Elia Perrone / Gigi Masin - Stella (Unclear Records:UNCLEAR 013)
Elia Perrone Gigi Masin - Stella
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Music From Memoryからの再発が契機となり埋もれた名作の復刻が続くイタリアの音響音楽家・Gigi Masinであるが、決して過去の作品だけに頼る訳でもなく現在のダンス・ミュージックのアーティストとも交流しながら新作を出すなど、チャンスを物にして再度シーンへと返り咲いたのは本質的な実力があるからこそ。そして今度はイタリアでUnclear Recordsを主宰するElia Perroneと手を組み、彼のレーベルから更なる新作を世に放っている。Perrone自身はハウス・ミュージックを手掛け、レーベルとしてもモダンなハウス中心だったりするところにMasinの名が出てくるのは意外かもしれないが、それもダンス・ミュージック側からMasinへと寄り添っている状況を理解すれば不思議な事ではないのだろう。"Stella"はビートレスな作風がアンビエントを思わせる点もあるが、荘厳なストリングスや耽美なピアノの旋律を用いて生の質感を打ち出しているのは、Masinによる影響だろう。そこにおどろおどろしいエレクトロニクスの音響が胎動を加えているが、荒立たない静けさが広がる音響は静謐でさえある。"Garden Blues"ではトリップ・ホップのような粘性の高いビートが入り、捻れるような電子音やぼやけたエフェクトが施されたシンセが霞の奥に消え入るような音を鳴らし、物哀しさが胸に込み上げるダウンテンポな曲となっている。そして注目すべきは本作でもやはりと言うか、Juju & JordashとNiro Love Mumによるダンスシーンからのリミキサーが起用されており、原曲の面影を残しながらもフロアに即したリミックスが成されているのは特筆すべき事だろう。元々のピアノやストリングスの旋律に加え幻惑的なシンセのフレーズも追加し、更に軽快なハウスのキックが加わった"Stella (Juju & Jordash Remix)"は、ロウな質感も目立つが奥ゆかしさを残している。そしてダウンテンポから規則性のある4つ打ちへと生まれ変わった”Garden Blue (Niro Love Mum Remix)”は、原曲のイメージを損なわずに機能的なディープ・ハウスの体をなしている。違和感のないダンス系のリミックスを収録する事は、よりMasinに対する間口を広げる事へと繋がり更なる再評価を得るのは間違いなく、今からでもMasinの追うのは全く遅くないのだ。



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Niro - Tender As Asphalt (Sound Of Vast:SOV 002)
Niro - Tender As Asphalt

2014年の3月にルーマニア系のEgal 3の作品によって始動したアムステルダムを拠点とするSound Of Vastは、実はKnock とRed Pig Flowerという邦人アーティストによるものだそうだが、既にレーベル3作目となるThe Poeple In FogことDJ SodeyamaのEPまで含めて注目を集めている。テクノともハウスとも取れるグルーヴ感、太さよりも繊細さと深みが活きたフロア向けトラックは機能的でありながら、豊潤な要素が聞き取れる。さて、レーベルの2作目はイタリアのアーティストであるNiro Perroneの作品で、まだ本人にとってもヴァイナルでは3作目とリリースは少ないものの内容はそれに反して高い才能を予感させるものだ。先ずはテック・ハウス系に属する"La Cochonne Intergalactique"だが、金属的なビートから入っていく序盤からして揺れを体感させるグルーヴが素晴らしく、そこに浮遊感のあるぼやけたようなパットが透けて伸びて行き、広大な大空へと飛翔していくような爽快なドライヴィング感覚が堪らない。一方"Tender As Asphalt"はシャッフル系の跳ねるビートにむちむちしたアシッドのベースラインを絡めているが、覚醒感を煽るような中毒性よりは心地良いトリップ感を誘発する陽気なムードが特徴だ。また本作で注目すべきは、今世界中から注目されるGonnoが提供した"La Cochonne Intergalactique (Gonno Remix)"なのは間違いない。原曲の透明感は残しつつも睡眠を誘うようなもやもやしたシンセのシーケンスを加え、キックは厚みを増し荒々しいパーカションやハイハットが大胆なグルーヴを生み出すリミックスは、サイケデリックな高揚感がじわじわと何処までも高まっていくドリーミーな一曲だ。さて、ヴァイナル/デジタル配信のそれぞれにエクスクルーシブな曲を収録するSound Of Vastのポリシーがあるそうで、ヴァイナルだけには"Krissy Moon"が収録されている。こちらは金属が捻れるようなブリーピーな音を用いつつ、剥き出しの粗いビートのおかげで昨今のロウ・ハウスにも似た面白い曲だ。Niroのオリジナル曲、Gonnoのリミックス共に秀逸で、先ず先ずはSound Of Vastは幸先良いスタートを切っている事が伝わってくる。



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