CALENDAR
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< July 2020 >>
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
MOBILE
qrcode
SPONSORED LINKS
Move D - Building Bridges (Aus Music:AUSLP010)
Move D - Building Bridges
Amazonで詳しく見る(日本盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
90年代から長きに渡りソロ活動のみならず多くのアーティストのコラボレート・プロジェクトを行う事によって、テクノやハウスにダブやアンビエントにエレクトロまで、音楽的な深さを獲得するに至ったDavid MoufangことMove D。例えば有名なプロジェクトであればJonah Sharpとのインテリジェンス・テクノに取り組んだReagenz、比較的近年であれば前述のReagenzにJuju & Jordashも加わり4人から成るジャムセッションを主体とするThe Mulholland Free Clinicなど、他アーティストと交流をする事が滞留せずにアーティストとしての進化(深化)を促しているように思われる。このAus Musicからリリースされた6年ぶりのソロアルバム、しかしソロアルバムとは言いながらも収録曲の半分はコラボレート作品であり、1999〜2019年の間に録音された事もあって、その意味ではアルバムというよりはコンピレーション的な風合いが強いだろうか。その分だけ各曲がそれぞれの個性を持っており、例えばオープニングの"Cycles"は遠くまで伸びていく軽やかなダブ音響を用いつつも籠もったような音響処理を加えた作風は、フローティング感覚のあるフレンチ・フィルター・ディスコそのもので、しかしファンキーに振り切れる事もなく包容力のある優しい世界観が9分にも渡って展開する。続くDmanとのコラボである"Init"ではぼやけたような浮遊感のある上モノは同様だが、リズムはミュートされ詰まったダウンテンポ調で、内向的で穏やかに落ち着かせる。リズムもメロディーも無駄を削ぎ落として隙間を活かした長閑なディープ・ハウスの"Dots"を通過し、Magic Mountain High名義の"Tiny Fluffy Spacepods"では序盤の透き通った音響のアンビエンスから、次第に浮遊感あるディープ・ハウスへと変遷するが、展開の幅の広さはこのプロジェクトのセッション性が活かされている。そしてまさかのrEAGENZ名義ではベルリンのダブ・テクノ御大であるThomas Fehlmannとコラボした"One Small Step..."、これはもう完全に予想通りなしっとり艶めかしいアンビエントなダブテクノで、サイケデリックに揺らめく微かなギターやもやもやとしたダブの音響が融解し、何か大きな衝撃が待ち受ける訳でもないのにズブズブと快楽の沼に沈んでいく。今をときめくUSのテック・ハウサーであるFred P.とのコラボである"Building Bridges (Move D's Inside Revolution Mix)"も想定通りで、ややオーガニックで温かい響きと共に微細なアンビエンス音響を交えて、彼らしいエモーショナルかつスピリチュアルな空気も纏う荘厳なテック・ハウスを10分にも渡って展開する。全体を通してクラブの喧騒とは乖離したしっとりと情緒的なディープ・ハウス寄りの作風で、例えばダンスとして捉えたとしてもクラブの密室内よりは屋外の開放的な場所に合うような、リラックスして揺蕩うようにして聴きたい大人びなアルバム。その意味では踊り疲れた後のチルアウト的な聴き方、または寝る前の安静の時間帯にもぴったりで、繊細な音にじっくりと耳を傾けて聞きたくなる。



Check Move D
| HOUSE14 | 19:00 | comments(1) | - | |
The Mulholland Free Clinic - The Mulholland Free Clinic (Away Music:AWAYLP001)
The Mulholland Free Clinic - The Mulholland Free Clinic
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
元々Reagenzというユニットとして繋がりがあるMove DとJonah Sharp、またMove DとJuju & JordashによるMagic Mountain Highというユニットもあり、それら3アーティストが一緒くたになった新プロジェクトがThe Mulholland Free Clinicだ。元々はハードウェア機材をベースにフェス等でジャムセッションを行った事がきっかけで本作の制作に繋がったようだが、この作品自体もベルリンで行った3時間のパフォーマンスが元になっている事からライブ盤と捉えるべきか。そのライブ自体も当然の如くアナログのハードウェア主体、完全即興のジャムだそうで、その意味では緻密に作り込まれた印象はないもののリラックスした雰囲気のライブ感が味わえるテクノ/アンビエントのセッションだ。LPでは3枚組というボリュームからも分かる通りそれぞれ長尺で、中には17分にも及ぶ曲もあり、瞑想へと誘う抽象性の高いアンビエント性が強い。その端的な例がアルバムの冒頭にある"Vital Signs"で、微かなSEを背景にアナログシンセが流動的にゆっくりと変化し続けて無重力空間のディープ・スペースを17分に渡って生むのだが、大きな展開もなくただただ音の波に揺られるようなドローン・アンビエントは、セッション性を活かした自由さによって成り立っている。続く"Boneset"でようやく弛緩したビートが刻み始めるが、やはり上モノのシンセはふらつくように虚ろで手の平をするすると擦り抜けるような掴み所のないエクスペリメンタルなハウスだ。シャッフルする比較的ダンスビートの強い"Gone Camping"は、弾けるリズム感とエモーショナルな旋律に引っ張られてSF的な世界を喚起させ、かつてのReagenzのようなAIテクノらしさが感じられる。続く"Ebb & Flow"もスムースに走るグルーヴに引っ張られるが、そこにブルージーで自由な旋律を描き出すギターと点描のようなシンセを散りばめて浮遊感とトリップ感を打ち出し、長い時間に渡って自由度の高いセッションの波に揺らされる。このアルバムに何か目新しさを感じる事はないし、また揃った面子以上のマジックを生み出しているわけでもないが、確かにそれぞれのアーティストのアンビエント感/ライブ性等の音楽性が一つになっていて、セッションを重視したプロジェクトとしては成功しているだろう。昼間の野外のフェス等で聞く事が出来たら、それは心地良い昼下がりの体験になるに違いない。



Check "The Mulholland Free Clinic"
| TECHNO13 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |