Crackazat - Magic Touch (Crackazat Reworks) (Local Talk:LTCD012)
Crackazat - Magic Touch (Crackazat Reworks)
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スウェーディッシュ・ハウス代表格のLocal Talkはハウスをベースにしながらジャズやフュージョンにテクノ等を交錯させ、ハイペースな量産体制ながらも質も保ち続ける稀有な存在だ。お薦めのアーティストを誰か一人というのは難しいが、しかしBenjamin JacobsことCrackazatもレーベルを代表する一人である事は間違いない。ブリストル出身で現在はスウェーデンで活動する元ジャズ・ミュージシャンであるCrackazatは、前述のレーベル性を兼ね備えて実にアーティストらしく優美なキーボードワークで魅了しクロスオーヴァーなグルーヴで踊らせもする間違いのない才能を持っている。さてこの新作はタイトル通りに全てCrackazatによるリミックス集で、これに先駆けてLocal Talk傘下のBeerからアナログでリリースされていたLocal Talk面子をリミックスした『Reworks』に加え、更にDJ SpinnaやTerrence ParkerにLay-FarらがLocal Talkからリリースした曲の未発表リミックスまでも加えた豪華な内容で、配信のみで8曲に纏められている。元はそれぞれ異なるアーティストの曲なれどCrackazatが手を加える事で輝かしいシンセのフレーズによる優美な世界観で統一されており、例えばDJ Spinnaによる原曲はジャジーながらも比較的落ち着いたしっとり目の作風だったものが、"Tie It Up (Crackazat Rework)"では跳ねるような弾性のあるリズムに凛としてウキウキとしたシンセが躍動するフュージョン・ハウスにへと生まれ変わり、動きの多いメロディーを活かしながら笑顔に満たしてくれるハッピーな世界観が堪らない。Terrence Parkerが手掛けたNY系のソウルフルなハウスも、"Unconditional (Crackazat Rework)"ではCrackazatらしい豊潤な響きのシンセを多層に被せてゴージャス感を打ち出しながらもフルートらしく切ない笛の音も胸を締め付けるようで、力強いハウスの4つ打ちでディープかつエモーショナルなハウスへと昇華している。Lay-farの"Submerging (Crackazat Rework)"は原曲の優美なストリングスはそのまま用いて大きくいじった訳ではないが、ヒプノティックなアシッドも用いたエレクトロニック調から、スモーキーな音響によってビートダウン風なブラック・ミュージック色を強めた作風へと転換し、じわじわと熱くなる展開に魅了される。他にも艶のあるシンセコードとパーカッションが効いたジャジー・グルーヴが絡んで弾むビート感を生む"Electric Piano On The Run (Crackazat Rework)"や、溜めのあるリズムでぐっと抑えられながらも光沢感のあるシンセが伸びて明るいヴァイブスに包まれるフュージョン・ハウスな"Tears (Crackazat Rework)"など、やはりどの曲にも共通するのはライブ感のある豊かなキーボードの響きで、リミックスとは言えどもCrackazatの個性でしっかりと上塗りされているのだ。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2019/2/9 NUTS @ Grassroots
東高円寺の音楽酒場であるGrassrootsでは複数のレギュラーパーティーが開催されているが、その一つがNehanが主宰するNUTSだ。かつてはUnit等幾つかのクラブにて開催されていてたARTEMISのメンバーでもあるNehanが、2015年頃から新たに自身の表現の場として立ち上げたパーティーであり、またゲストには有名無名に限らず実力ある国内の、そして音楽的な繋がりのあるDJを迎えて、不定期ではあるもののGrassrootsの看板の一つとして地道に開催を続けている。今回は同じくGrassrootsで長くレギュラーパーティーを持つKabuto、そしてDessous Recordingsからも作品をリリースし作曲家としてもDJとしても評価を獲得しているIori Wakasaをゲストに迎えており、今年初のNUTSは盤石の布陣をもって開始する。
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| EVENT REPORT7 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
STEREOCiTI - Reflexions (Groovement:GR030)
STEREOCiTI - Reflexions

