James Booth - Bath Time (Funnuvojere Records:FV001)
James Booth - Bath Time
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Panorama Barでもレジデントを担当するMassimiliano Pagliaraが2019年1月にFunnuvojere Recordsを始動させた。Pagliara自身がバレアリックな多幸感のある音楽を制作している事からも分かる通りレーベルも方向性としては同様で、栄えあるレーベル第1作に抜擢されたのは100% SilkやGrowing Bin Recordsからやはりローファイで素朴な響きのバレアリックなディスコやテクノを手掛けるJames Boothだ。彼の音楽もダンス・ミュージックの前提はありながらも肩の力が抜けて、どちらかといえば暗い密閉空間のフロアよりは陽が射す開放感ある野外向けのバレアリック性があり、その意味ではレーベル初の作品になったも納得だ。本作では以前よりもダンス方面へのビート感を増しており、例えば"DXXX"では80年代ディスコ風なシンセ・ベースの快楽的なラインやドタドタとしたドラムのビート感があり、安っぽく垢抜けない音質を逆手に取ってローファイながらも新鮮なバレアリック感あるディスコを聞かせる。"Bath Time"は澄んだ美しいパッドのドローンと簡素なリズムが引っ張っていくアンビエント風だが、途中から輝かしいシンセやからっと乾いたパーカッションも加わると弾ける躍動感を獲得して高揚とした至福に包まれ、例えばパーティーの真夜中の時間帯を抜けた先にある朝方のフロアで鳴っていそうなテクノ/ハウスだ。そしてピアノらしきエレガントなコードと刺激的なハンドクラップやリズムがディスコティックな雰囲気を生む"Roller Chrome"、ドタドタとしたリズムマシンの肉感溢れるビートが逞しくもニュー・エイジ風な瞑想を誘うシンセと控え目な中毒的アシッドが快楽を誘発する"Such Is Life"と、どれも基本的には闇のヴェールを振り払うようなポジティブなダンス・ミュージックで、長閑で穏やかなリゾート感さえあるバレアリック性が清々しい。アーティスト、レーベル共に今後の動向に注目したい。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Opal Sunn - Parallax EP (Touch From A Distance:TFAD2)
Opal Sunn - Parallax EP
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数多の才能光るアーティストを送り出しレーベルとして順風満帆だったBerghainが主宰するOstrut TonのA&Rかつマネージャを退任した事は当時は不可解だったものの、こうして自身でTouch From A Distanceなるレーベルを立ち上げて送り出してきた作品を聴いてみると、確かにその両者の音楽性には差がありOstrut Tonを離れた事も納得だと今なら感じられる。それはBerghainではなくPanorama BarのレジデントであったNick Hoppner、現在はどうかは定かではないがつまりハウス・ミュージックの方面を担っていたPanorama Barの番人でもあった事を考慮すれば、BerghainをイメージさせるOstrut Tonの硬派で厳ついテクノではなくどちらかというとハウス・ミュージックやエモーショナルなテクノに興味があったのだろう。そんな事もあって自身の音楽性を反映させたTouch From A Distanceからリリースされた2作目は、Utopia Records等からもコンテンポラリー・ミュージックやハウスをリリースするAl Kassian(Alex Kassian)とベルリンで活動するHiroaki OBAからなるOpal Sunnで、ハードウェアを用いてセッション性の強いライブを行うユニットだそうだ。過去には作品リリース前の2016年、そして2018年と「Rainbow Disco Club」にも出演するなどライブユニットとして既に高い評価も得ていたのだろうが、この新作を聞けば確かに魅力的な音楽である事をはっきりと感じ取れる。先ずは何と言っても"Parallax"が素晴らしく、跳ねて揺れるパーカッシヴなリズムから始まり幻惑的な上モノやヒプノティックなシンセがぐるぐると巡るモダンなテック・ハウスは、音圧や勢いではなく恍惚感のある魅力的なシンセのリフやメロディーで引っ張っていくタイプだが、じわじわとする持続性にしっかりとブレイクも持ち込んで実に整った機能的な曲だ。"Aura"はスピード感は抑制しながらもタフなビート感に骨太さが現れているテクノで、そこにデトロイト・テクノとも共鳴するな上モノとキラキラと光を放つようなリフが絡んでいくエモーショナル性が発揮されて、広大な宇宙空間を疾走する如くのドラマが展開される。対して更にテンションを抑えて内省的なディープさがありながらも繊細な電子音の残響が美しい"Mirage"、こちらもディープな音響ながらもエレクトロのビートを取り入れならも甘くメロウなシンセに陶酔させられる"Phantom"と、どの曲に対してもシンセの響きや旋律に叙情的な美意識がありしっかりと意識を引き付ける魅力があるのだ。勿論パーティー/フロアで耳を引き付け肉体を揺さぶるダンス・トラックとしての機能性は文句無しで、こんなに格好良い曲を作るのだからセッション・ライブもどうしたって気になるものだ。次回来日した際には是非とも彼等のライブを体験してみたい。



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| TECHNO14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cassy & Demuir - Please Me - Fred P Reshape Project (Kwench Records:KWR002)
Cassy & Demuir - Please Me - Fred P Reshape Project
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アーティストとしてはもう15年以上もキャリアを持ち、そしてPanorama BarやRexでもレジデントを担当するDJとしての手腕を認められているCassyが、2017年に立ち上げたレーベルがKwench Recordsだ。本作はそのCassyとNite GroovesやYorubaからもリリースをするカナダのDemuirのレーベル第一弾である共作で、そこに収録されていた"Please Me"を現在のUSテック・ハウスのトップアーティストであるFred P.が3バージョンに渡ってリミックスを行なった、つまりは完全にFred P.の作品と呼べるシングルだ。原曲は荒々しくロウな質感もあるリズムが弾けややアシッディーな感覚もあるパワフルなハウスだったが、このリミックスに於いては完全にFred P.のエモーショナルで幻想的な空気に満たされた流麗なテック・ハウスへと生まれ変わっており、最早これはFred P.による新作と呼んでも差し支えない程の素晴らしいリミックスを披露している。A面には10分超えの大作となる"Journey Mix"を収録しているが、ここに原曲の面影すら見る事は難しい程に滑らかでうっとりとした叙情性が充満した作風へと上書きされており、抜けの良いパーカッションが乱れ打ちつつもスムースに流れる柔らかいビート感やふわっと広がるようなパッドの使い方はFred P.らしいコズミックな浮遊感を生んでいる。機能性という意味では全く失われているものはないが、エモーショナルな成分が十分に添加されパーティーの朝方、つまりはアフターアワーズの淡く夢と現実の狭間の寝ぼけ眼の心地良い状態に持っていくようなテック・ハウスで、疲労の溜まった心身を浄化するような感覚さえ伴っている。それよりももっとしっかりと杭を打ち込むようなビート感重視のテック・ハウスに仕上がっているのが"Fixation Mix"で、流麗なパッドのコード展開による幻想的な世界を繰り広げるデトロイト・テクノ的なエモーショナル性は、最もFred P.らしくあり得も言われぬ恍惚状態を引き起こす。そしてタイトル通りにやや崩れたビート感で厳つさを演出した"Broken Vibes Mix"は3つのリミックスの中では最も骨太さが現れており、Cassyのボーカルも他のリミックスよりも強めに用いてはいるが全体的にやや暗めの色調にする事で、変則的なリズムによるグルーヴ重視な内容だ。どれも元の曲をイメージ出来ない程に新たなる個性で上書きされたリミックスは、しかしそれぞれに異なる雰囲気や機能が発揮されており、パーティーの時間帯それぞれで効果的な演出をする事が可能だろう。Fred P.の才能が光る一枚だ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nick Hoppner - Work (Ostgut Ton:OSTGUTCD40)
Nick Hoppner - Work
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ドイツのテクノ/ハウス帝国の中心であるOstgut Ton、「Berghain/Panorama Bar」という著名なクラブを運営する傍らレーベルとしても確固たる存在感を確立させてきたが、その初期のマネージメントを行っていたのがNick Hoppnerだ。Panomara Barで長年レジデントを務めるDJとしての素質は言うまでもないが、数年前にはレーベルのマネージメントから身を引きアーティスト活動に専念したというだけあり、アルバム制作にも身を乗り出し制作者としても頭角を現している。本作は2017年にリリースされた2枚目となるアルバムだが、前作でもテクノやハウスのみならずダウンテンポやブレイク・ビーツの要素を取り込んでいたが、ここに於いては更なる表現力に磨きを掛けてアーティストとしての成熟を見せている。アルバムはゆったりした変則的なマシン・ビートに魅惑的な美しい電子音響が展開される"All By Themselves (My Belle)"で始まるが、ここからして既に単純な4つ打ちとは異なるIDM的な作風を見せ、アルバムの流れは全く読めない。続く"Clean Living"は彼がDJとしてもプレイする古典的なハウスを現代風にアップデートしたような力強くもソウルフルな曲だが、面白いのはそういった普通の曲ではなく例えば鋭いブレイク・ビーツを刻み遊び心あるポップな上モノが舞う"Hole Head"など、闇の深い熱狂真っ只中のクラブでは聞けないであろう曲だ。闇が似合うに曲にしても"The Dark Segment"の深海から響いてくるようなスローモーなダブ・テクノは、決して騒ぎ立てるような曲ではなく慎ましく闇に染める残響の美しさがある。勿論全くクラブの雰囲気が完全に喪失している事はなく、勢いのある硬めのハウス・グルーヴと幻惑的な上モノの魅力的な"Forced Resonance"やリラックスしたビート感と多幸感あるメロディーに天上へと昇っていくようなニューディスコの"From Up And Down"など、ダンス・トラックも盛り込みつつHoppnerらしい繊細な美しさを披露している。多様な音楽性を披露したその最終型はラストの"Three Is A Charm"で、Randwegをフィーチャーして生演奏も取り入れてフォーキーなりインディー・ロックな雰囲気もある曲で歌心さえ感じさせる牧歌的なムードに心は安らぐばかり。アルバムだからこそと言う事もあるのだろうが、かつて制作していたフロア特化型のEPに比べると機能性に依存せずより音響の美しさやリズムの多用性に進んでおり、Ostgut Ton一派の中でも特に表現者として優れている。何度でもリスニングに耐えうる充実した一枚だ。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Steffi - World Of The Waking State (Ostgut Ton:OSTGUTCD41)
Steffi - World Of The Waking State
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Ostgut Tonという有名なレーベルの後押しを抜きにしても、DJとしてアーティストとして、そしてレーベル運営者としても素晴らしい才能を発揮しているSteffi。Panorama Barでレジデントを長年務めるその実力は言うまでもなく、近年は積極的にアルバム制作も行い制作者としても高い評価を獲得、そしてデトロイト志向のあるDollyを主宰して実力あるニューカマーを送り出すなど、総合的な面から評価出来る素晴らしいアーティストだ。ソロでは3作目となるアルバムも過去と同様にOstgut Tonとなるが、音楽性の深化は未だ尚止まっていない。当初はシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノに影響を受けた音楽性が見受けられたものの、2016年にMartynと共同制作した『Evidence From A Good Source』(過去レビュー)ではダブ・ステップやレイヴの要素も取り込み、そしてこの新作ではかつてWarpが提唱した「Artificial Intelligence」にも接近している(Steffiが主宰するDolly Deluxeは、間違いなくその影響下にある)。冒頭の"Different Entities"では奇妙な電子音が鳴る中で情緒的なパッドが浮遊しデトロイト・テクノらしい未来感を発しつつ、リズムは複雑なブレイク・ビーツを刻みながら揺れ、90年代のAIテクノと呼ばれる何処かインテリジェンスな感覚が通底する。パルスのような不気味な反復音が続き、薄く延びるパッドが深遠さを生む"Continuum Of The Mind"も4つ打ちから外れたつんのめるようなリズムを刻み、それは生命体のように躍動するグルーヴ感に繋がっている。"All Living Things"でも複雑なリズムがエレクトロ気味に鋭利に切り込んでくるが、陰鬱で物哀しいメロディーが先導する事で激しさよりも情緒的なデトロイト・テクノらしさが感じられるだろう。ヒプノティックな電子音とゆったりと浮遊する透明感あるパッドは心地良くも、ロウなパーカッションがオールド・スクールな感覚に繋がっている"The Meaning Of Memory"も、直球ダンストラックから外れた大らかな包容力はリスニング性が強い。タイトル曲の"World Of The Waking State"ではやけに忙しなく鋭いリズムとアシッド気味のベースが蠢きつつ浮遊感のある上モノが、例えばModel 500辺りの深みのあるエレクトロを思い起こさせたりもする。アルバムはおおよそ大きな変化を付ける事なく豊かなリズム感のテクノで統一され、ラストの"Cease To Exist"でも鞭で叩かれるような力強いエレクトロ・ビートと深遠でスペーシーなメロディーによってすっきりと余韻を残さずに終了する。全体的なトーンとして決して明るくはないが控えめに情緒性のある慎ましさ、そして4つ打ちではない複雑なリズムで揺らす構成力、それは確かに激しさだけで踊らすテクノに対するカウンターカルチャーのAIテクノらしくあり、近年のDollyの音楽性と完全にシンクロしているのは明白だ(その意味ではOstgut TonよりもDollyからリリースされた方がしっくりするかもしれない)。何か新しい時代のテクノと言う訳ではないが決して古臭く懐古的な作品でもなく、「Artificial Intelligence」を今の時代に合わせて解釈し直したとも思われ、十分にリスニング性の高いアルバムとして素晴らしい。



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| TECHNO13 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Pop Ambient 2018 (Kompakt:KOMPAKT CD 142)
Pop Ambient 2018
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シリーズ物としては長い歴史を誇るKompaktが手掛ける『Pop Ambient』シリーズもこの2018年を冠した本作で18作目に突入。アンビエント・シリーズとしては最高峰に属するのは言うまでもないが、それもKompaktの元頭領であり現在は芸術的に音楽を追求するWolfgang Voigtがこのシリーズに限ってのみ監修をしているからこそで、昔よりはやや商業的な動きもあるKompaktの中でもこのシリーズのみはVoigtの審美眼によって純粋にアンビエントの追求を継続している。例えば日本からは過去のシリーズにも登場しているYui Onoderaが本作にも(しかも2曲も)起用されていたりと、他のアーティストもそうだが単に知名度を優先したような選び方でない事は明白だ。またVoigtが来日した際に制作を依頼されたと言うHiroshi WatanabeことKaitoもシリーズ初参戦を果たす等、Voigtのネットワークが有効に働いているのだ。アルバムはKompaktの中では新世代に属するFresco & Pfeifferの"Splinter"によって幕を開けるが、凍えきった厳寒の空気が広がる冬景色の中でか弱い灯火で暖を取るようなアンビエントは、静けさの中に優しさが溢れている。そしてYui Onoderaによる"Prism"は彼らしい荘厳なドローンと弦の音色を用いて大人数の演奏によるクラシックを聞いているかのような重層的な響きがあり、ゆっくりとした流れの中に生命の胎動にも似た動きが聞こえる。レーベル初登場となるカリフォルニアのChuck Johnsonは、薄いパッドを静けさを保ちながら伸ばしてその中に悲哀を醸すペダル・スチール・ギターを鳴らし、夢と現の狭間に居る心地良い"Brahmi"を提供。そしてダンス・ミュージックだけでなくアンビエントに対しても造詣の深いKaitoには当然注目で、アコースティック・ギターの和んだメロディーとしなやかに伸びるパッドで広がりのある大空へと浮かび上がっていくような開放感ある"Travelled Between Souls"を提供しており、幻想的なトランス感を誘発する。Kompakt組として常連のThe Orbはやはり普通のアンビエントをやる事はなく、ややダブ/レゲエの音響やリズムも匂わせコラージュ的な捻れた世界観のある"Sky's Falling"はアーティスト性が出ていて面白い。同様にレーベルの古参のT.Raumschmiereは雪が吹き荒れる厳寒のような重厚なドローンによる"Eterna"において、大きな動きはないものの圧倒的なドローンの重厚さの中にロマンティックな響きを閉じ込め、ただただその壮大さに圧倒される。他にも同シリーズには常連のKompakt組がいつも通り静謐で美しいアンビエントを提供しており、シリーズの長さ故に金太郎飴的な点もありつつも他の追従を許さないレベルの高さを誇っている。凍える冬に温まるBGMとして是非利用したいアンビエント・アルバムだ。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Steffi - Fabric 94 (Fabric:fabric 187)
Steffi - Fabric 94
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ロンドンの名門クラブかつレーベルであるFabric、2001年に始動したMIXCDシリーズも時間にして15年、作品にして90枚を越えたが、その最新シリーズの94作目にはベルリンを拠点に活動する女性アーティストのSteffiがフィーチャーされている。Panorama Barでレジデントを務める実力派DJである事は今更説明も不要だろうが、アーティストとしての手腕も秀でており自身のアルバムではデトロイト・テクノやかつてのWarp Recordsが提唱したArtificial Intelligence等にも共振する音楽性を披露し、特に叙情性のあるメロディーを武器に現在のダンス・ミュージックを表現している。それは彼女が運営するDollyにも正しく反映されており、事実レーベルからはデトロイト・テクノからの影響を強く残した作品も少なくはない。そしてこのMIXCDだ、何と全てが新作、全てがDolly傘下のDolly Deluxeの為に用意された楽曲で、つまりはレーベル・ショーケース的な扱いである事は否定出来ないが、そういった制約を全く感じさせないレーベルの方向性とSteffiの音楽性の魅力が存分に伝わる内容になっている。彼女自身は遂に本作に対し「Artificial Intelligence」からの影響を公言している通りで、4つ打ちに終始しない多種多様なリズムの変遷とSFの世界観にも似た近未来感漂うシンセのメロディーを軸にした選曲を行っており、もしかすると彼女が普段クラブで披露するDJとは異なるのかもしれないがこれも彼女の魅力の一つになり得るだろう。アルバムの幕開けはアンビエントなトラックにボコーダーも用いてSF的な始動を予感させる"Echo 1"で控えめなスタートだが、直ぐに痺れるようなビートが脈打ち壮大な宇宙遊泳に誘われるシンセが広がる"Sound Of Distance"へと移行し、グラグラと横揺れしながらダンスのグルーヴへと突入する。緩急自在に続くSteffiとShedのコラボである"1.5"では速度感を落として幻想的なパッドとカクカクとしたエレクトロのリズムによって一息入れ、ダビーな音響の奥からデトロイト的なパッドが浮かび上がる"Freedom"や複雑なダブ・ステップ系のリズムながらも初期Carl Craigを喚起させる美しさがある"No Life On The Surface"など、深遠なる宇宙の叙情性を軸にリズムとテンポの幅を拡張しながら展開する。Answer Code Requestの"Forking Path"にしても重厚感と奥行きのあるダンス・トラックではあるものの、やはり何処か覚醒感あるフローティングするシンセが効いており、勢いに頼らずとも淡いムードで上手く世界観を作っている。中盤ではレトロ調なエレクトロ・ビートが何だか懐かしくもあるが、Duplexの"Voidfiller"によって希望に満ちた明るい道が切り開かれ、そのままArtificial Intelligenceらしいブレイク・ビーツやもやもやしたシンセの曲調中心になだらかに加工しながら眠りに就くようなクローズを迎える。レトロ・フューチャーな郷愁に浸りつつ、更にはダンス・ミュージックとして躍動的なリズムもあり、懐かしさと面白さを味わえる素晴らしいMIXCDであろう。



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The Orb - COW / Chill Out, World! (Kompakt:Kompakt CD 134)
The Orb - COW / Chill Out, World!
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コンセプトは単純にアンビエント・アルバムを作る事、それに従って制作された本作は、アンビエント・ユニットとして名高いThe Orbにとってユニット史上最も"チルアウト"と宣伝されているが、その謳い文句も決して嘘ではないだろう。前作から僅か1年でチルアウトを打ち出したアルバムに携わっているのは、中心人物であるAlex Paterson、そしてThe Orbの第二の中心人物であるThomas Fehlmann、そしてユニットの初期に参加していたKilling JokeのYouthと、つまりはアルバム毎に制作メンバーが変わるユニットの中でも鉄板メンバーが揃っているのだから、当然悪い訳がない。路線としては限りなく幻想的で美しい音響を打ち出した『Orbvs Terrarvm』(過去レビュー)に近いだろうが、そちらがアンビエントなのに対し本作はやはり自然主義に根付いたチルアウトとしての要素が勝っている。何しろThe Orbと言えばヒップ・ホップやダブからの影響を受けた土着的なリズム感に定評があるが、本作ではそういった躍動的なビート感は希薄で、霞がかった繊細なヴェールのような電子音やオーガニックな楽器の音色に鳥の囀りや水の流れる音などのフィールド・レコーディングを軸として、緑が溢れる田園地帯を揺蕩うような牧歌的なイメージが通底している。音響的には奥深いダブの要素は当然あるもののリズム感で踊らせる展開は回避し、あくまで電子音と有機的なサンプルによって自然回帰的なほのぼのと穏やかな音響空間を構築し、Alexお得意のユーモアを盛り込んだサンプリングが無い訳ではないが、本作のキーはやはりThe Orbのインテリジェンス溢れる方面を担うFehlmannの繊細で耽美な音の使い方が肝だ。基本は豊かな色付けで装飾を行う電子音が前面に出ており、それがオーガニックなサンプリングと融和する事でチルアウトとしての効果が高まっている。例えば時間軸が遅くなったような南国のリゾート感溢れる"Sex (Panoramic Sex Heal)"では爪弾きのような弦楽器の音とドリーミーな電子音が入り混じり、当然そこに虫の鳴き声のサンプルも落とし込む事で余計にナチュラル・トリップを生み出しているし、"The 10 Sultans Of Rudyard (Moo-Moo Mix)"では人の呟きや虫の音のサンプリングを用いた定番的なチルアウトに合わせてRoger Enoによる静謐なピアノの調べを導入し、何か神聖な雰囲気も加わり壮大さを増している。その美しい音響には最早意識さえも融け込んでしまうような、つまりはチルアウトとしては最適な音楽であるのだが、タイトルからして『牛/チルアウトの世界』なのだから聞かずとも想像は付くだろう。



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| TECHNO12 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cassy - Donna (Aus Music:AUSCD007)
Cassy - Donna
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伴侶や友人との分かれや、音楽制作に対する苦痛などの逆境の中から生まれたアルバムだと本人は言う。その人こそ現在はロサンゼルスに拠点を置くCassyで、周知の通り過去にはPanorama BarやRexでもレジデントを持っていた生粋の女性DJ/アーティストだ。公式リリースでは Panorama BarやFabricに関連する4枚ものMIXCDをリリースしており、DJとしての素質に疑いようはないわけだが、実はアーティストとしても長いキャリアを持っている。だからこそアルバムがリリースされてようやくかという思いである訳だが、全面的に共同制作に加わったKing Brittの影響もあってか、アルバムは思っていた以上に決して明るくはないもののソウルフルな内容にはなっている。ややダブ・ステップやR&Bを思わせる崩れたビートとしっとり艶のある歌もの"This Is How We Know"でアルバムは幕を開け、続く"Feel"では滑らかで繊細な4つ打ちに合わせて包容力のあるボーカルも導入され穏やかなディープ・ハウスを聞かせる。かと思えば次の"Back"では乾いてチープなリズムに夜中の官能を演出するピアノを交えたハウスを披露し、ぐっと妖艶さを増していく。かと思えば音を間引きロウな質感を打ち出した"All I Do"ではコズミックな電子音やブイブイとしたシンセベース主体のディスコ風な音を聞かせるなど、アルバムはおおよそ統一性とは反対の多様性を打ち出した内容になっている。事実、レイドバックしたメロウなヒップ・ホップ風の"Strange Relationship"にゴージャス感のあるポップなR&B影響下の“You Gotta Give”、そしてボサノヴァ風の軽やかなパーカッションが心地好い"Cuando"まで、アルバムに何か統一性を見つけ出すのは難しいが、敢えて言うならばどんな曲であっても感情的な面を押し出してきている。そして最もフロア受けするであろう"Keep Trying"は覚醒感のある、半ばトランシーでさえある電子音を用いた勢いのあるテック・ハウスで、闇夜に染まりつつCassyによる甘い歌が問い掛けるような官能的な曲だ。もう少しこの路線が多かったならばという思いもあるが、彼女の個性を全て曝け出そうとしている意図があるのだとしたら、アルバムのフォーマットを活かしてそれは達成されているのだろう。



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| HOUSE12 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Satin Jackets - Panorama Pacifico (Eskimo Recordings:541416507583)
Satin Jackets - Panorama Pacifico
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ベルギーを代表するニューディスコ系のレーベルと言えばEskimo Recordingsがあり、2013年からは『The Pink Collection』(過去レビュー)に始まる全曲新録のカラーシリーズを立ち上げ、現在の『黄色』に至るまで年に1枚のペースでリリースを続けるなど、今も尚ニューディスコの普及に務めている。本作はそんなシリーズにも曲を提供していたドイツの二人組、Dennis HurwitzとTim BernhardtによるユニットのSatin Jacketsの初のアルバムで、アートワークから想像出来る通りのキャッチーなシンセ・ポップ/ニューディスコが満載だ。ポップアートのようなカラフルで大衆的なジャケット、それがそのまま音にも反映されており、これでもかと分かり易く懐っこいメロディーと甘いボーカルを軸に置いた曲は、単にダンス・ミュージックの枠に収めてしまうだけではもったいないだろう。アルバムの始まりである"Feel Good"からして朝日が登り始めるような明るいトラックに、爽やかで清らかなボーカルを合わせたシンセ・ポップで、その汚れのない素朴さが何とも可愛らしい。続く"We Can Talk"はやや俗世的でゴージャス感のあるシンセも用いて派手派手さもあるが、ゆったりまったりな4つ打ちディスコビートとシンセベースがレトロフューチャーで懐かしさを誘う。かと思えば哀愁滲むギターのフレーズと甘く溶けるようなコーラスを打ち出したダウンテンポな"Keep Moving On"、インストな分だけよりフロア寄りの弾けるビート感があるニューディスコな"Cala Banana"など、ポップな作風で統一感はありながらも幅を持たせる事にも成功している。特に黄昏時の切なさが強い"Say You"、そのしんみりとした女性ボーカルやカラフルなシンセの響きから発せられる郷愁には胸が締め付けられるだろう。アルバムの最後は2013年のEPから"You Make Me Feel Good"で、広大な青空に飛び出したようなバレアリック感のある爽快なシンセ・ポップにより、心残りのない清々しいラストを迎える。こんなにポップでラブリーな音楽は、是非ともパーティーの朝のフロアで聞いたら幸せになれるに違いないが、ダンス・ミュージックに詳しく無い人にだって訴えかけるキャッチーさがある。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Virginia - Fierce For The Night (Ostgut Ton:OSTGUTCD36)
Virginia - Fierce For The Night
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過去にはCocoonでの、そして現在はPanorama Barのレジデントとして活躍するVirginiaが、そのクラブが運営するレーベルであるOstgut Tonから遂に1stアルバムをリリースした。DJとしてトラックメーカーとして、そしてボーカリストとしても活動する彼女の音楽性は、過去のクラシカルなシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノからの影響を強く滲ませるもので、特に自身が歌う事でより感情性豊かな作風を確立している。プレスリリースによると本作は「愛、欲望、人生などのテーマ」を基に制作されたそうだが、更にかつてから交流のあるSteffi & Martyn(Doms & Deykers名義では完全にデトロイト・テクノ影響下の作品をリリースしている)にDexterが制作に全面的に参加する事で、ダンス・ミュージックとしての機能性と共にポップ性の高いメロディーやハーモニー、そして古き良きアナログ・サウンドの中に懐かしくも情熱的な興奮を込める事に成功している。アルバムの幕開けは彼女のセクシーな歌声が映えるテッキーな"Bally Linny"だが、ブラスバンド風のシンセは80年台のシンセファンクを思い起こさせ、ポジティブな煌めきを含む。続く"1977"も80年代感が強く、エキゾチックなシンセや膨らみのあるシンセベースからは何だかフュージョンの作風に通じるものがあり、レトロ・フューチャーとは正しくこの事だ。古さを強調するだけでなく"Lies"のようにモダンなディープ・ハウスに官能的な歌を被せた曲もあるが、その耳への響きはやはり甘く懐かしい。中盤には特に切なさを誘うメランコリーなダウンテンポの"Believe In Time"があり、哀愁で覆い尽くす歌がトラックをより味わい深いものとしている。そこに続く"Subdued Colors"も小気味良いブレイク・ビーツで揺れる曲で、誘惑するような歌が夕暮れから夜にかけてのしっとりした官能を感じさせる。そこからの"Funkert"や"Follow Me"はアルバムの中では特にフロア受けするであろうストレートなダンス・トラックで、しなやかに伸びる叙情的なシンセや美しいメロディーと勢いと弾力のあるリズムはデトロイト・テクノと共振し、真夜中の興奮に一役買うのは間違いない。そしてラストの夢に溺れてしまうようなアンビエント風のハウスである"Han"で、アルバムは切ない余韻を残して締め括られる。リスニングからダンスまで程良く纏まったアルバムで、特にシンセポップを思わせる懐かしいシンセの音やドラムマシンが本作を特徴付けており、ポップなメロディーも相まって素晴らしいボーカル・ハウスを味わえるはずだ。ハードなテクノのOstgut Ton…と言う印象が強いレーベル性の中で、こうやってクラシック的な要素の強いアルバムが出てくる事は意外だが、やはりルーツは避けては通れないと言う事なのか。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Joe Le Bon - House Music Love Music (Moods & Grooves:MG CD-6)
Joe Le Bon - House Music Love Music
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ここ数年、デトロイトのテクノ/ハウスが全盛期に比べると活気が無いのは多くの人が肌で感じているだろうが、逆に今になって勢いを増しているレーベルもある。Mike Grantによって運営されているMoods & Groovesはそれが顕著で、1999年に始動したこのレーベルはデトロイトのみならずシカゴ方面にも理解を示しながら、今となっては大御所と呼ばれるアーティストをサポートし、近年ではそこにKyle Hallも並んでいる。ここ3年程はレーベルの過去の名作を「Moods & Grooves Classics」シリーズとして編集した作品をリリースする傍ら、ニューカマーからGrantによる新作まで着々と手掛けているが、レーベルにとって久しぶりとなるアルバムである本作も遂にリリースされた。それを手掛けたアーティストはフィンランド出身、現在はベルリンにて活動するJarno EerolaことJoe Le Bonで、過去にはPro-tez RecordsやInternational Deejay Gigoloからもリリース歴はあるようだが、作品数は決して多くはなくその活動についても不明な点が多い。しかしMoods & Groovesというレーベルからのリリースという肩書きが付いた本作によって、少なからずともJoe Le Bonに注目をせずにはいられなくなるだろう。アルバムの音楽性は確かにハウスではあるが、デトロイトのそれではなく北欧の優美で洗練されたディープ・ハウスが中心と、レーベルの中では少々異色にも思われる点もあるがそのどれもが幽玄で神秘的だ。冒頭の”Ghosts On Cassette”、ふんわりとスペーシーなシンセの伸びと落ち着きのある滑らかなハウスのグルーヴからは、確かに黒さを感じる点は少なくむしろアンビエンスさえある微睡みのディープ・ハウスで官能的だ。"Berlin Panorama"はベルリンのあのクラブをコンセプトにした曲だろうか、オーロラの様に舞う美しいシンセのレイヤーには言葉を失う程で、決してビートを荒らげる事をせずに繊細なリズム感で静かに高揚させる。リスニング系だけでなくクラブを意識した曲もあり、シャープなハイハットとパーカッションが軽快なリズム感を生みつつ幻想的なシンセのリフが反復する"82 Degrees"や、ざらつきのある荒削りなビートでスピード感を強調し爽やかながらも仄かに官能を匂わすテック・ハウスの"Like Cotton Deep Orchestra"と、アルバムの中で良いアクセントとなっている。しかしJoe Le Bonの魅力はやはりその情緒深い味わいにあると思い、シネマティックでありしっとりと切なさに満たすダウンテンポの"The Road Is Under Repair"や、ビートレスな展開に羽毛が舞うような繊細なシンセが揺れるアンビエントの"For Yasuni"で、実にエモーショナルな音楽性を目の当たりにするだろう。前述のように確かにMoods & Groovesのレーベル性から見ると異色さはあるものの、アルバムとしてのリスニング性の高さを活かしたディープ・ハウスは本物だ。



