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Ricardo Tobar - Continuidad (ESP Institute:ESP 060)
Ricardo Tobar - Continuidad
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2007年にかのBorder Communityから鮮烈なデビューを果たしてから既に10年以上経過しているが、チリ出身のRicardo Tobarはギターノイズを用いたシューゲイザーからモジュラーシンセの毒々しいサウンド等、自信の個性を存分に発揮しながら地道に自身のアーティスト性を深めている。デビュー作での溢れんばかりのフィードバックノイズに覆われたサイケデリアなロック風テクノから、金属が捻れたような歪な響きの狂気的なダンス・ミュージックまで、強烈な音像によって覚醒感や高揚感を生み出してきたTobarだが、この2019年の最新アルバムではダンス・ミュージックでもあるがしかし快適なダンス・フロアからはみ出して混沌へと落ちていく面もあり、相も変わらず刺激的な音響テクノを披露している。アルバムは金属的なパーカッションが空虚に響く中、鈍いモジュラーシンセや歪んだシンセが狂おしく唸る"Les Vagues"で始まるが、不気味なパーカッションや訝しい空気もあってどこか呪詛的な集会のようだ。そこに続く"Recife"は比較的ダンス寄りな曲だが、小刻みに動き回るようなスピード感のあるドラムがけたたましく疾走し、そこに美しく荘厳なシンセストリングスがサイケデリックな高揚感をもたらして、アルバムの中でも特にTobarのメランコリー性が発揮された叙情的な一曲だ。そこを過ぎると緊張感から開放され、落ち着いた4つ打ちを刻みながらヒプノティックなシンセのリフとノイジーなギターサウンドが酩酊感を生む"Totem"、ビートレスながらも祭事かのような打楽器のスピリチュアルな鳴りとぼんやりとしたフィードバックの持続により意識もくらむ混沌が広がる"Entrada Y Salida"と、ダンスフロアに依存しないベッドルームでの想像を刺激する曲もある。"Seguridad"になると壊れた機械を叩いているような朽ち果てたドラムマシンのリズムに合わせ、不明瞭な歪んだシンセやディストーションギターで空間が満ち、破壊的で圧倒的なエネルギーが爆発するもはやダンスでもリスニングでもない混沌が出現する。以前にも増して狂ったような強烈な音楽性を主張し、安易には聞き流せない程の響きは人によっては神経をすり減らされてしまうかもしれないが、しかしそんな破壊的な響きの中にも時折メランコリーや美しさもあり、その意味ではTobarの音楽性は初期から一貫しているように思われる。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | - | |
Hoshina Anniversary - Zangai EP (Musar Recordings:MUSAR007)
Hoshina Anniversary - Zangai EP
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レコード屋でHoshina Anniversaryという奇妙なアーティスト名のEPが並んでおり、興味本位で試聴をしてみたところエクスペリメンタルな雰囲気もある独特なテクノに魅了され、購入を決断したのが本作。聞いた事のないアーティストのそのEPのスリーブには保科記念日とデカく書いてあり、どうやら2010年頃から配信をベースに制作活動をしている日本のアーティストで、突然現れた新人ではないようだ。本作前にはYoung Marco主宰のSafe Tripからも奇妙なエレクトロニック・サウンドの『Hakkenden』をリリースしており、これらの物理メディアによる作品によって注目を集めるに違いない。日本語を用いた各曲には本人の説明ではそれぞれにコンセプトがあるそうで、例えば"Zangai"は織田信長の主要な城の一つである 『安土城』に焦点を当てている。トラック自体はアシッドの毒々しいシーケンスを導入しながらもジャズ要素のあるピアノのコードが優美さを伴っているが、しかし金属的なクラッシュする打撃音や機械的なリズムが荒々しいグルーヴを生み出しており、フロアを濁流で飲み込むようなピークタイム仕様なテクノだ。"Tenjin"も鈍い金属的なパーカッションと太いキックが軽やかに、しかし骨太な4つ打ちグルーヴを刻み、そこに不思議な電子音のループとピアノらしき鍵盤のループが絡み合うようにして快楽的な効果を付け足していくが、終始暗い世界観と刺々しい音響は冷え切っており廃れたようなテクノは刺激的である。ざらついたハイハットのリズムも相まって疾走感を獲得している"Tenjou"は、慎ましいジャズ・ピアノのコードが情緒を醸す中にヒプノティックなシンセが暴れるように躍動するローファイ感ある曲で、ロウなエレクトロ・ビートとジャズの雰囲気が一つになったユニークさが特徴だ。またサイケデリックなテクノを得意とするRicardo Tobarがリミックスした"Zangai (Ricardo Tobar Remix)"は原曲の雰囲気を壊さずに退廃した荒れたグルーヴを活かし、そして鈍くうねるベース・サウンドや不気味でサイケデリックなシンセによってより闇の中を突き抜けるミニマルな機能性を増したテクノへと塗り替えており、これぞTobarらしい作風だ。今まで配信中心だった為になかなか日の目を見る事が無かったHoshina Anniversaryだが、曲自体は面白くありながらテクノとしての機能性がある事は間違いなく、本作を機に注目を集めるのではないかと期待十分な一枚。



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| TECHNO14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ricardo Tobar - Treillis (Desire Records:dsr095CD)
Ricardo Tobar - Treillis
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2007年にBorder Communityから突如デビューを果たしたチリのRicardo Tobarは、正にレーベル性に沿うようなノイジーな音響とトリップ感の強いサイケデリックなメロディーを主体としたテクノを披露し、一躍注目を集めていた。その後はBorder CommunityだけではなくTraum SchallplattenやIn Paradisumなど多岐に渡るレーベルから、壊れかけの歪んだリズムやトランシーさも増したサウンドでより独自の路線を打ち出した音響テクノを確立させ、後はアルバムが出るばかりという状況だった。そしてデビューから6年、2013年末に遂にリリースされた初のアルバムが本作で、ここではアルバムだからこその多様性を展開させながらRicardo Tobarの音楽の完成形が姿を現している。古いドラムマシンとモジュラーシンセにアナログ機材など最小限の楽器によって制作されたという本作は、ビートレスな状態の中で濃霧に包まれたかのようなシューゲイザー風な淡い音響によりサイケデリックな風景を喚起させる"Sleepy"で始まる。続く"Organza"でもシューゲイザーを思わせる淡い音響と美しいシンセがリードするが、リズムは微妙に壊れかけたように歪んでおり鞭打つような刺激的なビートが特徴だ。"Garden"でもダンス・フロア向けの強烈なビートが聞こえるが、それはドタドタと荒々しくローファイで、そこに毒々しく危うい強烈なモジュラーシンセの音が侵食するように広がっていく。逆にドロドロとして酩酊感を呼び覚ます"Straight Line In The Water"では、ノイジーなフィードバックギターのようなサウンドの中から万華鏡のような美しい音が出現し、狂気と多幸感が入り乱れるようなロックテイストも伺える。"Otte's denial"ではよりゴツく肉体的なビートが強調される事でインダストリアル・サウンドのような印象さえ植え付けるが、上モノはあくまでトリップ感満載のサイケデリックなシンセ音が中心である事は変わりはない。そして、先行シングルとなった"If I Love You"はアルバムの中でも特にフロアで映えるようボディー・ミュージック的な刺々しいダンスビートを刻み、しかし上モノは悲壮感さえ漂うトランシーさがキモだ。その後も牧歌的な田園風景が広がり一時の安息を与える"Back Home"などがあり、リスニング的な要素もアルバムの中で効果的に盛り込まれている。極めてBorder Community的なこのアルバムは、例えば同レーベルのNathan FakeやLuke Abbottらにも負けない程のサイケデリックなシューゲイザー・サウンドであり、そして壊れかけの音響に美しさを見出だせる神秘的なダンス・ミュージックだ。ローファイが生み出す恍惚感満載の音響アルバムと言えよう。



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| TECHNO11 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hiroshi Watanabe - Contact To The Spirits 2 (Octave Lab:OTLCD-1760)
Hiroshi Watanabe - Contact To The Spirits 2
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5年前にKaito名義でリリースした"Contact To The Spirits"(過去レビュー)はKaitoの魅力と、そしてKompaktとの共同プロジェクトとしてKompaktの魅力を世に伝える意味で特別であった。そして本作はそのタイトルの続編ではあるが名義は本名でとなり、Kompaktの制約も無くなるなど相違はあるが、やはり特別である事は曲目を見て気付くはずだ。一目見て気付くのは彼との繋がりもそれ程なさそうであったデトロイト・テクノやシカゴ・ハウスが導入されている事で、リスナーからすれば少々意外な印象を受けるだろう。しかし本人から聞かせて頂いた話では元々NYでの活動時代からそれらを好んで聴いていた訳で、本人の中ではデトロイト・テクノと結び付く事はなにも意外な事ではないと伺った。となると今それらが表面化してきた事は、レーベルや名義での制約から解き放たれ自分自身の中に常に存在する音楽を、自然と手繰り寄せミックスした結果なのだろう。だからと言って本作がデトロイト系のミックスであるとも思わない。やはりここで聴けるのはワタナベヒロシと呼べる音であり、それは優しく包み込み包容力やそれに相反する沸き起こる力強さを伴うテクノ/ハウスである。これまで以上にリズム/グルーヴの変化の付け方は深みを増し、幻想的なトランス感を呼び起こす音から生々しい肉体感を感じさせる音まで広がりを聞かせながら、曲と曲とを多層的に被せる事で未知なる展開を生み出す事に成功している。また一瞬足りとも気の抜けない流れの中で、最後には日本人の曲が3曲並んでいる事は同じ日本人として喜ぶべきだろう。無理な展開は感じさせずにそれらは当たり前の様に自然とミックスされているが、そこにワタナベさんが日本のダンスミュージックの期待を一身に背負っている気概は伝わってくるだろう。彼にとってもう6枚目となるMIXCDであるのに、停滞とは全く無縁であるどころか明日へと前進を尚続けている。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Floatribe Mixed By Kaoru Inoue & Kentaro Iwaki (Rambring RECORDS:RBCS-2274)
Floatribe Mixed By Kaoru Inoue & Kentaro Iwaki
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代官山・Unitで隔月行われているパーティー・FloatribeのオフィシャルMIXCD。手掛けたのは勿論レジデントの二人、井上薫と岩城健太郎。どちらのDJもテクノやハウスだけに限らずアンビエントやチルアウト、生音系にも精通している音楽家なので、本作もリリース前から気になっておりました。まずは井上薫が手掛けた方ですが、普段のクラブでのアッパーなプレイとは異なり緩いグルーヴを保ったテックハウスが中心。例えるならパーティーの終盤で朝が近づいて来る時間、または徐々に夢が覚めていく様なモヤモヤとしたまどろみの時間、そんな時の心地良さが持続したムード。陳腐な言い方だけどキラキラと輝く光が降臨していて、もう多幸感に包まれて天にも昇る気持ちです。聴き終わる頃にはすっきり夢から覚めて、身も心もリフレッシュされるはず。対して岩城健太郎のミックスは何とも言い難い独特なプレイで、ミニマルやエレクトロハウスもあれば、太鼓どんどこなアフロや中近東の匂い漂うエスニックな物まで色々混ざっていて、恍惚や快楽を飛び越した混沌とした状態。半ば呪詛的なバッドトリップ感が涌いてきて、脳味噌ぐるんぐるんです。と思いきやラスト2曲でBorder Communityのトラックが続き、淡いサイケデリアが花開きようやく現世に引き戻されます。井上薫のミックスが昼間の音楽だとしたら、岩城健太郎のミックスは真夜中の音楽、そんな感じの対照的な内容で想像以上に楽しめます。実際のパーティー・Floatribeもこんな感じで格好良いんでしょうね、今度踊りに行きたいですな。

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| HOUSE4 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ricardo Tobar - El Sunset (Border Community:18BC)
Ricardo Tobar-El Sunset
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ダウンロード音源が勢力を増してきているこの頃ですが、自分は相変わらずシングルはレコードで揃えています。DJをする訳でもないのですが、わざわざ裏返したりする面倒さも曲を大事に聴くと言う感覚を思い出させられたり、大きなジャケットでアートワークも楽しめるし、レコードからなかなか離れられません。それとPCで音楽を聴くと言う習慣が無いと言うのも原因ではあるのですが。

さて、近年テクノシーンで一大勢力を築き上げたJames Holdenが運営するBorder Communityのレコードが溜まってきたので、一気に紹介したいと思います。まずは最近リリースされたばかりのRicardo Tobarなる新人アーティスト。やっぱりこの人も今までのBCと同じくシューゲイザー風なノイズに淡いメロディーを載せた内容で、自分がBCに期待している音そのまんまで良いですね。でも別に新しい音では無いですよ。だってそもそもシューゲイザーって90年初頭の流行で、それって更にダンスミュージックともリンクしていたから、今更ロックとダンスの融合なんて誰も新鮮だなんて感じないでしょ。だからと言って本作を否定する訳でもなく、良い物は良いと思う。ノイズの波に飲み込まれて世界が壊れていく様な廃退的なサウンドに痺れまくりです。

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Check "Ricardo Tobar"
| TECHNO5 | 09:20 | comments(0) | trackbacks(0) | |