Glenn Astro & Hodini - Turquoise Tortoise (Apollo:AMB1804)
Glenn Astro & Hodini - Turquoise Tortoise
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2018年リリースと少々古いものの、今まで紹介していなかったのがもったいない一枚。Max Graefと共にブラック・ミュージックを軸にハウスやヒップ・ホップをクロスオーバーさせたMoney $ex Recordsを運営していたGlenn Astroが、同レーベルからリリース歴もあるDes GriffinことHodiniと手を組んで完成させた本作は、当然の如くブラック・ミュージックを下地にしつつ、それまでのデトロイト・ビートダウン調なスモーキーな作風からより一歩踏み込んでハウスにジャズ、ヒップホップやソウルと今までより更に音楽的な豊かさを得て、身が軽いとも言える小気味良い展開が貫くアルバムとなっている。それは実際にR & S Records(テクノやハウスといったダンス主体)傘下のApollo(発足当初はアンビエント中心で、そこからより幅広くダンスフロアに依存しない自由度の高い音楽性となっている)からのリリースとなった事からも、アルバムがフリーフォーム的な内容となっているのが分かるだろう。二人は一切出会う事なくそれぞれが曲を制作しデータファイルをやり取りしながらアルバム完成に至ったそうだが、それでも相互作用が働きアルバムの多様性に繋がったのではなかろうか。冒頭の"Viktor and the Quasar"はねっとりしたビートこそヒップ・ホップのそれなものの、感情を吐き出すような歌はソウルで、そこにコズミックな効果音も加えながらフューチャリスティックな空気を纏わせていく。"Malaysian Moped"ではざっくりしたヒップ・ボップのリズムやスクラッチを交えて軽快なビートミュージックをあっさりと聞かせ、そこから艶めかしいベースが躍動しつつしなやかなブロークン・ビーツが跳ねる"Funky Dude"で実に鮮やかで色彩感豊かな西ロン経由のフューチャー・ジャズへと至る流れも、ブラック・ミュージック繋がりで自然と展開する。盛り上がった流れからAjnascentをフィーチャーした"Found!"で湿り気を帯びて哀愁溢れるネオソウルへと落ち着いたり、ファンキーなスクラッチを交えつつアフロ・パーカッションを生かしたハウス寄りの"El Gato"で軽快な流れを保ったり、サックスを生かして大人びた官能を込めたダウンテンポの"Blue Cheese"でムーディーな時間を演出したりと、一曲単位でビート感を遷移させて矢継ぎ早なDJのミックスを聞いているような感覚もある。それぞれの曲が2〜3分の構成だからこそ余計に展開の多彩さが強く感じられるのだろうが、本作ではそのビートの幅広さと変化の速さが魅力の一つに思われる。何年か前からクロスオーバー系の復権の兆しがあったものの、本作を聞くとその予兆は今確かなものとなっていると確信させられる。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ3 | 21:00 | comments(0) | - | |
The Tortoise - The Puffing Tortoise (3rd Strike Records:Strike10)
The Tortoise - The Puffing Tortoise

実直に言うとダンスミュージックに於いてはオーストラリアはそれ程先進的とは言えないが、Torquhil AndersonことThe Tortoiseのように確かな才能を以って評価を集めつつあるアーティストもいる。The Tortoiseは2011年にロンドンの3rd Strike Records(ErdbeerschnitzelやVakulaもリリースするカルトレーベルだ)からデビューを果たし、更にはデトロイトの新興ハウスレーベルであるUndertonesからも作品を送り出し、ビートダウン・ハウス的な作風が高い評価を得ている。そして3rd Strike Recordsに戻っての通算3枚目となるEPには、The Mole & HrenoやRondenionをリミキサーに迎えている。タイトル曲である"The Puffing Tortoise"はフィルターを大胆に利用して展開を付け更にガヤガヤしたファンキーなボイスサンプリングを導入し、過剰なエネルギーを放出するスローモーなビートダウン・ハウスでこれは間違いなくフロアでバカ受けするであろう。それをThe Mole & Hrenoは展開を抑えた冷たいミニマルなテック系へと作り変えて、淡々とした電子音のリフが長い時間をかけてドープに染める印象だ。それとは対照的にカットアップさせたように鋭利な切れ味を強調しつつ、熱量を増幅させるべくファンキーなベースやらギターカッティングが導入されたRondenionのリミックスは、正に彼らしいファンクネス溢れるブギー・ハウスへと生まれ変わっている。そしてもう一曲、"Keep On Keepin On"は金属質なパッド音が執拗に繰り返されスペーシーなSEが飛び交う、ある意味未来的なディスコ・ハウスで華々しいモダンなダンスミュージックだ。まだ作品数は少ないながらも自身の音を確立しており、今後にも期待の出来るアーティストの一人だ。

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| HOUSE7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mankind - Metro City Blues (3rd Strike Records:STRIKE7LTD300)
Mankind - Metro City Blues

謎に包まれたロンドンのディープハウスレーベル・3rd Strike Records(どうやらディスコレーベル・Under The Shadeの別ラインらしい)。Erdbeerschnitzel、The Tortoise、Vakulaなどまだそれ程世に知れ渡っていないアーティストの作品をリリースするも、そのどれもが局所的に高評価を得ている正にアンダーグラウンドと言う言葉が相応しいレーベルです。そんなレーベルの新作は詳細不明のMankindなるアーティストのデビュー作、しかも全世界で300枚限定と言うファン泣かせなリリース。タイトル曲である"Metro City Blues"からして秀逸で、プリミティブなシンセのリフレインとローファイなキックやパーカッションで、まるで大海をゆらゆらと漂流するようなゆったりとしたBPMのメロウな小波に揉まれ、気分も夢見心地なディープハウスに包まれます。裏面の"Come Go"は微妙に黒くジャジーな味も醸し出しつつ、やはりゆったりとしてディープハウス、又は適度に洗練されてビートダウン的な音を聴かせてくれます。更にそれをスムースかつパーカッシヴに仕立て上げたフロアライク仕様の"Honey Soundsystem Remix"も、深みが増しており非常に使い易いハウストラックになっております。デビュー作からして既にベテランの風格を感じさせるMankind、兎に角レーベル共々に目が離せません。

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| HOUSE7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Derrick L. Carter - Nearest Hits & Greatest Misses (Classic:CMCCD108)
Derrick L. Carter-Nearest Hits & Greatest Misses
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ぷっくらと憎めずどこか微笑ましい面構えをしている男、我らが尊敬する愛しきシカゴハウスの重鎮・Derrick Carterさん。しかしシカゴハウスとなりゃ、ファンキーでマッドでシッドでファットでダーティー、糞だ糞!とにかく荒れ狂い汚く、どう聴いたって洗練からは真逆の位置にある。Carterさんはそんなシカゴハウスの歴史を現在に色濃く受け継ぐ大変素晴らしい方でありまして、リミックスワークでも抜群に良い仕事をしてくれています。そして彼のそんなリミックス曲を集めたのが本作なのですが、タイトル通りレアな曲や未発表曲などを収録した貴重な内容となっています。彼の手にかかればどんなオリジナル曲もシカゴハウスに変わってしまうのですが、ポストロックバンド・Tortoiseの曲さえもサイケデリックで廃れた4つ打ちになってしまうのは流石。The Human Leagueのリミックスはもろにニューウェーブな懐古的リミックスで、ミラーボールが回転するディスコの風景が浮かんでくるよ。La TropicanaやThe Beloved、Blair、Modjo、Techniqueらのオリジナルは全く知らないのですが、Carterが手掛けたリミックスは超グルーヴィンで黒さ爆発のファンキーなシカゴハウスで、これぞCarterの醍醐味と言える作品じゃないかな。やっぱりリズムトラック自体が音数は少なくとも芯が通っているし、暴れ出しそうに溢れ出てくるパワーが凄いよね。日本の不良とかつっぱりとは違う、真の意味で不良っぽいワイルドな雰囲気だ。こんな雰囲気を醸し出せる男になりたいねー。



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| HOUSE3 | 23:00 | comments(2) | trackbacks(1) | |
2005/08/27,28 Metamorphose 05 @ 修善寺 サイクルスポーツセンター
先週末は恒例3ヶ月に一度の友達との温泉旅行を兼ねて、伊豆旅行とメタモに行ってきました。メタモ初参戦と言う事で勇んで参加しましたが、結局殆どゴロゴロしながら音楽聴いたりして、まったりとしてましたね。

まずはBOOM BOOM SATELLITES。ラウドでロッキンなエレクトロニックミュージック、いきなり盛り上がっていました。しかし僕はビールをぐびぐび飲んで、遠くで観戦。

その後、友達と一緒にルナーステージに移動して、Q-HeyとMarco Baileyで軽く踊ってきました。久しぶりにガツンガツンの4つ打ちテクノを聴いたけど、やっぱり4つ打ちは素晴らしい。家では聴かないけどクラブなら4つ打ちだろ〜と、しみじみ思いました。
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| EVENT REPORT1 | 23:30 | comments(12) | trackbacks(10) | |
Upcoming Event(今回はまじ(´Д`) ハァハァ)
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

2005/08/27 (SAT) metamorphose05 @ サイクルスポーツセンター伊豆修善寺
LIVE:GALAXY 2 GALAXY、TORTOISE、GREEN VELVET、ISOLEE
ROVO、BOOM BOOM SATELLITES、HIFANA...and MORE!!

DJs:MARCO BAILEY、EYE、FUMIYA TANAKA、QHEY、KAORU INOUE
KIHIRA NAOKI、DJ BAKU、DJ SHIRO THE GOODMAN、DJ NOBU...and MORE!!

2005/07/08(FRI) CLASH07 @ ageHa
Arena DJs :JUAN ATKINS、FUMIYA TANAKA、HITOSHI OHISHI
LIVE:CO-FUSION

2005/07/17 (SUN) DEMENSION K presents 2300 A.D. @ ageHa
Arena DJs :DERRICK MAY、STACEY PULLEN
Water Bar :IAN O'BRIEN、K.F. a.k.a. Calm、KENTARO IWAKI

2005/07/22 (FRI) STANDARD 2 feat. KEN ISHII & FABRICE LIG @ AIR
DJs :Ken Ishii and more
Live :Fabrice Lig aka Soul Designer

2005/07/24 (SUN) LIQUIDROOM 1st ANNIVERSARY MAHOGANI MUSIC presents MOODYMANN LIVE IN JAPAN 2005
Live : Moodymann with Andres+Piranha Head+Paul Randolph+Roberta Sweed+Nikki-O
DJs :Andres、Pirahana Head

もう何も言うまい…全て必要不可欠。東京で見る事が出来なかった人にとってGalaxy 2 Galaxyは奇跡の再来日だし、Moodymannのフルバンドでのライブも日本初(前回はアメリカテロ事件でバンドでの来日がお釈迦になっています)。Derrick Mayとその愛弟子STACEY PULLENの競演に、先日来日したばかりのIAN O'BRIENがまた来る。そして日本初のSoul Designerのライブと、どれも見逃せない物ばかり。夏に向けてイベントが目白押し、こりゃスケジュールがしんどいわ。
| UPCOMING EVENT | 23:40 | comments(3) | trackbacks(0) | |