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Romare - Love Songs : Part Two (Ninja Tune:ZENCD234)
Romare - Love Songs Part Two
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UKは老舗レーベル・Ninja Tuneからの新進気鋭のアーティストであるRomareは、しかしブラック・ミュージックからの影響を現在形のダンス・ミュージックへと見事に投影し、ヒップ・ホップとハウスの絶妙なバランスの上にある - 例えばデトロイト・ハウスのMoodymannやAndresのような - 音楽性によって一躍注目の的になった。2015年の初のアルバムである『Projections』 (過去レビュー)ではサンプリングを駆使したコラージュ的なビートダウン・ハウスとでも呼ぶべき音楽を披露し、UKのアーティストでありながらアフロ・アメリカンを存分に感じさせる作風が高い評価を受け、彼の方向性を決定付けたのは記憶に新しい。そこから一年半で届けられた2ndアルバムは、しかしサンプリングは用いつつもシンセサイザーからリコーダーにマンドリンまで生楽器も導入した事で、コラージュやハウス・ミュージック性は抑えながらも艶かしい胎動が伝わるブラック・ミュージックに磨きを掛けている。アルバムはヒップ・ホップ風のもっさりしたビートの"Who To Love?"で始まるが、湿り気を帯びたピアノや生温かいシンセとの組み合わせにより、実に官能的でディスコやソウルの匂いを漂わせる。続く"All Night"は比較的ストレートなハウスではあるが、やはり生々しく浮かび上がるベース・ラインやざっくりしたパーカッションが訝しいサイケ感を演出し、"Je T'aime"も同様に4つ打ちながらもパンキッシュなシンセやファンキーなベースによってディスコティックな躍動を生んでいる。"Honey"は前作には無かったタイプで、可愛らしい鉄琴やリコーダーがほのぼのレイドバックしたエレクトロニカを思わせ、Romareのメロウな性質が強く現れている曲だろう。逆に"Come Close To Me"は前作から続くコラージュ色の強いビートダウン・ハウス風味と言うべきか、リズムにも癖がありRomareの特徴が活きている作品だが、やはりデトロイトなんからに比べると随分とアーバンで洗練されているのはUK育ちだからなのか。本作ではコラージュによる不鮮明な霧が晴れ、生演奏の比率を増やした事で音の構造がよりすっきりして明快な音楽展開がされており、『Love Songs』なんて言うタイトルも嘘ではない温かいロマンティシズムが通底している。但しその分だけ前作にあったスモーキーなサイケデリアがやや後退している点は、それをRomareに求めている人にとっては物足りなさを感じる要因になるかもしれない。



Check "Romare"
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Max Graef & Glenn Astro - The Yard Work Simulator (Ninja Tune:ZENCD227)
Max Graef & Glenn Astro - The Yard Work Simulator
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長らくビート・ミュージックを引率するNinja Tuneから放たれたアルバムは、なんとハウス・ミュージックを軸にしている。手掛けたのは以前から交流があったMax Graef & Glenn Astroで、それぞれがTartelet Recordsから生演奏やサンプルを用いてディスコやファンクにジャズにその他諸々を吸収したハウスのアルバムをリリースしており、多様なビートへの拘りを強く感じさせる新世代だ。Ninja Tuneのハウスへの接近は何となく流行っているようにも思われるハウスへの迎合…ではなく、そこにはモダン・ファンクやジャズやR&Bなどの要素があるからこそ、レーベル性を失う事なく新たな音楽性を得る事に成功している。事実、2015年には同レーベルはRomareによる『Projections』(過去レビュー)でハウスへの接近は既にあったわけで、その流れは本作へと続いているのだ。二人は本作において最近のダンス・ミュージックではよく使用される機材は使わずに、トラックリストや曲順を決めた上でコンセプチュアルな制作を進めたそうで、詳細は分からないもののサンプリングではなく基本は生演奏やマシンビートによる構成に聞こえる。幸いな事に手段が目的化する事はなくライブ感はありながらも、演奏の技巧を見せびらかすような内容ではなく、彼等のファンクやジャズと言った嗜好がラフさもある音として上手くハウスに馴染んでいる。冒頭の"Intro"ではカットアップしたような演奏がサンプリング・ミュージックにも聞こえるが、やはり音は生々しく迫る。続く"Where The Fuck Are My Hard Boiled Eggs?!"はジャズのようなリズムの響きに、途中から優雅で豊潤なシンセがうねるようにコード展開し、ロウなビートダウン・ハウスの風合いがある。"The Yard Work Simulator"に至ってはほぼブレイク・ビーツで、鋭利に刻まれる弾けたグルーヴに豊潤なシンセのなめらかな旋律は、豊かなコズミック感さえも纏っている。そしてけたたましいブラジリアン風なパーカッションが炸裂する"Magic Johnson"は、突如としてしっとりとメロウなジャズ・ハウスへと変化する情緒的な一曲で、続く"Jumbo Frosnapper"ではビートは落ちてざっくりしたヒップ・ホップ的を更にぶつ切りにしたような奇怪な展開をする。何だかアルバムの構成としては忙しなく方向性は目まぐるしく変わるのだが、それもNinja Tuneの身軽な自由さ故と考えれば不自然ではなく、彼等の影響を受けた音楽が明確に表現されているのだ。



Check "Max Graef" & "Glenn Astro"
| HOUSE11 | 20:00 | comments(1) | trackbacks(1) | |
Seven Davis Jr - Universes (Ninja Tune:ZENCD224)
Seven Davis Jr - Universes
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ヒップ・ホップやブレイク・ビーツにロックなど雑食性が高く癖のある音楽性を得意とするNinja Tuneにとってでさえ、2015年はレーベルにとって印象に残るような一年となるだろう。何と言っても二人の才能ある若かりし新星が共に初のアルバムをリリースしており、一人はUKはロンドンからのRomare、そしてもう一人がこのロサンゼルスを拠点に活動するヴォーカリスト/プロデューサーのSeven Davis Jrだ。何でもシンガーとしてメジャー・レーベルからのお誘いもあったようだが、本人がライター/プロデューサーとしても経験を積みたかった為にそれを断り、アンダーグラウンドな場所での活動を選んだそうだ。結果的には2014年には名門Classic Music CompanyからもEPをリリースし、更にはNinja Tuneとの契約も決まるという、新人にしてはこれ以上はない位のサクセス・ストーリーを歩む事になったのだから、その選択は間違っていなかったのだ。それにしたってこのようなハウス・ミュージックのアーティストがNinja Tuneからアルバムをリリースするのは意外としか思う事は出来ないのだが、しかし実際にアルバムを聞いてみればその雑食性の高い音楽性があればこそ、レーベルにとっては意外でも何でもなかったと痛感する。事実このアルバムには多様な要素が散りばめられており、アルバムのイントロ的な"Imagination"からして既に生々しい血潮がたぎるネオソウルな熱さとアブストラクトな音像を含み、Seven Davis Jrの世界へと誘い込む。続く"Freedom"はけたたましいドラムキックが炸裂する上に妙に明るいシンセがリフレインする - しかし普通のハウス・ミュージックではない - ダンス・トラックで、なのに何故か黒人音楽のファンキーな要素も兼ねている。そして"Sunday Morning"はデトロイト・ハウスにも似た訝しさを伴う黒いハウスで、自身の流暢なボイス・サンプルを反復させながら、カオティックな勢いで飲み込んでいく。かと思えば前のめり気味なビートにコズミックなSEやゴスペル風なオルガンを導入した"Everybody Too Cool"は、この猥雑としながら陽気なノリのグルーヴ感は正にPファンク由来のごった煮ハウスだろう。サンプリングだろうか、ループを多用したディスコ・フィーリング全開の"Good Vibes"にしても、純然たるクラブ・ミュージックと言うには余りにもライブ的な躍動がありカオティックだ。アルバムの終盤に用意された"Afterlife"にしても、もはやハウスと言うダンス・ミュージックよりはその優美な光沢感のあるサウンド使いや適切なコード使いなどがモダン・ソウルを思わせ、やはりSeven Davis Jrが既存のハウス・アーティストとは一線を画す道を進んでいる事を強く象徴している。かなり個性的が故に好き嫌いは正直分かれるアルバムだとは思うが、これ程までに黒人音楽というルーツを掘り下げながら、それを模倣ではなく自身の音として鳴らしているSeven Davis Jrは、兎にも角にも注目の的である事は間違いない。



Check "Seven Davis Jr"
| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Romare - Projections (Ninja Tune:ZENCD218)
Romare - Projections
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いつの時代も突如として現れる新星に驚かされる事は少なくないが、このロンドン出身のArchie FairhurstことRomareのデビューアルバムもその一例だ。2013年にはブリストル初のソウルフルかつ変態的なダブ・ステップ〜エレクトロを手掛けるBlack AcreからEPデビューを果たし、彼が若い頃から影響を受けてきたアフロ・アメリカンの音楽を最新のスタイルであるフットワークに投影し、その特異な音楽性が既に注視されていたようだ。そして遂に放たれたアルバムはUKの老舗レーベル・Ninja Tuneからとなるが、ビートへの偏執的な拘りを持つレーベルとRomareの相性の良さも相まって、更に注目を集める事は想像に難くない。本作に対しRomare自身が「ジュークやフットワークは無くよりリスニング向けな曲が増えた」と発言している通り、アルバムは過去のEPのコラージュ的な作風は残しつつもディープ・ハウスやヒップ・ホップ、そしてジャズなどに傾倒している。特に音楽性が新しいと強く感じる事はないし、例えばデトロイトのTheo ParrishやAndres辺りのジャズやヒップ・ホップを咀嚼したディープ・ハウスの一連と見做す事も出来なくはないが、それでもデビューアルバムにして非常に高い完成度を見せているのだから評価しないわけにはいかない。眠気を誘うようなスモーキーな音像とざらついたビートから浮かび上がるソウルの熱さにしっとりする"Nina's Charm"から始まり、ジャズセッションを繰り広げているような跳ねるビートがキモの"Work Song"、正にAndresスタイルなざらついたヒップ・ホップのビートにフュージョン的な優美なシンセが色付けする"Ray's Foot"など、序盤から黒黒としながら人の血が通った温かみを強く打ち出している。そして先行EPとなった"Roots"は完全にMoodymannスタイルの紫煙が充満する中で蒸し返すような湿度を放つディープ・ハウスで、そして「デトロイト!ニューヨーク」といったボイスサンプルも闇の奥から聞こえてくるが、やはりRomare自身もその辺の音楽を意識しているのは間違いないのだろう。アルバムは上々の出来である事に異論はないが、ただその器用さ故からざらついた生の質感を打ち出しながらも綺麗に聞かせようと洗練され過ぎているような印象や、また全体的な音の厚みが薄いかなと思う点もある。しかしサンプリングを使いこなし断片をコラージュ的に組み合わせながら、アフロ・アメリカンの音楽を現代風に再構築して情感たっぷりに仕上げた音楽は、ジャンルにカテゴライズする事なく黒人音楽の一つとして聴いて楽しめるだろう。



Check "Romare"
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |