと方向性を転換し、より感情性豊かに伝統性を重んじるデトロイト・ハウスを中心としたYore Recordsを運営している。当の本人の作風も当然過去とは全く変わっており、新機軸を打ち出すよりもベーシックなハウスの作風を尊重してどれだけエモーショナルな音を鳴らせるかに拘っているように思われ、この4年ぶりとなるアルバムでも決して衝撃や新鮮味を主張する事はない。オープニングはヒップ・ホップのリズムに「ハウス・ミュージック」という呟きが繰り返される"House Warming (intro)"で始まると、Eva Soulをフィーチャーして甘く色っぽい歌とシンセの滑らかなコード展開に小気味良いボンゴ等のパーカッションが弾ける"Nobody"が待っており、早くから温かみのあるハウスの性質が伝わってくる。タイトル曲の"House Warming"はファンキーなベースも伴ってどっしりと重心が安定したグルーヴだが、凛としたピアノのコードが耽美なディープ・ハウスとなっており、勢いだけでなくメロディーやコードを大切にしているのは明白だ。"Want U Back"ではヴィンテージなアナログ機材であるTR-808やTB-303も使用しているのだろう、ウニョウニョとうねるアシッド・ベースのラインが底を支えながらも、その上では薄く伸びていく情緒的なパッドや官能的なボイスサンプルが優しく包み込むディープ・ハウスへと振り戻す。"Smiling Guitars"もアシッド・ベースが使用されているもののその雰囲気は明るく、アルバムの中で緊張感を解放させる役目のエレクトロだ。デトロイトのNiko Marksを起用した"Things & Strings"は悪っぽいアシッド・ベースが前面に出てシカゴ・ハウスの系譜に連なっており、そこにガラージの色艶やかな官能も加わった刺激的な曲だ。ハウスを軸にヒップ・ホップやエレクトロにダウンテンポ、デトロイトやシカゴにガラージなどの要素を散りばめ、その結果として最新の時代性よりも如何に普遍的で音そのもので訴えられるかを証明出来るのか。その意味では本作は幾ら流行が移り変わろうと、価値が変わる事なく聞く事が出来るハウス・ミュージックと呼ぶ事が出来る。



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| HOUSE11 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ripperton, Carlos Nilmmns and Niko Marks - Various Characters EP (Character:character004)
Ripperton, Carlos Nilmmns and Niko Marks - Various Characters EP
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スイスの人気DJであるDeetronが2014年に設立したCharacterの新作は、同じくスイス繋がりのRippertonとデトロイト・ハウスのベテランであるNiko Marks、そしてSkylaxやOrnamentsでの活動が注目されるCarlos Nilmmnsが参加したスプリット盤だ。元々Deetron自体がデトロイト・テクノからの影響を色濃く残すアーティストであり、更に本作を制作した面子からもデトロイト色が濃厚である事から、やはりその路線で来るのかと興味は尽きない。Rippertonと言えば元々Lazy Fat PeopleとしてBorder CommunityやPlanet-Eからサイケデリックかつトランシーなハウスを送り出し、新人としては破格の注目を集めていたアーティストである。ここに収録された"I'm Gonna Make U Love Me"はかつて程のドラッギーな成分は抑えながらも、派手なシンセが羽開くように壮大なメロディーで包み込みながらナルシスティックなボーカルで官能に染めるプログレッシヴ・ハウス寄りの曲で、ああやはりこの人はいつも通りの作風だなと逆に納得してしまう。エモーショナルと言うような人間臭さは少ないものの大箱で受けるであろう荘厳さが際立ち、フロアを妖艶さに染めてしまう魅力がある。裏面にはかつても共同制作をした仲であるNilmmnsとMarksが、再度一緒に制作をした曲が2曲収録されている。"Night Not To End (Nilmmns Message Mix)"はスポークンワードにサクソフォンや情緒的なシンセのコードを用いて、そこにボコボコとした土臭さも漂うファットなリズムが加わればこれぞ漆黒のデトロイト・ハウスとでも呼ぶべき曲で、二人の音楽性が分かり易く反映された内容だ。一方で"Dark Ages"は毒々しくも妖艶なシンセや惑わすような声も入ったエレクトロニック寄りのハウスで、こちらの方は前述のRippertonの作風に近いように感じる。やはりNilmmnsとMarksの二人による音楽というものは黒くてファンキーさが滲み出るデトロイト・ハウスがらしいと思うものの、"Dark Ages"のようなドラッギーな沼に嵌るディープ・ハウスも悪くはない。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jason Grove - Skylax (Skylax Records:LAX 137)
Jason Grove - Skylax

フランスのSkylaxはハウス・ミュージック、その中でも特にオールド・スクールで時代に左右されない正にタイムレスな音楽性を追求する。決して斬新性があるでもなく、自らを誇張して大きく見せるような派手さもなく、ただただディープでエモーショナルな音楽を真摯に突き詰めるレーベルだが、その中でもJason Groveのミステリアスな存在感は注視すべきだろう。デトロイトのベテラン・アーティストと言う触れ込みではあるものの一切の詳細は不明なアーティストだが、今までにもMerwyn SandersやNiko Marksといった実力派ともコラボレートしている事から、Jasonの音楽の方向性を知る事は出来るだろう。それは、2012年にリリースしたアルバム"313.4.Ever"(過去レビュー)から殆ど変わっておらず、マシンによるビートダウンなリズム、サンプルを用いたソウルフルなメロディー、生っぽいロウ・ハウス的な質感などその全てにおいてオールド・スクールという方向性をひらすら進む。アルバムの幕開けとなる"Interlude"では古ぼけたラジオから流れてくるようなざらついた音質で、ヒップ・ホップなビートとジャジーなホーンが哀愁を漂わせ、いきなり湿っぽい感情を滲ませる。続く"The Love"では本格的にディープ・ハウスのグルーヴを刻み、微睡むような温かいシンセのコード展開と甘く囁くようなボイス・サンプルを用いて、浮遊感さえもある心地良く酔わせる。"Old Dayz"ではガチャガチャとした跳ねるようなブレイク・ビーツが特徴的だが、やはり上モノのサンプルがフィルターによって展開され生々しいファンキーさを生み出している。それ以降はラフな質感ながらも無骨な4つ打ちを刻むオーセンティックなディープ・ハウスが続くが、"John Blue"にしても無駄のない単純な構成ながらもそこには気怠くも甘い陶酔感があり、決してJasonの音楽がクラブで体験する為のダンス・ミュージックとしてだけでなくリスニング的な要素も携えている事は特筆すべきだろう。勿論"Lovedits 7"のように色っぽい女性ボーカルとスモーキーな音質が、Moodymannらしくもある黒くソウルフルなディスコ・ハウスも素晴らしい。前作からこれと言って代わり映えはないものの、だからこそ流行り廃りとは無縁のディープ・ハウスとして正しく評価されるようなアルバムだろう。前作に続いて本作も配信やCDでの販売はせずにアナログのみでのリリースとなっており、その意味でもアーティストの無骨で揺るぎない精神性が伝わってくる。



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| HOUSE10 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Carlos Nilmmns - B.L.U.E. (Skylax Records:LAXC3)
Carlos Nilmmns - B.L.U.E.

フランスを拠点とするSkylax Recordsは特にアメリカのタイムレスなハウスに影響を受けつつも、現在のディープ・ハウスにも適合しながら良質な作品を提供するレーベルだ。旧世代の実力者から今後が期待される新世代までバランスよくリリースしているが、このスコットランド出身のCarlos Nilmmnsはその後者にあたる。とは言いつつもCarlos Nilmmns名義では2010年頃からの活動でNiko MarksやDavinaらデトロイト勢との繋がりもあるが、それより前の2004年頃にはSolabというユニットでデトロイト・テクノやシカゴ・ハウスに影響を受けた音楽を手掛けていたそうで、その経歴からニューカマーと表現するのは適切ではないかもしれない。さて、そんなCarlosの新作はアナログ1枚によるミニアルバムだが、これが実にSkylaxらしいクラシカルな性質のハウスが満載で素晴らしい。冒頭の"Moments Of Happiness"は物哀しいストリングスやしみじみとしたホーンがまるで映画のサウンドトラックを思わせる感動的な曲で、決してダンス・ミュージックではないもののアルバムの流れを上手く作っている。続く"I Thought I Had You"や"Raw Tape Cuts"では待ってましたとばかりに流麗なハウスを披露しているが、特に前者の凛としたピアノのコード展開と色気のあるボーカルによるオールド・スクールなハウスは時代に左右されない良質さがあり、タイムレスとはこんな作品と呼ぶのだろう。後者はデトロイトらしい煙たくも黒い空気に巻かれるディープ・ハウスだが、ラフな質感はありながらもグルーヴは適度に精錬されモダンな印象も見せている。レコードは裏面へと続くと、切ないピアノや優雅なストリングスが真夜中の色っぽさを上品に演出するしっとりしたハウスの"Gwens Song"が待ち受けており、そしてアルバムの最後は曇っていた空が一気に開けるように、明るい希望が満ち溢れたドラマティックなハウスの"106"で感動的に幕を閉じる。収録は7曲とミニアルバムの構成ながらも起承転結した内容で聴き応えは十分、Carlos Nilmmnsの才能が存分に発揮された1枚だ。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Davina, Carlos Nilmmns, Niko Marks - Get By Me (Ornaments:ORN 030)
Davina, Carlos Nilmmns, Niko Marks - Get By Me
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ディープ・ハウスが量産されるドイツにてデトロイトにも接近するOrnamentsからの新作は、UR関連でも歌を披露していたDavina、そして同じくデトロイトのNiko Marks、そしてレーベルの主力アーティストでもあるCarlos Nilmmnsの3人が共作した話題作だ。デトロイトの叙情性をヨーロッパ的なディープ・ハウスへと落とし込んでいるCarlosなのだから、DavinaやNikoとの相性も悪いわけが当然なく、本作においても非常にしっとりと色気のあるハウスを披露している。A面にはDavinaの呟くような色っぽいボーカルをフィーチャし、湿り気を帯びた4つ打ちや眠気を誘うような微睡むパッドが心地良くも力強いグルーヴのある"Get By Me (Alt Mix)"を収録。B面には音を削ぎ落としながら肩の力を抜くようにリラックスし、侘び寂びの内向的なムードを高めた"Get By Me (Vintage Mix)"も収録しているが、注目すべきは本場デトロイトからAndresによる"Get By Me (Andres Remix)"だろう。麗しいピアノのコード展開や美しいストリングスを導入し、ずっしりとした安定感のあるハウス・グルーヴに絡ませて、じわじわと心に染み入るような郷愁のデトロイト・ハウスへと仕上げたAndresの手腕は流石だ。色っぽくもソウルフルな感情、洗練されたアーバンな佇まいとパーティーの朝方にぴったりとハマるであろうハウスは文句無しの出来。しっかりと曲調が分かれているので、真夜中から朝方までに対応できる1枚となっている。



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| HOUSE10 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jason Grove - Late Night Connections (Skylax Extra Series:LAX ES1)
Jason Grove - Late Night Connections

デトロイトのローカルシーンで80年代から活動しているDJと言う触れ込みのJason Grove(Groove?)は、2011年に突如としてSkylax傘下のWax Classicからデビュー作をリリースする。その後もSkylax周辺からのみリリースを続けつつ、Moodymannの作品をJMFG名義でエディットしたりと注目を集めているが、一向に正体が明かされない事から誰かの変名ではないかと最近では考えている。そんな謎に包まれつつも最新作をSkylaxから新シリーズとなるSkylax Extra Seriesの第1弾としてリリースしたが、なんとそこにはシカゴ・ハウスの伝説的ユニットであるVirgo FourのMerwyn Sandersとデトロイト・ハウスシーンからNiko Marksが共作として名を連ねている。流麗なピアノのコード展開とソウルフルなボーカルを活かしたベーシックなトラックの"Newlove"からして、小細工無しにハウスのクラシック性を説いているようだが、Merwyn Sandersが参加した"Let It Go"はもったりとしたベースラインとドタドタしたリズムが相まって、最近のアナログ感を強調したロウハウスとも共振するローファイな音質が良い味を出している。裏面には胸を締め付けるロマンティックなムードが強いハウスが収録されていて、パーカッシヴなリズムが力強くもLarry Heardばりの透明感のあるキーボードが望郷の念を駆り立てる"Xxx"、雑踏の音を取り込みつつ図太いキックと呟きボーカルがKDJを思わせる"Division Street"、Niko Marksのメランコリーな歌とフュージョン風なエレピが心揺さぶる"My Language"と、どれもお世辞抜きにして良質なハウス・ミュージックの時代が封入されているようだ。新しさを必要とせずとも変わらない事で守られるもの、タイムレスと言うべきハウス・ミュージックがここにある。



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| HOUSE9 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Carl Craig - The Workout (React:REACTCD227)
Carl Craig-The Workout
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デトロイトテクノの発展の中心となっていたCarl Craigはアーティストとして超一流だと思います。でも昔のDJMIXを聴くとしょぼ〜って感じで、実際生でDJを聴いた時もあんまり興奮しなかった記憶があります。そんな彼も最近はなかなかのプレイをするようになったと、このMIXCDを聴いて思いました。2枚組、どこをとってもデトロイト。と言っても結構ハウスよりなMIXで、丁寧で大人しめ、部屋でまったり聴く感じです。お薦めは2枚目の方で、開始からNewworldaquarium→Terry Brookes→Soul Designer(Fabrice Lig)の繋がりは格好いいですね。Niko Marks、Urban Culture(Carl Craig)、Aardvarckとかその他もろもろデトロイト風味の曲が使われていてジャジー、テクノ、ハウスを上手く使い分けています。テンションを上げずにミドルテンポでムーディーで良い感じだけど、Carlが凄いって言うか選曲が良いだけなんだろう。いや、それでもデトロイト好きな人にはよだれが出る選曲に違いない。Carlが本気になったせいか曲毎の頭出しは無し、最初から最後までノンストップで聴くしかない。入門編の為にも、頭出し位はつけてやれよと思いました。発売元のレーベルは倒産済みなので、見かけたら早めに購入するのが吉でしょう。

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Tracklistは続きで。
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| HOUSE1 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |