Tomi Chair / Tominori Hosoya - Tropical Imagination (Scissor and Thread:SAT039)
Tomi Chair Tominori Hosoya - Tropical Imagination
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Francis Harris主宰のブルックリンのScissor and Threadの新作は、ここ数年作曲家としてワールドワイドで知名度を獲得しているTominori Hosoyaによるもの。今作では別名義となるTomi Chairの作品も収録したスプリット盤で、リスナー側からはこの名義の違いを正確に把握する事は出来ないものの、ここでは『Tropical Imagination』というタイトルが示唆するように熱帯の鮮やかな色彩に満ちた豊かな世界観を彼らしいエモーショナルかつ美しいサウンドで表現している。透明感と爽快感を伴うパッドから優雅なピアノが沸き立つ開始の"Tropical Imagination"は、そこからフラットな4つ打ちと水飛沫のようなパーカッションも加わって、ひたすら流麗な電子音が複数絡み合う中を縫うようにピアノが展開し、これとHosoyaと呼ぶべきエレガントなディープ・ハウスだ。このEPで注目すべきは特にピュアなアンビエント性が打ち出されている事で、"Tropical Imagination (Dream Version)"はビートを抜いてピアノや電子音を浮かび上がらせる事で、途端に微睡みのアンビエント性を獲得した正に夢に溺れるバージョンで、一際美しい世界観が創造されている。"Heat Exhaustion"は完全にアンビエントへと振り切れており、蒸気のようなドローンが満ちながらその中に点々とした電子音を散りばめて静謐な雰囲気を作り出し、最終的には静かに霧散する。本EPで唯一となるTominori Hosoya名義の"We Are Here"もアンビエントだが、鳥の囀りなどのフィールド・レコーディングに厳かなパッドを合わせ、そして爽快に抜けるダビーなパーカッションが大きな空間性を演出し、ゆったりとビートが胎動しながらスケール感の大きさに包まれる。またレーベルオーナーであるHarrisも"Heat Exhaustion (Francis Harris Reform)"を提供しているが、ビートレスだった原曲にゆったりとしながらもパーカッシヴでダウンテンポなリズムを加え、濃霧によって視界も揺らめくような幻惑するレフトフィールドなハウスへと生まれ変わらせている。かなりアンビエントへと向かった本作は意外ながらもしかし情緒的なメロディーやムードを尊重するHosoyaの音楽性があるからこそ、このアンビエントも自然と馴染んでおり忙しない現実から一時でも離れる白昼夢へと浸らせれくれる。



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| TECHNO14 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tominori Hosoya - Halfway (TH Pressing:THPVLP01)
Tominori Hosoya - Halfway

DJというスタイルが基本的には中心にあるダンス・ミュージックの業界、その中で自身で曲を送り出す事はある程度はプロモーション的な意味合いがありそれが本業でない事は多々あるが、逆にDJをせずにプロデューサー/作曲家として自身の音を生み出す事に専念するアーティストも多くは無いが存在する。東京を拠点にTomi ChairとTominori Hosoyaの名義を並行させて活動するこのアーティストは間違いなく後者に属するアーティストで、ここ数年はdeepArtSoundsやSoul Print Recordingsを含む様々なレーベルからアナログの形態で作品がリリースされ、それらの曲が世界中の有名なDJからもサポートされてきた実績も鑑みれば、彼がそういった創作能力の高いアーティストである事に異論は無いだろう。人気レーベルから引く手数多なHosoyaはこれまでに多くのEPをリリースしてきたが、2018年9月遂に自身のTH Pressingから自身の半生をテーマにしたアルバムを送り出した。先ず内容に関して言えば過去の作品の延長線、それは透明感や清涼感のある美しいシンセの響きとパーカッシヴなリズムを武器とした感情的なディープ・ハウスであり、つまりはHosoyaというアーティストを実直に表現したアルバムという点に於いてファンが期待している内容そのものだ。オープニングには2016年にリリースされた『Love Stories EP』(過去レビュー)から異なるバージョンとなる"We Wish 2 Cherry Trees Bloom Forever (Full Length Version)"が抜擢され、からっと乾いた抜けの良いパーカッションのリズムから始まり、じわじわと湧いてくる叙情的なシンセと天井から降り注ぐような耽美なピアノの旋律が湿り気を帯びた情熱となって、冒頭から実に感動的なディープ・ハウスを展開する。こういった作風はHosoyaの特徴であり、シンセの厚みのあるレイヤーが荘厳な景色を描き出す"Love You Again"やより疾走感のあるビートを活かしつつ薄くも美しく伸びるパッドと動きのあるシンセのメロディーで躍動感を出した"Beautiful Lives"なども、安定感のあるハウスの4つ打ちと感情性豊かなメロディーとコードによるテック・ハウスの作風が見事にアーティスト性を表現している。アルバムという形態だからこそ一辺倒にならない展開の工夫もあり、"Cycling (Sunday Evening Version)"ではリズム抜きの荘厳なパッドが覆う中をエレガントなピアノが滴り落ちるアンビエントを聞かせ、"Weekend Othello"ではぐっとビートを落とした事で複数のシンセの響きもじっくりと耳に入りメロウネスを増したダウンテンポを披露し、そして"Interlude Of Life"における子供の呟きもフィーチャした何処か童心に返ったような懐かしさも感じさせるチルアウトもあるなど、ただ勢いに任せただけのアルバムではない。そして終盤以降は再度クラブでも映えるパーカッシヴかつ情緒豊かな旋律に引っ張られる壮大なテック・ハウス/ディープ・ハウスを通過し、最後は深い濃霧のような叙情的なシンセの層の中で清らかなピアノが感情を揺さぶるアンビエント性の強い"Scenery From Halfway"でしっとりしながら霧散する。アルバムという形態を念頭に置いたであろう起承転結な構成があり、そして過去を振り返りつつも未来へと突き進むべくポジティブな感情に満たされた音楽は、決して抑圧的なグルーヴは無くとも感情性の強さが芯にあり心に響くものだ。一旦はキャリアにおける総決算と呼んでも過言ではない充実したアルバムとなったが、その歩みは2019年となった今でも全く止まっていない。



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| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tominori Hosoya - Moments EP (Lights:LIGHTS 01)
Tominori Hosoya - Moments EP

2018年はキャリア初のアルバムをリリースするなど、今まで以上に躍進を果たしたのがTominori Hosoya。Tomi Chairの変名も含めれば随分と長い活動歴を持ち、ここ数年はTH PressingやTC Whiteなど自身のレーベルも立ち上げて、自身の作品をリリースする傍らでは音楽性に共感するアーティストの作品も送り出したりと、音楽に対する熱意は高い状態を保っている。そして2018年に新たに立ち上げられたレーベルがLightsで、他のレーベルとの違いについては把握していないものの、音楽性自体はHosoyaらしい透明感や爽快感にエモーショナル性が込められたテクノ/ハウスとなっており期待を裏切らない内容だ。本作は実は既発の曲も含まれているのだが、2017年に配信で他のレーベルからリリースした作品が、しかしそれらはレーベルの消滅と共にオンライン上から失われてしまったそうで、そんな曲のアナログとしての形での復活に加え未発表バージョンや新曲も収録する事で、新たな一枚として完成した。"Midnight Drive On St. Valentine"はその失われた1曲で、叙情性豊かなシンセのメロディーとパーカッシヴなグルーヴで快活に走り抜けるディープ・ハウスは爽快感抜群で、底抜けに青い大空へと吸い込まれていくようだ。コンガらしきパーカッションが心地好く空を抜ける"Palm Springs (Pure Memory Version)"も安定感あるビートが続きながら疾走するハウストラックで、エモーショナルで澄み切ったシンセの美しさはあるもののしかし空間を埋め尽くされないように音を選んだすっきりした構成で、そのおかげかより疾走感が活きている。"Mother's Pride"は失われたもう1曲、どっしりと重いキックが安定したグルーヴを刻みそこにアトモスフェリックな上モノが覆い被さっていくアンビエント色強めなディープ・ハウスでだが、薄っすらと情緒を発する中に入ってくる豊かな色彩感のあるメロディーによって壮大な景色が広がっていく。最後の"Slow Growth In Womb"は新録で水蒸気に満たされたようなしっとりとしたアンビエントの雰囲気に中にキレのあるハイハットやずっしりしたキックがリズムを作り、シュワシュワと情緒が溢れ出してくる上モノのシンセが持続する曲は、しかし他の曲に比べるとやや密閉されたフロアで鳴るテクノ的な印象を受ける。野外の開放感、または暗き闇が支配するフロアなど曲によって受け取る雰囲気は異なるが、しかしどれにもHosoyaらしい情感豊かなシンセによる耳を引き付けるメロディーが魅力的に存在しており、エモーショナルな響きが体の隅々まで伝わってくる。



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| HOUSE14 | 18:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tominori Hosoya - Winter EP (Night Vision Records:NV030)
Tominori Hosoya - Winter EP
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キャリア初となるアルバムが待ち構えているTominori Hosoya、またTomi Chairとしても東京を拠点に活動する生粋の作曲家は、今アーティストとして春を迎えている。deepArtSoundsやSoul Print Recordingsを始め世界各地のレーベルから引く手数多の存在と言っても過言ではなく、耽美なピアノや水しぶき弾ける爽やかなシンセの叙情感に爽快なパーカッションを用いたリズムから生まれるロマンティックなディープ・ハウスは、彼の音楽を象徴する個性となっている。そんな音楽性に魅了されたのだろうか、デトロイトの重鎮の一人であるOrlando Voornが主宰するNight VisionからHosoyaの作品がリリースされようとは、まさか誰も予想出来た者はいないだろう。レーベルの音楽性としてはややハードで無骨なテクノが多いのでHosoyaの音楽性の親和性という点では未知数なところもあったのだが、もしエモーショナルや叙情性という言葉で現される心を突き動かす要素という面から捉えれば、全くずれているわけでもないのだろう。タイトル曲となる"Winter"は正にHosoyaの音楽性そのものであり、天井から降ってくるような清々しく美しいピアノのメロディーとモヤモヤとしながらもエモーショナル性の強いシンセストリングスの融和を用いており、そこに軽く浮遊する如く爽快な4つ打ちのハウスビートを走らせて、空へと舞い上がって大空で遊泳を楽しむドラマティックな世界観は底抜けにオプティミスティックだ。そこにVoornが手を加えた"Winter (Orlando Voorn Mix)"は神秘的な女性のコーラスや内向的なシンセのリフも加え、何処か宗教的というか神秘的で謎めいたテック・ハウスへと生まれ変わっており、デトロイトのエモーショナルという共通項を残しながらも滑らからに研磨されたビート感が心地好い。"06 March 2015"もタイトル曲と同様で動きのあるシンセとキレのあるパーカッシヴなリズムで疾走するように引っ張りながら、中盤から入ってくる身体を洗い流す如く降り注ぐピアノの粒が滴り落ちてくると途端に抒情性を増し、清涼感溢れるピュアな空気に満たされる。そしてラストは彼のアンビエント/チルな方向性が打ち出された"Reminiscence (49 Days Later)"で、ダビーで爽快なパーカッションで奥深い空間を創出しながらしっとりした重心の低いビート感でしっかりと地を掴み、オーロラのような幻想的なシンセを伸ばして情緒深さで空間を埋めていく流れは、パーティーの朝方のフロアを癒やす時間帯にもはまりそうだ。どの曲もやはりピアノの旋律やシンセの美しい響きが際立っておりメロディーを大切にしているのが率直に伝わってくるが、その上でフロアの中で全身で浴びても爽快なビート感も共存しており、心から素敵な曲を作るアーティストだと思わずにはいられない。



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| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tomi Chair & Tominori Hosoya (Matilda Vinyl:MAT021)
Tomi Chair & Tominori Hosoya

近年めきめきと注目を集め、そしてもうすぐ初のアルバムリリースを控えている旬のアーティストであるTominori Hosoya。別の名義であるTomi Chairの活動を含めても音源をリリースし出してから今年で10年目、待望のという表現が相応しいが、本作は2017年12月に発売された両方の名義を含むEPだ。2つの名義の明確なコンセプトについては不明なものの、何となく音から判断すればテクノ寄りのTomi Chair、ハウス寄りのTominori Hosoyaという印象を持っているが、このEPではその2つの要素が境界をぼかしながら融合しているようだ。Tomi Chair名義では3曲提供しているが、"Phantom"というタイトル通りに実態の無い幻影的な空間の広がりを感じさせるこの曲は、その軽やかでダビーなパーカッションの響きやドリーミーに伸びるパッドの使い方が如何にも彼らしく、爽快感を伴って上昇気流に乗るようだ。ハウスのグルーヴ感とテクノの強固さが混在し、豊かなコード展開を繰り広げてすっと浮遊するように盛り上がるエモーショナルな曲。"Malaise"では芯が太いキックによる安定した4つ打ちにモヤモヤとしたシンセが上下しながら疾走するテック・ハウスで、時折ディレイ処理で空間を埋めたりと壮大さの演出もあるが、別バージョンである"Malaise (Calm Version)"ではその穏やかなというリミックス名の通りにビートレスになりつつ、空気感のある上モノが幻想的な濃霧が広がるように満ちていくドリーミーなアンビエントへと変化している。ラストはTominori Hosoya名義の"Birthday (4x4 Version)"で大らかな雰囲気のあるディープ・ハウスはこのEPの中でも最もエモーショナルで、眠気を誘うようなアンビエント性の高い上モノがじんわりと侵食しつつ水しぶきが弾けるようなパーカッションも時折入って、霧が立ち込め清涼な空気が満ちる森林浴をしているような爽快感に包まれる。2つの名義が収録された事でテクノからハウスの中庸的な内容となっているが、その上で彼の音というものが確率されており、アーティストとしての存在感を更に強めている。



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Various - Deep Encounters Vol. 1 (Bucketround:Bucketround 009)
Various - Deep Encounters Vol. 1

Manuel Costelaが主宰するスペインのBucketroundからの新作は4アーティストによるコンピレーション作だが、そこに連ねる名前を見れば例えレーベルには疎くとも少なからず興味を惹かれるのではないか。Manuel Costelaを筆頭に日本からはTominori Hosoya、スイスからはAllstarr Motomusic、スペインからはJesus Gonsevと雄大で綺麗めのディープ・ハウスに関しては誰もが一目置かれる存在であり、本作に於いても現在形のモダンなハウスを存分に発揮している。4アーティストが集まりながらも各々が繋がりを持った関係であり、だからこそコンピレーションとしての纏まりもあり、単に知名度だけに頼った纏まりのないコンピレーションとは一線を画している。Gonsevは滑らかで流麗なシンセのコード展開を軸にキレのある4つ打ちのハウスグルーヴで疾走し、スポークンワードを効果的に用いて壮大な空の広がりを感じさせる"Terminal 5"を提供しており、清々しく爽快なハウスを聞かせる。そしてHosoyaによる"Strider Practice"は彼らしい透明感のあるシュワシュワとしたシンセが何処までも伸び、爽快な効果音やポコポコとした抜けの良いパーカッションによって大空へと上昇気流に乗って飛翔するような展開で、優雅に空の中を舞い踊る。対して裏面の2曲は内向的でアンビエントな趣きもあり、Allstarr Motomusicの"Pulsate"はコズミックなシンセが小刻みな揺れ動きながら幻想的なパッドで包んでいく微睡みのディープ・ハウスで、ぐっとテンポを落とした事で深い瞑想の中へと誘い込まれていく。そして主宰者であるCostelaが手掛けた"Mind Purveyor"はカラッとしたパーカッションが鳴りながらも隙間を活かしたすっきりした作風で、薄っすらと情緒的なシンセで繊細なメロディーをなぞり淡い夢の中を彷徨うような甘い陶酔のディープ・ハウスで、少ない音数で上手くメランコリーを引き出している。弾けてアッパーな曲からダウナーな曲までどれもこれも淡くも心に沁みる情緒を含んだディープ・ハウスは一聴して耳を惹き付ける程の魅力があり、本作によって彼等の実力を伝えるには十分な内容で、素晴らしいレーベル・コンピレーションと言えよう。

| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ron Trent - Dancin' Remixes (Headphoniq:Q-013)
Ron Trent - Dancin Remixes

シカゴ・ハウスのレジェンドであるRon Trentの新作は、4曲全てがリミックスの異色作。元々はシカゴ・ハウスのレーベルであるHeadphoniqから2014年にリリースされたコンピレーションの中の1曲として発表されたものを、この度レーベル側の人選だろうか、シカゴからは若手のEd NineとベテランであるJordan Fields、そして日本からは著しく評価を高めているTominori Hosoyaの変名であるTomi Chairと日本のハウス・ミュージックの大ベテランであるToru S.らによってリミックスを行い、それらを一枚のEPとして纏めたのが本作だ。"Ed Nine Remix"は一番オリジナルの雰囲気に近いだろう、流麗なパッドのコード展開やシンセストリングスをそのまま前面に打ち出しつつ、幾分か優しく滑らかに研磨したようなスムースなビートへと作り変えて、上品でエモーショナルなディープ・ハウス性を表現している。一方で"Jordan Fields Remix"は上モノの音を削りながら、リズムは逆に粗く太く逞しくと骨太さを打ち出して、仄かに情緒的な部分は残しつつも全体の雰囲気としてはシカゴ・ハウスの荒削りな面を強調したファンキーなハウスになっている。オリジナルから完全に自身の個性に塗り替えているのは"Tomi Chair Remix"で間違いなく、天井から降り注ぐような神聖なピアノの響きや透明感のある伸びるパッドで多幸感を発しながら、軽やかなパーカッションも加えて浮遊感のあるトライバル・ビートで疾走するディープ・ハウスは、正にHosoyaの作品である事を強く宣言している。そして"Toru S Remix"も繊細に響く綺麗なヴィブラフォンの旋律を加え優雅に雰囲気に変化させつつ、スムースで柔らかいビート感によってしっとりしたハウスへと生まれ変わらせており、こちらもリミックスの技が存分に発揮されている。4リミックスの中では日本人アーティストによる2曲がリミックスとしての面白み、そして曲そのものの出来としても秀でており、フロアを幸せな気持ちで満たす事が出来るだろう。



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Allstarr Motomusic, Manuel Costela - Love Souls (TH Pressing:THPVS04)
Allstarr Motomusic, Manuel Costela - Love Souls

感情的な響きを武器にテクノ/ディープ・ハウス方面で躍進を続けるTominori Hosoyaが、どちらかと言うと自身の為ではなく他のアーティストの後押しをすべく感情に訴えかける音楽性に共感するアーティストの作品をリリースするレーベルがTH Pressingで、過去にもAnaxanderやRennie Foster、Life RecorderやTakuya Yamashitaらのまごうことなきエモーショナルな曲をリリースして確かな評価を獲得している。そんなレーベルの新作はdeepArtSoundsを主宰するDan PiuのプロジェクトであるAllstarr Motomusic、そしてスペインのディープ・ハウスで知名度を高めつつあるManuel Costelaによるスプリット盤だが、両者とも同じEPにHosoyaの曲と共に収録されたりと音楽的な共通項があるのは間違いない。A面にはAllstarr Motomusicによる2曲が収録されているが、爽快に広がるダビーなパーカッションを用いつつ豊かな色彩感覚を持ったシンセのメロディーや開放的なボーカルで青々しい空を突き抜けていくディープ・ハウスの"Night Romance"からして、滴り落ちるようなピアノの旋律も入っていてHosoyaの清々しくエモーショナルな音楽観と合致している。"Light Of The Soul"の方も微睡んだシンセによってドリーミーな開始から、ゆったりと大らかな4つ打ちのキックが刻む中を清々しい女性ボーカルで抱擁するような柔らかい質感のディープ・ハウスで、淡い色彩で滲んだ風景画のような美しさを含んでいる。B面はCostelaが担当しており、凛とした輝きのあるピアノを軸にジャジーなリズム感で揺蕩うように心地良いビートを刻む"Sunshine Love"ではボーカルがしっとりソウルフルな雰囲気に繋がっており、優しく情熱的なハウスだ。一方"Hurt"ではブレイク・ビーツながらも勢いを落ち着かせて透明感のあるパッドやしっとりとしたシンセによって温かみと仄かな情緒感を打ち出したメロウな曲で、控えめに官能を誘うボーカルも相まってムーディーな世界観を作り上げている。4曲とも心に訴えかけるエモーショナル性を伝えるハウスは、確かにHosoyaの音楽性と共鳴するのは間違いなく、だからこそ自信を持ってTH Pressingから送り出す事が出来たのだろう。



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Tomi Chair - Music Is My Life (Gabcat Records:GABCAT 009)
Tomi Chair - Music Is My Life
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日本よりも海外で評価された事で逆輸入的に日本でもその知名度を高めているTominori Hosoya、その音楽性は清涼で透明感ある美しいシンセワークを軸に無限の空の如く開放感ある世界観が特徴で、機能性に収束するのではなく響きの豊かさに秀でたディープ・ハウス〜テクノによって聞く者を魅了する。実際にここ2〜3年のリリースペースは鰻登りで海外のレーベルから作品を出す機会は増えているが、この新作もドイツの新興レーベルであるGabCat Recordsからとなり日本に居ながらにして海外に於いて音楽的に確かな評価を獲得している事を示唆している。本作にはオリジナルが2曲、そして他にKaito名義でも活躍するエモーショナル・テクノに於いては随一のHiroshi Watanabe、そしてBPitch Control等で活動するフィンランドのKikiがリミックスを提供しているが、どれも非常にエモーショナル性が強いのは当然として更にトランシーな感覚がある点が特徴だ。タイトル曲の"Music Is My Life"は正にHosoyaの個性が現れており、モヤモヤとしながらも透明感のあるシンセや空へと抜けていく爽快なパーカッションを響かせ、軽快に疾走するディープ・ハウスの中にアンビエント的な流れも挿入され、優美な空気を纏って空高く飛翔するような清々しいエモーショナルな曲。そして"Music Is My Life (Hiroshi Watanabe a.k.a Kaito Remix)"では独自に薄く伸びていくパッドやシンセのリフで光を纏う装飾を行い、また激しさも伴うハイハットなどでリズムも力強さを増し、全体として清々しいトランシーなサウンドを強めてKaitoらしい激情的な展開を繰り広げるリミックスへと生まれ変わっている。一方で"Autumn"は抜けの良いパーカッションが鳴りながらもどっしりとしたリズムが地に根を張るように安定感のある4つ打ちを刻み、じわじわと底から盛り上がってくる持続性のあるディープ・ハウスだが、徐々に視界が開けるような爽やかなシンセのメロディーが入ってくれば途端にHosoyaのエモーショナル性に染まっていく。面白いリミックスになったのは"Autumn (Kiki Remix)"で、鈍いパーカッションを用いながら躍動感や疾走感のあるリズムで心地良いが、上モノは相当に快楽的でトランス要素が前面に出ており、やや暗い雰囲気から妖艶な覚醒感を発するテクノへと一変している。Hosoyaらしさが存分に発揮されたオリジナルも、ドラマ性やトランス感を更に獲得したリミックスも、どれも豊かな響きを持ったダンス・トラックでフロアをきっと鮮やかに照らしてくれるに違いない。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
SofaTalk - Diforisma (Cognitiva Records:CR001)
SofaTalk - Diforisma