ベルリンへと移住したKen SumitaniことSTEREOCiTI、移住後も古巣Mojubaから侘び寂びと仄かなエモーショナル性のあるディープ・ハウスをリリースしていたが、この度ポルトガルはリスボンのレーベルであるGroovementから新作をリリースした。Groovementはレーベル関係者の一人でもあるJorge CaiadoやデトロイトのTerrence Parker、日本からはSaiもリリースをするなど注目されるレーベルになっているが、どういうわけかSTEREOCiTIもこのレーベルからリリースした事は何か彼に音楽的な変化があったのかは興味深くあった。"Eu Lembro"を聞いてみるとこれは過去のMojubaから出ていた作風と近いように思え、隙間を強調したミニマルでハウシーなグルーヴに幻想的に延びる上モノのパッド、奥行きを体感させる音響など如何にもSTEREOCiTIらしく思う。やや鋭利な切れ味のあるリズム感はテクノ寄りになったかと思わせるが、宇宙空間を漂うようなSEやデトロイト的な旋律などエモーショナルな点ではそう以前と変わってはいない。"Wee Hours"もやはりグルーヴとしてはハウスのそれと感じられるものの、鈍いアシッドサウンドやヒプノティックに反復する電子音などからはテクノの雰囲気が伝わってきて、ひんやりとクールで機能的な作風は何かしら変化が見受けられる。タイトル曲の"Reflexions"はオールド・スクールな音質と弾むようなリズムに朗らかに浮遊しながら動き回る電子音を配し、控えめに気品や優雅さを纏ったようなディープ・ハウスで、シンプルな響きから叙情性を引き出す魅力的な曲だ。そして"Cancoes do Vento Sul"は今までの作風よりも格段にオプティミスティックで、アブストラクトな音像があった過去の作風からぐっと霧が晴れて嬉々とした空気を浴びるハウス・トラックであり、透明感のある電子音も心地良く舞っている。何か心情的な変化が音に対しても変化を及ぼしたのか、それを知る由もないが、しかし確かな変革の時期は訪れているのか。そう言えば以前会った時にはDJよりもライブをもっとやりたいとも言っていたが、よりアーティストとしてトラックメーカーとして表現力を磨き上げたいという意思があったとしたら、この変化にも関連があるのかもしれない。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Terrence Parker - God Loves Detroit (Planet E:PLE65380-2)
Terrence Parker - God Loves Detroit
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電話機型ヘッドフォンを用いながらスクラッチをガシガシと多用したDJスタイルが印象的なTerrence Parkerは、敬虔なクリスチャンでもあり、それを反映したように祈りにも似たゴスペル・ハウスとも呼ばれる音楽性を武器にDJとして高い評価を獲得している。勿論アーティストとしてもファンキーで骨太なディスコ・ハウスから熱きソウルが燃えるボーカル・ハウスまで良質なDJ向けのトラックを手掛けてはいるが、過去に於いては決してアーティスト業がメインではなく積極的に継続してリリースを続けるタイプではなかった。しかし2013年にPlanet-Eよりリリースした17年ぶりのアルバムである『Life On The Back 9』(過去レビュー)を機に、再度アーティスト業にも力を入れ出しDefectedやGroovementにLocal Talkなど多くのレーベルから新作/リイシューのラッシュ状態。そしてPlanet-Eからの前作が評判が良かったのかまたしても同レーベルからニューアルバムが届けられた。ここでは近年Parkerと活動を共にするデトロイトの女性DJ/アーティストであるMerachka、そして過去にもParkerの作品のボーカリストとして共演しているCoco Streetが参加しており、彼らしいボーカル・ハウスの魅力も詰まっている。先ずはMerachkaをフィーチャーした"Bassment Beats (TP's Bassment Mix)"で幕を開けるが、熱量の高い歌ではなくスピーチとして声を利用し野太いベースラインとパーカッシヴで力強いトラックによって、初っ端から勢いと熱さが発せられる。続く"Don't Waste Another Minute (TP's Classic Piano Mix)"もMerachkaを起用しているがゴスペル的なピアノコードと希望を語るような歌を前面に打ち出し、これぞParkerらしい魂揺さぶるデトロイト・ハウスで、何か笑顔さえ浮かぶようなハッピー感だ。その後の"God Loves Detroit (The Resurrection)"は逆にDJツール的と言うか継続したハンドクラップと展開の少ないループ構成のハウスだが、メロディーではなくグルーヴ感重視な作風が爽快なファンキーさに繋がっている。面白い事にCoco Streetを起用した曲では"Latter Rain (The Healing Rain Mix)"と"Latter Rain (TP's After The Storm Mix)"と異なるミックスが連続しているが、ビートレスにした事でストリングスが映えてアンビエント的な前者とクラシカルなガラージの流れを汲んだUSハウスらしい後者と、元は同じ曲でも随分と違う表情を見せている。そしてシンプルに反復する電子音を用いてテック・ハウス仕立ての"Let's Go"、デトロイト・テクノのアンビエント解釈と言うべき"The Sabath"など今までよりもテクノに寄り添った作風も開花させつつ、ラストにはピアノ主導に神々しいストリングスも用いた祈りを捧げるようなビートレスの"Will You Ever Come Back To Me"で、鎮魂歌を捧げるような慎ましく幕を閉じる。前作からの大きな変化は然程無くおおよそParkerに期待している音楽性だから驚くような作品ではないのだが、これがデトロイト・ハウスなのだという主張は存分に伝わってくる。何と言ってもタイトルが「神はデトロイトを愛している」なのだから。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2016/11/19 Primitive Inc. 10th Anniversary × Ageha 14th Anniversary Masters At Work in Japan @ ageha
Body & Soul含めて嘘偽り無く良質なパーティーの企画を行うPRIMITIVE INC.。2006年に設立されたこの会社が設立記念パーティーに呼び寄せたのは、何とLouie VegaとKenny Dopeから成るハウス・ミュージックにおけるスーパーユニットであるMasters At Workだったのは最早奇跡と呼んでもよいだろう。事実、それから10年間はその両者が個別に来日する事はあっても揃っての来日はなく、日本でそれを聴けるのは忘却の彼方へとなりつつあったのだが、再度それを実現させるのがまたPRIMITIVE INC.なのは運命的にさえ思われる。2006年の設立から10年を経て会社としての10周年記念、そしてagehaの14周年記念の合同パーティーにMasters At Workが来日し、そしてagehaという特大クラブの環境を活かしてベテランから若手まで幅広く実力のあるDJが集結し、ある種の祝祭感のあるお祭パーティーが催された。
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| EVENT REPORT6 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Terrence Parker - Mix The Vibe : Deeep Detroit Heat (King Street Sounds:KCD 280)
Terrence Parker - Mix the Vibe : Deeep Detroit Heat
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20年以上続いている王道ハウス・ミュージックの指標とも呼べるMIXCDシリーズが"Mix the Vibe"だ。NYハウスの象徴的レーベルであるKing Street Soundsの音源をレーベルとも深く関わりを持つDJを起用してミックスさせ、レーベルのショーケースとしての意味合いを含みつつハウス・ミュージックの普遍的な魅力を知らしめる伝統的なシリーズの一つで、信頼のおけるブランドと呼んでも過言ではない。そんなシリーズの最新作にはシリーズを愛聴してきた者にとっては意外にも感じられる、デトロイトの古参DJ/アーティストであるTerrence Parkerが迎えられているが、しかしゴスペル・ハウスとも称されるソウルフルで感動的な音楽性を持つParkerなればこそNYハウスのシリーズに起用されるのも不思議ではないのかもしれない。彼がデトロイト出身のDJである事は間違いないが、しかしデトロイト一派の中でも特に古典的なハウス・ミュージックに理解があるのは、おそらくParkerだろう。そんな彼だからこそ - 勿論本作がKSSの音源を使用している前提があるとしても - このMIXCDが歌心溢れるソウルフルな展開を聞かせるのは、寧ろ当然の事なのだ。幕開けはいきなりクラシックの"Give It Up (MAW Flute Instrumental)"で、ディープながらも切ないメロディーが感傷的な気分を誘う男泣きの展開だ。そこに繋ぐはズンドコとした骨太なグルーヴを刻む"The Way I Feel (Terrence Parker Deeep Detroit Heat Re-Edit 4 Daye Club)"など、序盤から太く逞しくも熱い感情的な歌モノを投下しParkerらしい人間味溢れる展開を作っていく。序盤のハイライトは"Bring Back My Joy"だろう、高らかに祝福を謳うようなポジティブなボーカルハウスはParkerのゴスペル・ハウスとリンクする。そこからは一息つくように郷愁を帯びた"Song For Edit"で緊張をほぐしながら、ざっくりと生のパーカッションの質感が強調されたハウスを繋ぎつつ、最後まで人気のあるクラシカルなハウスを用いて実に情感たっぷりな展開で引っ張っていく。KSSの音源を使用する制約がある為に普段よりはParkerのゴスペル・ハウスのスピリチュアルな要素は控えめなのは事実だが、しかし歌心溢れる選曲と感情の昂ぶりを刺激するソウルフルな展開は正にParkerの十八番だと断言出来るものであり、ハウス・ミュージックのファンにとっては期待通りのプレイだろう。NYハウスの伝統にデトロイトのベテランDJが参加したと言う面白味だけでなく、内容自体で評価したいMIXCDだ。



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| HOUSE11 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2015/4/4 Deeep Detroit Heat @ Air
テクノに於ける聖地とも言えるデトロイトの中でも、特にDJ歴の長いTerrence Parker。1979年にDJを始めたそうで既に経歴は35年を越えるが、受話器ヘッドフォンを使用した見た目の特徴と、ヒップ・ホップのスタイルを応用してテクノからハウス、ファンクやソウルにイタロ・ディスコまでミックスするゴスペル・ハウスと称されるプレイは、多くのDJからも高い評価を得ている。元々来日自体はそれ程多くなく昨年は大雪が降る中で東京以外でツアーを行っていたのだが、今回は5年ぶりに都内でのクラブに出演となった。そしてそれを迎え撃つのはFuture TerrorにてParkerを初来日させたDJ Nobu、そしてDJ ShibataやYou Forgotなどハウス・ミュージックに於いてはそれぞれ定評のあるDJで、充実した布陣となった。
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| EVENT REPORT5 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2014
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。今年も昨年に引き続き毎週パーティーライフを楽しみ、素晴らしい音楽にも出会う事が出来ました。やっぱりパーティーは最高だなと思った一年ですが、オールナイトにおけるパーティーについての問題では、風営法改正案の大きな動きもありました。今後良い方向へと進む事を期待するのみですが、現実的な問題として夜遊びたいと思う人は減っているのかなと思う時も多々あり。私個人的にはやっぱりパーティーは絶対にオールナイトのクラブでないと!という気持ちは強くあります。しかし時代に合わせて多様性を許容する事も無視は出来ないと思うのも事実で、ニーズに合わせてパーティーを作っていく必要はあるのかもね…でもやっぱりパーティーはオールナイトと言う考えは譲りませんが。また音楽自体がインスタントなものになり無料の配信だけで聴かれるような状況ではありましたが、ダンス・ミュージックの分野に関して言えばやはりアナログでのリリースは根強く、プレス数は減ってもその分多くの作品がリリースされていました。そんな作品を毎週買っては聴く生活の繰り返しで、ブログの更新が追い付かない程に良質な音楽は今でも生み出されている事を実感した一年でもありました。ちなみにこのブログも夏頃に発足から10年が経過しましたが、これからも色々な音楽・パーティーを発信する為に2015年も頑張って続けたいと思います。それでは、来年も良いお年を!
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| BEST | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2014/12/22 Guidance ~導き導かれる人生~ Reproduction Of 20091222 Year END Special @ Air
2009年12月22日、今はなき渋谷のクラブ・Axxcisにて3フロアを使用して国内の実力あるアーティスト/DJを集結させた大きなパーティーが開催された。それこそ当方も初体験となったGuidance 〜導き導かれる人生〜だったのだが、そこにはAltzやDE DE MOUSEのライブにDJ YogurtやEYEや川辺ヒロシといった夜な夜なパーティーを賑わすDJが出演し、何だか凄いパーティーがあるものだなと驚いたものだった。それからGuidanceには度々足を運ぶようになり音楽だけでなくデコレーションやフードなども充実したパーティーとして魅了されていたっのだが、あの日から丁度5年を経てAxxcisで開催されたGuidanceを再現する日がやってきた。あの時と同じようにAltzのライブ、そしてDJ Yogurtに川辺ヒロシやEYE、Guidanceにはお馴染みの瀧見憲司も追加となり、ラウンジにはレゲエ/ダブ集団のFomga Soundzも出演と年の瀬にGuidanceが再生される。
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| EVENT REPORT5 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Emma House XIX MOUSE-COLORED CAT (Funkasia Entertainment Inc.:FECD-0001)
Emma House XIX MOUSE-COLORED CAT
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ある意味では一つのジャンルとして確立されている"Emma House"は、日本におけるハウス・ミュージックの歴史の一部と呼べるかもしれない。芝浦GOLD時代からYellowへ、そしてWOMBやageHaでのハウス・パーティーのレジデントを担当してきたDJ EMMAだからこそ、ハウス・ミュージックに対する造詣の深さに説得力を持つのだろう。そんなDJ EMMAを代表するパーティーが"Emma House"であり、1995年から続くMIXCDのシリーズでもある。2010年に"Emma House 18"をリリースして以降は新作は途絶えていたが、機が熟したのだろうか5年ぶりに遂に同シリーズの新作がリリースされた。今尚レジデントを持つ自負、そして徹底的な現場主義という気持ちが伝わるかの如く、本作ではヴァイナルと共にデータ音源も使用はしているものの入魂の一発録りで一切の編集は行っていないそうだ。そして肝心の内容はと言えば確かにEMMAらしいソウルフルなストーリー性はあるのだが、そこに近年の趣向が反映されたアシッド・ハウスや最近のパーティーでプレイされる曲も収録し、CDという形ではあるものの正確に現場の雰囲気が再現されている。幕開けは今年亡くなったゴッドファーザー・オブ・ハウスことFrankie Knucklesが手掛けた、Vintage Lounge Orchestraの"Dreams (DJ Tools Version)"で始まるが、全くキックもリズムも入らない歌とメロディーによる切なさが込み上げる展開はこの後の盛り上がりを既に予感させている。そこに叙情性を積み重ねるように"Man With The Red Face (ATFC "When The Light Go Up" Remix)"を繋ぐが、3曲目の"Air Alertness (Malawi Rocks Remix)"のプログレッシヴ・ハウス寄りな流れで一気にスピード感を増すと、その勢いにのり近年の趣向が反映されたアシッド・ハウスな"Zanzibar (Malawi Acid Dub)"や真夜中のフロアの雰囲気が浮かび上がるダークなハウスである"Say It"を繋ぎ、深い深い闇へと潜って行く。中盤は対照的に"Strandbar"や"Break The Dawn"など麗しいニュー・ディスコや輝きを放つテクノなど、一転して開放的でドラマティックだ。その後もソウルフルなボーカル・ハウスやミニマルにヒップ・ハウスなど多様性を伴いながらも、曲を丁寧にミックスしつつ大胆な展開で感情を揺さぶっていくプレイは、DJと言うプレイにストーリーを感じずにはいられない。ただ曲を繋ぐだけではなくその人の生き様が浮かび上がるような、そんなプレイだからこそ"Emma House"は愛され続けているのだろう。

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| HOUSE10 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Terrence Parker - Life On The Back 9 (Planet E:ple65361-1)
Terrence Parker - Life On The Back 9
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デトロイト・ハウスの一般的な評価と言えばTheo ParrishとMoodymannに集約されてしまうのだが、彼等の活躍と共に再評価され出しているのがデトロイトの古参アーティストであるTerrence Parkerだろう。来日頻度も高くはなくアルバムのリリースが多いわけでもなく、粛々とEPをリリースし続けている活動は目立つものではないが、昨年の"Finally EP"(過去レビュー)は世界的にもヒットしより注目を集める契機となった作品だ。本作はそんな彼にとって17年ぶりのアルバムだが、デトロイトの至宝であるPlanet Eよりアナログ3枚組でのリリースとなっている事からも、かなりの自信作であるのが伝わってくる。アルバムとしては随分と間が空いてしまったのだが、しかしその空白を埋めるには十分過ぎる素晴らしいハウストラックが並んでおり、特に時代に迷わされずに自身の道を見据えた揺るぎない自信が満ち溢れている。時にゴスペル・ハウスとも称される彼のDJやトラックの背景にはディスコやガラージが存在するが、本作ではそんな要素を更に丁寧に磨き上げて洗練させ、温かくソウルフルな気分としっとりと優美な官能が同居するデトロイト・ハウスへと進化させているのだ。曲単位で強烈な印象を植え付ける個性を発しているわけではないが、ピアノやオルガンの優雅なコード展開を軸に滑らかなグルーヴを生み出すリズムを組み合わせた作風は、どれも優しく柔軟な響きが大らかな包容力となって聴く者を穏やかな気持ちにされてくれる。確かに享楽的なクラブでの盛り上がりと言うよりは教会の中の慎ましやかさもあるようで、彼の音楽性がゴスペル・ハウスとも称されるのはそういう点からなのだろうが、だからと言って彼の心がフロアから離れたわけでもなく清廉な高揚感が込み上げる誠実な音楽なのだ。奇を衒う事もなくハウス・ミュージックに対して忠実な精神が感じられるアルバムであり、デトロイト・ハウスの熱心な信者だけでなく多くのハウスファンへ訴えかけられるであろう傑作だ。

※11/8追記
アナログと配信だけのリリースでしたが、Defectedよりリミックス・ワークスを含むボーナストラックも合わせた2枚組でCD化されました。



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| HOUSE9 | 13:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Future Disco Vol. 7 - 'Til The Lights Come Up (Needwant Recordings:NEEDCD013)
Future Disco Vol. 7 - Til The Lights Come Up
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2009年にUKに設立されたNeedwant Recordingsはハウスとディスコに焦点を当てたレーベルで、発足当時からモダンなニュー・ディスコを集めた"Future Disco"なるシリーズをリリースし続けている。2010年にはその第3弾の"City Heat"(過去レビュー)もリリースしていて、その頃は額面通りにディスコな愛くるしさが強く出た作品だったと思う。そして久しぶりに手に取ったこの第7弾"'Til The Lights Come Up"のコンセプトは、パーティーの早い時間帯から最後まで踊る者に捧げたそうで、「パーティーの早い魔法のような時間帯」をイメージしているそうだ。大半はこの1〜2年にリリースされた新しい作品が収録されているが、以前のシリーズに比べるとディスコ色は残りつつも今風のフロアを意識したディープ・ハウス色が前に出ており、その意味ではより洗練されたトラックが多い。Terrence Parkerによるピアノのコード展開が煌めく美しいハウスの"Finally"や、Mount Kimbieの曲をDJ Kozeがリミックスした"Made To Stray (DJ Koze Remix)"が収録されている時点で、ディスコよりは整ったビート感とすっきり整った電子音が打ち出されたハウスに重点が置かれているのは分かるだろう。ブリブリしたベースラインに透明感のあるパッドのメロディーが快楽的なMirror Peopleの"Kaleidoscope (Psychemagik Remix)"、ADAの可愛らしいキャッチーなメロディーと牧歌的なボーカルが絡む"Maps (Michael Mayer / Tobias Thomas Remix)"など、ディスコの一聴して心を惹き付けるようなポップな感覚も勿論ある。パーティーの早い時間帯をイメージしているのでアッパーな勢いよりも、じっくりとフロアを温めるようなしっとり感情的な趣が強く、特にホームリスニングとしても良いBGMになる事請け合いだ。CD1はミックス仕様、CD2はアンミックス仕様なのでDJをする人にも便利な作品となっている。



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| HOUSE9 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Unknown Artist - One (D3 Recordings:D3ROO1)
Unknown Artist - One

2011年に設立されたフランスのヴァイナル・オンリーで運営するVibes And Pepper Recordsは、デトロイトのテクノ/ハウスに力を入れているようで、今までにもTerrence ParkerやClaude YoungにNorm TalleyやSynchrojackなどベテラン勢の新作や旧作のリイシューに務め、注目を集めている。が今度はその傘下としてD3 Recordingsを設立し、そこから未知なるアーティストの作品を第1弾に抜擢した。アーティストも曲名も名付けられていない全くの詳細不明の作品ながらも、しかしその内容はとびきりのデトロイト・ハウスだ。力強く刻まれる正確な4つ打ちのキックの上に華麗にカーブを描くパッドのコード展開、そして未来感を描き出すシンセストリングスがハイテックでもあるA1は、レーベルの門出を祝福するような趣さえある。対して裏面の2曲は少々抑制されているが、ソフトなディープ・ハウスとしての陶酔感がある。上昇気流に乗るようなパッドのコード展開が美しくも、カチカチしたハイハットと少々崩したリズムが強調されたトラックからファンキーな要素が感じられるB1、逆にマイナー調のコード展開と湿ったキックが温かみを演出しつつボイスサンプルがアクセントとなっているB2と、デトロイトだけならず欧州の洗練されたハウスとも相性は良いだろう。招待不明ながらもこの内容であれば有名なベテランの作品である気はするのだが、一体誰の作品なのだろうか。レーベル、アーティスト共々に今後も気になる存在だ。

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| HOUSE9 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Terrence Parker Feat. Reno Ka - Finally Part 1 (Planet E:PLE65356-1)
Terrence Parker Feat. Reno Ka - Finally Part 1

久しぶりのPlanet E新作は、ゴスペル・ハウスを掲げて活動するデトロイトの古参アーティストであるTerrence Parkerによるもの。元々はTerrence自身が主宰する Parker Music Worksから2012年にリリースされていた"Finally"が、今年になって複数のレーベルへとライセンスされたのだが、Planet EではPart 1とPart 2を手掛けている。このPart 1ではPlanet E主宰のCarl Craigと、そして何とNYハウスの重鎮であるLouie Vegaがリミックスを提供しており、実に豪華な内容だ。Terrenceによるピアノとオルガンが鮮烈なゴスペル的なオリジナルに比べると、"Finally (Planet E Mix)"はソウルフルなピアノのコード展開はありつつもテッキーなサウンドで塗り被され、綺麗目のモダンテイストを打ち出したハウスとなっている。それをCarl Craigが控えめにエディットした"Finally (C2 Edit)"は、幾分か派手な展開を抑えてじっくりとディープに低空飛行するような渋い調整を行っている。裏面に収録の"Finally (Louie Vega Dance Ritual Mix)"だが、NYハウスのLouieなのだからラテン系に塗り替えたのかと予想していたところ、全く予想していなかったディープなテック系へと塗り替えていたのには驚きだ。ソウルフルな女性ボーカルは生きているものの、エレクトロニックなシンセのリフや透明感のあるパッドを薄く伸ばして、洗練されたテック系に仕上げたリミックスは何も言われなければまさかLouieの作品だとは気付かないかもしれない。しかしやはりDJとしての活動の賜物か、10分にも及ぶ大作でありながら冗長さを感じさせずに、DJツール的なシンプルな構成としての使い易さもある。両面どちらも使い勝手の良いリミックスだろう。

試聴

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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2010/07/16 Terrence Parker's 30 Years of DJing Anniversary Tour @ Eleven
DJ活動歴30年、夜な夜な世界中の何処かしらでパーティーが開催されているとは言え、こんなにも長い年月をDJとして生きていくのは簡単な事ではないだろう。そしてその長い長いDJ活動30周年記念として、5年ぶりにデトロイトからの使者・Terrence Parkerが来日。日本での知名度は高くはないものの、デトロイトではテクニシャンとして注目を浴びているベテランの一人だ。
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| EVENT REPORT2 | 10:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
UPCOMING EVENT
2010/07/03(SAT) UNIT 6th Anniversary Premier Showcase @ Unit
Special Live : Cluster
Live : Boris, evala
DJ : Fumiya Tanaka, KENJI TAKIMI, Ten

2010/07/03(SAT) Four Seasons of Deep Space ~Summer~ @ Eleven
DJ : Francois K., Toshiyuki Goto

2010/07/09(FRI) SUNSET PALM 2010 PRE-PARTY @ Unit
Special Guest DJ : Ewan Pearson
Special Guest Live : Dachambo
DJ : Shinya Okamoto, Motoki aka Shame
Live : qii

2010/07/09(FRI) ARIA 10 @ Air
DJ : Joel Mull, DJ Sodeyama

2010/07/16(FRI) Terrence Parker's 30 Years of DJing Anniversary Tour @ Eleven
DJ : Terrence Parker, DJ NOBU, Conomark

2010/07/16(FRI) ALTVISION @ Unit
Special Live Showcase : POLE VS. DEATBEAT
DJ : DJ Wada, Ree.K, Hina

2010/07/17(SAT) W @ Womb
DJ : James Holden, DJ Wada

2010/07/18(SUN) Mark Farina Japan Tour 2010 @ Eleven
DJ : Mark Farina, Remi

2010/07/18(SUN) Metamorphose pre-party LIQUIDROOM 6th ANNIVERSARY @ Liquidroom
DJ : Theo Parrish, Maurice Fulton

2010/07/31(SAT) Blue Windy Night "Clash" @ ageHa
Live : Los Hermanos
DJ : Green Velvet, DJ Tasaka

7月も気になるパーティー多数ですが、仕事の都合でどれに行けるかは未定。取り敢えず糞ファンキーなゴスペルハウスを展開するであろうTerrence Parkerだけは聴きたい。
| UPCOMING EVENT | 15:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Terrence Parker - Serious Grooves In The Mix (Serious Grooves:SGCD1)
Terrence Parker-Serious Grooves In The Mix
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デトロイトのハウスレーベル・Serious Groovesの音源を使用して、デトロイトのベテランハウスアーティスト・Terrence ParkerがMIXを手掛けたのが本作。ちなみにリリースは94年で日本ではAvex傘下のCutting Edgeから。昔はAvexもまともなクラブミュージックをリリースしていたと言う、今となっては懐かしい証拠。CD帯には「デトロイトテクノの従来型(ダーク、シリアス、インテンス)をくつがえすべく…」「なぜかとってもDISCO-TECH!」と書いてあります。別にデトロイトってダークなだけじゃなくてポジティブなメッセージ性だってあるじゃんよと思いますが、初期URは確かにハードコアだったしそれの事を指しているのかしら。それはおいといて兎角テクノが目立つデトロイトですが、本当はこんな昔からハウスも在ったんだなと感じさせる内容。色々なアーティストの曲が使用されている様に見えて実は大半はTerrence Parkerの変名で、他はChez Damier、Alton Miller、Claude Youngらの曲が混ざっています。音的には古さが漂っていて新鮮味はありませんしMoodymannやTheo Parrish程の黒い展開が待っているでもなく、ゴスペルハウスを少々水で薄めたような軽めのハウスなんですよね。確かにディスコティークな懐かしい思いが込み上げてくる音ですが、もうちょっと汗々する様などす黒いファンクネスがあると個人的には嬉しいです。良く言えばスムースな4つ打ちが続いて癖が無く聴きやすいけれど、デトロイトにはもっと熱い物を期待しています。

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| HOUSE4 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Terrence Parker - Detroit After Dark (Studio !K7:!K7R015CD)
Terrence Parker-Detroit After Dark
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デトロイトはテクノだけにあらず。と言う事でデトロイトハウスのTerrence Parkerの1997年のアルバム。ここ10年位はレコード中心での活動なのであまり聴く機会は無いのですが、ゴスペルハウスとも呼ばれる濃密で熱いハウスを生み出しています。しかしながらこのアルバムではもうちょっと多様性があり、全体的にリラックスしたムードが漂う内容。哀愁を漂わせるギターやピアノを使用し親父のどこか寂しい背中が喚起させられるムーディーな曲や、透明感の流麗なシンセを使用した色気を醸し出した曲など、ハウス一辺倒ではなくダウンテンポでラウンジを意識した曲が多めです。優雅とは言い過ぎかもしれないけれど、幾分か上品な面も見受けられリラックス出来る感じ。Carl Craigもサンプリングして使用しているCurtis Mayfieldの"Little Child Runnin Wild"やE2-E4までもサンプリングで使用するなど、ネタ使用的にも楽しめます。でもめっちゃ黒く強烈な4つ打ちが聴けるハウスもあるので、デトロイトハウス好きにも退屈せずに聴けますよ。MoodymannやTheo Parrishほどどぎつくないので、良い意味でとっつき易いかと。

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| HOUSE4 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Rolando - Nite:Life 016 (NRK Sound Division:NRKMX016)
DJ Rolando-Nite:Life 016
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先日ナイスなプレイで会場を盛り上げたDJ Rolandoの4枚目となるMIXCD。ageHaでのプレイではテクノ寄りだったが、このMIXCDではテクノ、エレクトロ、ハウスを自由に跨ぎ懐の深さを見せてくれる。最初は穏やかなハウスから始まるのだが、ハウスメインにやらせても充分いけそうな感じです。6曲目から立て続けにMr. De-2001 Space Odyssey、Los Hermanos-Quetzal、Adam Beyer-Ignition Key(Aril Brikha Mix)とデトロイトクラシックを3連発。じわじわと盛り上げます。徐々にテクノよりの曲で盛り上げつつTechnasia-Crosswalk以降はエレクトロでクールダウン。最後はJeff Mills-See This Wayで儚くエンディングを迎えます。普段はもっとダークで鬼気迫る感じですが、このMIXCDではリラックスした感じが伺えますね。エレクトロやテクノをやっても激しいわけではなく、貫禄させ感じさせる大人のプレイ。Nite:Lifeシリーズはハウスの定番シリーズですが、DJ RolandoのこのMIXCDはその中でも一番の出来だと思います。

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| TECHNO1 | 18:04 | comments(0) | trackbacks(0) | |