Ponty Mython Feat. Sebastien Vorhaus - Mila, It's Not Over! EP (Dirt Crew Recordings:DIRT090)
Ponty Mython Feat. Sebastien Vorhaus - Mila, Its Not Over! EP
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ドイツのDirt Crewと言えばこの数年でここ日本でも頭角を現しているハウス・レーベルだが、実は2004年設立ともう老舗レーベルでもあり、最近の質の高さからDirt Crewなればこそとレーベル買いをしてもよい程に安定軌道に乗っている。そのレーベルの新作はロシアのアーティストであるAlexander PletnevことPonty Mythonによるもので、過去にはNo More HitsやQuintessentialsからも作品をリリースしており、跳ねたビート感とディスコティックな風合いが持ち味のハウスが好評を得ている。本EPで先ず述べるべきはメキシコのアーティストであるSebastien Vorhausとコラボした"Face Down"であろう。今までと同様にディスコティックな多幸感はあるものの、そこに流麗な笛のメロディーやアシッド気味の上モノのシンセを配して、豪華な音使いで勢い良く高揚へと巻き込んでいくダンストラックは即効性が高い。前のめり気味につんのめるリズム感が特徴な"Apple Arp"も、やはりヒプノティックな上モノとアシッドな音の粒が反復する快楽的なハウスだが、ジャジーなグルーヴ感は飛び跳ねて弾けるしなやかさがあって気分を上向きにもっていく曲だ。裏面に移ってタイトル曲である"Mila, It’s Not Over!"、ここにも毒が抜かれ耳に馴染みのよいアシッド・ベースが用いられているが、流麗なシンセのコードの使用とざっくりとライブ感のあるドラムが勢い良く刻まれ、作品中で最もエモーショナルな性質が強いか。そして最後はどっしりと重いキックが安定感を生む"Narcolepsy"で、優しいフルートのメロディーと流麗なパッドを用いた非常に滑らかな質感のハウスは、90年代のそれの面影を残す。過去の作品に比べるとややテクノ寄りな性質も見受けられたりと面白さもあるが、どれもこれも間違いなくフロア受けするであろうハウスであり、流石のDirt Crewの審美眼にハズレは無い。



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| HOUSE11 | 12:01 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Soul Of Hex - Lip Reading EP (Cvmr:CVMR010)
Soul Of Hex - Lip Reading EP

Soul Of Hex、先ず誰も耳にした事のない新人アーティスト…しかし初のリリースである本作にシカゴ・ハウスの孤高の存在であるMr. FingersことLarry Heardのリミックスが収録されているとなれば、どうしたって注視せざるを得ない。後からSoul Of Hexについて調べてみれば、実はQuintessentialsやFaces Recordsから煙たくドス黒いビートダウン・ハウスをリリースしていたメキシコからの4004 & Sebastien Vorhausの変名である事を知ったが、となれば既にLarryは彼等の音源をサポートしている事から今回のリミックスへと繋がったのも合点がいく。オリジナル曲である"Lip Reading"は今までの作品よりも穏やかでLarryを意識したようなディープ・ハウスだ。温かいパッドのメロディー、しっとりとしながらも豊かなJunoのベース・ライン、隙間を活かしながらもカラッとしたキックやパーカッションの4つ打ちと作風自体は非常にシンプルだが丁寧かつ洗練された作り込みで、Larryが得意とする叙情を打ち出している。US西海岸のVin Solによる"Vin Sol Remix"は寧ろ4004 & Sebastien Vorhausを意識したのか、厚みのあるキックを用いた低重心のグルーヴに微睡むような温かいパッドを用いて煙たさも表現したビートダウン系に仕上がっている。同様にUKの新鋭Ny*Akによる"Ny*Ak Remix"もぐっとテンポを落としたビートダウン系ではあるのだが、ヒップ・ホップを意識したようなリズム感と絡み付く粘り強い音質が濃密な黒さを匂わせている。そしてやはり特筆すべきはLarryによる"Mr Fingers Jazzy Dub Mix"であるのは間違いなく、仄かに情緒を匂わす軽いエレピのメロディーと透明感のあるパッド、そしてカラッとした爽やかなパーカッションによる絡みは何処までも開放的で、穏やかな感情が広がるディープ・ハウスだ。どう聴いてもLarryによるオリジナル音源にしか聞こえない程にLarryの個性が光る作風は、昔から現在に至るまでに変わる事のない普遍性を伴っている。



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| HOUSE10 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Pablo Valentino Presents Japan Tour 2013 (Faces Records:FACES CD004)
Pablo Valentino Presents Japan Tour 2013
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デトロイト・ハウス、またはビートダウンと呼ばれる音楽はUSから海を越えてヨーロッパへと渡り、それぞれの場所で根を張りその個性を育んでいる。特にオランダやドイツではその影響は強いが、例えばフランスでその例を挙げるのであればFaces Recordsは忘れてはならない。フランス出身のPablo Valentinoが主宰するこのレーベルはディスコやジャズやファンクにも影響を受けた上でのハウスにフォーカスしたレーベルであり、特に黒人が発するスモーキーな芳香を纏っているが、Motor City Drum Ensembleのために設立されたレーベル・MCDEの設立者がPabloである事を知れば、Pabloが目指す音楽性も理解出来るだろう。本作はそのPabloが来日ツアーを行った際にパーティー会場で販売されていたFaces Recordsのレーベル・コンピレーションであり、レーベルの方向性を占うと共に未発表曲も多く含まれているなど、話題性は抜群だ。日本からはKez YMとRondenionの二人が曲を提供しているが、両者ともディスコをサンプリングしたであろう方向性を支持しながら黒人音楽への真摯な愛情が現れたファンキーなハウスを披露。Ketepicaによる生っぽく艶やかなジャジートラックや、Champsによる優雅なメロディーとしなやかなビートが弾けるブロークン・ビーツからは、Faces Recordsが単なるハウス・レーベルではなく黒人音楽がルーツにある事を証明もしている。またフランスのアンダーグラウンドから浮上し最近話題となっているS3Aを早くからフィーチャーしていたりと、Pabloの音楽に対する目の付け所は正当に評価されるべきだろう。勿論Pabloも本人名義に加えCreative Swing Alliance名義でも煙たく仄かに情緒的なビートダウンを提供し、更にはMotor City Drum Ensembleによる新曲も収録するなど話題に事欠かさない充実した内容だ。レーベルの方向性としてDJに使用して貰う事を前提にEP/アナログでのリリース中心なので、こうやってCDや配信でレーベル・ショーケース的に様々な作品を聴ける点でも価値がある一枚だ。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE10 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |