S3A - Sydmalaide EP (Local Talk:LT090)
S3A - Sydmalaide EP
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日本のハウス・パーティーでもありレーベルでもあるEUREKA!でお馴染み、そしてSoundofspeedやQuintessentialsといった人気レーベルから作品をリリースするなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍する新生代ハウス・アーティストであるS3A。Sampling As An Artを称するその音楽性は勿論サンプリングを武器にジャズやファンクにディスコを咀嚼したクロスオーヴァーなハウスで、エネルギッシュに弾けるグルーヴと陽気かつエモーショナルなムードに染めながらご機嫌なパーティー感覚に包み込む。新作はスウェーディッシュ・ハウス代表格であるLocal Talkからとなればお墨付きを頂いたようなもので当然外す事はないのだろうが、それでも期待を裏切らずに見事な曲を揃えている。冒頭の"Premiere Rexidence"からしてファンクかディスコをサンプリングしたであろうその手腕が映える作風で、流麗なキーボードのコード展開に対して魂を吐き出すような熱い歌やギターカッティングがファンキーで、派手派手しくも優雅さも兼ね備えたファンキー・ディスコ・ハウスはS3Aに期待する音楽そのものだ。"End Track For A DJ"は更に手数が多くイケイケアッパーなハウスで、ゴリゴリと骨太で荒いビートを叩き出しつつゴスペル風の雄叫びやボイス・サンプルをたんまりと織り交ぜ、そして分かり易いシカゴ・ハウス風なピアノのコードや麗しいストリングスの装飾なども現れて、これ以上はないという位にポジティブなエネルギーが爆発するピークタイム仕様だ。また光沢感を発するような輝かしいディスコ・フィーリングに溢れた"Searching Force"はエフェクトをかけて展開する懐かしくもあるフィルター・ハウスで、作風としての目新しさはないものの優美なピアノやストリングスのサンプリングネタのセンスが断然に素晴らしく、フロアを盛り上げる術を熟知したと言っても言い過ぎではない。最後の"Deep Mood Vol.4"はそれまで上げ上げだった曲への反動という事でもないのだろうが、パーカッションは弾けながらも重心の低いベースラインとマイナー調のコード展開による訝しいディープ・ハウスで、このぼやけた黒さはデトロイト・ハウスの系譜上にあってもおかしくはない。単にアッパーに盛り上げるだけではなく雰囲気を持続させるための曲でも才能を発揮するS3A、そこに懐の深さを見出だせるのだ。EP単位では文句無しに魅力的な作品をリリースし続けているので、そろそろ総括としてアルバムも期待したいところだ。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
S3A - Mountain Charr (Eureka!:ERK003)
S3A - Mountain Charr
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ハウス・ミュージックのパーティーとして台頭しているEureka!は、特にスウェーデンを代表するハウス・レーベルのLocal TalkのDJ/アーティストを積極的に日本において紹介し、更にはEureka!はレーベルへと進化して曲のリリースをするようにまで躍進を果たしている。中にはLocal Talkからのライセンス商品もあるが、Eureka!の為に制作された曲のリリースも行っており、このレーベル最新作もその一つだ。手掛けているのはSampling As An Artを名乗る通りサンプリング・ハウスを武器とするS3Aで、Local Talkを始めとして多くのレーベルからファンキーでメロウなモダン・ハウスを送り出している人気アーティスト。クラブパーティーの賑やかさや華々しさを思い起こさせるダンストラックは即戦力で、そんな音楽性が最も表現されているのは"Doop Doop"だ。ベースはハウス・ミュージックだが、歓声の入ったサンプリングから始まりポジティブなコーラスと気品のあるピアノコードが被さっていき、更には希望を高らかに歌い上げるようなホーンのメロディーと疾走する4つ打ちが加わって気分は完全にダンスフロアの騒ぎの中。途中ではファンキーなギターソロも爽快に躍動したりと、サンプリングであろうが生の音をふんだんに用いて正にS3Aらしい作風で、底抜けに明るく優雅なハウス。対して"Emotional M1"は少々内向的でしっとりしたムードで、ビート感は抑えられてビートダウン・ハウス的な黒さが現れており、エレガントなピアノ使いと色っぽい女性の歌と共に徐々に盛り上がっていくモダンなディープ・ハウスか。そして最後はサンプリングの妙技かブレイク・ビーツかヒップ・ホップの影響が強い"Denials"で、ざっくりした響きのジャジーなグルーヴと共に控えめに甘美なエレピを合わせて、心に染みるメロウな空気に満たされる。それぞれタイプは異なれどサンプリング主体で一聴して耳を惹き付ける分かりやすさもあり、誰がプレイしても自然とフロアが盛り上げるのではないかと思う程だ。



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| HOUSE13 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2018/2/9 HANG @ Grassroots
1月にGrassrootsで聞いたYO.ANのアシッディーなプレイが良かった事、そして今回DJ業は勿論としてアーティストとしてもDessousからアナログをリリースするなど躍進を果たしているIori WakasaがGrassroots初出演と言う事もあり、このYO.ANが主宰するHANGへ期待も込めて参加する事にした。前述の二人に加えて今回はスケーターとしても大活躍しHANGには度々参加しているHaruka Katagataも出演し、三人それぞれがどんなプレイをするのか興味は尽きない。
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| EVENT REPORT6 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Local Talk 5 1/2 Years Later (EUREKA!:ERKCD-003)
Local Talk 5 1/2 Years Later
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Blazeの大名盤『25 Years Later』からタイトルとジャケットを見事にサンプリングした本作は、スウェーデンのハウス・レーベルでは代表格であるMad Matsらが主宰するLocal Talkの正しく活動5年半を記念したコンピレーションで、実は『25 Years Later』とは特に音楽的な繋がりはない。しかしMatsによればそんな大名盤には色々なハウス・ミュージックが入っているそうで、そんな音楽性をこのコンピレーションで表現したかったそうだ。確かに様々なアーティストの曲が収録されている本作、大胆なジャケットのインパクトに魅了された方は是非この機会に、Local Talkの音源に触れてもきっと損はしないだろう。有名どころではハウスとヒップ・ホップをクロスオーヴァーさせるDJ Spinnaも参加しており、跳ねるリズムと耳に残るしなやかなシンセのメロディーがエレガントに舞う"Tie It Up"を提供しているが、中盤以降の美しいシンセソロの優美さはLocal Talkらしい。フランスの新鋭、Local Talkを始め様々なレーベルから引っ張りだこのS3Aはお得意のサンプリングをフル活用した"Bob Morton Track"を手掛け、荒々しく黒いファンキーさ爆発のモータウン・ハウスは本場USにも全く引けを取らない。その一方でUKはブリストルのSean McCabeが手掛けた"It's My Life (Sean's 6am Dub)"は、かつての西ロンのブロークン・ビーツ隆盛を思い起こさせるような曲で、ざっくりとしかし小気味良いリズムと多層になるエモーショナルなシンセに情熱的な歌を合わせて特に洗練された美しさを放つ。更に異彩を放つのがYoruba RecordsやInnervisionsからヒットを飛ばすToto Chiavettaで、テッキーながらも何処か妖艶で呪術的かつアフロな魅力を秘めた"Approval"はサイケデリック性が抜群だ。その他にもArt Of TonesやMarcel LuneといったLocal Talk組、フランスのディープ・ハウサーであるHugo LX、そして日本からはKyoto Jazz Massiveが強烈なベースが炸裂するブギー・ハウスを提供しており、一口にハウスと言っても実に音楽性豊かに様々な要素がこのアルバムには存在している。ファンクやソウルにジャズ、激しさからメロウまで、Local Talkのハウスはただ単にフロアで踊らせるだけの音楽ではなく、リスニングに耐えうる素質があるのだ。




Tracklistは続きで。
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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Byron The Aquarius - Euphoria EP (Sampling As An Art Records:S3AREC07)
Byron The Aquarius - Euphoria EP
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2016年の初頭、突如としてSound Signatureからデビューを果たしたByron The Aquariusは、デトロイト出身で現在はアトランタ在住のキーボーディストだ。OnraとのユニットであるThe Big Paybackとして、そしてFlying Lotusの作品にもキーボードとして参加するなど、よくよく調べてみると才能の片鱗を見せていた訳だが、2016年の2作目は何とWild Oatsからリリースとその躍進にはどうしたって目が留まる。そして今年の3作目はS3Aが主催するSampling As An Artからと、デトロイト・ハウス系を好きな人にとっては注目の的の一人だろう。本作のスタートを告げる"Intro"はヒップ・ホップのリズムに優雅なストリングスと美麗なエレピを纏わせ、優雅な船出を演出するようだ。続く"The Love Below"でグルーヴは軽快に走り出すが、ここでも流暢なキーボードのコード使いと優しいヴィブラフォンの響きが温かみのある音楽性をもたらし、DJ的と言うよりはやはりキーボーディストとしての手腕が光っている。そして分り易いタイトルの"Coming To Detroit"、これはざくざくとしたリズムが心地良いメロウなインタールードで、その先にはフューチャー・ジャズとでも呼ぶべきしなやかなリズムを刻み優美なピアノ使いに酔いしれる"The Essence"が待ち受けている。裏面へと変わるとS3Aとの共作である"Nights in Tokyo"が始まるが、街中のノイズらしきサンプリングやマイナー調のメロディーと弾けるベースから生まれる漆黒のハウスは、KDJスタイルのデトロイト・ハウスを強烈に踏襲している。鋭角的に切り込む硬いビートが強烈なヒップ・ホップの"Spacing Out"は、しかしそれでも艶のあるシンセワークがフュージョン的でもあり、最後の"Memories of Kenzu"は特に鍵盤演奏を主張したファンキーかつメロウなハウスで、胸の中にしみじみとした感情が湧き起こるだろう。ハウスを軸にヒップ・ホップ、ジャズやフュージョンの要素を自然と織り交ぜ、インタールードも使用してEPながらも展開のある本作は、単にツールとして以上の演奏者としての表現力が発揮されており、結果的にはデトロイト・ハウスのリスナー以外にも訴求する魅力に溢れている。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Midori Aoyama - Local Talk vs EUREKA! - Our Quality House (House of EUREKA!:ERKCD001)
Midori Aoyama - Local Talk vs EUREKA! - Our Quality House
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どのジャンルでも多少はある事だと思うが、特にハウス・ミュージックという枠組みの中では半ば普遍的なクラシックと呼ばれる曲、またはレジェンドと呼ばれるDJ/アーティストが評価され、業界の中で代謝が進んでいないのを感じる事は少なくない。そんな中から割って出てきたのがMidori Aoyama、Kenji Endo、Sioによって開催されているEureka!で、2012年にかつてのLoopで始動したこのパーティーは、現在に至るまで転々と場所を変えながらヨーロッパのモダンなハウス・アーティストを招聘してこのシーンに刺激を与え続けている。特にEureka!が強くフィーチャーしているのが、元Raw Fusion主宰のMad Matsによって新たに立ち上げられたスウェディッシュ・ハウスのLocal Talkで、モダンとクラシックを両立させたハウス・ミュージックの新世代レーベルとして高い評価を獲得しており、創立から4年にして既にカタログは60を超えるなど飛ぶ鳥を落とす勢いがある。単にハウス・ミュージックという言葉で括られる狭い音楽性ではなく、そこにはブギーなりジャジーなり、テクノやブロークン・ビーツまで多様性を伴い豊かな感情性を伴う音楽の寛容性が魅力だろう。そんなLocal TalkとEUREKA!が手を組んで制作されたのが、同レーベル音源のみをAoyamaがミックスしてパーティーの臨場感を封じ込めた本作だ。冒頭のアフロなリズム感が爽やかな風を巻き込む中から華麗なエレピやギターの旋律でメロウに始まる"Hot Medusa (Kai Alce Remix)"、続いて仄かにメロウで気品も漂うテック・ハウスの"Sunday Morning"で情緒も放ち、トランペットのゴージャスな響きや湿って切ないピアノによる生っぽさが温かい"No One Can Stop Us"など、序盤からハウスを基軸にジャズやラテンのフレイバーを発しながら滑らかな流れで耳を惹き付ける。そして中盤のフロアを意識したオールド・スクール感の強いハウスの流れから、終盤に入ってライブ感のあるシンセワークに魅了される"Eye Light (Midnight)"や殆どパーカッションの変化だけで劇的な展開を生み出すDJツール性の高い"Trummor"など、味気無い展開には陥らずに終始うきうきと胸が高鳴るような変化で自然に聞き入ってしまう事だろう。Local Talkを知っていようがそうでなくとも、素敵な曲のそれぞれの魅力を壊す事なくミックスし、EUREKA!というパーティーの現場の高揚感やドラマティックな雰囲気を擬似的に生み出しているのだから、EUREKA!ファンだけでなく根っからのクラシック・ハウスを好きな中年以上にも是非耳を傾けて欲しいものだ。それに何といってもLocal TalkのEPは少々値が張るので、こうやってショーケース的に纏めて聴けるのもありがたいのだから。

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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2015/11/6 EUREKA! @ Air
Midori Aoyama率いる"Eureka!"は確かな審美眼を元に海外から新しく生まれる流れを掴み、ベテランだけではなく積極的に新世代のDJ/アーティストも招致し、良質なハウス・ミュージックを聞かせるパーティーの一つだろう。特にスウェーデン・ハウスの中でも今最も熱いLocal Talkとの絡みは今までの活動からも分かるだろうが、今回はそんなLocal Talkの主宰者であるMad Mats、そして同レーベルからもリリース歴がありサンプリング・ハウスでめきめきと頭角を現しているS3Aを招き寄せた。
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| EVENT REPORT6 | 19:00 | comments(3) | trackbacks(0) | |
TVFROM86 - Purple People EP (Popcorn Records:PR008)
TVFROM86 - Purple People EP
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フランス発の新興ハウスレーベル・Popcorn Recordsからの新作は、TVFROM86にとっては初のアナログ作となる。これはThomas Zanderによるプロジェクトで、2013年にはRoche Musiqueから配信のみながらも力強いファンキーなハウスでデビューを飾り、2014年にはPopcornから他アーティストとの共作もリリースしていたが、まだまだ実力は未知数といったところだったと思う。しかし本作はハウスのリスナーにとって注目しておいて損は無い事を保証したい。先ず以てしてPablo Valentinoの変名であるCreative Swing Allianceや今頭角を現しているS3Aのリミックスを収録している豪華さに目が行くが、しかしTVFROM86によるオリジナル作からして素晴らしいのだ。タイトル曲である"Purple People"はズンドコとしたハウスの4つ打ちにピアノや歌のサンプリングを絡めて、心がウキウキと躍るようなブギーな感覚を強く打ち出した最高にファンキーな曲で、パーティーでかかれば否が応でも盛り上がらずにはいられないだろう。もう1曲のオリジナル作である"By All Means"は幾分かシャープで小気味良いグルーヴを刻むハウスだが、やはりサンプリングとフィルターを駆使してループさせた上モノがじわじわと盛り上げていくフロア志向のトラックで、DJがミックスしてこそ映えるであろう作風だ。また豪華なリミキサー陣による作品も見逃し厳禁だ。Pablo Valentinoがリミックスした"Purple People (Creative Swing Alliance Remix)"は路線として大幅な変更はないがオリジナルよりもシャッフル性を強めながらも、より重心が低くリズムに生っぽさを打ち出した有機的なファンキーなハウスで、S3Aによる"Flying Piano (S3A Remix)"もラフでビートダウン的なグルーヴを中心にぶいぶいとしたベースも盛り込み、黒さが滲み出るディスコ・ハウスとなっている。どれもDJの為のトラックとして機能的かつ肉体感溢れるグルーヴが優れており、本作に関連する全てのアーティストに期待を抱くのではないか。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
S3A - Mimesis EP (Lazare Hoche Records:LHR08)
S3A - Mimesis EP

2014年のハウスシーンで話題となっているアーティストといえば、フランス出身のS3A(Sampling As An Art)ことMax Faderは忘れてはならないだろう。2013年にはLocal TalkやPhonogrammeから作品をリリースし虎視眈々と活動を続けていたようだが、2014年に入ってからの数枚のEPでは著名なDJからもお墨付きを貰ったりと、名実共に高い評価を獲得するに至っている。Sampling As An Artと自らを名乗る通り作品性はサンプリング主体であろうファンキーなハウスが中心で、本作に於いてもそんなファンキーでフロア志向な音楽性が息衝いており、パーティーでの即戦力となる事請け合いだ。実際にA1の"4 Danilo"からしてサンプリングしたネタを使用して、執拗にベースラインやシンセをループさせた構成で、そこに熱狂的に叫ぶ女性ボーカルを落とし込みながら粘りのあるディスコ風ハウスに仕上げており、フロアを強烈に沸かすのは間違いない。サンプリング主体という制作で生っぽい質感は同じながらも、"Deep Into Amsterdam"では一転してスムースかつ弾ける軽快なビートを主体に都会の洗練されたディープ・ハウス風味で爽やかさが打ち出されている。裏面へと続くとパンピンで弾ける4つ打ちとサンプリングの煌きのある輝かしいフレーズがフレンチハウスを思わせる"Discofonk"、そしてピアノループを用いた煙たいヒップ・ホップな"Piano Interlude"と続き、変化球も効かせながら黒さをふんだんに曝け出している。芸術としてのサンプリングと名乗るサンプリングへの執着がありながら、しかし決して芸術的と鼻に付くような意味合いからは距離を置いたフロア志向な作品性が光っており、ハウスシーンで注目を集めるのも当然といった質の高さだろう。



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| HOUSE10 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Pablo Valentino Presents Japan Tour 2013 (Faces Records:FACES CD004)
Pablo Valentino Presents Japan Tour 2013
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デトロイト・ハウス、またはビートダウンと呼ばれる音楽はUSから海を越えてヨーロッパへと渡り、それぞれの場所で根を張りその個性を育んでいる。特にオランダやドイツではその影響は強いが、例えばフランスでその例を挙げるのであればFaces Recordsは忘れてはならない。フランス出身のPablo Valentinoが主宰するこのレーベルはディスコやジャズやファンクにも影響を受けた上でのハウスにフォーカスしたレーベルであり、特に黒人が発するスモーキーな芳香を纏っているが、Motor City Drum Ensembleのために設立されたレーベル・MCDEの設立者がPabloである事を知れば、Pabloが目指す音楽性も理解出来るだろう。本作はそのPabloが来日ツアーを行った際にパーティー会場で販売されていたFaces Recordsのレーベル・コンピレーションであり、レーベルの方向性を占うと共に未発表曲も多く含まれているなど、話題性は抜群だ。日本からはKez YMとRondenionの二人が曲を提供しているが、両者ともディスコをサンプリングしたであろう方向性を支持しながら黒人音楽への真摯な愛情が現れたファンキーなハウスを披露。Ketepicaによる生っぽく艶やかなジャジートラックや、Champsによる優雅なメロディーとしなやかなビートが弾けるブロークン・ビーツからは、Faces Recordsが単なるハウス・レーベルではなく黒人音楽がルーツにある事を証明もしている。またフランスのアンダーグラウンドから浮上し最近話題となっているS3Aを早くからフィーチャーしていたりと、Pabloの音楽に対する目の付け所は正当に評価されるべきだろう。勿論Pabloも本人名義に加えCreative Swing Alliance名義でも煙たく仄かに情緒的なビートダウンを提供し、更にはMotor City Drum Ensembleによる新曲も収録するなど話題に事欠かさない充実した内容だ。レーベルの方向性としてDJに使用して貰う事を前提にEP/アナログでのリリース中心なので、こうやってCDや配信でレーベル・ショーケース的に様々な作品を聴ける点でも価値がある一枚だ。



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| HOUSE10 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Morgan Geist - Double Night Time (Environ:ENVCD007)
Morgan Geist-Double Night Time
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デトロイトテクノやディスコに影響を受けた音楽活動をしているMorgan Geistのアルバムが、なんと前作から10年ぶりに登場。その間にはMetro Areaとしての活動や自らが運営するEnvironの営業に力を注いでいたのか、自身の活動はなりを潜めいつの間にか自分も忘れかけていた感はありますが、ようやく新作が出たので嬉しい限り。しかし2008年と言うこのご時世ながらも新作は意外や意外、オールドスクールでピュアな電子音楽を奏でているではありませんか。音自体は澄んでいて綺麗なんだけどアナログシンセを使用した様なピコピコ、キラキラ音は、こりゃどう考えても80年代のテクノポップを意識しているのが分かります。それに合わせてトラックもどこか懐かしさを思わせるポップなメロディーを重視した歌物が多く、一体ここはいつの時代なんだと時代錯誤しそうな世界観ですね。しかしこれは評価はばらばらに分かれるんじゃないかと思いまして、さすがにミニマルが流行っている中でこれは正直きついかもしれない。本人はフロア向けの機能性よりもホームリスニングを意識してアルバムを製作したんだろうけれど、今の時代にこのテクノポップやらディスコティックを求めている人はどれだけいるのだろうか。自分としてもフロア向けかつ内省的な音楽を彼には求めていたので、ちょっと肩透かしを喰らってしまいました。インスト中心の方が良かった気がしますね。

試聴

Check "Morgan Geist"
| HOUSE4 | 07:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |