2020.01.31 Friday
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先日Toy TonicsからのKapoteを紹介したので、関連して同レーベルから作品をリリースするJose FehnerことMangabeyを紹介。フランス出身のアーティストで2013年頃からDJとして活動を始め、2017年に作品をリリースするようになると、ジャズやブラック・ミュージックに影響を受けたファンキーなハウスはToy Tonicsの音楽性にばっちりとハマり、新鋭として注目を集める存在の一人だ。如何にもToy Tonicsらしいディスコやファンクの要素を織り交ぜた直球ハウスは分かり易いダンス・グルーヴが強く、フロアを簡単に沸かせてしまうに違いない機能的なダンスだ。しかし驚いた事に公式の説明ではMangabeyは殆どサンプリングを用いずに自分で演奏しているとの事で、この新作も一聴してディスコ・サンプリングな作品だなと思っていたので、その演奏の表現力に驚かずにはいられない。"Just Luv Machine"は軽快でカラッとしたパーカッションを用いたハウスの4つ打ちから始まり、そしてサンプリングだと勘違いしてしまうようなジャズ/ディスコを思わせるキーボードやピアノにベースや管楽器が加わってくると、煌めくディスコ・ハウスの姿が現れてくる。陽気で希望を高らかに歌い上げるような歌も相まって、非常にハッピーでかつ肉体感のある骨太なハウスは、何か新しいサウンドというわけではないがクラシカルな作風さえ漂う芯の強さが感じられる。"My Saxophone"はそのタイトル通りなサクソフォンを用いたハウスで、しかし序盤の優雅な佇まいのあるピアノコードとしっとりと艶めかしいベースからうっとりムーディーさが漂っており、そして哀愁漂うサクソフォンが加わってくると更にしっとり情緒性を増してジャズ・ライブを聞いているかのようにも錯覚する。そして滑らかなビートを刻む"Try To Chill"では控えめながらも耽美なキーボードのコードで引っ張りつつ、チャカポコとした弾けるパーカッションを用いて実にリズミカルに展開するディープ・ハウス調、盛り上がりとムーディーな瞬間の切り替わりもあり沸かせる術を心得ている。またそんな曲をデトロイトからのRick Wadeがリミックスを行った"Try To Chill (Rick Wade Remix)"は、こちらはより太いキックが打ち付けるモロなデトロイト・ハウスで、より幽玄でしとやかなな鍵盤ワークによって上品な色っぽさや優美さを纏い、ガツガツと力強いグルーヴを刻みながらもエモーショナル性を打ち出している。新しさよりはむしろ古典的な感もあるハウスだが、それにしてもどれも出来が良くクラシカルな雰囲気さえも。
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