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| HOUSE11 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2015/5/23 Nick Hoppner "Folk" Album Tour @ Air
一般的には硬質で無骨なテクノのBerghainに対し、官能的でしなやかなハウスのPanorama Barというイメージはある程度あるものの、過去にSteffiやこのNick Hoppnerのプレイを現場で聴く事によってその印象はより強まった経験がある。Berghain/Panorama Barが主宰するOstgut-Tonの元レーベルマネージャーであり、また両者のクラブでプレイをするHoppnerであればこそ、その音楽性への理解はレーベル関係者の中でも人一倍なのではないだろうか。そんなHoppnerが遂に自身のソロアルバムをリリースし、ワールドツアーの一環としてここ日本にも久しぶりに降り立つ機会がやってきた。
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Nick Hoppner - Folk (Ostgut Ton:OSTGUTCD33)
Nick Hoppner - Folk
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Panorama Barのレジデントを務め、そしてそのクラブが主催するOstgut Tonの元レーベルマネージャーとして、音楽の販売方面から貢献してきたNick Hoppner。しかし2012年にはレーベルマネージャーの役職を退任しよりアーティストとして表現する活動に専念していたが、遂にキャリア初のソロアルバムを完成させた。一般的なOstgut Tonのイメージと言えばやはりハードなテクノの印象は強いと思うが、Hoppnerに関してはPanorama Bar側のハウスサウンド、特に妖艶なメロディーとディープな世界観が打ち出された音楽性が特徴だ。アルバムの冒頭に配置された"Paws"は暗い緊張感に包まれながらも覚醒感を呼び起こすメロディーが執拗に繰り返されるが、闇夜を繊細に彩っていくような音の使い方は優美でもあり、疾走するグルーヴを伴うテクノ/ハウスの中にHoppnerの耽美な美意識が存在している。続く"Mirror Images"では一転してリラックスしたハウスの4つ打ちに幻想的で淡いパッドや可愛らしいタッチのシンセが情緒を添えて、デトロイト・テクノとも共振するエモーショナルなディープ・ハウスを聞かせるが、リスニングを意識しながらもフロア対応のダンストラックとしての前提は忘れていない。繊細なメロディーが活かされているのは他に"Rising Overheads"でも聞けるが、これもダークでオドロオドロしい雰囲気の中からテッキーな上モノが現れ、真夜中の時間帯のパーティーで心を鷲掴みにするディープな世界観がある。そこに続く"Grind Show"はアルバムの中では異色な遅いBPMのダウンテンポだが、圧力のあるキックやベースが膨らみオーケストラのような荘厳な上モノが、地震のように体を震わすだろう。後半にはブロークンビーツ風な変則的なビートに煌めくようなシンセを絡めてエレガンスを極めた"Airway Management"、ラストを飾るに相応しく凛とした多幸感を放出しながら爽やかにフェードアウトしていくようなディープ・ハウスの"No Stealing"など、やはりダンス・ミュージックという機能的な面だけでなく豊かな感情を含むようにタイムレスな音楽性を心掛けているようだ。何か特別なコンセプトを感じられる作品ではないが、しかし元からアルバムを意識して制作したと発言している通り、リスニングとしても楽しめる纏まりのあるアルバムかつ機能的なクラブトラックが並んでいる点に、Hoppnerのアーティストとしての才能を感じずにはいられない。



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Virginia - My Fantasy EP (Ostgut Ton:o-ton83)
Virginia - My Fantasy EP
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ドイツの最大規模のクラブであるBerghain/Panorama Barが音楽制作の場として運営するOstgut Tonには、男性アーティストだけではなく多くのクラバーを魅了する女性アーティストもいる。例えばTama SumoやSteffiがそうだが、2013年にはOstgut TonからEPをリリースしたVirginia Nascimentoもその一人だ。Panorama Barでレジデントを務めるDJでもありボーカリストでもあり(事実Steffiの曲にボーカリストとして参加もしている)、そして現在はトラックメーカーとしての動きも強めている期待のアーティストだ。Ostgut Tonからおおよそ2年ぶりとなる新作は、前作に於ける自身のボーカルも用いながら多様性のあるテクノ/ハウスを展開した音楽性とは異なり、ボーカルは極力用いずにフロアを一心に見つめたようにDJの視点からパーティーでこそ映える事を意識したトラックが中心となっている。"Fictional"ではどっしりと芯の強いキックが安定したビートに恍惚感の強いベースラインが絡んで、フロアで活きるグルーヴ感を生んでいる。そして何よりも豊かな音色の上モノが情緒的なコード展開や幻惑的なメロディーを見せながら絡み合い、単にツールとしてだけでなく豊かな感情性を含んだ機能的な曲として成り立っている。また"Never Enough"は乾いた質感ながらも軽快で弾けるようなビートを刻んでおり、そこに鮮やかなシンセや芳醇なベースサウンドが加わって、随分と爽やかでポジティブなハウス・ミュージックだ。唯一ボーカルを導入した"My Fantasy"にしても声はあくまでアクセント的に用いられ、基本はシカゴ・ハウスを思わせる乾いたキックやハンドクラップを主体とした辿々しいビートと、そして美しいストリングスによる滑らかな旋律が耳に残り、古き良き時代のオールド・スクールな性質が強い。どれもこれもフロアに根ざした無駄のないシンプルなダンス・ミュージックであり、そしてデトロイト・テクノやシカゴ・ハウスを意識した情緒性の強い作風は、後から思えば正にOstgut Ton的なのだと実感させられる。



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Steffi - Power Of Anonymity (Ostgut Ton:OSTGUTCD32)
Steffi - Power Of Anonymity
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3年ぶりとなるアルバムを完成させたPanorama Barでレジデントを務めるSteffi。デビューアルバムの"Yours & Mine"(過去レビュー)はシカゴ・ハウスを下地にTR/TB系のリズムを前面に打ち出しながら、柔らかさやしなやかさを兼ね備えた艶のある官能的なモダン・ハウスが収録されていた。勿論フロアで機能するダンス・ミュージックである前提ではあったものの、今思えば少々内向的でリスニング的な方面へと傾倒していたコンセプチュアルな作品だった。しかし、この新作では前作同様にTR/TB系の音を用いてアナログの雰囲気を維持しながらも、よりDJが使用する事に重点を置きフロアでこそ映えるようなダンス・トラック性が強くなっている。例えば彼女が主宰するDollyのレーベル特性であるデトロイトの叙情性がより際立ち、そしてエレクトロやテクノの性質も高めて、決して激しくなり過ぎる事はないが外交的なエネルギーが満ちた作品になっている。アルバムの幕開けとなる"Pip"はエレクトロの角ばったリズムに仄かに叙情を発する幽玄なメロディーが浮かび上がるインテリジェンス・テクノ的な曲だが、90年代前半のAIテクノ全盛期の雰囲気を纏いながらも洗練されたシンセの音色は今っぽくもある。続く"Everyday Objects"でも同様に艶のある音色のシンセが広がりエモーショナルな展開が続くが、カタカタとしたテクノ的な疾走するリズムと控えめに基礎を支えるアシッド・ベースが唸り、暗闇の宇宙空間に瞬く星の間を駆け抜けるようなコズミック感が既にピークを迎えている。"Selfhood"でも急かすようなビートとギラつくようなトランス感のあるシンセが感情を熱く鼓舞し、やはり部屋の中ではなく沸き立つフロアを喚起させる。"Bag Of Crystals"も高揚感が持続するダンス・トラックで、バタバタと叩かれるような激しいリズムとトランス作用の強いシンセが執拗に反復しながら、そこに美しいシンセ・ストリングスも入ってくれば黒さを濾過した洗練されたデトロイト・テクノにも聞こえてくる。またデトロイトのエレクトロを洗練させて今という時代に適合させた"Bang For Your Buck"や"JBW25"、そんなエレクトロ調の鞭打たれるビートにDexter & Virginiaをボーカルに器用した"Treasure Seeking"など、刺々しい攻撃的な性質はSteffiが述べるようによりフロアへと根ざしている。どれもこれもデトロイト・テクノやエレクトロなどオールド・スクールに影響を受けながらも、しかし決して古臭くない現在の感覚も纏いながらダンスフロアへと適合させ、興奮や情熱を刺激する素晴らしいテクノアルバムになっていると断言する。



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| TECHNO11 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prosumer - Fabric 79 (Fabric Records:fabric157)
Prosumer - Fabric 79
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Berghain/Panorama Bar一派の中でも特にハウス・ミュージックに対しての誠実な愛を表現するProsumer。既にPanorama Barレジデントから身を引き、今ではそういった肩書きに左右される事なく世界各地のパーティーでプレイしているが、そんな彼にとって3年ぶりとなるオフィシャルMIXCDは名門Fabricからとなる。前作は古巣Ostgut TonからPanorama Barシリーズの一環としてのMIXCDだったが、Fabricからのリリースとなる本作も基本的にはProsumerの普遍的なハウス・ミュージックに対する視線は変わらない。MIXCDの冒頭を飾る"Time"からして93年作となる古典的なハウスだが、その軽快でパーカッシヴなグルーヴとシンプルで素朴なピアノのメロディーからは正にクラシカルという趣が発せられている。続くは妖艶なストリングスが先導するChez Damierによるこれまたクラシックな"Untitled B2"で、やはりProsumerのプレイはオールド・スクールという風格があるのだ。その後もA Black Man, A Black Man And Another Black ManやThe Traxxmenなどシカゴのゲットーハウスも登場し、序盤は素朴ながらも粗雑な質感のハウスでファンキーな展開を推し進めている。それ以降はクラシックなハウスも織り交ぜながらも、洗練されたモダンなディープ・ハウスから仄かに情熱的なテック・ハウスなどを中心に滑らかな展開で、ハウス・ミュージックの4つ打ちのグルーヴの心地良さを組み立てていく。面白いのは中盤でブレイク・ビーツやジャジー・ハウスを使用している時間帯だろうか、さらっとしなやかなビートと華麗な世界観を作り上げ、ほんの短い時間ながらも優雅に舞い踊るような瞬間さえもある。その後は再度、最新のハウスから古き良き時代のシカゴ・ハウスまで通過しながら、最後には82年作の"She's Got Her E.R.A."による艶かしいファンクでしっとりと幕を閉じる。新旧ハウス・ミュージックを織り交ぜながら決して大仰になる事なく、丁寧に曲のメロディーや雰囲気を尊重しながら繋ぎ合わせ最後までダンサンブルな展開を作るプレイは、正にハウス・ミュージックの感情的な面を表現しておりこれぞProsumerの持ち味が表現されている。




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| HOUSE10 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2015/1/31 House Of Liquid @ Liquidroom
2013年の年の瀬が近くなった頃に初来日し、ディープ・ハウスを軸に独特の審美眼から選びぬかれた曲をミックスして期待を超えるDJを披露したEdward & Oskar Offermann。ドイツにてWhiteを主宰し繊細な美しさと異端な空気を放つディープ・ハウスを手掛けながらも、彼等自身はPanorama BarやRobert Johnsonのような大箱でもプレイするなど、その評価と人気は着実に高まっている。今回は1年ぶりの再来日となるが、前回の来日で評判が良かったおかげか前回出演したGrassrootsからLiquidroomへと場所を移して、ハウス・パーティーでは名物となるHouse Of Liquidへの出演となる。日本から迎え撃つのはこのパーティーでは代表格であるMoodman、そして前回もEdward & Oskar Offermannと共演したKabutoと、この上なく最高の相性であろうDJなのだから期待しない訳にはいかないだろう。
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| EVENT REPORT5 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Edward - Teupitz (White:WHITE 016)
Edward - Teupitz
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一年ぶりに再来日するEdward & Oskar Offermannは、ベルリンのモダンなディープ・ハウスにおける注目の的だ。まだ日本ではそれ程知られた存在ではないだろうが2013年にはひっそりと初来日し、小箱であるGrassrootsで奇跡的なDJセットを披露してその実力を知らしめた。事実としてヨーロッパではPanorama BarやRobert Johnsonなどの大箱でもプレイし、またOskarが主宰するWhiteはディープ・ハウスを軸に他の要素も取り入れながら洒落も効いた作風で独自の路線を歩み、DJとしてもアーティストとしてもレーベル主宰者としても実力が認知されている。本作はそんな二人の片方、Edwardが2012年にリリースした初のアルバムであるが、やはりディープ・ハウスを根底に据えながら単なるディープ・ハウスには収まらない作風が見ものだ。何でも本作はEdwardがドイツはブランデンブルク州の"Teupitz"と呼ばれる御伽話に出てくるような村で元となる曲を書いたようで、自然と静寂に対する深い愛を再発見したのを契機に真のハウス・ミュージックへ辿り着いだそうだ。と、そんな背景がある影響か本作はディープ・ハウスを基軸にしながらもフロア・オリエンテッドと言うよりは随分と穏やかで、決して快楽的なダンス・ミュージックだけを目的としているようには見受けられない。勿論DJツールとしての前提は押さえつつも強迫的に踊らせるダンスのグルーヴは存在せず、全体的に線は細く無駄な音も削ぎ落とされ、最小限のメロディーやリズムで揺蕩うようなエモーションを発している。決して熱くなり過ぎずに、決して壮大に盛り上げ過ぎずに、ハウスだけでなくダウンテンポやテクノの要素も取り込みながら夢の中で聞こえるような繊細ながらも心地良いサウンドを鳴らすのだ。研ぎ澄まされ無駄を排した装飾的なダンス・ミュージックは、まるで芸術的でもあり非常に洗練されたモダンなハウス・ミュージックの体を成している。アルバムという形を活かして曲毎に変わった側面を見せる事で掴み所のない飄々とした作風ではあるものの、気軽でリラックスした音楽性は彼がプレイするDJの姿勢にも通じるものがあり、このアルバムから少なからずともDJの方向性は伝わってくるだろう。



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| HOUSE10 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Livity Sound Remixes (Livity Sound:LIVITYCD002)
Livity Sound Remixes
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UKのアンダーグラウンドなダブ・ステップを進化させたブリストル発のPunch Drunkの存在感は言うまでもないが、レーベルを主宰するPeverelistがその音楽性をテクノ/ハウスという性質を伴いながら拡張させるべく2011年に設立させたのがLivity Soundだ。それはレーベルでもあり、また同郷のAsusuとKowtonも含むライブ・ユニットでもあり、ダブ・ステップやベース・ミュージックの最新系と呼んでもよいだろう。2011〜2013年までの間に同レーベルからこの3人がソロ、または共同で楽曲制作を行い数枚のEPをリリースしていたのだが、2014年にはそれらを現在旬のアーティストにリミックスしてもらいEP化していた。本作はそんなリミックスEPを纏めたコンピレーションで、ここにはインダストリアルを軸にしながらもダブ・ステップへの理解もあるSurgeon、オランダのダブ・ステッパーである2562ことA Made Up Sound、長らくPanorama Barでレジデントを務めていたNick Hopper、Workshopでの作品が評価の高いKassem Mosse、前述のPunch DrunkやR&Sからも作品をリリースする新星・Tesselaなどがリミックスを提供しており、ダブ・ステップにそこまで思い入れのない人にとっても食指を伸ばさせるような名前が連なっている。また、元々Livity Sound自体がハイブリッドな音楽として成り立っているが、本作では様々なリミキサーを起用する事でより多様性を含みながら、UKダブ・ステップの未来を示唆する点に注目だ。Mix MupとKassem Mosseによる"More Games (MM/KM More Names Remix)"は、硬質なキックを用いてダブ・ステップの変則的なビートを刻んではいるが、ひんやりととしたブリープ音を用いてインダストリアルな質を打ち出している。インダストリアルといえばSurgeonだろう、彼による"Raw Code (Surgeon Remix)"は厳つくゴリゴリとしたビートで押し通す強硬な面もあるが、その中に情緒的なパッドも薄っすらと配置しハードな中にもエモーショナルな要素を同居しているのだ。新興勢力であるTesselaは"Aztec Chant (Tessela Remix)"において、その若きエナジーを発散させるようにオリジナル以上に荒れ狂うリズムを叩き出して、獰猛なビートのテクノへと改革を果たしている。どれもクラブでの即戦力と成り得るダブ・ステップの重低音と激しいリズムを打ち鳴らしつつも、テクノが秘める未来的なヴィジョンを投影させた作品群は、間違いなくこれが現在の音である事を主張している。



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| TECHNO11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Manhooker - Heartbeat (Mule Musiq:MM 171)
Manhooker - Heartbeat
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2013年の初頭にBerghain/Panorama Bar傘下のUntertonから突如デビューしたManhooker。ボーカリストのSebastian Mavin MagassoubaとプロデューサーのGuiddoから成るこのユニットは、初のリリースである"Wheels In Motion"(過去レビュー)において哀愁のポップかつディスコティックな歌モノハウスを披露し、限られた分野においてかもしれないが注目を集めた。クラブで楽しむためのダンス・ミュージックではあるが、その前提を差し置いても耳に残る旋律や淡くもメロウな世界観はよりオーバーグラウンドで聞かれるべきかとは思うが、この新作もその方向性をより推し進めている。リリースは日本から世界へと羽ばたいたMule Musiqからとなれば、その音楽的な質は疑うべくもないだろう。先ずは何といってもManhookerによる"Heartbeat (Original)"が素晴らしく、路線は正に"Wheels In Motion"を踏襲するものだが、Mavinの水っぽさもある甘いボーカルとピアノやストリングスの奥ゆかしい華麗な音を用いながら、密かにエレポップ風なゴージャスさも匂わせるハウス・トラックはキュッと胸を締め付けるような切なさが溢れている。やはり歌が良い、メロディーが良い、しっとりした音質が良いと徹底して方向性にぶれがない。他にはリミックス3曲を収録しているが、ミニマル度を高めた分だけ真夜中の深い時間帯向けにダークさを強めた"Heartbeat (Kresy Remix)"、ボーカルを強調し霞の奥に消え行くような幻想的なムードを打ち出した"Heartbeat (Mia Twin & Kasp Rework)"、ビートダウン風なざらついた質感で生っぽさを打ち出した"Heartbeat (Asok Remix)"と、それぞれ異なる味わいに作り変えている。しかしやはりここでの一押しはオリジナルである事に疑いはなく、Manhookerへの期待は高まるばかりだ。




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| HOUSE10 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2014/9/22 Prosumer Japan Tour 2014 @ Air
元Panorama Barのレジデント…という肩書きも今では不要ではないだろうか、シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノなどオールド・スクールな音楽にも精通した温故知新なプレイが高い評価を受けるProsumerが久しぶりに来日した。Berghainに比べるとPanorama Barはハウスという印象が強いが、ProsumerのMIXCDを聴けばそれを体現していた一人が彼であったのではないかと思う程で、実直なハウス愛が伝わってくるDJだ。そして日本からのサポートはハウスのグルーヴとテクノの音響を綱渡り出来るdj masda、そして元々ハウスDJから始まったDJ Nobuが担当し、三者三様のハウスを体験出来る一夜となった。
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| EVENT REPORT5 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Panoram - Everyone Is A Door (Firecracker Recordings:FIREC012CD)
Panoram - Everyone Is A Door
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DJ HarveyがMIXCDに起用した事で突如として注目を集めているPanoram。2012年にEPを1枚リリースしただけのアーティストが、今年になって突如としてエジンバラのカルト・レーベルであるFirecrackerからアルバムをリリースしたのだから、余計に注視してしまうのも当然だろう。特にEPでのリリースが中心となるFirecrackerからのアルバムという事なれば、それこそレーベルとアーティスト共々に揺るぎない自信があるのは間違いない。最初に述べておくとアルバムではありながら30分程のボリュームであり、各曲も2分前後の随分とコンパクトな作品になっている。しかしそれに反して音楽性は拡張を行うように、情緒豊かでシネマティックなオープニングから始まり小気味良いリズムを刻むブギーな曲、光沢感のあるシンセが優雅に伸びるジャジーな曲、安っぽいマシンビートを刻むロウ・ハウス、果てはBoards Of Canadaの淡い霧の世界に覆われたサイケデリアやThe Black Dogのようなインテリジェントなブレイク・ビーツまで、本当に一人のアーティストが手掛けているアルバムなのかと疑う程にスタイルは多彩だ。尺の短さとその多様性が相まって、各曲の世界観を堪能する間もなく次々と心象風景が浮かび上がっては消え、あっという間にアルバムも聴き終わってしまう。だからといってアルバムが散漫になっているかというとそうでもなく、矢継ぎ早に展開される曲とは対照的に各曲の中に流れる時間軸は世間の喧騒を忘れるようにゆったりとしており、優雅かつ甘美な香りが満たされたデイドリームを満喫するようなリラックス加減が心地良い。あれこれと試みながらもコンパクトに纏めた事が功を奏し、いつの間にか聴き終えると再度デイドリームを求め、自然とプレイヤーのリピートボタンを押すような魅力がある。短いながらもノスタルジーに浸るには十分過ぎるベッドルーム向けの音楽で、Firecrackerの音楽性をも拡張する特異なアルバムだ。



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John Barera & Will Martin - Milestones (Dolly:Dolly 18)
John Barera & Will Martin - Milestones
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Berghain/Panorama Barでも活躍する女性DJのSteffiは、2010年からDJ業の傍ら自身でもDollyなるデトロイト・テクノに影響を受けつつ欧州的に昇華した音楽性のレーベルを運営している。特にレーベルのここ数作はエモーショナルな方向性へと傾いているが、ボストンで活動するJohn BareraとWill Martinによる新作もやはりデトロイテッシュな音が強く出ている。両者ともまだリリースしている作品は少ない若手アーティストのようだが、この作品によって多少なりともは注目を集めるのではと思うようにこの新作は充実している。特に素晴らしいのはA1の"Nomad"で、跳ねるような疾走感溢れるアッパーリズムの上に、華麗さもあるメロディアスなシンセのメロディーが覆い尽くす作風は、デトロイト・テクノを欧州的に洗練された音で解釈したようなテクノでフロアで映えるのは間違いないだろう。"Flux"でも静かに湧き上がるシンセのメロディーは透徹しているが、ゆったりとしたリズムがしっかりと安定感のあるビートを刻んで、より大らかなエモーションが感じられるだろう。また表題曲の"Milestones"はハンドクラップも加わった荒々しいビートも相まってかオリジナルの古き良き時代のデトロイト・テクノを思わせる作風もあるが、それをThird Side(Steffi & The Analogue Cops)がリミックスした曲は、アンビエントな上モノを付加しつつ硬質なミニマル度を高めたディープなテクノへと生まれ変わらせている。実にDollyらしいデトロイトの影響が強いオリジナルの3曲とツール性を高めたThird Sideのリミックスを収録し、John Barera & Will Martinに今後の期待を抱かせるには十分過ぎる内容だ。更にJohn Bareraはこの後Dollyからのアルバムも予定されているそうなので、余計に注目せざるを得ない。




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Duplex - First Day EP (Dolly:Dolly 16)
Duplex - First Day EP
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ベルリンはPanorama BarでもレジデントDJを務めるSteffiは、自身でも2010年からDollyと言うレーベルを始動させている。オランダ出身である影響もあるのか、オールド・スクールな空気も持ち合わせたデトロイト風なエモーショナルなテクノ/ハウスをリリースしており、Steffiのバックボーンが投影されているのではないだろうか。そのレーベルの新作は同じくオランダ出身のChris Aarse & John MatzeによるDuplexがフィーチャーされ、Dollyに期待するようなオールド・スクールながらも憂いを帯びた音を鳴らしている。アナログ性を強く打ち出したドタドタとした乾いたリズムが走る"First Day Jx3Po"は、しかしその上では神秘的なコードやスペーシーなシンセが反復し、一時の宇宙遊泳を楽しむかのようなドラマティックな世界が広がっている。それをシカゴのSteven Tangがリミックスした"First Day (Steven Tang Remix)"は、正確に刻まれるハイハットやキックのリズム感を強めながらも上モノやアシッドサウンドなどもより洗練され、デトロイト・テクノを喚起させる未来的なハイテック・テクノへと見事に生まれ変わらせた。裏面にもより宇宙へと強く飛翔しエモーショナルな感情が溢れ出るテクノの"Skystream"、ハウス寄りの夜っぽいしっとりした妖艶さを増したテック・ハウスの"Almost There"を収録し、実にDuplexらしいアナログ感覚が優しく馴染むエモーショナルなテクノを披露している。DollyにとってもDuplexにとってもその価値を高めるであろう作品となり、今後の活躍にも期待せざるを得ない。



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2014/2/1 Gift feat. CASSY @ Air
UnitにてCabaretを主宰するdj masdaが、昨年末から新たに立ち上げたパーティーがGiftだ。今回はその2回目の開催となるが、そのゲストには過去にCabaretにも出演している女性DJのCassyを迎えている。過去にはPanorama Barでレジデントを務めCocoonやFabricからリリースしたMIXCDは高い評価を得ているが、当方にとっては実際に生でDJを体験するのは初めてだったので大いに期待していた。
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| EVENT REPORT4 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2013/12/14 WHITE Label Night @ Grassroots
とあるアーティストにEdward & Oskar Offermannが来日するから、是非聴いてみてと紹介されたものの、当方はその存在を全く知らなかった。調べてみるとドイツでWHITEと言うディープ・ハウスのレーベルを主宰し、またPanorama BarやRobert Johnsonでもレギュラーでプレイするなど、海を超えたドイツでは注目を集めているようだった。ただそんなネット情報だけでは実力は未知数だったものの、ドイツはテクノだけでなくハウスでも栄華を極めている状態である。また日本からはLAIRやCABARETで活躍しているKabutoらが出演する事もありパーティー自体は期待出来そうだったのに、ならばこの機会にEdward & Oskar Offermannを聴いてみよう思い立ってGrassrootsへと行く事にした。
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| EVENT REPORT4 | 23:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kez YM - Late Night Blue Sound (City Fly Records:CFR006)
Kez YM - Late Night Blue Sound
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Yore RecordsやFaces Recordsといった海外の重要なハウスレーベルからのリリースで注目を集め、国内のアンダーグラウンドなパーティーから果てはPanorama Barのパーティーにまで出演して活躍している日本が誇るハウスDJのKez YM。今度はロンドンの新興ハウスレーベルであるCity Fly Recordsの目に止まり、一年ぶりにリリースしたのが本作。全身を揺らしてプレイする肉体感のあるDJと同様に、本作に収録された"Late Night Remedy"も否が応でも体が揺さぶられる跳ねるグルーヴは彼の特徴の一つだろう。そこにアダルトな色気を誘発するファンキーなボーカルサンプリングや、優美な味わいを添えるエレピを被せて、DJツール的要素は強いながらもデトロイト・ハウスと同じ空気を纏ったエモーショナルなハウスとして成立している。本作で注目すべきなのは本場デトロイトからAndresが"Late Night Remedy (Andres Remix)"を提供している事で、元々がヒップホップ方面のアーティストな影響か跳ねるリズムと言うよりはザクザクと刻むようにラフな質感が強調されて、原曲よりもテンションを抑えて和やかなムードへと作り替えられている。どちらもデトロイトらしい作品ではあるものの、綺麗に纏めるのが器用な日本人といつまで経っても青臭さが残るデトロイトのアーティストの性質が比較出来て面白い。裏面にはボトムがぶっとく重厚感のあるキックと硬質なパーカッションが目立つファンキーな"Ladder Of Smoke"、ホーンのようなサンプリングと飛び交うガヤ声が黒さを醸し出す"Sneak Into You"を収録と、こちらも即戦力な内容。



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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dave DK - Palmaille (Kompakt:KOM 277)
Dave DK - Palmaille
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MoodmusicやPlayhouseと言った名門レーベルから10年以上に渡りリリースを続けているDave DK。メロディアスかつファンキーな要素を繊細に組み合わせたテクノ/ハウスを得意とし、一時期はPanorama Barでもレジデントを任されるなどベルリンを拠点に活躍している。3年ぶりの新作はドイツ最大のレーベルとも言えるKompkatからのリリースとなるが、今までこのレーベルからリリースが無かったのが不思議な位の親和性を見せている。タイトル曲である"Palmaille"は滑らかなパッドの周りに優雅なシンセストリングスを絡ませ、繊細に配置されたパーカッションがアクセントになりつつも落ち着いた4つ打ちのグルーヴが刻まれている。うっとりとした霞がかったボーカルループの効果で、夢の世界へと誘われるようだ。そしてKompaktのアンビエントサイドを意識したのだろうか、"Nakai Pop (Ambien Version)"はビートレスな展開の中を叙情性の強いシンセが揺らめくしんみり温かみのあるアンビエントで、Dave DKのメロディアスな作風が強く打ち出されている。そして内向的な歌とか弱いシンセが美しい旋律を奏で、メランコリー節が炸裂し胸を締め付ける切なさに包まれる"Home Again"と、3曲それぞれスタイルが異なれどKompaktらしいポップな音楽性へと結び付いているのが相性の良さを示している。流行とは離れた音楽性ながらも、モダンなエレクトロニック・ミュージックとして実に質が高い。

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| TECHNO10 | 16:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cassy - Fabric 71 (Fabric Records:fabric141)
Cassy - Fabric 71
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DJにおいては基本的に男性が幅を利かしているクラブミュージックの業界ではあるが、女性ながらもベルリンにてSteffiと並んで高い評価を得ていると思われるのがCassyだろう。Ostgut TonやCocoonと言った大御所レーベルからMIXCDをリリースしている経歴からも実力は疑うべくもないが、遂にMIXCDシリーズとしては長い伝統を持つFabricに起用された。彼女はPanorama BarのオフィシャルDJでもあるが、ネット情報によれば最近は他のクラブでのプレイが多いそうで、その影響は幾分かこのMIXCDにも投影されている。初期のMIXCDではテクノ/ハウス/ミニマルに黒いファンクネスも織り交ぜながら肩の力が抜けた緩いグルーヴ感を保っていたものの、この新作では音のジャンル的には同様な選択をしながらもより肉体感を伴う、言い換えれば力強く骨太なプレイを披露している。勿論女性らしく繊細にトラックを編み込むようにしなやかなミックスを継続させているが、前半の情熱的なディープ・ハウスにしろパーカッシヴでファンキーなハウスにしろ、以前よりも確実にグルーヴが疾走っており地味な印象はかなり後退している。そして中盤での浮遊感のあるテックハウスや野暮ったく悪びれたシカゴ・ハウスを経由し、終盤に向けて淡白なミニマルやインダストリアル風なテクノまで幅を広げ、真っ暗闇の中に存在するフロアの空気を自然に生み出しているのだ。しかし終盤にはピアノや歌が特徴となったエモーショナルな展開が待ち受けており、盛り上がった高揚感を損なう事なくクライマックスを迎える。と思っていた以上に幅の広いプレイにはなっているのだが、エモーショナルかつファンキーな世界観を壊さずに調和を成しており、派手ではなくともミックスと言う行為に対して丁寧に向き合う姿勢が感じられる。流行に頼らない普遍的な音が詰まったMIXCDだ。

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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nick Hoppner - Red Hook Soil EP (Ostgut Ton:o-ton69)
Nick Hoppner - Red Hook Soil EP
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現在のベルリンテクノを代表するOstgut Tonを運営する立場として長らくレーベルマネージャを務めていたNick Hoppnerだが、どうやらアーティスト活動に専念するべく今年の初めにその立場を退任していたようだ。そして本作はそれ以降の初めての作品となるのだが、トラックメーカーとしての才能は今まで以上に輝きを見せている。Panorama Barのレジデントを務めている事からも察する通りに、彼の音楽性はミニマルな機能性のテクノとしてだけでなくディープなハウスの感覚が通底しているのが特徴で、本作もテクノやハウスと簡単には割り切れないバランスの上に成り立っている。タイトル曲である"Red Hook Soil"はズシズシした太いグルーヴが反復する上に控えめにメランコリックなシンセが反復し、更に闇の奥にはパッドが薄く浮かび上がり、タフなリズムを刻みながらも非常に幽玄な風景を描き出している。また発信音のようなトリッピーな上モノが変調しながら反復し、徐々にマシンビートが荒れ狂いながら覚醒の深みにはまっていく"Bait & Tackle"、硬質で乾いた金属が呻き声を上げるような音が反復し、途中からはインダストリアルを思わせるダビーな残響が挿入される"Decal"と、そのどちらもがハードな質感とスムースなグルーヴ感を併せ持つ機能的な曲となっている。Panorama Barを体験した事は無いので実態を知る事は出来ないが、本作のように妖艶なメランコリーと骨太なグルーヴを持ち合わせた曲がプレイされているのかと想像すると、当然フロアが盛り上がらないわけはないと思わせられるのだ。

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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Steffi - Panorama Bar 05 (Ostgut Ton:OSTGUTCD25)
Steffi - Panorama Bar 05
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ベルリンのクラブミュージックシーンを代表するBerghain/Panorama Barがフロアの現在形を指し示すMIXCDシリーズは、それが全てと言う事ではないが間違いなくベルリンの今の空気を含む作品だと思う。そしてどちらかと言えばハウス方面を担っているPanorama Barの第5作目は、オランダ出身で現在はPanorama Barでレジデントも務めている女性DJのSteffiが制作している。Steffiと言えば今年の3月にelevenへと来日しDJを披露したのだが、その際には猛烈にアッパーなBerghainスタイルのテクノセットだった事に拍子抜けしてしまった。しかし本作はそんな落胆した人にこそ聴いて欲しい作品で、Steffiに本来期待しているであろうハウスセットを100%体験する事が出来る。Panorama Barと言うと確かに最先端、流行と言うイメージも湧き立つようなところもあるのだが、しかし本作を聴いても例えば流行り廃りとか商業的とは全く結び付かず、むしろディープ・ハウスと言う音楽に対して基本を守り続けているように見受けられる。本人が今の時代を反映させたとの事で曲自体は2010年以降の曲が大半を占めており、なおかつアルバムが発表された時点ではまだリリースされていない未発表曲が6曲も収録されている事は驚くべき事だが、しかし音楽性自体は厳かに情緒的でロウな質感もあるオールド・スクール性があるのだ。前半はデトロイト系とも共通する仄かなエモーションが漂うハウスで、ほんのりと上品さのあるセクシーな香りと共に闇夜へと吸い込まれて行く。中盤からは徐々にかっちりした厳ついビートも強調されながらより肉体性を増しつつ、後半はシカゴ・ハウス風な曲やアシッド・ハウスなどでどんどん荒くて悪いマッドな音楽へと変化し、いつの間にか高揚したフロアの喧騒に飲み込まれているだ。無闇に派手に盛り上げる展開も無く自然とピークへと入り込んでいく滑らかな流れが耳には心地良く、叙情の強い曲を中心に選曲をされているからこそホームリスニングにも適した内容となっている。本作を聴くと最先端のクラブであるPanorama Barとは言いながらも、寧ろ温故知新なレーベル性ではないのだろうかと思わせられる。

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| HOUSE9 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2013/3/2 Ostgut-Ton presents Sound of Panorama Bar @ eleven
アンダーグラウンドな音楽性から巨大で謎めいた設備と客を選り好みするポリシーなど様々な面に於いて、ドイツのクラブシーンで圧倒的な地位を築き上げたBerghain/Panorama Bar。前者が徹底的にハードな面を打ち出したテクノフロアであり、後者は対抗してハウスフロアと言う対極的な音楽でより多くのパーティーピープルを魅了しているのだが、今回は雛祭りに合わせてなのだろうかPanorama BarよりSteffiとVirginiaの女性レジデントDJを招致した。Steffiは2年前の同公演にも出演済みだがVirginiaは今回が初来日となり、二人で現在のPanorama Barの音楽性を披露する一夜となった。
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| EVENT REPORT4 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Manhooker - Wheels In Motion EP (Unterton:U-TON 03)
Manhooker - Wheels In Motion EP
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ドイツクラブシーンに於いて息巻いているBerghain/Panorama Barが新たに立ち上げたレーベルがUntertonだ。今でも運営を続けているOstgut Tonのサブレーベル的な扱いになるのだろうが、Untertonの音楽性は恐らくテクノではなくPanorama Bar路線のハウスを基軸にしているように思われる。レーベルにとって3枚目となる本作はSebastian Mavin MagassoubaとGuiddoの二人から成るこのManhookerの作品だが、ここで聴ける音楽はおおよそ荒涼としたテクノのBerghainからは対極の位置にある愛に満ちたハウスなのだから。甘ったるいセクシャルな男の歌が耳に付くボーカル・ハウスの"Wheels In Motion"は、ゴージャズなピアノやコズミックなシンセのメロディーに華麗なストリングスを配した半ばケバケバし過ぎる感も否めないが、しかしこのレトロな空気やディスコ黎明期の輝かしく弾けるポップさへの回帰は懐かしさを通り越して心へ訴えかけるものがある。"Club Anonymous"もボーカルは挿入されているが、こちらは膨らみのあるパッドを用いつつも厳かで内向的なディープ・ハウスへと向かっており、展開もそれ程作らずにミニマルな作風でモダンハウスへと寄り添った印象だ。両曲に対して感じるのは琴線に触れるメロディーが誘発するハウスの愛と幸福で、その先にはUntertonが目指しているであろう普遍的な音楽性が見えている。また両曲をブラジルの新鋭であるRotcivがリミックスしているが、オリジナルよりも生っぽくディスコテイストを打ち出して、ミラーボールが頭の中でキラキラと輝きを発しながら回転する映像を浮かび上がらせる。とても人間臭くて温かみがあり、そして歌としてのハウスの良さが再認識出来る作品だ。

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| HOUSE8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Barker & Baumecker - Transsektoral (Ostgut Ton:OSTGUTCD22)
Barker & Baumecker - Transsektoral
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2012年も世界的な高評価を得て走り続けたドイツのクラブ・Berghain/Panorama Barは、その周辺で活動するアーティストの音楽制作面も後押しすべくOstgut Tonと言うレーベルも主宰している。昨年はオリジナルアルバムは一枚のみのリリースとなったが、Ostgut Tonに見出されたAndy BaumeckerとSam Barkerからなる新星のアルバムはレーベルの期待を背負ったアルバムと言えよう。Ostgut Tonの作品はどうしてもクラブで機能する事を前提にした作品が多いのは周知の事実だが、本作ではそんなレーベルの中でも取り分けバラエティーに富んでおり、決してダンスだけに特化したアルバムとはなっていない事に可能性を見い出せた。アルバムの冒頭を飾る"Sektor"と締め括りとなる"Spur"は、どちらもノンビートのIDM的な繊細でピュアな美しさを持った曲だ。Ostgut Tonと言えば凍てついた温度感や荒涼とした風景が広がるテクノと言う印象とあるが、そんなレーベルカラーからは想像も出来ないある種シネマティックさもあり、アルバムにストーリー性を植え付けるには適切な曲と言えよう。2曲の"Trafo"ではダブ・ステップとAIテクノが邂逅した未来的な兆しさえ感じさせ、容赦なく圧力の高い鞭撻が振るわれる。続く"Schlang Bang"はマイナー調のメロディーがディープさを感じさせつつも、ビートは跳ねていて牙を向いている。ダビーな低音の残響音がもはやイインダストリアルさえ感じさせる"Crows"は、Ostgutらしい荒廃した世界が広がる闇のテクノだ。かと思えば幽玄なシンセサウンドを使用したすっきり身が引き締まった"Trans_it"は、剃刀の切れ味を思わせるグルーヴのキレがあり闇の中を疾走するハイテックな感覚に溢れている。初のアルバムとは思えない程の充実した曲群、単調に陥らない豊富な曲調は驚きに値するが、ひんやりとしたローファイ感を打ち出しているOstgut Tonの中では意外にも綺麗目な音が使用されているのも特筆すべき事だろう。Berghainのテクノはまだ底が計り知れない。

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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nick Hoppner - Panorama Bar 04 (Ostgut Ton:OSTGUTCD21)
Nick Hoppner - Panorama Bar 04
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Ostgut Ton、それは現在ドイツのみならず世界中から最新の音を求めて人が集まるクラブであるBerghain/Panorama Barが、そのクラブの音をアウトプットする為のレーベルである。Berghainがテクノ/ハード/硬派と表現されるのであれば、Panorama Barはハウス/ソフト/官能的と言うべき対照的な要素を持ち合わせ、その両者がバランスを取りながらレーベルの評価を高める事に成功している稀有な存在だ。本作はPanorama BarのMIXCDシリーズの4作目となるが、遂にOstgut Tonの方向性を決めるべき存在であるレーベル・マネージャーのNick Hoppnerが登場した。率直な意見で言うとHoppnerが表立って目立つ事も無ければBerghainに比べてPanorama Barは地味な印象もあるが、このMIXCDを聴けばPanorama Barが如何にディープで如何にエレガントで、そしてクラブに於けるパーティーをどれ程鮮やかに彩るかを肌で感じるであろう。勢いで引っ張っていく時間帯は一時もなく終始音をリラックスして聴かせるタイプのMIXではあるが、しかし驚く程にスムースな流れで色気と叙情感を常に発し続けるプレイは、大人のと言うか酸いも甘いも知り尽くしたベテランだからこその賜だ。そしてBerghain/Panorama Barに共通する最新のクラブでありながら、温故知新とも言える古い作品を使用しながら今っぽく聴かせるレーベルの傾向はこのMIXCDにも息づいていて、タイムレスな音を伴う事がある意味ではPanorama Barが単なる流行的な音楽性ではない事を象徴している。Berghainは刺々しく荒々しい音楽で聴く者に忍耐力を要求する面もあるが、Panorama Barでは深い音楽性を保ちながらもドイツ・ディープ・ハウスの間口を広げる聴き易さもあり、日本に於いてはBerghainに比べると評価を低く見られがちなPanorama Barに正当な評価を下せる内容ではないかと思う。

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| HOUSE7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2012/7/20 Mojuba Nacht -STEREOCiTI "Never Trust A DJ" Release Party- @ Eleven
ドイツのディープハウス/テクノで一際注目を集めているMojuba Records。古き良きデトロイト・テクノやシカゴ・ハウスをこよなく愛する若きDon Williamsが立ち上げたこのレーベルは、一貫したディープネスと曇りなき生真面目な音を追求しつつユーモアとDIY精神溢れるレコードへのデザインが賞賛を浴びている。そして遂にドイツはPanorama Barで開催されているレーベル・ナイト「Mojuba Nacht」が、Oracy a.k.a. Don Williamsを呼び日本でも開催される事となった。かつてDon Williams名義でのは来日はあるが今回は"Power House"と自ら称するDJをするOracyでの来日となり、そしてMojubaの日本支部代表であるSTEREOCiTIも参加して、Mojubaと言うレーベルを存分に体験出来る二人会のパーティーに遊びに行ってきた。
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| EVENT REPORT3 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kez YM - Stride EP (Faces Records:FACES 1210)
Kez YM - Stride EP
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日本だけではなく国外に於いて高い評価を得ているKazuki YamaguchiことKez YM。デトロイトソウルに沿ったハウスをリリースするAndy Vaz主宰のYore Recordsに所属し、また2010年にはPanorama Barにも出演するなど、ゆっくりとしかし着実に自分の立ち位置を築いている日本のハウスアーティスト。そして新作はMCDEを主宰しているPablo Valentinoが平行して運営しているFaces Recordsからのリリースと、Kez YMのブラックネス溢れる音楽性が良質なブラックミュージックを追求するレーベルに認められた証で、本作にて更に高い評価を得るのは間違いないだろう。Motor City Drum Ensembleにも通じるマイナーコード調のスムースなハウス"Alley Of Mind"、鍵盤が華麗なコードを奏でるファンキーな"Rusty Parade"、雑踏のざわめきを感じさせる湿っぽいジャジーなハウス"Diffusion"等、そのどれもが控えめながらも秘めたるソウルを隠し持つデトロイトを意識したハウスだ。瞬発力や爆発力に任せた派手なだけの音楽とは全く異なり、滑らかなハウスのグルーヴにファンキーなメロディーや豊かななコード感を掛け合わせ、じんわりと心に響く音楽性を持っている。本場デトロイトの異形な黒さは無いが、その分だけKez YMの音楽は上品な艶を生んでいるように思われる。

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| HOUSE7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nick Hoppner - A Peck And A Pawn (Ostgut Ton:o-ton49)
Nick Hoppner - A Peck And A Pawn
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現在のドイツ、いや世界のテクノシーンをリードすると言っても過言ではないクラブ・Berghain/Panorama Barが運営するレーベルOstgut Ton。巨大で迷宮の様な派手なクラブを運営する一方、リリースする音源は硬派でハードなテクノからシカゴ・ハウスに影響を受けたオールドスクールな物まで、一貫してアンダーグラウンドな音を鳴らし続けるレーベルです。そしてそんなレーベルの方向性を決定づけているとも言えるレーベルマネージャーがMy Myとしても活躍しているNick Hoppner。本人はPanorama Barでプレイしていると言う事もあり、彼の作品もやはりディープなハウス系が中心。タイトル曲はずっしり重いキックが効きながらもグルーヴは軽やかで、耳に心地良く入る透明感のあるシンセリフを生かしたディープなテックハウス。妖艶な女性の声も取り込みセクシーでアダルティー、真夜中のフロアに映えそうです。B面には2曲収録で、"She Parked Herself"は強烈でアシッディーなシンセベースと華麗なパッドの上物が対照的に絡み合うメロディアスなハウス、"Swivel Flick"は空間の中に荒廃した音が混ざり合い初期シカゴ・ハウスの不穏な空気も感じさせるハウスと、曲調は異なれど美しい鳴りをしております。やはりPanorama Barはハウスなんだなと実感しました。

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| HOUSE7 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
G.Mitchell & Jebski Feat. Kengo Ono - Natsu EP 3 (Panoramic Audio Domain:pad-07)
G.Mitchell & Jebski Feat. Kengo Ono - Natsu EP 3

デトロイトからLos HermanosのGerald Mitchellと東京のJebskiの友情から生まれた"Natsu"プロジェクト第三弾も、前作と同様に国内外からJebskiと音楽面において精神的な繋がりを持つであろうアーティストを起用したリミックス盤。先ずはKaito名義でも世界を股にかけて活動するHiroshi Watanabeのリミックス。オリジナルには無いメロディーを付け加えて、普段の荘厳な世界観のテックハウスを基軸にねっとりジワジワと盛り上げていき、夏の終わりを予感させるエモーショナルなリミックスを披露。そして海外イタリアからは重厚なテクノを得意とするClaudio Mateが"Detroit Calling Remix"を提供。メインのストリングスメロディーはそのまま活用しつつも、タイトル通りにデトロイト風な幻想的な上物の反復を付け加えて、トラック自体に重厚感と疾走感をもたらしたフロアを刺激する事間違い無しのリミックス。そして最後はかつてNXS時代にJebskiともバンドを組んでいたJuzu aka Moochyの意表を付く民族的なリミックス。バラフォンを使用して野性味溢れる大地の鼓動を表現したかのように、クラブサウンドでもありながらまるで太古の祭事を思わせる呪術的な音も感じられ、トライバルと言う表現がぴったりなハウスリミックス。各アーティスト毎の個性が際立つようなリミックスが収録されており、多方面のパーティーで頼り甲斐のあるリミックス盤となる事でしょう。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prosumer - Panorama Bar 03 (Ostgut Ton:OSTGUTCD17)
Prosumer - Panorama Bar 03
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Ostgut Tonを主宰するベルリンで最も人気のあるクラブ・Berghain/Panorama Bar。圧倒的な圧力のテクノを繰り広げるBerghainに対し、メロウで古き良き時代のハウスも取り込んだPanorama Barと、相反する趣向でありながらアンダーグラウンドなダンスミュージックを世に知らしめる良い意味での窓口的なクラブと言えるのではないでしょうか。本作はそんなPanorama Barでレジデントを務めるくまのプーさん風のProsumerが担当したハウスミックス。日本にも何度か来日しており、その際には古いクラシックなハウスも惜しみなくプレイするオールドスクールっぷりを発揮していたそうですが、この作品を聴いても確かにハウスに対する愛情が伝わってきます。Romanthony、Circulation(Joshua Iz)、Fingers Inc.(Larry Heard)、QX-1と云った90年代以前の懐メロ的なハウスに合わせて、SteffiやOracyと云った最新のベルリンディープハウス、果てはTheo ParrishやServo Unique(Jeff Mills)、そしてまだリリースされていない未発表の最新の曲まで使用したメロウで何処か懐かしさも感じさせる古き良き時代の音。時代を先取るベルリンのクラブ担当でありながら、しかしハウス、特に垢抜けない乾いたシカゴハウスの音を躊躇なく推し進めるそのプレイは、時代に関係無く常に良質な音楽性を求める姿勢の表れではないかと思います。現実にシカゴハウスのリバイバルを感じている人は多いだろうし、その一端がPanorama Barにあると言っても過言ではないでしょう。

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| HOUSE6 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Agoria - Fabric 57 (Fabric:fabric113)
Agoria - Fabric 57
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今年オリジナルアルバムを出したばかりのフレンチテクノの貴公子・Agoriaですが、その熱も冷めやらぬ間に名門FabricからMIXCDもリリースさせました。今までにもジャンルレスに縦横無尽なMIXCDを3枚もリリースしているけれど、今年出たアルバムから毒々しさが消えて洗練されたのと同様に、本作もかつての作風に比べると艶はありながらもやんわりと落ち着いた印象を受けました。序盤のVainqueurやMoritz von Oswaldのダブテクノなどどっしり重たいグルーヴから深く始まり、歌物テクノも多用して刺激的に盛り上げつつ、そこからSpace Dimension ControllerやInfiniti、そして自身のヒット曲"Speechless"などデトロイト系で一気に未来へと加速して行く中盤。ただヒット曲をプレイするだけでなくそこに声ネタを被せて原曲以上の盛り上がりも作る技も披露しつつ、ゴリゴリのブギーハウス〜アシッドハウスで攻撃的になったと思いきや、終盤ではJose JamesやCarl Craig(本当C2の曲はよく使うな)でぐっと夜のアダルティーな世界へと突入するディープハウスからElla Fitzgeraldのジャズトラックでしっぽりと終焉を迎えるドラマティックな展開。散々色んな方向へと引きずり回されながらも、そこはAgoriaの審美眼で選びぬかれた曲が使われており、派手な夜の喧騒と言うよりはエレガントな大人の舞踏会の夜のようです。ベテランらしく深化したと言う表現がしっくりきました。

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| TECHNO8 | 12:00 | comments(2) | trackbacks(1) | |
G.Mitchell & Jebski Feat. Kengo Ono - Natsu EP 2 (Panoramic Audio Domain:pad-06)
G.Mitchell & Jebski Feat. Kengo Ono - Natsu EP 2

デトロイトからLos HermanosのGerald Mitchellと東京のJebskiの友情から生まれた"Natsu"プロジェクト第二弾は、国内のクラブシーンを盛り上げるアーティストがそれぞれの持ち味を存分に打ち出したリミックスを披露。リミキサーにはJebskiとも交流の深い井上薫(Kaoru Inoue)、DJ Yogurt & Koyas、Calmとばっちり相性の合うアーティストが集められ、どのリミックスも原曲のエモーショナルな面を残しつつ更なる進化を遂げております。Calmのリミックスはライブ感溢れるブレイクビーツとファンキーなサックスの絡み合いから始まり、後の盛り上がりを予想させるブレイクで一旦4つ打ちに移行し、再度ブレイクビーツに回帰する予想外の構成。サックスを残しながらもドスドスと力強い4つ打ちと透明感のある美しいシンセリフを被せたDJ Yogurt & Koyasのリミックスは期待通りの出来で、中盤での壮大な感情の爆発が素晴らしく、とにかくフロアでも野外でも盛り上がりそうな大箱向けのテック系。そして贅肉を削ぎ落としてミニマル色を強めた井上薫のリミックスは、テックな音でじわじわ引っ張りつつも中盤以降は煮えたぎるソウルフルなサックスも爆発させ、電子とオーガニックの自然な融和が成り立っています。どのリミックスもアーティストの持ち味が存分に発揮されているとともに、様々なフロアの状況で映えそうな音でお薦めです。

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| TECHNO8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
June - Cytheria (These Days:TD10)
June - Cytheria
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ロンドンからの詳細不明の新鋭・Tsampikos FronasことJune。先日リリースしたEPでも本気なオールドスクールっぷりを発揮しており、既に一部のDJからも注目されているようですが、そのEPの流れを汲むこのアルバムで更なる人気を獲得するに違いないでしょう。Juneの音楽性はアシッドハウス、シカゴハウス、イタロハウス、シンセポップ等のつまりはオールドスクールを頑なに貫き通すモノで、確かに新しさは皆無なものの、その伝統芸能への偏執愛には眼を見張るものがあります。TB-303らしい強烈な目眩を引き起こすウニョウニョなアシッドのベースライン、TR系の硬く乾燥したチープなリズムトラック、半ばコテコテ感のあるキラキラなシンセサウンド、親しみがあるポップなメロディーラインなど揃いも揃ってノスタルジーを誘発し、80年代へとタイムトリップしてしまったのかと錯覚を覚える程。ともすれば単なる古い音楽と片付けられてしまう事もあるでしょうが、最新のクラブサウンドが流れるドイツのPanorama Barでは古いシカゴハウスのリヴァイヴァルが起きているようだし、欧州の一部のレーベルでは古いクラシックの再発に勤しんでいるのも事実。また80年代のハウスサウンドを知らない層にとっては、この音楽は新鮮に聴こえる可能性もあるでしょう。そのような意味ではオールドスクールの掘り起こしは、とても有意義な事だと思います。

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| HOUSE6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2011/2/20 moved @ The Room
日曜日の夕方ですが、渋谷のThe Roomで注目しているDJがプレイするんでちょっくら遊びに行ってきました。その人こそ日本人で唯一ドイツMojubaから作品をリリースするSTEREOCiTI。Mojubaからは深淵なるディープハウスを送り出し、その成果が認められPanorama Barにも早くから招致され、国内外問わず現在注目すべきアーティストの一人です。
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| EVENT REPORT3 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Steffi - Yours & Mine (Ostgut Ton:OSTGUTCD16)
Steffi - Yours & Mine
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先日Elevenでタフながらも華麗なハウスでファンを魅了したオランダの女性アーティスト・Steffi。女性ながらもBerghainと双璧を成すPanorama Barのレジデントを務め、Ostgut Tonのみならずアンダーグラウンドハウスで注目を集めるUnderground Qualityからのリリース経歴もあり、実力は折り紙付き。この初のアルバムでもシカゴハウスに影響を受けた粗さ・骨太さがありながらも、女性らしいしなやかさや色気漂う妖艶さを織り込み、ハードな音で攻めるのではなくじっくりと聴かせて優しく包み込んでくれる母性愛さえ感じさせます。ローファイなキックやらパーカッション、そしてアシッディーで危うさの臭うベースなどはシカゴハウスのそれと同じTR・TB系であろう響きだが、しかし上物はソフトなトランスともとれるくらいに恍惚感を強く発しており、そのおかげか実にしっとりとしたメロウな音楽性が前面に出ています。抑揚は押さえ気味に優しくどこまでもフラットな展開のおかげで、激しく盛り上がるのではなく麻薬的な心地良さが最初から最後まで持続するのが魅力でしょう。Ostgut Tonと言うとどちらかと言うとハードなテクノのイメージが強いですが、こんな甘美と狂気の入り交じるハウスもやってるんですね。

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| HOUSE6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2011/01/29 Ostgut-Ton presents Sound of Panorama Bar @ Eleven
現在のクラブミュージックシーンで最も隆盛を誇るであろうベルリン・Ostgut-Tonが送り出すBerghain/Panorama Bar。昨年のElevenでのパーティーから一年経たずして、再度Panorama Barが日本にやってきました。今回はオランダ出身の女性DJ・Steffiと、そしてレーベルマネージャーでもありMy Myでの活動も有名なNick Hoppner。自分はこの二人に関しては全く今まで全く耳を傾けていなかったけれど、流石にPanorama Barの看板を背負っているのは伊達じゃなかった!!!
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| EVENT REPORT3 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jebski - Pad (Panoramic Audio Domain:padcd-01)
Jebski - Pad
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寡黙な活動ながらも一曲一曲に対する丁寧な制作を行い、そして多数のアーティストとのコラボレートにより幅広い音楽性も得て、そして2010年は溜まっていたエネルギーを発散するかの様に新作を披露してきたJebski。そして2011年、遂に待ちに待っていた1stアルバムがリリースされた。フロアでの大音量でも耐えうる綺麗な音質、豊かな情感を持ったメロディー、曲の隅々まで張り巡らされた細やかな音の配置、山あり谷ありのドラマティックな構成、霊験あらたかなアルバムジャケットとEPの素晴らしいアートワークも収録したパッケージとしての価値など、褒め称えるべき点は幾らでもある。しかしそんな説明などJebskiの音楽の前では最早不要とさえも思えてしまう、それ程まで流行や時代とは無縁で絶対的かつ普遍的な魅力を持ったベスト的アルバムとなっている。オープンニングのGerald Mitchellも制作に参加した"Still"から一気に魂を鷲掴みし、次の"Flame"では圧倒的な音の洪水でトライバルの波に引きずり込む。中盤の"Field"では光輝く至福の世界が広がり、次の祈りにも似た感情を呼び起こすダウンテンポ"September"でそっと癒される。そこからはラストまではエモーションが深みを重ね、徐々に落ち着きと切ないドラマを展開しながら、またもGerald Mitchellが参加した儚いブレイクビーツの"Breeze"で壮大な夢が終わるかの様に一大叙事詩の終焉を迎える。アルバムの隅々にはJebskiの喜怒哀楽の感情が詰め込まれ、電子から生まれながらも血の通った音と言う媒介を通してJebskiの内なるソウルを伝えきっている。言葉は要らない、ただ彼の音に魂にそっと耳を傾ければ良い。

JEBSKI by Panoramic Audio Domain

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| TECHNO8 | 11:30 | comments(4) | trackbacks(0) | |
2011/01/15 DJ QU JAPAN TOUR @ Eleven
DJ QU - 初めて聞く名前のアーティストだったのですが、自身のStrength Musicやそして近年注目を集めているUnderground Qualityからもリリース歴のあるハウスDJだそうで、FabricやTape Club、そしてPanorama Bar等の著名な箱でもプレイしている実力者だそうな。しかしまあそれだけでは食指が動かなかったものの、最早全国規模の評判にまでなったFuture Terror主宰のDJ Nobu、Mojubaでのディープハウスが世界的高評価を得ているSTEREOCiTIもプレイするとなれば、そりゃ遊びに行かくしかないでしょう。
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| EVENT REPORT3 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
UPCOMING EVENT
2011/01/03(MON)
Chillout Village 11 @ 高井戸倶楽部
DJ : Mixmaster Morris, Kensei, Utsumi, Bing, Shhhh, Q a.k.a. Insideman

2011/01/07(FRI)
microcosmos 2011 NEW YEAR PARTY "Sonic Bathtub" @ microcosmos
DJ : Mixmaster Morris, DJ Yogurt, DJ TAKAMORI K.

2011/01/08(SAT)
SANDWELL DISTRICT ALL-NIGHT PRESENTED BY MINDGAMES @ Unit
DJ : SANDWELL DISTRICT (DJ + Live), FUNCTION (DJ + Live), REGIS (DJ)

2011/01/08(SAT)
WORLD CONNECTION @ Air
DJ : King Britt, Calm, Downwell 79's
Live : Rucyl

2011/01/15(SAT)
DJ QU JAPAN TOUR @ Eleven
DJ : DJ QU, DJ NOBU, STEREOCiTI

2011/01/15(SAT)
INNERVISIONS 2011 @ Air
DJ : Âme, Alex From Tokyo

2011/01/21(SAT)
Guidance〜導き導かれる人生〜 6th Anniversary @ Seco Bar
DJ : ALTZ, 川辺ヒロシ, DJ YOGURT, 2562/A Made Up Sound, MAMAZU, REI, molick, EYE, DJ NOBU

2011/01/22(SAT)
Travelling @ Eleven
DJ : PROSUMER, DSKE

2011/01/22(SAT)
root & branch presents UBIK featuring THE ORB - METALLIC SPHERES @ Unit
LIVE : The Orb
DJ : yoshiki, DJ SODEYAMA

2011/01/29(SAT)
Ostgut-Ton presents Sound of Panorama Bar @ Eleven
DJ : Steffi, Nick Hoppner, yone-ko
| UPCOMING EVENT | 14:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
G.Mitchell & Jebski Feat. Kengo Ono - Natsu EP1 (Panoramic Audio Domain:pad-05)
G.Mitchell & Jebski Feat. Kengo Ono - Natsu EP1

デトロイトからLos HermanosのGerald Mitchell、東京のJebski、そして以前にもJebskiの作品に参加したKengo Onoの交流から生まれた"Natsu"プロジェクトが本作。単に知名度や人気のあると言った事での関係ではなく、音楽的な面での共感や精神的な繋がりから生まれたであろうこのプロジェクトは、1+1+1=3ではなくそれ以上の大きな魂の鬩ぎ合いとなり素晴らしい作品となりました。Jebskiがトラックの根本となるプログラミングを行い、Geraldのエモーショナルなシンセストリングスは彩りを、Kengoの情熱湧き出るサックスは魂の震える熱さを添えて、テクノやジャズやハウスなどの様々な要素が混ざり合ったまさに人と人との交流から生まれた曲。更にGeraldのリミックスはオリジナルには無いゴスペルを付け加えたブラックミュージックの面を前面に出したゴスペルテック。Los Hermanosの新曲と言われても納得してしまうソウルフルなバージョンです。またJebskiがリミックスを行った"Jebski Epic Mix"は、都会的な夜を感じさせるハイテックなバージョンで、音の厚みが肉厚になりよりフロアを意識したダンストラックへと。美しいシンセのリフ、ドラマティックで泣きのあるストリングスが展開され、徐々に最高潮へと達する壮大な展開が待ちわびております。3人のスピリッツが混ざり合ったオリジナル、そしてそれぞれの持ち味が発揮されたリミックスと、3曲それぞれの味を楽しめました。

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| TECHNO8 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jebski - Still / Hakuba (Panoramic Audio Domain:pad-04)
Jebski - Still / Hakuba

来年の年明け早々にリリースされるアルバムに向かってカウントダウンを告げるかのように、Jebskiが今年2枚目となるEPをリリースしました。今までにリリースされてきた作品毎にタイプの異なる新曲を聴かせてくれましたが、この新作はその中で最も情熱的なエレクトロニックソウルと呼ぶに相応しい作品となりました。特にLos HermanosのGerald Mitchellも参加した"Still"は、止めどなく熱い思いが溢れ出す力強いダンスミュージックで、聴き終わった後には切なさが胸を締め付ける位に感情を揺さぶります。ピッチカート奏法による躍動感溢れるヴァイオリンのメロディーは攻撃的に、そしてGeraldによる必殺のシンセのコードは曲に厚みを持たせ、疾走感を保ちながら最後まで一気に突き抜けるハイテックテクノ。あまりにもドラマティックな、あまりにもソウルフルな名曲。そして非日常的な白馬でのレイヴパーティーからインスパイアされたと言う"Hakuba"。こちらは対称的にアシッディーで狂気も滲み出るシンセがぶりぶりと唸りを上げつつ、途中のブレイクで昇華したと思いきや再度狂った電子の渦へ突入します。雨が降りしきる山奥と言う過酷な条件の中での過激なエネルギーに満ちたレイヴーパーティーを表現したかの様に、ジワジワと覚醒感の拡がるアシッドサウンド。陰陽を表すかの様な2曲ですが、アルバムへの期待を高めてくれる事でしょう。




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| TECHNO8 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Funf (Ostgut Ton:OSTGUTCD15)
Funf
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現在のベルリンテクノシーンを圧巻するクラブ・Berghain/Panorama Barが主宰するOstgut Tonですが、今年で5周年らしくその記念として2枚組コンピレーションが制作されました。曲を提供したのはOstgut Tonで活躍するアーティストに加え、Berghain/Panorama Barでレジデントを担当しているDJやそこにゲストに呼ばれたDJなど、つまりは完全にBerghain/Panorama Barの最新のモードを体現している人達です。そして驚くべきは全曲新曲な上に、なんとBerghain/Panorama Bar内で録音・編集がされたと言う事。世界屈指と言われるクラブの独特な音の鳴りまでも取り込んだ手の込んだ内容で、そしてアーティストに何も制限を設けずに楽曲制作が行われたそうです。そんな訳でメジャーな音の一切を拒絶する甘さ全く無しの冷たいテクノが聴けるのは当然で、硬い金属音が鳴りが響く無機質なテクノや暗闇の広がる陰鬱なミニマルなど、クラブでの鳴りが良さそうなトラックが多め。どうしてもツールとしての利便性の高い楽曲が多くなるのは事実として、ただコンピレーションとしてもベルリンテクノの今を感じる事が出来ると言う意味での楽しみもあります。聴いている内に体もうずうずしだしてクラブの爆音でこんなベルリンテクノを一晩中浴びたくなるような魅力もあり、テクノ好きには是非とも聴いて欲しいコンピレーションです。

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| TECHNO8 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2010/10/23 Family Tree @ Grassroots
当日は都内各所で大きなパーティーが開催されておりどこに行くかぎりぎりまで悩んだ挙句、結局東高円寺のGrassrootsへ。Universal Indiannが主宰する"Family Tree"になんとKez YMが初参戦。Kez YMと言えばドイツのディープハウスレーベル・YORE Recordsに所属し、去年・今年と世界最高峰とも称されるクラブ・panorama barでもプレイした新進気鋭の日本人アーティスト。

Kez YMは25:30から二時間程プレイをしましたが前回聴いた時の熱い感情は間違いでなかったようで、デトロイトハウスを中心に非常に情熱的でファンキーなプレイでした。特に体をシャキシャキとリズミカルに揺らしながらクロスフェードやイコライジングを過激かつキレよく操作して、ゆったりと妖艶な曲さえもメリハリを付けていくDJスキルは本当に格好良い。前半のリラックスした大人のディープハウスから中盤からのシカゴやテクノっぽい荒々しさを出しつつ、真夜中のピークタイムでテンションを高めて熱を放出しまくるスムースな流れで気持良く踊れました。日本人だけれども日本人でないみたいな、過激で熱くてソウルフルでファンキーな…とにかくハウス系では凄いお薦めしたいアーティストです。

そこからはUniversal IndiannとKURIによる長い旅の始まり。Universal Indiannは淡々と敢えて平坦なテックでミニマルな選曲で、ずぶずぶと恍惚の沼にはめていく渋いプレイを。激アゲだけがクラブではないとでも主張するかの様に、テックで微妙に情緒漂う音色とミニマルな展開でいつの間にか快楽のメビウスからは抜けられなくなっておりました。そして対称的にトライバルでゴリゴリと攻撃的で力強いプレイをするKURI。そのダンサンブルなプレイもあってか朝5時以降も客が減らずに、がやがやと賑わうGrassroots店内。自分は流石に飲んでぐったりしたので、朝方ちょいと寝てしまい7時に起床するも、まだまだ客が残っておりました。小さいパーティーながらもDIY・家庭的なパーティーは、とても居心地が良いものです。
| EVENT REPORT3 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Stereociti - Cosmoride (Mojuba:mojuba 015)
Stereociti - Cosmoride
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ドイツのアンダーグラウンドな方面のディープハウスにおいて最も注目を浴びているであろうMojubaから、新進気鋭のアーティスト・Stereocitiの2枚目のEPがリリースされました。StereocitiことKen Sumitaniの詳しいプロフィールは分からないものの、Maniac Loveでもプレイしていたと言うから芸歴はそこそこ長いようです。そして2009年にはドイツのPanoramabarで開かれたMojuba & a.r.t.less nightにも招喚されるなど、日本だけでなく海外での評価も高い日本人アーティストの一人。現在はMojubaと専属契約を結んでいるらしく、否が応でも注目してしまいます。A面の"Cosmoride"は前作の"Early Light"と同じ上物のピアノリフを使用しているから、リミックスか別バージョンなのかしら?うっすらと膜が張ったように延びるシンセストリングスと効果的に鳴るピアノに妖艶なサックスが絡みつき、淡々と静かな佇まいの中で情緒も感じさせる厳かなディープハウス。対してB面の"Tsukayga"は情緒的な部分は同じでもスポークンワードを挿入し、そして多少アップテンポで軽快なノリが心地良いトラックとなっております。少ない音でもダビーな空間の深さや美しい音響が表現されていて、とても丁寧かつ上品なハウスで素晴らしい。StereocitiもMojubaも要チェック。

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| HOUSE6 | 09:00 | comments(1) | trackbacks(0) | |
2010/08/14 Ostgut-Ton presents Sound of Berghain @ Eleven
昨日がPanorama Barなら今日はBerghain、二夜連続Ostgut-Ton勢が来襲、ベルリンテクノを生で体験出来るスペシャルな企画。本日はOstgut-Tonを主宰するMarcel Dettmannに、同レーベルで活躍するShed、そしてBerghainにて日本人初となるDJを行ったDJ Nobuが登場。
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| EVENT REPORT2 | 09:30 | comments(6) | trackbacks(0) | |
2010/08/13 HOLOGRAM @ Soundbar+ & Ostgut-Ton presents Sound of Panorama Bar @ Eleven
今回はSoundBar+と言う隠れ家的な箱で面白そうなパーティがあり、そしてElevenで今最もドイツで熱いと言われているOstgut-Ton勢が来日していたので、ハシゴして来ました。でSoundbar+は初めて行く場所なのでしっかりと地図で場所を確認したのですが、現場に着いても入り口が分からなくて右往左往。深夜に友達にメールしたり、他のSoundbar+難民と相談するも入り口が分からず、結局は後からグループの人達が建物の脇にある看板も無い赤い扉に入って行くのを見て、そこがSoundbar+の入り口だと確信。つかあれが入り口だとは普通思わないだろ…
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| EVENT REPORT2 | 16:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ben Klock - Berghain 04 (Ostgut Ton:OSTGUTCD13)
Ben Klock - Berghain 04
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現在のテクノシーンを引率するベルリンテクノの重要レーベル・Ostgut Tonから、レーベルの中心的存在の一人であるBen KlockがMIXCDをリリース。大半が新曲や未発表曲と言う現在のテクノシーンの最先端を披露しつつも、実はOstgut Ton音源の使用率も高かったり、またデトロイト系やシカゴハウスも使用したりと、意外や意外にミニマル一辺倒ではありません。以前クラブで彼のプレイを聴いた時はもっとハードで疾走感があるミニマル中心だった気がしますが、本作はそこまでハードでもなく深海を航海する潜水艦の様なディープな印象が強いですね。とは言え音自体はモノトーンで陰鬱、そして金属的な硬い鳴りとざらついたインダストリアル的な音もあるので、Ostgut Tonらしいと言えば確かにそうかも。そして時折真っ暗な深海に光が刺し込むが如く叙情漂うデトロイティッシュなトラックも入ってきたりと、効果的なアクセントもつけられております。しかしクラブで聴けばそれなりに盛り上がる内容ではあるんだろうけれど、家で聴いている限りだとシリアス過ぎて内に内にと沈み込んでしまいそう。彼がレジテントを務めるBerghein/Panorama Barにおいて、ゲルマン達はこの様な音楽で狂喜乱舞しているのだろうか?謎である。

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| TECHNO8 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jebski - Vision / September (Panoramic Audio Domain:pad-03)
Jebski - Vision / September

ゆっくりと、しかしながら着実に歩みを進めているJebskiのソロ第3段。近年は井上薫やDJ Yougrt、Los Hermanosらともコラボレートするなど活動も盛んになっておりましたが、ソロでの新作は2年ぶりとかなり時間が経ってしまいました。リリースまでには紆余曲折ありましたが、待った分だけエネルギーが充満している一枚です。"Vision"は今までの作風とはまた異なるトランシーな音の粒子が飛び交うハイエナジーな曲。デジタルシンセらしい分厚くも澄んだ音を生かしてブイブイと攻撃的に攻め上げ、細かな煌く粒子が空間に散らばり、途中での大仰なブレイクで一気に弾けフロアに大爆発を齎すであろう。動の"Vision"に対して"September"は静とでも言うべきか、一転して落ち着きと安静に満ちたメランコリックなダウンテンポ。涙を誘う郷愁漂う旋律の周りに金属的な鳴りのシンセやパーカッションが絡みつき、沁み沁みと夏の終わりを喚起させる。真夏の夢に耽る短い時間は霞の様に消えてしまうのだ。対称的な2曲ですが、Jebskiの新たなる面が開拓されていて素晴らしいです。




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| TECHNO8 | 06:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cassy - In The Mix - Simply Devotion (Cocoon Recordings:CORMIX026)
Cassy - In The Mix - Simply Devotion
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今テクノで隆盛を極めているレーベルの一つ・Cocoon Recordingsと言えば、昔の巨人みたく他のレーベルで育ったアーティストを上手く流用している感じで余り好みのレーベルではないのですが、この"In The Mix"シリーズだけは通な人選と高品質を保ち続けていて好感の持てる所です。そして新作はドイツで今最も熱いとされるクラブ・Panorama Barのレジデントの一人・Cassyが担当。以前のMIXCDもかなり渋い音でしたが新作も相当に渋く、前半はシカゴハウスの不穏な空気とドイツのミニマル感覚を足したモノクロな音が中心。緩いテンポながらもねちねちと重く濃いグルーヴがあり、中盤からはテック系も混ぜたりするも全然アッパーにならずに暗めの廃退的な音が続きます。終盤でようやく日の目を浴びるように情緒漂うディープハウスに移行して、程よい盛り上がりを見せて上手く終わりを迎えます。こう書いてみると何だか単調で地味な印象を受けるかもしれませんが、実際は緩いハウシーなグルーヴは上げず下げずの微妙なバランスの上に成り立っていて、派手ではないけれど高揚感がじわじわと染み入るプレイでした。しかし実際にこんな感じでクラブでもプレイするのかしら?ラウンジ向けだと丁度良い位な気もする。

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| HOUSE5 | 10:30 | comments(4) | trackbacks(0) | |
Ben Klock - One (Ostgut Tontrager:ostgutCD07)
Ben Klock-One
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今週末、WOMBにベルリンからの刺客・Ben Klockが来日します。一時期は低迷していた旧ミニマルテクノですが、最近は徐々にハードな作風も戻ってきて硬派なミニマルが復活しつつあるのは嬉しい限り。その流れの中心となっている一つが、ベルリンで隆盛を誇るクラブ・Panorama Barが運営するレーベル・Ostgut Tontragerであります。Ostgut TontragerはMarcel Dettmann、Shed、Âme、Len Fakiなど現在のダンスフロアを盛り上げているその人達もリリースをしているレーベルで、Ben Klockは活動暦10年にしてようやく同レーベルから1stアルバムをリリースしました。初のアルバムとは言えども充分過ぎる内容で、カチッとした四角い硬めのリズムトラックはやはりミニマル一直線。甘さ無し、ストイックで渋めのダークな音が中心ですが、無駄が無いすっきりした音でテクノと言う言葉がしっくりくると思います。そこまでハードな展開は無いものの、音が硬めなのでかつてのミニマルテクノが好きだった人には、それだけでも気持ち良く感じられるはず。ミニマルとは言えアルバムの中ではデトロイトっぽい情緒もあったり、飽きない様にバリエーションがあるのでアルバム通して聴ける様になっているのも好印象。ベルリンテクノには今後も注目。

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| TECHNO6 | 01:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Cassy - Panorama Bar 01 (Ostgut Tontrager:ostgutCD02)
Cassy-Panorama Bar 01
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テクノ系の音楽ではお世話になっているVinylismacid over the rainbowで紹介されていたので、ならば良質であろうと考え購入した一品。Cassyって言う女性DJで詳細は知らんが、LucianoやVillalobosらと一緒に名前が出てくる事が多いですね。でもまあ今ベルリンで最も隆盛を誇るであろうクラブ・Panorama BarのオフィシャルMIXCDなんで、期待していいんじゃないだろうか。ふむふむ、渋めのミニマルな流れが中心ながらもデトロイトっぽいのやアシッドも上手くミックスしていて、地味ながらも徐々に上げていく展開がかっこいいよ。そして特筆すべきはミニマルかつ冷淡でありながらも、ねちっこいファンクネスを感じさせる事が彼女のオリジナリティーを発揮させておるのだ。血の通ったプレイって言うのかね、奥底には熱さを感じさせるイメージ。テクノともハウスともミニマルとも言える幅広い選曲で、それらを上手くまとめて地味に盛り上がるよ。Ostgut Tontragerは今後とも注目しておいて損はないでっせ。

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| TECHNO6 | 00:10 | comments(4) | trackbacks(1) | |
Laurent Garnier - Back To My Roots EP (Innervisions:INNERVISIONS16)
Laurent Garnier-Back To My Roots EP
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自身でレーベルを抱えているにもかかわらず、遂にローランガルニエまでもInnervisionsから作品をリリースするとは、よほどガルニエもInnervisionsを気に入っているのだろうか。しかもタイトルが"Back To My Roots"なんて相当の気合いの入れ様ですが、確かに久しぶりの会心作と言える内容となっておりました。つまりはガルニエのルーツであろうシカゴハウスとデトロイトテクノに影響を受けたアフロトライバルハウスなんですが、かなりの長尺にもかかわらずミニマルとは違ってどんどんと展開していくトラックなので全く飽きない。ダーク目の音ながらもドラマティックに盛り上がっていくシンセ使いなど、フロアで大爆発する仕様になっております。B面の"Panoramix"はガルニエ流アシッドハウスと言った感じの不穏な空気が渦巻くハウスで、アシッド系の毒々しいベース音が地鳴りの様に響いてきます。上物のシンセもデトロイトテクノ風の未来予兆的な音色を感じさせ、久しぶりのガルニエのフロアトラックとしては十分過ぎる内容でした。

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| HOUSE4 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Temposphere Soundmark Mixed By Yukihiro Fukutomi (King Records:KICP5015)
Temposphere Soundmark Mixed By Yukihiro Fukutomi
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近年こそテクノ化している福富幸宏ですが、元々はハウスだったりジャジーでメロウな曲をリリースしていたアーティストです。そんな彼が結構前に手掛けた本格的なクラブジャズミックスCDが本作で、イタリアの"Temposphere"と言うレーベルの楽曲のみを使用した内容となっております。と言っても自分が普段この手の音楽を聴く訳ではないので、"Temposphere"がどんなレーベルかと言われても説明出来ない訳であとは音を聴いて判断するしかないのでした。しかしクラブジャズって言うとやはりどこかしらお洒落なイメージが付きまとうんだけど、福富さんが選曲&ミックスしても当然お洒落な感じですね。端正で洗練された空気を纏い軽やかに優雅に舞う、まるでその姿は貴公子なり。と言うのは言い過ぎかもしれませんが、クラブジャズと言うのはやはり大人の音楽なんですよ。でもねそれだけじゃなくて、このミックスでは踊らせる事も意識していて、決してスノッブの為だけの音楽には成ってないんですよ。何も考えずにスィングすればいーじゃん!嫌味じゃないお洒落なムード漂うダンスミュージックでしょ。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ1 | 14:45 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Upcoming Event
PEOPLE WANT MORE LIFE @ YELLOW
2006/04/14 (FRI)
DJ: JEFF MILLS(AXIS), TAKAMORI K.

MATERIAL feat. IAN POOLEY @ AIR
2006/04/21 (FRI)
Guest DJ: Ian Pooley

CROSS MOUNTAIN NIGHT feat. JAMES HOLDEN @ WOMB
2006/04/21 (FRI)
DJS: JAMES HOLDEN, TORSTEN FELD, Dr,SHINGO

CLUB MUSEUM @ UNIT
2006/04/21 (FRI)
Special Live Performance: BRITISH MURDER BOYS(SURGEON & RISIS) -5 hours gig-

UNDERGROUND RESISTANCE "INTERSTELLAR FUGITIVES" TOUR @ LIQUIDROOM
2006/04/28 (FRI)
Featuring members:INTERSTELLAR FUGITIVES SPECIAL LIVE UNIT
Formed by - GERALD MITCHELL as THE DEACON (UR044), THE ANALOG ASSASIN (UR040), CORNELIUS HARRIS as THE ATLANTIS (UR3.14), RAY 7 as THE UNKNOWN SOLDIER (UR051)
...And maybe more fugitives
DJs:SUBURBAN KNIGHT aka JAMES PENNINGTON (UR011), DJ S2 aka SANTIAGO SALAZAR (UR057), DJ DEX aka NOMADICO (UR061)

STANDARD 4 @ WOMB
2006/04/28日 (FRI)
GUEST DJ: JORIS VOORN
DJ: KEN ISHII, SATOSHI ENDO

MOODYMANN JAPAN TOUR 2006 @ YELLOW
2006/04/29 (SAT)
DJs: MOODYMANN aka Kenny Dixon Jr, Alex From Tokyo

PANORAMA @ YELLOW
2006/05/02 (TUE)
DJs : Kentaro Iwaki a.k.a Dub Archanoid Trim, Terre Thaemlitz
LIVE: LUOMO a.k.a VLADISLAV DELAY

CLASH 12 feat. DERRICK MAY @ ageHa
2006/05/06 (SAT)
DJs :Derrick May, Ken Ishii, DJ Tasaka, Fumiya Tanaka, DJ Wada, Q'Hey
Toby, Yama, Shin Nishimura, DR.Shingo, Kagami, RKD1 & RKD2
LIVE : Chester Beatty, Newdeal

JAPANECTION PRESENTS SOUL DESIGNER TOUR @ WOMB
2006/05/19 (FRI)
DJs: Fabrice Lig, Jean Vanesse, Ken Ishii, Sisk
| UPCOMING EVENT | 23:55 | comments(0) | trackbacks(1) | |