Prins Thomas - Ambitions (Smalltown Supersound:STS344CD)
Prins Thomas - Ambitions
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2017年にタイトル通りに5枚目となるアルバム『5』(過去レビュー)をリリースした後も、Bjorn TorskeやBugge Wesseltoftとも共同制作を行い2枚のアルバムをリリースと、多忙な活動を続けているノルウェー産ニュー・ディスコの立役者の一人であるPrins Thomas。2016年の『Principe Del Norte』(過去レビュー)ではKLFやThe Black Dogにインスパイアされたアンビエントに挑戦したかと思うと、その次の『5』ではクラウト・ロックどころかアシッドへも手を出して、ニュー・ディスコという枠組みを越えてそのアーティスト性は探求の旅へと出ているようだ。そしてこの最新作は公式アナウンスではJaki Liebezeitや細野晴臣にDaniel Lanois、Shinichi AtobeにRicardo Villalobosらにインスピレーションを受けて制作されたとの事で、それだけ聞くとアンビエントの雰囲気をクラウト・ロック調にミニマルで展開したのか?と少々謎な印象を受けなくもないが、蓋を開けてみればニュー・ディスコを軸にしながらも更にジャンルの折衷主義な音楽性でアーティストとして深化を果たしている。アルバムの冒頭3曲はコンパクトな作風で、鳥の囀りも用いつつ牧歌的な風景が広がる自然主義的なノンビートの"Foreplay"で始まり、生っぽいビート感と湿り気を帯びて切なさを誘うシンセとファンキーなベースにぐっと胸が締め付けられるダウンテンポの"XSB"と、緩んでリラックスした楽天的なムードが先行する。Thomasにとっては初のボーカル曲となる"Feel The Love"は、これぞニュー・ディスコなブイブイとした快楽的なシンセベースともたもたとしたリズムが効いていて、そして甘ったるくも霞のような歌と相まってブギーながらも実にドリーミーな多幸感に包まれる。中盤の2曲は10分超えの大作でここでこそ前述のアーティストに触発されたのも何となく感じられるというか、土着的で乾いた乱れ撃つパーカッションに奇怪でスペーシーな電子音が飛び交い、快楽性を伴いながら酩酊するクラウト・ロック風なバンド・サウンド的でもある"Ambitions"は、Villalobosの時空さえも捻じ曲げてしまうようなミニマルのサイケデリアがあり、アルバムに於けるハイライトだろう。一方"Fra Miami Til Chicago"はクラウト・ロックとアンビエントの邂逅で、幻夢のサイケデリックなギターのフレーズに濃霧のようなドローンを被せジャーマン・プログレがもう少しダンス化したらを具現化しており、ぼんやりとした夢の中を彷徨い続ける甘美なバレアリックな雰囲気に身も心も融けてしまう。ダンス・ミュージックとしての体は残っているが、ハイエナジーな興奮に溢れたダンスフロア向けの音楽ではなくもっと精神へと作用する中毒的なサイケデリアが強くなり、ダンス/リスニングの境界を埋めながらニュー・ディスコの更にその先へ、Thomasの音楽性は深化と拡張を続けている。



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| HOUSE14 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Deetron - DJ-Kicks (!K7 Records:K7359CD)
Deetron - DJ-Kicks
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3台のターンテーブルを駆使してヒップ・ホップ上りのミックステクでハード・テクノなDJをしていたのも今や昔、制作するトラックもいつしかメロウでソウルフルな感情性豊かな作品へと移行し、上手く時代の波に乗って進化を遂げてきたDeetron。マイペースで作品をリリースしアーティストとしての確かな評価を獲得しつつ、『Fuse』や『Balance』に『Fabric』等の名物MIXCDシリーズにも抜擢されてきたDJとしての手腕もあり、かつてのハードテクノ勢の中では面白い変化を見せながら独自の音楽性を確立しているが、遂にこの『DJ-Kicks』にも参戦とはやはり海外での評価は日本よりも確かなようだ。本作でも分かる通りテクノ〜ハウスの境目を融かすように混在させる選曲の審美眼、ダンスとリスニングの親和性、デトロイト・テクノやシカゴ・ハウスのクラシックからモダンな時代の曲までと、どれにも偏らずに一つの流れへと組み込んでいくバランス感は比類なきモノで、80分34曲に渡るシームレスなミックスは優雅でさえある。オープニングからしてCarl Craigのガラス細工のような繊細な美しさを発する"Goodbye World"で始まり滑らかにビート入りの曲がミックスされ、古き時代の変異体ディスコの"School Bell / Treehouse"でアクセントも盛り込みつつ、シカゴ・ハウス名作の"Waterfall (Deetron's DJ-Kicks Version)"で垢抜けないながらも原始的なソウルの感情性を高めていく。そこからもジャズ・ファンク色なBurnt Friedmannからインテリジェンス・テクノな趣きのSpacetime Continuum、変異体テクノのMorgan Geistなどジャンルはばらばらなれどエモーショナルな共通項で雰囲気を作っていく。中盤ではDJ Kozeの甘美なサイケデリアの"Let's Love"からRon Trent & Chez Damierの幻想的でディープな朝方をイメージする"Morning Factory"へと繋がる瞬間が得も言われぬ程に素晴らしく、そこからはややテクノ寄りにグルーヴ強めの流れへと入り、リズムの崩れたダブ・ステップや逆にソウルフルなボーカル曲も用いて後半に向けて盛り上がる。そんな中にも古き良き時代のAIテクノのBlack Dog Productionsによる"Flux"を聞くと懐かしさが込み上げたりもするが、DeetronやDJ Boneによる骨太で激しいテクノもミックスしながら突入するFloorplanからTerraceにDerrick Mayのデトロイト系繋ぎの流れは非常にドラマティックで、非常に押し引きが上手い。そして混沌としたベース・ミュージック風な"Old Fashioned"から一気にテンションが落ちて、レフトフィールドなポップソングの"Strange Emotion"で今までの喧騒から解放される静謐な閉じ方は心残り無く綺麗に音が消えていく。いまいち日本に於いてはその実力に対しての正当な評価を獲得しているようには感じられないが、本作はそんな評価を覆すには最適なMIXCDで、Deetronのエモーショナルな音楽性を十分に堪能出来る事だろう。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ross 154 - Fragments (Applied Rhythmic Technology:ART-EL1)
Ross 154 - Fragments
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Kirk Degiorgio主宰のApplied Rhythmic Technologyから再発されたのは、オランダのビートダウン・ハウサーのJochem PeteriことNewworldaquariumことRoss 154による一番最初の作品だ。元々は1993年にStefan Robbersによるポスト・デトロイト的なEevo Lute Muziqueからリリースされていた作品で、そのレーベルは本家デトロイトを意識したようにその当時一斉を風靡したインテリジェンス・テクノな作風もあったのだが、それを思い出せば同年代から続く正にインテリジェンス・テクノを代表するARTから再発されるのも全くおかしくはない。勿論Ross 154と言えば迷宮に迷い込んだアブストラクトなビートダウン・ハウスに象徴される煙たい音像が特徴ではあるが、この作品は最初期の作品と言う事もあってまだまだ荒削りなテクノな要素が打ち勝っている。それでも尚その後の片鱗も覗かせる"Hybrids I"はうっすら情緒も漂うアンビエントではあるが、続く"Fragments"では膨らむ重低音のベースとかっちりとした硬い明瞭なリズムのビートに攻められながらも、ミステリアスな上モノによって覚醒感を煽るようにドープに嵌めていく構成は何処かCarl Craigの作風を思わせる点もある。再度インタールードとして挿入された"Hybrids III"は、朗らかな雰囲気のあるアンビエントで先程の喧騒が嘘のようだ。"Remembrance"は当時の時代性が反映された荒々しいブレイク・ビーツが耳に付くが、朧気で抽象的な上モノが浮遊しておりその後のNewworldaquariumの音楽性が萌芽している。裏面に続いてもインタールードが挿入され星の煌きの如く美しい音響を奏でる"Hybrids II"から、これぞインテリジェンス・テクノと言わんばかりの複雑なリズムとSFの世界観が浮かぶパッドを用いて近未来を投影した"Mayflower"へと繋がれ、ラストは歪んだドラム・マシーンによるねっとりしたダウンテンポにトリッピーな電子音を被せていく"Within You"はThe Black Dogの作風にも近い。1993年作だから時代の空気を含んでいるのは当然であり、音自体は古臭くもありつつもこの原始の胎動があるテクノは、UKからデトロイトに対する回答として捉える事が出来る点で評価すべきだろう。この後のPeteriは更にディープな方向へと深化していったわけだが、その原点としてこんなテクノもあったのかと感慨深い。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gerd Janson - Fabric 89 (Fabric:fabric 177)
Gerd Janson - Fabric 89
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今年9月に薬物により若者二人が亡くなった事が原因で閉鎖へと追い込まれたUKは名門Fabric(その後、再開が決定している)は、暗雲立ち込めるクラブの状況とは異なりレーベルとしては安定した軌跡を辿っている。名のあるベテランからこれからをリードする若手までMIXCDシリーズのFabric/Fabric Liveに起用し、数多くの名作と呼んで間違いの無い作品を残してきた。さて、そのFabricシリーズの89作目は今をときめくRunning Backを主宰するGerd Jansonが担当しているが、Running Back自体がニューディスコからディープ・ハウスにテック・ハウスまで手掛ける掴み所のないレーベルだけに、このMIXCDもそんなレーベル主として音楽性を主張するように実に手広くジャンルを纏めあげている。いきなりトリッピーな電子音に惑わされる"Snooze 4 Love (Luke Abbott Remix)"で始まり、"Voices (Fabric Edit)"や" Love Yeah"等の控え目に美しさを放つ平坦なハウスを通過し、じわじわと引っ張りまくる危うい雰囲気のアシッド・ハウスの"Severed Seven"から一転して"Apex"では光に満たされるコズミック・ディスコへと展開し、激しいプレイではないもののじっくりと山あり谷ありの流れだ。中盤の耽美なエレピのメロディーが反復するメロウなディープ・ハウスの"Mess Of Afros (Glenn Underground Remix)"、そこに繋がる情熱的なピアノのコードが炸裂するデトロイト・ハウス的な"MoTP"の流れは、本作の中でも特に熱量が上がる瞬間だろう。そこからも弾ける高揚感のアシッド・ハウスやダーティーながらも黒さ滲むディープ・ハウス、そしてコンガやハイハットのアフロなリズムだけで繋ぐ"Rhythm"を通過し、終盤は落ち着きを取り戻すようにScott Groovesによる穏やかでメロウなディープ・ハウスの"Finished"から摩訶不思議な電子音が飛び交うコズミック・ディスコの"Sun (Prins Thomas Diskomiks)"でドラマティックに締め括られる。確かに色々と詰め込み過ぎているようにも感じるかもしれないが、比較的近年にリリースされた曲を用いた事による時代性があり、そして短い時間でパーティーの一夜を再現したような展開の大きさは、十分に濃縮される事でJansonの音楽性が表現されたのではないだろうか。



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| HOUSE12 | 16:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prins Thomas - Principe Del Norte (Smalltown Supersound:STS269CD)
Prins Thomas - Principe Del Norte
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ノルウェーはOsloからのニュー・ディスコ旋風を盛り上げた一人でもあるPrins Thomasの新作は、何と KLFやThe OrbにThe Black Dogなどから影響を受けたというアンビエント寄りの作品だと聴いた時に、衝撃を受けた者は少なくないだろう。当然筆者も何故に彼がアンビエントと言う思いはあったが、しかしパワフルな弾け具合と大仰な煌きを纏った彼のDJプレイとは対照的に、彼が制作していた音源はスペーシーな浮揚感を伴うクラウト・ロックの要素を盛り込んだものもあったわけで、その行き着く先としてテクノ化したものを想像するならアンビエント・テクノであったとしても間違いではないだろう。アルバムは2枚組でどの曲も10分前後の大作志向であるが、特にアンビエント寄りなのはCD1だ。レトロなシンセのアルペジオで始まる"A1"は、徐々に光沢を含むシンセに飲み込まれ、表層的なビートは無いもののダイナミックをうねりを見せるような爽やかなアンビエントを展開する。シームレスに続く"A2"では序盤に動きが落ち着きながらも、再度瞑想へと誘うようなどんよりとしたシンセのフレーズに透明感のあるパッドが覆い被さり、90年代アンビエントの指標の一つでもあるGlobal Communicationのイマジネーション溢れるアンビエントを思わせる点も。陰鬱でサイケデリックなギターを導入し、そこから混沌としたシンセが胎動する”B”は奇妙な電子音の鳴りをユーモアと多幸感に費やした70年代のジャーマン・プログレの延長だろう。そして最も幻覚性を放つアンビエントの極みはCD1のラストに待ち受ける"D"で、環境音らしきノイズの中からコズミックな電子音や官能的なシンセが浮かび上がり、電子の仮想空間に意識が溶け込むようなトリップ感を誘発する。対してCD2は普段のThomasの作風の延長線上であり、ざっくりと生っぽいドラムによる緩やかなビートにコズミックなシンセが反復するコズミック・ディスコの"E"、光り輝く星が降り注ぐようなドラマティックで多幸感いっぱいの躍動するニュー・ディスコの"Gなど、端的に言えばフロアで浴びれば祝祭感に繋がるであろうダンス・トラックが中心だ。それはそれで十分に魅力的なのだが、やはりThomasの新たな才能が萌芽したCD1の瞑想じみて心地良い夢想に浸れるアンビエントは、合法的な安眠剤として効果抜群なのである。



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| TECHNO12 | 19:30 | comments(1) | trackbacks(1) | |
Prins Thomas - Paradise Goulash (Eskimo Recordings:541416507275)
Prins Thomas - Paradise Goulash
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ノルウェーのニューディスコ大使と称されるPrins Thomasによる新作は、計3枚にも渡ってジャンルの壁を取っ払って、兎に角あらゆる音楽を楽しんで貰う意図でミックスされた大作だ。そのタイトルからも分かる通りNYの伝説的なクラブであるParadise Garageへのトリビュート的な内容であり、確かにジャンルレスという点においてその意思を受け継ぐコンセプトであろう。元々2007年には同様にニューディスコだけに限定されずに底抜けの多幸感を打ち出した怪作である『Cosmo Galactic Prism 』(過去レビュー)を披露しており、それを前提とすると2014年にリリースされた『Rainbow Disco Club Vol.1』(過去レビュー)はテクノを中心としたミックスとなった事で奇妙なユーモアは後退し、彼らしい賑やかなごった煮サウンドによる恍惚感は喪失してしまっていたと思う。そんな流れを踏まえて、本作は再度ジャンルレスかつタイムレスな選曲を行う事で、単にダンス・ミュージックの躍らせるという機能性だけにこだわらずに、変幻自在な流れによって惑わされながら何処か掴み所のない恍惚状態を引き起こす面白い作品に出来上がったと思う。勿論様々なジャンルは用いながらもバランスを壊す突飛な流れにはなっておらず、CD1〜3の流れに沿って大まかなジャンルの区分けはされている。CD1は最もレイドバックしており、牧歌的なロックから始まり民族的なジャズや懐かしみのあるハウス、夢現なアンビエントから艶かしいファンクを通過してのディープなアシッド・テクノまで、肩の力が抜けたプレイでゆっくりと温めながら多用なリズムと音色によって先ずは肩慣らし的な導入だ。CD2では2000年以降のニューディスコやテクノにハウスなど現代的なダンス・ミュージックが中心となり、徐々にビートは力強さを増しながら夜のパーティーへ向かうざわめきを喚起させる魅惑の快楽的な時間帯へと突入する。その流れを引き継いだCD3ではより快楽的な真夜中の時間帯から始まり、ディープかつミニマルな流れを保ちながらエクスペリメンタルな電子音楽へと遷移し、湿っぽく可愛らしいジャズやライブラリーミュージック的なリスニングの曲、そして熟成したような味わいのあるプログレッシヴ・ロックを経過して下降気味に終焉へと向かう。CD3枚に渡って起承転結がはっきりとした流れは非常にスムースで、パーティーの始まりから終わりまでを意識したようにも感じられるし、多数のジャンルを過剰に詰め込んだ事でその情報量の多さに抵抗の出来ない恍惚感も生まれている。流石に3枚合わせて200分越えなのでお腹いっぱいにはなるものの、Thomasらしく外向きの享楽的なパワーが発散するDJプレイが目に浮かぶようで、やっぱりこんなミックスが彼らしいと思わせられる内容だ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
The Black Dog - Neither/Neither (Dust Science Recordings:DUSTCD051)
The Black Dog - Neither/Neither
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90年代のUKにて生まれ、ムーブメントにもなったベッドルーム発祥のインテリジェンス・テクノと呼ばれる音楽を、それから20年以上経った変わる事なく探求するように手掛けるアーティストがいる。それこそがThe Black Dogであり、その音楽の中でも代表格と呼んでもよいだろう。その当時のアーティストは今では名を聞かなくなった者も少なくはないが、しかしThe Black Dogは2005年以降も堅実に音楽活動を続け、この10年だけでもリリースしたアルバムは6枚と過去以上に音楽制作への意欲を高めている稀有な存在だ。本作も前作から2年と長い間をおかずにリリースされているが、移ろい変化する流行の中でも殆どぶれる事なくスタイルを守り続けてきた彼等らしく、ここでもベッドルームから生まれた電子音響によるアンビエントにフロアで機能するダンス・グルーヴを多少織り交ぜて、電子による仮想世界的なサウンドスケープを繰り広げている。幕開けとなる"Non Linear Information Life"は幻想的なサウンドと機械的なヒスノイズが轟く暗いアンビエントで、そこから続くインタールード的な"Phil 3 to 5 to 3"も荒廃した未来のSF感ある音で、想像力を掻き立てる展開だ。3曲目の"Neither/Neither"でようやくねっとりとした重心の低いリズムが入ってくるが、荘厳なオーケストラと重厚な電子音はやはり密閉された室内のイメージだ。決して開放的な瞬間に出くわす事なく終始外界とは隔絶されたような重い世界観だが、"Them (Everyone Is a Liar But)"を聴けばその閉塞感の中にも静かに盛り上がるドラマがあり、インテリジェンス・テクノらしい電子音の美しさは荘厳に響く。その一方でアルバムの後半からは"Self Organising Sealed Systems"や"Hollow Stories, Hollow Head"のように、オールド・スクールなブリープを思わせる毒々しさやダブ・ステップらしい揺さぶるリズムも持ち出して、多少は現在のテクノも意識したように暗闇が広がるフロアへと接近した躍動的なトラックも待ち受けている。アルバムの前半後半で作風はかっちりと分かれているものの、しかしムードでの統一感は損なわれておらず、正に知的で荘厳な世界観は元祖たる風格さえ漂うものだ。決して新鮮味や斬新さがあるわけでもないのは事実だが、流行り廃りが早いダンス・ミュージックの世界で確固たる個性を築いているのだ。



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| TECHNO12 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Panoram - Everyone Is A Door (Firecracker Recordings:FIREC012CD)
Panoram - Everyone Is A Door
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DJ HarveyがMIXCDに起用した事で突如として注目を集めているPanoram。2012年にEPを1枚リリースしただけのアーティストが、今年になって突如としてエジンバラのカルト・レーベルであるFirecrackerからアルバムをリリースしたのだから、余計に注視してしまうのも当然だろう。特にEPでのリリースが中心となるFirecrackerからのアルバムという事なれば、それこそレーベルとアーティスト共々に揺るぎない自信があるのは間違いない。最初に述べておくとアルバムではありながら30分程のボリュームであり、各曲も2分前後の随分とコンパクトな作品になっている。しかしそれに反して音楽性は拡張を行うように、情緒豊かでシネマティックなオープニングから始まり小気味良いリズムを刻むブギーな曲、光沢感のあるシンセが優雅に伸びるジャジーな曲、安っぽいマシンビートを刻むロウ・ハウス、果てはBoards Of Canadaの淡い霧の世界に覆われたサイケデリアやThe Black Dogのようなインテリジェントなブレイク・ビーツまで、本当に一人のアーティストが手掛けているアルバムなのかと疑う程にスタイルは多彩だ。尺の短さとその多様性が相まって、各曲の世界観を堪能する間もなく次々と心象風景が浮かび上がっては消え、あっという間にアルバムも聴き終わってしまう。だからといってアルバムが散漫になっているかというとそうでもなく、矢継ぎ早に展開される曲とは対照的に各曲の中に流れる時間軸は世間の喧騒を忘れるようにゆったりとしており、優雅かつ甘美な香りが満たされたデイドリームを満喫するようなリラックス加減が心地良い。あれこれと試みながらもコンパクトに纏めた事が功を奏し、いつの間にか聴き終えると再度デイドリームを求め、自然とプレイヤーのリピートボタンを押すような魅力がある。短いながらもノスタルジーに浸るには十分過ぎるベッドルーム向けの音楽で、Firecrackerの音楽性をも拡張する特異なアルバムだ。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Black Dog - Tranklements (Dust Science Recordings:DUSTCD038)
The Black Dog - Tranklements
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2000年前後は活動が低迷していたUKインテリジェンス・テクノのパイオアニアであるThe Black Dogは、2005年以降は何があったのかは知る由もないが水を得た魚のようにダブ・ステップと言ったトレンドともリンクをしながら、本質であるインテリジェンス性を保ち活動を続けている。しかし前作ではクラブでのライブを想定したであろうミニマル色を強めた作風の曲が多く、その変化が裏目と出て特に昔からのファンにとっては少々物足りなさが残る作品であった。そして一年半ぶりとなるニューアルバムでは、原点回帰と言うかベッドルームミュージックを意識した密室での想像を働かせるテクノへと無事戻っており、これこそThe Black Dogらしいと言えるアルバムとなっている。勿論前作から続くフロアを意識したダンストラックもあるのだが、リズムは理知的に編み込まれてIDMのように変化に富み、そしてデトロイト・テクノにとも共振するエモーショナルなメロディーの探求には、やはりUKからデトロイトに対する回答を示した彼らの本質が表れている。本作では無駄な音を省いて隙間を持たせている事により以前に比べると重苦しさは後退しているものの、想像力を働かせる余裕を残してベッドルームでの夢想に浸る為の音楽としては変わっておらず、テクノ/アンビエント/IDM/ベース・ミュージックの要素が複雑に融和しながら静謐な世界観を形成している。特にそれが顕著なのが終盤の3曲で複雑なブレイク・ビーツの上に流麗な旋律を加えながら、そしてラストではノンビートの荘厳なアンビエンスで幕を閉じる瞬間だろう。幅広い雑食性があるようで、しかしインテリジェンスな世界に統一された密室音楽こそ、The Black Dogが追求する電子音楽なのだ。

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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Black Dog - Liber Dogma (Soma Quality Recordings:SOMACD0921)
The Black Dog - Liber Dogma
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元祖UKインテリジェントテクノの雄・The Black Dogのニューアルバムは、前作の空港で聴くアンビエントから一転、クラブでのライヴの様な雰囲気をスタジオで再現したダンストラックが満載。勿論今までにもダンスミュージックを聞かせてはいたので格段に変わったと言う印象はないが、The Black Dogらしい繊細なリズムの妙やインテリジェントな空気を意識的に削ぎ落し、シンプルに突き進む4つ打ちに焦点を絞った作品となっている。コンセプトは確かに音に反映されフロアを意識したミニマル色強めなダンストラックが並んでおり、豊かなメロディーや展開を排除したその音はドイツで流行っているようなテクノをも意識したのかとさえ思われる。が残念な事にそれがThe Black Dogに合っているかと問われたら、否と答えざるを得ない。IDMから出発した彼等のプロダクションはやはり音の選び方にも気を配り、洗練や上質と言った鳴りをしているが、フロアで汗だくになって踊って聴きたい音は乱暴に言ってしまえば、粗雑ながらもパワフルな物でも十分なのだ。The Black Dogは部屋に閉じ篭って聴き想像力を働かせ思考に訴えかける音楽を作ってきたプロであり、猥雑としたフロアとの付き合いは他のDJに比べればそう多くはない。本作は確かに曲間もシームレスになっておりライブを意識はしているが、やはりどうしても洗練され過ぎていて物足りなさを感じてしまうのだ。勿論これは自分が彼らに求めている音ではないのでそんな気持ちになるのだが、フロアでライブを体験すればまた違った印象になるのかもしれない。

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| TECHNO9 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Space Dimension Controller - The Pathway To Tiraquon6 (R & S Records:RS 1109)
Space Dimension Controller - The Pathway To Tiraquon6
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話題沸騰中、アイルランドから宇宙への夢想を現実の音にするアーティスト・Jack HamillことSpace Dimension Controller。リリースしたEPは軒並み高評価を獲得し、大物からのリミックスも依頼されるなど人気・実力共に兼ね備えた新星が、来年リリースされると言う噂のデビューアルバム前にその布石となるダブルパックEPをリリース。本作でもデトロイト・テクノに負けないサイエンス・フィクションを発揮しており、24世紀に住むSDCことMr.8040が不測のトラブルにより2009年にタイム・スリップしてしまったと言うコンセプトを基にトラックが制作された模様。そんなコンセプトに紐付くサウンドは、Artificial Intelligence系の幻想的なリスニングトラックから未知なる邂逅がざわめきを呼び起こすブレイク・ビーツ、初期デトロイト・テクノに影響を受けた宇宙志向なトラックまで、そのどれもが遥か遠い先の未来の事ではなく子供の時に夢見た近未来的な感覚を呼び覚ますものである。非現実的な事ではなくいつしか実現されるであろう夢を胸に、SDCは宇宙と時代を行き来し機械的な音にロマンスを重ねる。機械的ではあるがどこかアナクロにも通じる時代に迎合しないレトロフューチャーと戯れるSDCは、童心な遊び心と音楽への深い愛情を持ち合わせたストーリーテラーなのだ。かつて謎めいた存在であったThe Black Dogにも通じる世界観があり、彼等の初期のアンビエントジャングルが好きな人ならばSDCのサイエンス・フィクションにも共感出来るのでは。アルバムへの布石とは言いながらも、本作が既にアルバム級のボリュームを持った名作だ。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2010
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。世間では音楽が売れないだとか、アナログ文化の衰退だとか音楽業界の悲鳴が聞こえてきておりますが、決して音楽自体がつまらない物になった訳ではないと思います。ようは今までは金かけて宣伝していた物が売れていただけで、今はそのシステムが通用しなくなったので心底なファンしか買わなくなっただけなのでしょう。そんな時代だからこそ、自分の耳を信じて意識的に聴く事を、興味と探究心を持って新しい音楽を探す事を行い、受身でなく積極的に自ずから音楽を聴くようなリスナーが増えればなと思います。さてそれでは毎年恒例の年間ベストと共に、来年も良いお年を!
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| BEST | 11:30 | comments(4) | trackbacks(1) | |
Sebastian Mullaert aka Minilogue - WaWuWe (Mule Electronic:mule electronic cd19)
Sebastian Mullaert aka Minilogue - WaWuWe
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Son KiteやMinilogueでも大人気のユニットの片割れ・Sebastian Mullaertが、今となっては世界規模のレーベルとなったMuleから初のMIXCDをリリース。正直な話Son Kite名義ではトランスやってたんで自分は距離を置くユニットなんですが、近年のMinilogueの活動はWagon Repair、Traum、Cocoonなどテクノ系のレーベルからのリリースが増えており、随分と音の傾向も変わっていたみたいです。なのでこの2枚組MIXCDもトランスではなくテクノなのでご安心を。まず1枚目は深海に潜っていくようなディープでダビーなテック系が中心。真っ暗闇の沈黙に包まれた深海を潜水艦でゆったりと航海しながら、幻想的な残響音に包まれるようなミスティカルジャーニー。緩いけれども一定に刻まれる4つ打ちが、ずぶずぶと深い海溝に引きずり込むようで鈍く精神に効いてきます。2枚目はフロア寄りのダンストラック中心が中心で、トライバルやミニマル、テックハウスなど雑食系であちらこちらを行き交う内容。ただ上げるのか下げるのかどっち付かずと言った中途半端な印象で、その上線の細さが残念。ここはやはり緩慢に深遠な音響美を聴かせてくれた1枚目を推したい。

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| TECHNO8 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Slam vs The Black Dog - Azure / CCTV Nation (Soma Quality Recordings:Soma 275)
Slam vs The Black Dog - Azure / CCTV Nation
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UKテクノの老舗レーベル・Soma Recordsに所属するベテランテクノユニット・SlamとThe Black Dogが、互いの曲をリミックスし合うと言う好内容の企画。SlamはSomaを主宰する立場でありながら自身もハードかつメロディアスな作風で人気を博し、The Black Dogはと言えば元はWarp Recordsでインテリジェンステクノを推し進めていた重要なユニット。その二人がここで交差するとなれば悪い訳がなかろう。先ずはSlamがリミックスした"Cctv Nation (Slam Remix)"、デトロイティッシュな原曲を現在のミニマルも意識した平坦だけれでもジワジワと侵食する作風にリミックスしていて、最近のSlamが披露しているトラックとも作風は似ております。対してThe Black Dog、"Azure (The Black Dog's Corned Beefy Remix)"の原曲は硬質でメロディアスな上物を活かしたトランシーなテクノでしたが、リミックスではメロディアスな部分は残しつつざらつきのあるリズム感で少々湿っぽい質感が強め。ハードな面は後退し細かいSEの様なシンセを付け加えた事で、The Black Dogらしいインテリジェンスな面もあるかと(それにしても彼らにしては珍しいアッパーな4つ打ちを披露しているけれど)。どちらも手堅い内容ではありますが、ベテランらしい安心感もあり流石です。

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| TECHNO8 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Black Dog - Music For Real Airports (Soma Quality Recordings:Soma CD083)
The Black Dog - Music For Real Airports
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UKインテリジェンステクノの大ベテラン・The Black Dog。一度はメンバーの脱退によりKen Downie一人となったユニットは迷走していたものの、Dust兄弟をメンバーに迎えてからは更なるアンダーグラウンド性を極めながらも初期インテリジェンステクノやデトロイトテクノの音を呼び戻し、更にはダブステップにも接近するなど二回目のピークを迎えている言っても過言ではない。そして前作から一年待たずして更なる新作は、今までのダンスサイドは身を潜め厳格なるダークなアンビエントを披露している。タイトルから予想出来るように御代Brien Enoの名作にインスパイアされた作品ではあるが、音そのものはThe Black Dogらしい宗教的な重苦しささえ漂う非常にイマジネイティブな音だ。200時間にも及ぶフィールドレコーディングからの環境音も導入し、ヴァーチャルエアポートを再現…はしておらず黒光りする静謐な美意識に満ちたオリジナリティー溢れる音楽を奏でている。勿論前作からのダブステップの導入で彼等らしい凝ったリズムも入っているが、全体のトーンとしては重く暗くそして金属的に冷えている。この非生物的な音は、やはりThe Black DogはインテリジェンステクノやAIテクノ、果てはIDMの申し子と言っても過言ではない電子世界に生きる存在の証なのだろう。

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| TECHNO8 | 11:00 | comments(5) | trackbacks(1) | |
The Cinematic Orchestra - Late Night Tales (Late Night Tales:ALNCD22)
The Cinematic Orchestra - Late Night Tales
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"真夜中の物語"とタイトルからして素晴らしいシリーズ物の最新作を手掛けるのはThe Cinematic Orchestra。The Cinematic Orchestraは電子ジャズを展開する人気ユニットだそうですが、自分は彼らについてはよく知らないものの選曲が興味深い内容だったので迷わず購入。オープンニングは注目を集めるFlying Lotusのアラビナンで荘厳なトラックから始まり、序盤はアコースティックな響きが優しく広がるフォークやジャズなどで深い夜への誘いが待ち受けます。中盤ではThom YorkeのポストロックやReichの現代音楽などで意外性を打ち出しながらも、しっとりと情緒を漂わせながらBjorkのメランコリーな歌物へと繋がり妖艶なムードが広がりました。そこからはSt GermainとSongstress、Sebastian Tellierとクラシック3連発で、一転して真夜中の狂騒に導かれ興奮はピークに。そして盛り上がった余韻を残したままBurialや自身らのサウンドトラックで、静かにしかしドラマティックに狂騒の終わりを向かえ就寝につく展開は、まるで真夜中の一大絵巻みたいですね。色々なジャンルが詰まっているせいかミックスと言うよりはコンピレーションの様な印象を受けるミックスですが、対称的な夜の喧騒と静寂を含んだ選曲で見事にコンセプトを100%表現していると思いました。良い意味でBGMらしく部屋で流しておくと自然と空気に馴染み、生活の邪魔にならない優しい夜の音楽です。

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| ETC3 | 02:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Louie Vega's Dance Ritual Vol. 1 (D:vision Records:DV 3355/09 CD)
Louie Vega's Dance Ritual Vol. 1
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ハウス不遇の時代が続いている、自分も以前より聴く事が減っている。クラシックに成り得る名曲やヒット曲にも最近は出会わない。一体ハウスはどうなってしまったのか?そんな中、いつの時代もぶれずにNYハウスをプレイし続けるMasters At Workの片割れ・Louie Vegaの最新MIXCDが到着。自身が主宰するパーティー"Dance Ritual"を冠するだけあり、きっと彼が自信を持って作り上げたMIXCDなのであろう。一枚目はDayがコンセプトのミドルテンポで湿っぽい生音ハウスが中心。彼が得意とするラテン的なパーカッションなども聴ける小気味良い爽やかなトラックが多く、汗をたっぷりかいて踊るのではなくカフェでまったりしながら聴きたくなる優しいBGM。メロウな音が中心なので、秋の今の時期にはぴったりですね。対してNightはそのまんまクラブでのピークタイムを表現した、ガツンと踊れてアッパーな展開が繰り広げられ高揚感と快感に満ちた一夜。エレクトロニック度が高めでテック系も混ぜつつ夜の深みにはまっていき、ホットな歌物からディープハウスまで繋いで最後までテンションを保ったままパーティーは終了と言った雰囲気。正直な事を言うとハウスのマンネリ化を非常に感じていたものの、Nightの方の盛り上がりを体感するとやはりハウスのパーティーにたまには行きたくなる。まだハウス不遇の時代を壊す程の胎動は感じられないけれど、根ではハウスも好きな事を再認識した。

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| HOUSE5 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Warp20 (Recreated) (Beat Records:BRC-242)
Warp20 (Recreated)
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冷静になるとブログにひでぇ事書いたなぁと気付く。時々狂ったりモヤモヤすると書かずにはいられなくなるが、これじゃあただのキモメンがスーパーキモメンになり、今まで以上に女の子はドン引きだ。しかし記録は記録、自分への戒めとして消去はしない。

テクノと言う常に改革を望む世界において、一つのレーベルが20年も続くと言うのはある意味奇跡でもある。そんな奇跡を実現したのがUKのWarp Recordsで、今年で遂に20周年だそうだ。それを記念してリリースされたのが本2枚組で、Warpの音源をWarpのアーティストがリメイクしたコンピ。とは言え正直なところ自分には物足りなさの残る企画で、昔のWarpの音を期待している人は完全に肩透かしを喰らうだろう。当たり前の事なんだけど、これはテクノの殻をぶち壊してレフトフィールド的な自由性を持った音楽性を進んでいる今のWarpの音が中心だと言う事。僕はやっぱり昔のインテリでダンスフルな頃のWarpに思い入れがあるから、その時点でこの企画とはもう合わなかったんだろう。またリミキサーにBoards Of CanadaやAndrew Weatherall、Aphex Twin、Speedy Jら重鎮が入ってないのは、物足りなさどころか失望さえ隠せない。ぶっちゃけな話90年代の重鎮に比べると、今のWarpのアーティストってそんなに魅力的には感じられないんだ。色々手を広める事で時代を生き抜いてきたのは分かるけど、テクノの可能性をもっと見つめ直して欲しい。ま、単純に言えばもっとテクノを聴かせろってだけだ!

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| TECHNO7 | 09:45 | comments(4) | trackbacks(2) | |
UPCOMING EVENT
2009/10/02 (FRI)
CLUB MUSEUM "The Art of Intelligence" @ Unit
Live : THE BLACK DOG
DJ : KIHIRA NAOKI, ROK DA HOUSE, 'NOV'

2009/10/03 (SAT)
REDBOX 3rd anniversary party @ J-Pop Cafe
DJ : Motor City Drum Ensemble, STEREOCiTI and more
Live : Move D

2009/10/03 (SAT)
groundrhythm @ Air
Live : Kaito
DJ : Kaoru Inoue, PSYCHEDELIC BUS aka HIROKI MURAI

2009/10/03 (SAT)
RIS FESTIVAL [a sense of space] @ Unit
Live : SPECTRUM a.k.a SONIC BOOM, DJ KENSEI, JEBSKI & YOGURT, L?K?O and more
DJ : TOBY, Ackky, YAMADA the GIANT and more

2009/10/09 (FRI)
root & branch presents UBIK featuring THE FIELD @ Unit
Live : THE FIELD, KAITO
DJ : DJ YOGURT, DJ HIKARU

2009/10/10 (SAT)
Makin' Love Mix @ Grassroots
DJ : DJ Yogurt, SHIRO THE GOODMAN

2009/10/10 (SAT)
Cosmic Soul @ Air
DJ : Ian O'brien, Claude Young, Takamori K.

2009/10/17 (SAT)
CLASH48 @ ageHa
DJ : Adam Beyer, Joel Mull

2009/10/17 (SAT)
@ Air
DJ : ken Ishii, Jerome Sydenham

2009/10/31 (SAT)
De La FANTASIA 2009 -Vol.ZERO- FANTASIA Night @ Liquidroom
Live : Lindstrom, Nikakoi aka Erast, AOKI takamasa, d.v.d
DJ : TOWA TEI, EYE, MOODMAN

3日は迷う、初来日のMCDEかgroundrhythmか…?9日はField、Kaito、DJ Yogurt、DJ Hikaruと好みの面子がびっしり。10日はCosmic Soulと被ってしまったが、DJ YogurtのMakin' Love Mixへ行こう。今男女の股間を最も濡らすパーティー、エロ過ぎる。シローさんがムーディーなセットをかましてくれるらしい。ムーディーな雰囲気のあるグラスルーツでムーディーな音楽、きゃわいいおんにゃのこいっぱい来てください。17日、ドラムコードで震撼するか、Airでのケニシのプレイも熱い。31日のリキッドルームも面白そうなんで行く予定。
| UPCOMING EVENT | 07:30 | comments(6) | trackbacks(0) | |
B12 - B12 Records Archive Volume 6 (B12:B1212.6)
B12-B12 Records Archive Volume 6
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サブカル情報誌・STUDIO VOICEも休刊そうだそうです。自分もテクノ特集の時しか買ってなかったけど、本って売れない時代なんだね。

かつてWarp Recordsが提唱したArtificial Intelligenceシリーズにも関わったB12は、The Black Dogともにインテリジェンステクノと言われる知的でフロアから隔絶された音楽を引率してきたユニット。1998年に急にシーンから姿を消してしまいましたが、2007年に突如10年ぶりに復活したB12はそこから怒涛の勢いで作品をリリースし、そして今現在は90〜96年の過去の遺産を発掘する作業・"Archive"シリーズを7回に分けてリリースしている真っ只中。その第6弾は彼らの中でも屈指のレアアルバム"Prelude Part 1"に、更に未発表曲を加えたオタク感涙の2枚組み。自分もこの機会にようやく作品を入手出来ましたが、正に時代を感じさせるAI系の綺麗目のシンセサウンドが堪能出来るレトロテクノがここにあります。その頃のインテリジェンステクノにはデトロイトテクノとも共通する透明感のあるシンセやエモーショナルなメロディーがありましたが、ダンスとしてのファンキーさを抑えてむしろ内省的で自分の心の中に引き篭もる様な音が特徴だったと思います。何も混ざっていないかの如く透明度の高いピュアな音色は、まるで小さい頃に夢見た近未来を描き出すかの如くイマジネィテブ。そしてB12のインタビューも挿入された構成はまるで架空のラジオ番組みたいで、なんだか未来からの電波を受信しているみたい。

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| TECHNO7 | 04:01 | comments(4) | trackbacks(0) | |
The Black Dog - Further Vexations (Soma Quality Recordings:SOMACD077)
The Black Dog-Further Vexations
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インテリジェンステクノを引率してきた大ベテラン・The Black Dogが、前作から一年弱でニューアルバムをリリース。オリジナルメンバー脱退時の低迷期はどこへやら、ここ数年の作品のクオリティーは人気があった頃を軽く上回っており、新作もオリジネーターとしての存在感をびっしばしと感じさせてくれます。知的で荘厳な世界観は変わらずに果てしなく続く未来を喚起させると共に、新作は今までに以上にダンスフロアを意識させる4つ打ちトラックが多め。元々ブレイクビーツを多用していてグルーヴィーと言う点では変わらないけれど、それが直球勝負になった事で更にテクノとしての音が強くなった様に感じさせます。しかし今までの中で底無しに暗い、光が届かない超深海の如くダークである。何故こんなにも彼等は世の中から隔離された音を発するのか、まるで世捨て人の様に。周りでどんな音楽が流行っていようが、The Black Dogの音楽には変わらない一貫性がある。これはまるで彼等の音楽が、永遠の禅問答を繰り返しているのではないか。永遠に謎が解ける事は無く、神秘のヴェールに包まれたままなのかもしれない。電子と知性の鬩ぎ合いの果て生まれたインテリジェンステクノの境地がここにある。

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| TECHNO7 | 07:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2008
昨日の続き。先行きの暗い日本ではありますが、個人的には良い事も…あったっけ?いやいや、ありました。本人には面と向かっては恥ずかしいので言いませんが、当ブログを通して出会えたa4mさんには感謝しております。多分当ブログの読者で初めて会った人なんだけど、何故か今までは特に誰とも会う事は無かったのです。がa4mさんがパーティーに誘ってくれて、更には友達のクラバーを紹介してもらったり、新しい出会いがありました。周りからすればそんなの大した事ないじゃんと思うでしょうが、本来引き篭もりむっつり根暗系の自分は人付き合いもそんなに上手ではないので友人も多くもないし、まさか当ブログの読者に会うなんて事は考えてなかった訳ですよ。だから彼女が誘ってくれたのは嬉しかったし、彼女の気さくさと言うか親近感は見習いたいものです。つーことで、オイラもRevolution For Changeするよ。クラブで音楽を楽しめる方(ナンパとかしたい人はお断り)なら一緒にクラブでも楽しい時間を共有出来ると思うから、良かったら一緒に踊りに行きましょう。酒好きで女好きだけど、音楽も好きだから気軽に楽しみましょう。男の人でも、阿部さんみたいな人なら会いたいな、ウホッ!

しかし最近このブログも色んな人が見ているようで自分でもびっくりするけど、読者数が増えるにつれてシモネタや毒舌は控えないといけないねと思ったり、そこら辺のバランスは難しいですね。ま、そんなこんなで激動の一年でしたが、この一年間どうもありがとうございました。また来年も宜しくお願いしまーす。

では続きで自分の中の2008年ベストを紹介しようと思います。
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| BEST | 00:30 | comments(13) | trackbacks(3) | |
B12 - Last Days Of Silence (B12:B1219)
B12-Last Days Of Silence
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B12と聞いても果たしてどれだけの人が分かるのだろうと不安になるユニット。なんせ今回のアルバムは12年ぶりだし、ここ10年間は活動自体もしていなかったように思われるし、そりゃ世間からは忘れ去られても当然です。一応彼らについて説明しておくと、90年代前半に様々な変名でデトロイトテクノに影響を受けたインテリジェンステクノを披露し、またB12名義ではWarp RecordsのAIシリーズにも参加するなどし、マニアックなテクノファンを虜にしていた稀有なユニットです。さすがに自分も以前の音楽に関しては忘れかけていましたが、新作を聴くと彼らの音楽は10年以上経ってもそのミステリアス性を失っておらず一安心と言った所でした。元々インテリジェントな音楽だったのですが、新作においても細部に至るまでに完璧に配置された幽玄なシンセ音が不気味な空間を創りあげ、まるで近未来的な都市の日常を描いている様です。音自体は格好良いけれど、何故か終始不気味な空気が漂っているのが不思議。またリズムの多彩さも群を抜いていて、単純な4つ打ちなどは皆無。バラエティーに飛んだリズムトラックは、神経質に考え込んで創ったんじゃないかと思わせる程です。しかし内に内にと向かっていく内向的な音なので、一般的にはお勧めし辛いのも否めないでしょうか。自分も長く聴いていると、強烈なサウンドで気が滅入りそうです。The Black Dogなんかが好きな人は、要チェック。

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| TECHNO6 | 17:45 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Black Dog - Radio Scarecrow (Soma Quality Recordings:SOMACD67)
The Black Dog-Radio Scarecrow
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流通量が少なかったのか手に入れづらかったのですが、リリースから半年位経ってようやく入手したThe Black Dogの最新作。なんでWarp RecordsではなくSomaからのリリースなんでしょう、別にどちらも優良レーベルなんで文句はないけれど。それはおいといてThe Black Dogと言えば90年代前半のインテリジェンステクノ全盛期の中心的ユニットで今でもマニアックな人気を博しておりますが、一部のメンバーが脱退してからは活動も停止して危機的状況にありました。しかし2005年位から残ったオリジナルメンバーであるKen DownieにDust兄弟が加わり新生The Black Dogとなってからは、完全復活状態で全盛期にも劣らないインテリジェンスぶりを発揮して独自の路線を進んでいます。複雑なブレイクビーツは本作でも見られるものの、以前より少ない音数で骨組みを強調し洗練されているのはやはりベテランらしい進化ですね。またパーカッションなどが硬めになっていてダブステップの影響も窺えたり、単純なインテリジェンス系からの脱却を試みています。勿論昔からのファンも懐かしさを感じる幻想的なシンセサウンドもしっかりと入っていて、新旧テクノファンが必ず楽しめる音です。流行のダブステップにも目を向けつつ旧サウンドも残して彼らの音に昇華させるなんて、やはりThe Black Dogは素晴らしい。テクノ好きはマストバイ!

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| TECHNO6 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Henrik Schwarz - DJ-Kicks (Studio !K7:!K7207CD)
Henrik Schwarz-DJ-Kicks
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近年注目を浴びているHenrik Schwarz、自分の中ではInnervisionsからリリースしているアーティスト位の認識しかなく、正直どんな音楽性かは殆ど知りません。しかしながらネットや雑誌でもこの"DJ-Kicks"は評判が良かったので、興味を持ち購入に至りました。聴く前に取り合えず選曲はチェックしてるんだけど、とにかく何でも打ち込んであってジャンルの幅は広いんだけど、一応統一性は感じられる。それは黒い音が中心って事。James Brown、Marvin Gaye、Pharoah Sanders、Drexciya、Rhythm & Sound、D'Angelo、Arthur Russellらのファンク、ジャズ、エレクトロ、レゲエ、ソウル、ディスコと言った黒人音楽をふんだんに使用していて、なかなか良い黒光りをしているのです。この多岐に渡る音楽性は非常に面白いし、またこれだけ黒い音なのにファンキーと言うよりはドイツっぽいドゥープな雰囲気を発しているのが不思議。現実を超越する呪術的な雰囲気の如く黒いサイケデリアを呼び起こす原始的な音楽ですね。ただMIXCDと言うよりはコンピ的な印象を受けてしまうのは、やはりジャンルの幅の広さゆえでしょうか。どうしても音やテンポの差がが激しくなってしまうので、聴いているとはっと時折り醒めてしまう瞬間もありました。それでも真っ黒な音楽で覚醒した世界を見せ付けるHenrik Schwarzは、奇才と言う以外に他は無いでしょう。

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| HOUSE4 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(2) | |
Orlando Voorn - Sessions From The Deep (cynet:media:Cynet-CD002)
Orlando Voorn-Sessions From The Deep
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発売から時間が経ちましたがオランダのテクノシーンの重鎮・Orlando Voornが、Claude Youngの新レーベル・cynet:mediaからリリースしたMIXCDが素晴らしいので紹介します。さてOrlandoについてどこから話せばいいのか、最近だとUnderground Resistanceに加入してBlak Prezidentz名義でMad Mikeとユニットを組んでいたはずだが、それはいつの間にか解消していた。あと自分がよく知っている事だとFix名義の"Flash"は色々なMIXCDで回されていて、また地味な存在だけれど数々の名義で数々のレーベルから使えるデトロイトテクノのトラックを出しまくってます。今では有名となったデトロイトテクノを追求するDelsinとかRush Hourなどのオランダのレーベルはありますが、Orlando Voornはそれよりももっと前からデトロイトを追求していたようです。このMIXCDではそんな自分で創ったデトロイト系の楽曲を自分でミックスしていて、適度なファンキー加減と適度なエモーションがバランス良く配合されていてストレートなテクノミックスとして格好良いです。デトロイトフォロワーの場合、単にデトロイトテクノのシンセストリングスだけをぱくってたりする事は少なくないんだけど、このMIXCDに関しては土着的で図太いリズムが入ってたり4つ打ち以外のグルーヴもあったり、通り一辺倒にならずに上手く抑揚を付けております。DMCチャンピオンになった事もあるそうで、何の違和感も無く最初から最後までスムースに繋げてしまって、あれれ?とびっくりする位普通に聴けてしまいました。世界観が統一されているから、自然と聴けてしまうと言うのかな。デトロイトテクノと言う言葉を抜きにして、ストレートなテクノらしいテクノとして聴ける内容ですよ。

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| TECHNO5 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
As One - Celestial Soul [Limited Edition] (Spiral Records:XQAW-1009)
As One-Celestial Soul
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本日も"Electric Soul Classics"シリーズ第3段の一つ、As OneことKirk Degiorgioの2NDアルバムを紹介致します。相変わらずだけどこのシリーズは痒い所に手が届くチョイスで、企画者は存分に90年代のテクノシーンに理解があるんだろうなと思わせます。売れ線とかアングラとかそんな視点で選択をするのではなく、当時は一部にしか理解されずとも現在になっても輝きを失わない本当の名作を復刻すると言う大変意義のある仕事で、自分が音楽関係の仕事に携わっていたら敬意を払う様な感じですね。まあそんな事はさておきUKからテクノとジャズの橋渡しを行っているKirkさんの2NDですが、これまた非常に素晴らしい!聴いて最初に思った事は、当時Warp Recordsが提唱していたAI(Artificial Intelligence)系の音そのまんまだと。何も知らなければThe Black Dogの作品と言われても気付かない位かも。ここではテクノとジャズが自然と共存し、デトロイトの感情豊かなソウルとヨーロッパの上品な感性が見事なまでに溶け合っているのです。どちらかと言えばデトロイトテクノそのものは考えて作り込むよりはその一瞬の感性を大事にするような傾向が有る様に思えて、やはりKirkらUK周辺のアーティストの音はソウルは込めつつも知性的に音を構成して洗練した作品を創るのが得意ですよね。悪く言えばデトロイトテクノは安っぽい所もあるんだけど(ソコが良いんだけどさ)、デトロイトテクノのフォロワーは良い意味でそれをアップグレードしているんですよ。Kirkは勿論デトロイトのフォロワーではあるけれど、その中でも格段に群を抜いてるなと思います。ジャズの即効的なグルーヴもあるしテクノの未来的な感覚もあるし、ある意味ボーダレス。90年代にこんな事やってたなんて、やっぱりKirkの先見性には目を見張ってしまいます。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ1 | 22:50 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Bjork - The Best Mixes From The Album - Debut For All the People Who Dont Buy White Labels (One Little Indian:152TP7CD)
Bjork-The Best Mixes From The Album - Debut For All the People Who Dont Buy White Labels
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アイスランドの歌姫・Bjorkは世界中で大人気ですが、個人的にはそんなに好みじゃありません。曲自体はそんなに嫌いって訳でもないんですが、単純にボーカルが邪魔。トラックは比較的ダンスミュージック寄りなのもあるので、インストで聴く機会があればもしかしたら印象も変わるかもしれないですね。そんな僕に丁度ぴったりなのは、彼女の1stアルバムの曲をテクノアーティストがリミックスした物を集めた本作。リミキサーには全盛期のUnderworld、AI系テクノのThe Black Dog、UKの伝道師・Andrew WeatherallことThe Sabres Of Paradiseとかなりウマーな人達が集まっております。Bjorkの素晴らしい所はこの様に時代を掴む嗅覚に長けている事で、プロデューサーなりリミキサーの選択センスが非常に優れています。本作に参加したアーティストはリリース当時(94年)にかなり注目は浴びていたはずで、Bjorkの嗅覚に引っかかったのでしょう。とにかくUnderworldのリミックスは全盛期だけあって、かなりバレアリックスタイルでバウンドするリズムトラックが最高に踊れます。ふわふわと漂う様な浮遊感と空気感の中強烈なキックが鳴らされて、12分にも及ぶロングトリップを味わえます。この頃はロッキンじゃなくてハウス、そう完璧にプログレッシブハウスだったんだよね、懐かしや〜。Andrew Weatherallのお仕事も非常に素晴らしく、超が付く程のUKディープハウスリミックスです。今にも闇に消えゆきそうな光が静かに輝き続ける様な美しさがあり、静かな間を強調した音ですね。The Black Dogはインテリジェンスな音を聴かせると予想していたら、実はパーカシブだけれど何故かエスニックな妖艶さを醸し出していました。これにはちょっと驚きましたが、Bjorkの不思議な感覚とマッチしているかも。三者三様のお仕事ぶりで曲毎に違いを楽しめるし、テクノ好きには受ける事間違い無しの内容ですね。

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| TECHNO4 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Nav Katze - Never Mind The Distortions (Victor Entertainment Japan:VICP-62424~25)
Nav Katze-Never Mind The Distortions
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多幸!歓喜!至福!感動!
この際Nav Katzeが誰だとかどんな音楽をやってるかなんて、知らなくたって問題ありません。とにかくNav Katzeのリミックスアルバムがテクノ好きには涙の出る様な内容でありまして、Ultramarine、Aphex Twin、Black Dog Productions、Reload=Global Communication、Sun Electric、Seefeel、μ-Ziq、Autechreなど通常では有り得ない素晴らしく感動的なまでの人をリミキサーに呼んでいます。これをNav Katzeと言う日本人ユニットが企画してるんだから本当に凄いと思うんだけど、果たしてNav Katzeファンはこれをどう思ったのだろう。こんな事して喜ぶのはテクノマニアだけだと思う(笑)

一応曲毎に紹介でもしておこうか。Ultramarineの仕事は可愛くポップさを強調したバブルが弾ける様なドリームポップ。これを聴く限りだとNav Katzeって、控えめにポップなメロディーを活かしたユニットだったのかしら?Aphex Twinも一見ポップなメロディーは残しつつも、硬質なインダストリアルサウンドを前面に出した廃退的な出来が素晴らしいです。Black Dogも良く特徴が前面に出ていて、細かいブレイクビーツなリズムを使って軽やかに跳ね回ります。GCもアレだな、いつも通りの幻想的にシンセサイザーが被るビートレスアンビエントで期待通りの仕事をしてくれてます。シューゲイザーを意識したSeefeelも、こだまする残響音が儚く美しいです。Autechreは無味乾燥化したAphex Twinって感じで、人間味をどこまでも廃し冷たいマシンビートを奏でています。各アーティストとも手抜き感は無くしっかり自分の味を出していて、コンピレーションにありがちな質のばらつきが無くて良いじゃないですか。こんなコンピは滅多に聴けないですよ〜。

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| TECHNO4 | 22:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
The Black Dog - Book Of Dogma (Soma Quality Recordings:SOMACD57)
The Black Dog-Book Of Dogma
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「教義の聖典」とでも訳せばいいのでしょうか、何やら随分と自分たちを奉る様なタイトルですね。それもそのはず90年代前半の輝かしきテクノ黄金時代で俄然注目を浴びていたThe Black Dogが、過去のレアなEPをまとめて2枚組にコンパイルしちゃったのだから大事件であります。つかその当時流行っていたAI(Artificial Intelligence)シリーズはUKが誇る最先端のテクノレーベル・Warp Recordsが先導していたのだけど、何故か本作はSoma Quality Recordingsがリリースしています。なんでだろう〜なんでだろう〜?それはさておき89〜92年頃までの作品を集めただけあって、流石に古臭さは否めませんね。僕は懐かしい音だなと感じますが、The Black Dogを初めて聴く人なんかは今の時代に合わない音と感じるのかな?でも複雑なビートから生まれるブロークンビーツと、幻想的なシンセ音の使い方とか、夢の中を彷徨う様なイマジネイティブな世界観など、やっぱり彼ら特有の音と言う物は本物です。デトロイトテクノがリヴァイバルしていた頃、The Black Dogもその波に乗りデトロイトに負けじとエモーショナルなテクノを創り上げていたのですね。デトオタは舌を巻くだろうし、綺麗目のテクノ好きな方は絶対に気に入るようなお手本的作品ですよ。しかしこれを今聴くと西ロンのブロークンビーツよりも、The Black Dogの方が全然早かったんだなーと感嘆します。恐るべしだ。

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| TECHNO4 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Reagenz [Limited Edition] (Spiral Records:WQAW-1007)
Reagenz
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昨日に引き続き今日も「Electric Soul Classics」の第二弾の紹介です。ところでこの再発シリーズは実に素晴らしい事なんですが、僕は殆どの作品のオリジナルリリースを所持しています。でもこのReagenzに関しては所持していない所か、名前さえも知りませんでした。色々調べてみるとReagenzとはSpacetime Continuum名義で活躍していたJonah Sharpと、David Moufangと言うアーティストのコラボレートとの事。Spacetime Continuumに関してはデトロイトテクノとも並べて語られる音楽性を持っていて、一方David MoufangはPete Namlook等とも共作した事があるアンビエント系のアーティストだそうです。と言う事はその二人の音楽性が融合したReagenzは、当然素晴らしい音楽性を持っていたのです(再発される位だから当たり前か…)。その内容はと言うと掻い摘んで言うならば、初期The Black Dogなどに代表されるWARPのArtificial Intelligence系のピュアなテクノでしょうか。この作品がリリースされたのは1994年と言う事なので、正にAIシリーズ直後だった頃でありまして、時代の空気を身に纏った最先端のテクノだったのですね。そう言ってしまえばただの流行の音楽だったと思われる恐れもありますが、本作は今聴いてもなおテクノの奥深さと未来への期待を秘める素晴らしいアンビエントテクノだと断言出来ます。ブレイクビーツ系の多彩で繊細なリズムと、アナログ機材の滑らかで透き通るウワモノ、そして儚くもあり感傷的なメロディー、これらがある一種のインナートリップを誘発し、想像を喚起させ思考を張り巡らせます。しかし決してそれは心の中に閉じこもる作用として働くのではなく、心を解放しイメージを膨らませる事に成功するのでした。本作が再発されるなんて本当に素晴らしく思うし、感謝の気持ちで一杯になりました。

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| TECHNO4 | 22:30 | comments(4) | trackbacks(0) | |
Laurent Garnier, Carl Craig - The Kings Of Techno (Rapster Records:RR0063CD)
Laurent Garnier, Carl Craig-The Kings Of Techno
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Disco、Funk、Hip Hop、House、Jazz、Digginと続いた「The Kings Of 〜」シリーズに、遂にTechnoがやってきました!このシリーズ、過去のレアな名作を掘り出すと言うなかなか味のあるシリーズなのですが、なんと今作はヨーロッパからはLaurent Garnierを、そしてデトロイトからはCarl Craigを招いてコンパイルを行っています。コンセプトはヨーロッパから見たデトロイト、またデトロイトから見たヨーロッパをイメージしておのおのが選曲&ミックスをした様です。なので普段の様なフロアを意識したプレイとは違うのですが、二人のルーツや好みを感じられる非常に興味深い物となっています。Garnierの選曲は、テクノやエレクトロは当然として、ヒップホップのJay DeeやロックのThe Stooges、ファンクのFankadelicなどデトロイトの音楽をジャンルを越えて抽出しています。目玉はラストのURの「Amazon (Live Version)」!!Rex Club15周年記念に行われたURのライブ音源なのですが、なんとGarnierがMad Mikeに頼み込んで収録したそうです。Mad Mikeの語りも入った激ヤバ音源、これだけでも充分価値があります。Garnierも気合い入れすぎて、トラック分けは無し。最後まで聴いてやっと「Amazon (Live Version)」が聴けますよ。対するCarlさんは、しっかりトラック分けされているからご安心を(笑)。選曲はニューウェーブ、テクノポップ、インテリジェンステクノなど、確かにCarlさんのルーツがしっかり感じられる物が多いです。音は確かに過去の物そのものなのに、そこから発する景色は未来の物。また難解な音楽でも無く、楽天的な気持ちになれる良い意味でポップな曲が多いですね。TECHNOのMIXCDでは無いけれど、現在のTECHNOシーンで絶大な人気を誇る二人のルーツを聴いてみるのもまた一興。今ならアマゾンで2000円でお買い得です。

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| TECHNO4 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Plaid - Not For Threes (Warp Records:WARPCD54)
Plaid-Not for Threes
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昨日紹介したPlaidの1stアルバムのタイトルは「Not For Threes」。いやはや何とも凄いタイトルを付けていますね。元The Black Dogの二人組・Plaidの、The Black Dogに残った一人に対する当て付けとして思えませんが。それでも内容はやっぱり素晴らしいPlaidでありまして、1stアルバムと言う事でまだ初々さもあって結構デトロイトテクノ寄りの音だとは思います。これ以降はヒップホップ色を強めに出したりする様になるのに比べて、まだまだオリジナルデトロイトを継承しそれにブレイクビーツ載っけましたって感じが単純に好きです。今更これを聴いても衝撃も感動も無いけれど、当時聴いたならば前衛的なテクノだって感じたかもしれないですね。Aphex Twinのブレイクビーツ路線にも近い雰囲気があるし、メランコリックなメロディーとアナログ的な安っぽいサウンドで懐かしさ満載です。Black Dogに比べるとPlaidの方が楽観的で明るいのは、単純にメンバーの性格なんでしょうかね。Black Dogも現在では完全復活してるので、是非お互い競い合って頂きたいですね。

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| TECHNO3 | 23:50 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Plaid - Parts in the Post (Peacefrog Records:PFG030CD)
Plaid-Parts in the Post
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5月26日にageHaでWarp Recordsのショウケースイベントが行われるんですけど、その際にWarp Recordsの中心的ユニットの一つ、Plaid(EX.The Black Dog)も出演するんですよねー。Warp Recordsと言えばかつてはUK屈指のテクノレーベルで革新的なアーティストばかりが集まっていたヤバイレーベルなんですが、最近はロックやヒップホップ方面でも面白いアーティストを発掘したりして、時代を捕まえる嗅覚をいつでも持っているんですね。その中でもThe Black Dog時代の彼らは、UKからデトロイトへの回答とでも言えるAI(Artificial Intelligence)シリーズの一旦を担い、特に「Bytes」(過去レビュー)はAIシリーズの中でも最高傑作とも思える作品です。残念な事にメンバーが仲違いし、その内の二人がこのPlaidを結成した訳でありますな。Plaidとなってからの彼らはAIシリーズのインテリジェンスな面を保ちつつも、ヒップホップやブレイクビーツなどの側面も強く打ち出してきて、Warp Recordsの雑食性をそのまま表現してるかの様でしたね。デトロイトのソウルフルな感情をブレイクビーツに載っけてしまったり、より深化した知性的で精密なテクノを打ち出したり、どんどん多様性が増して来てるのではないでしょうか。そんな彼らのある意味裏ベストと言えるのが、このリミックス作品集です。有名所のリミックスから全然知らないアーティストのリミックスまで、ざっくばらんに彼らの多様性がそのまま詰まっています。個人的には教授の「Riot In Lagos」が聴けただけでも満足ですがね。

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| TECHNO3 | 22:00 | comments(3) | trackbacks(0) | |
Massive Attack - Collected (東芝EMI:TOCP66554・55)
Massive Attack-Collected
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深遠なるブリストルからの使者、Massive Attackのベスト盤が登場。ダブやレゲエ、ヒップホップなどをルーツに、煙たくじめじめと粘りけのあるブリストル系と言うジャンルを確立したMassive Attackの功績は周知の通りで、今でも唯一無二の先駆者として人気を博しています。活動歴15年ながらもアルバムは4枚と寡黙な方達ではありますが、その分駄作は決して作りません。しかしその4枚の変遷を辿ってみると彼らなりの変化もあるようで、初期の「Safe from harm」、「Karmacoma」「Sly」などははまだヒップホップ色が強めで、いかにもブラックミュージックからの流れである事を感じさせます。初期の大傑作「Unfinished sympathy」はオーケストラを取り入れた異色ながらも泣きの一曲です。3RDアルバムではかなりロック色を強めて、ギターがぐぉ〜んと唸りを上げています。彼らの中でも一番危険な香りのする廃退的サウンドで、「Angel」、「Risingson」辺りがそうですね。「Teadrop」は廃退的でありながら、闇の中に徐々に光が差し込む至高の一曲ですね。で4THアルバムの前にメンバーの一人が脱退、その上4THアルバムは残った二人の内の一人で作られたアルバムと言う事で、かなりパーソナルな出来となってしまいました(賛否両論でしたね)。「What your soul sings」、「Butterfly caught」などを聴いて貰うと音の違いが分かるかと思います。黒い粘り気が無くなり、逆に神々しくエレクトロニカを取り入れたような電子音楽化してしまいました。ん〜これには僕は理解に苦しむ物があって、彼らの評価を著しく下げてしまいましたね。そして現在の最新曲「Live with me」は、電子音楽とヒップホップの中間と言う感じ。ストリングスも取り入れ美しくも壊れやすい繊細さを感じさせますが、まだ模索段階と言った所でしょうか。とまあベスト盤の紹介をしましたが、アルバム全部持ってる自分はベスト盤なんかいらん!実は限定盤のボーナスディスクが欲しかっただけ。こっちにはレアトラックや未発表曲、ライブ音源を収録しているんですわ。Madonnaとのコラボなんかもあって、結構充実してまっせ。

どうせ買うならボーナスディスク付きの限定盤がお勧めですが、US限定盤は更に豪華でデュアルディスク仕様でCD+DVDになっています。DVDにはなんとプロモビデオが入っているとの事。アマゾンの説明だとリージョンフリーっぽいので、日本盤を買わずにUS盤を待っても損はないかも。

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| ETC1 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Electric Institute (New Religion:REG118CD)
Electric Institute
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今年はやたらデトロイトテクノがブームになっている気がします。デトロイトの大物の来日、レアなコンピレーションやデトロイトクラシックの再発、限りなく続く新譜の発表などとにかく今年はデトロイトが熱い!それでだ、年末に差し掛かり究極のデトロイトコンピとも言えるアルバムが遂に出ました。今まで数多く発表されたデトロイトテクノのコンピレーション(「Cosmic Soul」や「Panic In Detroit」、「Virtual Sex」など)を上回る力作、確実にデトロイトの最良の瞬間が閉じこめられている「Electric Institute」です。コンパイラーはデトロイト信者であるKirk Degiorgioが務めているのですが、彼のこの仕事は尊敬と畏敬の念を以てして迎えられるべきである程です。Kirk自身はAs One、Blue Binary、Super-A-Loof(Ian O'Brienを含む)名義で曲を提供し、そしてデトロイトの天才69(Carl Craig)、新世代デトロイトアーティストNewworldaquarium、古参のデトロイトフォロワーBalil(元Black Dog)、デトロイトハウサーShake(Anthony Shakir)、Derrick Mayの愛弟子Stacey Pullen、そしてリミキサーとしてDerrick Mayも起用され、これまでに類を見ないアーティストが集結しています。隠れた未発表音源や未発表バージョンを集める為に各アーティストに声をかけたとの事ですが、さすが信頼を置けるKirkだからこそこれだけの楽曲を集められたのでしょう。どの曲も90年前後のデトロイトテクノ至福期を感じさせる深いエモーションを感じさせ、未来派なテクノサウンドはこれからも歩みを止めないデトロイトテクノの前衛性を表現しています。これを機にKirkはかつて活動させていた伝説のテクノレーベル・ART(Applied Rhythmic Technology) を復活させ、テクノの可能性をこれからも追求していくそうです。確かにこのコンピを聴けばテクノの深さと広大さはまだ無限の様であり、それはテクノを含めたエレクトロニックミュージックの可能性にも繋がっていくのだと思いました。冗談ではなくて期待と幸福、そして可能性を見出せるのです。本当に素晴らしいコンピレーションが登場しました。

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| TECHNO2 | 23:00 | comments(3) | trackbacks(2) | |
The Black Dog - Silenced (Dust Science Recordings:dustsnd003)
The Black Dog-Silenced
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かつてのインテリジェンステクノ全盛期に於いて栄華を誇ったThe Black Dog。傑作「Bytes」を含むアルバムを数枚を出し確実な人気を得るものの、その後メンバーは分裂しThe Black Dogを抜けた二人の方がPlaidとして現在活躍しています。でKen Downie一人となったThe Black Dog本体はその後、いまいち精彩を欠いていたのですが、ここにきて自身のレーベルを設立し以前よりも更にミステリアスになって帰還しました。かつてはデトロイトテクノとトリップホップを足して2で割った様なリズム感溢れるサウンドだったのですが、今作は完全にオリジナリティー溢れる深淵なる瞑想の世界に変化していました。元々派手な作風でも無かったのですが、今までの中で一番ダウナーでそれ程リズム感を強調はしていません。しかしイマジネーションを刺激する様な神秘的な電子音、深層心理まで深く溶け込んでくる濃密な妖気は今までとは段違いです。曲名から推測するに神話を元にしたコンセプトアルバムなのかしらと思いましたが、確かに神話に迷い込んだ様なミステリアスな構成となっています。アンビエントと言うには快楽だけの音楽では無いし、むしろ厳かで宗教的な観念に満ちていますね。インテリジェンステクノ第一人者の復活に、ただただ感動しました。

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| TECHNO2 | 22:00 | comments(3) | trackbacks(1) | |
Black Dog Productions - Bytes (Warp Records:WARPCD008)
Black Dog Productions-Bytes
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UKの大御所テクノレーベルと言えばWARPが挙げられるだろうが、一番華々しかった時代がだいたい95年辺りまでだと思っている。現在も勿論精力的に活動しているのだけれども、テクノが好きな人にとっては確実に95年辺りまでのAI(Artificial Intelligence)シリーズを積極的に推し進めていた時が魅力的であったに違いない。そもそもAIとはクラブオリエンテッドな電子音楽に対して、ベッドルームミュージックとしても耐えうるテクノサウンドの確立を目指した物であったと思う(もちろんそれだけの意味ではないはずだが)。そしてそのAIシリーズの中でも一番評価の高いアルバムがこのBlack Dog Productionsの1stアルバム「Bytes」だ。これは彼らの変名での作品などをコンパイルしたアルバムでありオリジナルアルバムとは言えないのかもしれないが、その内容は現在のテクノと比較しても比類無きものである。この頃はデトロイトテクノがリバイバルしていて、当然UKもその影響を受けたりしていた訳であり、Black Dog Productionsもデトロイトテクノからの影響を多く読み取れる。ただそれだけで評価される事は無く、ブレイクビーツ、ヒップホップ、ジャズも吸収しそれらを自然な形で融合させた所が彼らの魅力である。非4つ打ちであるにもかかわらず多彩なビートを操り決して退屈させない展開と、デトロイトテクノ特有のシンセ音を駆使しインナートリップとも言える陶酔感を生み出している。部屋の中と言う閉塞された空間で聴く事が前提であるにもかかわらず、逆にイマジネーションを喚起させる複雑な音の構成。確かチルアウトブームもこの頃であったが、今聴いてみるとアンビエントな側面と言うのも充分に伺う事が出来る。様々なジャンルを取り込んだ音楽と言うのは現在では珍しくもないが、彼らはやはり早かった。その上非常に高濃度での融合を果たしており、このアルバムが今でもテクノの傑作と謳われる理由が聴いて頂ければ理解出来ると思う。一度は廃盤になったものの再度日の目を見る事になったこのアルバム、是非とも体験していない方には聴いて頂きたい。

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| TECHNO2 | 22:30 | comments(9) | trackbacks(4) | |
Luke Slater's 7th Plain - The 4 Cornered Room (General Production Recordings:GPRCD03)
Luke Slater's 7th Plain-The 4 Cornered Room
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正直この再発はまじで驚いた。これはテクノ聴いてる人でも持ってる人は相当少ないんじゃないかと…そしてその内容はみんなの予想以上に素晴らしいものなのです。Luke Slaterと言えばPlanetary Assault Systems名義での骨太なハードテクノが有名で、DJテクも相当のものでUKを代表する素晴らしいテクノアーティストであります。そんな彼が初期の頃にGPRから2枚アルバムを出していて、その1枚がコレなのです。GPRと言うとBlack Dogなんかもアルバムを出していたりして、マニアックな人には分かる様な隠れた名レーベルだったみたい。Black Dogがアルバムを出していたと言う事は…、そうこのアルバムも実はデトロイトフォロアーと言うか、インテリジェンステクノと言うか、とってもピュアで綺麗な世界観があります。Planetary Assault Systemsなんかじゃアナログでざらついた図太い音を出しているけど、この名義では本当に美しく切ないです。だからと言ってもちろん彼が作り出す音はヤワな音なんかでは無く、大変緻密に練られしっかりと踊らせる事も忘れてはいません。フロアに対応するハードなダンストラックと、そしてホームでのリスニングトラック、どちらも質の高い物を作れるUKのテクノ番長、Luke Slater。レコ屋の宣伝では無いけれど、デトロイトテクノ好きはマストバイ!!デトロイトテクノにマシーンソウルが存在する様に、Luke Slaterも同じ物を持っている証明です。

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| TECHNO2 | 21:57 | comments(2) | trackbacks(1) | |
WARP Vision The Videos 1989-2004
Warp Vision 1989-2004
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WARPといえばイギリスの最重要テクノレーベルで、優秀なアーティストを多く輩出している。初期のブリープの流行の先駆けとなったLFO、Artificial IntelligenceシリーズとしてのPolygon Window(Aphex Twin)、Black Dog、Fuse(Richie Hawtin)、またAutechreやTwo Lone Swordsmenも擁し、そしてBoards Of Canadaもライセンスしたりする偉大なレーベルである。そのアーティストのプロモビデオを集めたのがこのDVDである。何と言ってもAphex Twinのビデオは音楽に負け時劣らず強烈で、とにかく見逃す事は出来ない。ユーモアと狂気を兼ね備えた迷作?である。Autechreのビデオも凄い。音楽とリズムをシンクロさせた動画で、フューチャリスティックな物体がノイジーに変化してゆく。個人的にはAphex Twinのビデオが見たかったので買っただけなのだが、他のビデオも充実しているのでWARPに思い入れがある人はきっと満足出来ると思う。WARPを知らない人は逆にこれを見て、お気に入りにアーティストを見つけられたら良いかな。
| TECHNO1 | 23:30 | comments(2) | trackbacks(1) | |