イタリアの若手アーティストであるPiero PaolinelliことSofatalkによる新作は、オリジナルが4曲の上に4アーティストによるリミックスも含めて8曲と、EPにしては大きなボリュームと多彩な音楽性が詰め込まれている。Sofatalk自身はディスコやファンクにジャズ等に影響を受けた事を公言しており、2015年作の『Floating Thoughts』(過去レビュー)においてもディスコに強く影響を受けたモダンなハウスを披露しており、まだ作品数は多くはないものの注目をしているアーティストの一人だ。本作ではリミキサーを多く起用する事でより音楽的な拡張性が進められており、SofaTalkの音楽性がよりバラエティーに富んだものへと発展している。始まりは今人気上昇中のTominori Hosoyaの変名であるTomi Chairによるリミックスの"Tomi Chair's Feeling of Nature Intro"で、美しいパッドの中にピアノが天上から降り注いでくるような響きが神々しく、この静謐なアンビエントは正にHosoyaの作品として生まれ変わったと言っても過言ではない。続くはSofatalkによる"Diforisma"はざらついてリズミカルなブロークン・ビーツとエモいサクソや木琴系の音や煌めくキーボード使いと、ワンマンプロジェクトとは思えないライブ感があるジャズ・ハウス風で、展開の多さによってスウィング感も抜群だ。それをロンドンの若手アーティストがリミックスした"Diforisma (Z Lovecraft Remix)"は、より西ロン系ブロークン・ビーツとしての方向性を推し進めてしなやかなリズムと華麗な雰囲気を纏っている。"Terraforma (Theme from Smoke)"もつんのめった変則リズムが印象的で、そこにカリンバらしき可愛らしいメロディーや陶酔感あるキーボード使いにぶいぶいとしたファンキーなベースを用い、やはりジャズやファンクからの影響を公言しているのも納得な作風だ。ロシアン・ハウスのYuri Shulginが手掛けた"Paradigma (Yuri Shulgin Remix)"は原曲のジャジーな雰囲気を残しつつもビートダウン風に落ち着かせて、控えめにアシッドなベース・ラインやコズミックなSEを織り交ぜて何か本場デトロイト・ハウスにも聞こえてくる。一方でChicken LipsのメンバーでもあるStevie Koteyによる"Paradigma (Stevie Kotey Remix)"は、原曲からそれ程乖離させる事はなくリズムをディスコ・ダブ風な4つ打ちに仕立て、展開を抑えた事でズブズブと深みにはめるような音楽性。DJツールからリスニング曲までバランス良く収録されており、EPとは言えども内容の濃い一枚である。残念ながら日本にはアナログは入ってこなかったが、配信でも購入出来るので是非聞いてみて欲しい。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Wishes & Memories Vol.2 (TH Pressing:THPVS 03)
Wishes & Memories Vol 2

トラックメーカーとしてその才能に知名度も追い付きつつある東京在住のTominori Hosoyaが、2014年に始動させたレーベルがTH Pressing。2016年までに2枚のEPのみしかリリースしておらず決して活発とは言えないが、その分だけHosoya自身もクオリティーには細心の注意を払っており、2016年にリリースされた『Wishes & Memories Vol.1』でも4人のアーティストがピュアで透明感あるサウンドや清々しいエモーションを放つ音楽性を展開し、Tominoriが共感し目指す音を示していた。そしてそのシリーズの第二弾が到着したが、ここには日本からエモーショナルな音楽性でCadenzaにも取り上げられたTakuya Yamashita、デトロイト・フォロワー系の音楽性で注目されるLife Recorder、エジンバラのディープ・ハウサーであるBrad P、スペインからはErnieと単に有名なだけのアーティストを集めたコンピレーションとは一線を画す内容重視の作品となっている。Life Recorderによる"While She Dreams"は正に期待通りだろう、透明度を保ちながらすっと伸びていく上モノと乾いたパーカッションの爽やかなグルーヴによって、青々しい空の中へと飛翔するような浮遊感溢れるディープ・ハウスでエモーショナルと呼ぶ音に相応しい。Ernieによる"Dynamic Workflow"は逆にリラックスしたビートがしっかりと地に根を張っており、仄かに情緒的なパッドの下では刺激的でダビーなパーカッションが鳴り響く事で広がりを感じさせる。一方Brad Pは最もテクノ的なダークさと無駄を排したミニマル色の強い"Grey Blue Passion"を提供しており、闇の中に恍惚を誘う電子音を配置しながら暗闇を潜行するようなトリップ感を演出。そして最も意外だったのはTakuya Yamashitaの"Somewhere"で、ノンビートのアンビエント・スタイルを披露したこの曲は夜空に瞬く星の煌きの如く美しい旋律を奏でて、広大な宇宙の無重力空間で遊泳をするような感覚に包まれる。どれもこれも作風は異なれどエモーションや美しい響きに軸が置かれTominoriの目指す音楽性と共振するのだから、もしTominoriの音楽に惹かれている人ならば是非とも聞いてみるべきだろう。

| TECHNO12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tomi Chair - Warm Seasons EP (TC White:TCW 1)
Tomi Chair - Warm Seasons EP

ここ1〜2年で大きな飛躍を見せつけたTominori Hosoya、その美しい響きと清涼感や開放感あるディープ・ハウス〜テクノは世界のDJをも魅了している。また、2014年にはTH Pressingを立ち上げて自身の作品だけではなく世界各地の音楽的に共鳴をするアーティストの作品をコンパイルしてリリースするなど、他アーティストの背中を後押しする事でこのシーンへの貢献を果たしている。そんな彼の別名義としてTomi Chairの活動もあるのだが、恐らくその名義でのリリースが中心になるであろうTC Whiteを2016年に立ち上げており、その第一弾となる作品が本作なのだ。オリジナルはB面に3曲収録されており、EPのタイトルが示すように温かい季節をイメージして爽やかさや新鮮な空気が満ちる音楽性が展開されている。生命の目覚めの時である春、それを示す"Spring"では正に光が射し込み鼓動を刺激するドラマティックな始まりで、淡々と透明度の高い清水が湧き出るようなピュアな世界観だ。"Summer"ではゆっくりとしながらも力強く地面を蹴るような4つ打ちに爽快感溢れるパーカッションを組み合わせ、そこにHosoya得意の色彩豊かなシンセのアルペジオを用いて、夏の活動的な生命力が溢れ出す嬉々としたディープ・ハウスを披露。"Morning Bird"は一転してダウンビートと言うか控え目なグルーヴ感で、幻想的な霧に包まれた早朝の時間帯からの目覚めのようなアトモスフェリックな音響処理が心地良く、アンビエント感もある微睡んだ曲だ。ややリスニング向けであったオリジナルに対し、リミックスの2曲は完全にフロア仕様で真夜中のピークタイムにもしっかり嵌るタイプの曲だ。スイスの新鋭であるPascal Viscardiが手掛けた"Spring (Pascal Viscardi Mystic Juno Mixx)"は、透明感は残しつつも図太いボトムや軽いアシッド・ベースも加えて突進するような攻撃的なテクノへと変化させており、上手くバランスの取れたダンス・トラックだろう。そしてイタリアのシカゴ・ハウス狂のSimoncinoによる"Summer (Nick Anthony African Morning Mix)"、歪んだキックやダークなSEでがらっと悪っぽいシカゴ・ハウスの雰囲気へと変容させ、物哀しく郷愁も帯びたシンセのメロディーが暗さの中でよりエモーショナルに響く。原曲とリミックスの対比の面白みはあるが、ここでもHosoyaのメロディーへの拘りやアトモスフェリックな質感が個性と感じられ、アーティスト性の確立へと繋がっている。アルバムを期待せずにはいられない。



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| TECHNO12 | 07:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
BEST OF 2016
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。今年も例年と変わらず音楽/パーティー三昧…とはいかず、私生活の変化により忙しくなりなかなか音楽へ時間を割く事が出来ない一年でしたが、それでも音楽に対する情熱は全く変わらず新しい音楽への探求が途切れる事は変わりませんでした。パーティーに関しても新風営法が現場の感覚にはやはり馴染んでいないと感じる点がありつつも、新しいクラブが生まれ少しずつではあるけれどこの業界も活気を取り戻しているようにも思われ、ダンス・ミュージックの未来に展望が見えてきた年でもありました。当方は今後も毎週のようにパーティーに行く事は出来ないと思いますが、来年も新しい音楽も古き良き時代の音楽も分け隔てなく楽しみ、そして素晴らしい音楽をこのブログでアウトプットしていく事を続けられたらという気持ちは変わりません。そんな気持ちで選んだ年間ベスト、皆様の素敵な音楽ライフに少しでも参考になれば。それでは、来年も良いお年を!

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Tominori Hosoya - Love Stories EP (Minuendo Recordings:MND35)
Tominori Hosoya - Love Stories EP

Tomi Chair名義でも活動するTominori Hosoya、彼自身が今年最も楽しみにしていたという作品が本作で、「愛」の記憶や想いからインスピレーションを得て作成されたと述べている。Hosoyaは元々デジタル配信によってリリースを続けていたが、2014年からは自身の運営によるTH Pressingを立ち上げてからはアナログへと媒体を移し、それ以降はdeepArtSoundsやMixx Recordsといった著名なレーベルにも才能を認められ作品をリリースするなど、今注目を集めているアーティストの一人になっている。大雑把に言えばディープ・ハウスのジャンルに括られるのであろうが、耽美なピアノの使い方や清涼感や透明感のある響きは彼の武器でもあり、新作を出す毎に個性に磨きを掛けている。そして本作でもそれは同様で、"We Wish 2 Cherry Trees Bloom Forever"ではうっとりと酔いしれるような耽美なピアノの旋律が天上から降り注ぐようで、そこに透明度の高い優雅なパッドを被せてこれでもかとピュアな響きを聞かせ、爽快な水飛沫を上げるような弾けたリズムと相まって軽快に疾走する。その異なるバージョンとして"We Wish 2 Cherry Trees Bloom Forever (Spring version)"はリズムを抜く事でよりピアノやシルクのような滑らかな音響が際立ち、体の隅々まで清流が染み渡るようなアンビエント感覚が発揮されている。"End Of One Love"も同様にビートレスの作風で、神々しい女性のボーカルも用いる事で天上へと迷いこんだ如く神秘的な空気を帯びたアンビエントで、何処までも美しいサウンド・スケープが広がっている。裏面は幾分か圧倒的な神々しさは抑えて控え目ではあるものの、太く安定したキックとコンガらしき豊かなパーカッションが爽快なグルーヴを生むすっと伸びるディープ・ハウスの"Kiss & Wine"、もう少し硬めのパーカッションを用いて弾ける感覚と甘く夢のようなピアノのリフレインですっと白昼夢に溺れる"First Love"と、これらは目立ちすぎる事なくよりフロア向けに他の曲と馴染むだろう。余りにも美しい本作の曲はやはりパーティーの朝方、フロアが光を帯び始める時間帯に聴くのが良いだろうか、きっと満ち足りた至福の時間帯を作り出す事だろう。



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Tominori Hosoya - Life Goes On EP (Mixx Records:mixx-22)
Tominori Hosoya - Life Goes On EP

長らくTomi Chair名義で活動をしていた邦人アーティスト、2014年からはTominori Hosoyaとして作品をリリースするようになり、清楚な空気と爽快な浮遊感を伴うディープ・ハウスを武器として海外でも注目度を高めている。新作はUSはニュージャージーのMixx Recordsからとなるが、ここでもHosoyaの作風は流行に埋没する事はなく自身の個性を主張しているようで、実に清々しいまでのディープ・ハウスを披露している。タイトルからして希望が感じられる"Over The Sadness"は爽快なシンセの上モノと軽快に疾走するリズミカルな4つ打ちを軸に、持続感を伴いつつ音の抜き差しで程良いブレイクも作る事で緩急を付け、DJミックスに対する機能性を含みながらもメロディアスな作風が如何にも彼らしい。一方で"Strategy Meeting"はアシッドのベースラインと刺激的なパーカッション、そして崩れたビートで肉体的な揺さぶりを掛けるタイプのハウスだが、途中からすっと浮かんでくる爽快感溢れるパッドによって情熱が爆発するような感情の揺さぶりも同居している。裏面の"32-33 (One Decision)"も異なるタイプだがそのアンビエント性の高さは特筆すべきで、エキゾチックなパーカッションと弛緩したハウシーなグルーヴに透明度の高いパッドの広がりから、そして天から降ってくるようなピアノの響きはまるでパラダイスか、夢と現実の狭間を行き来する快適なアンビエント・ハウスになっている。そしてレーベル主宰のBrothers' Vibeもリミックスを提供しており、"Strategy Meeting (Brothers' Vibe Remix)"は原曲から打って変わって4つ打ちへと姿を変える事で揺れる感覚から骨太な疾走感のグルーヴへと変化し、闇が似合うアンダーグラウンド性の強さを纏っている。しかしこの作品の中でやはり魅了されるのはHosoyaのオリジナル3曲で、どれもグルーヴ感は異なるものの音色の綺麗さや情感を伝える世界観はどれも共通しており、体の隅々まで清涼さが染み渡るだろう。



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Tominori Hosoya - Recollections EP (deepArtSounds:dAS010)
Tominori Hosoya - Recollections EP

2012年から作品をリリースしているスウェーデンの新興レーベルであるdeepArtSoundsは、そのカタログにAnthony NicholsonやRon TrentにAbove Smokeなどが並んでおり、そこからも爽やかな浮遊感と幻想的なメロディーを軸としたディープ・ハウスを送り出すレーベルである事は何となく掴めるであろう。そしてそのレーベルからの新作は邦人アーティストであるTominori Hosoyaによるもので、彼にとってはソロ作品として期待の2作目となる。Hosoyaについて調べてみると2001年ごろからプログレッシヴ・ハウスやテクノをプレイするDJとして活動を始めており、2008年にはTomi Chair名義でデジタルにて初の作品をリリースしている。当方がその存在に気付いたのは2014年に彼が自身で立ち上げたレーベルであるTH Pressingから「Dear My Father...」というアナログをリリースした時で、そこでは清流のような透明で綺麗な音に磨きをかけたディープ・ハウスを聴く事が出来た。新作は正にその路線の延長線上にありながら爽やかなに抜けるパーカッションも効果的に使い、よりふんわりと柔らかい軽やかな空気感を伴うディープ・ハウスへと成長している。出だしから洗練された美しいパッドのコード展開とからっとしたパーカッションが開放感を演出する"Midnight Kiss"は、そこから滴り落ちるような繊細なピアノも仄かに現れ、一点の曇りもない透明感のあるエレガントな世界観を構築している。"Sweet Pain"もやはり流麗なシンセとチャカポコとしたタムの絡みからすっと伸びるように加速する滑らかな展開で、青空の向こう側に抜けるようなボーカル・サンプルも効果的に爽やかさを増す事に役だっている。甘美な非日常を想像してしまうタイトルの"Strawberry Dream"は、しかし最もパーカッシヴで骨太なグルーヴが脈打っており、その上に望郷の念を駆り立てる切なく淡いメロディーが彩っていくダンサンブルなハウス。硬めのキックやパーカッションがややテクノ寄りな風合いも感じさせる"Carousel"も、上昇気流にのるようなシンセの展開で清純な空気が溢れ出す透明感のある曲だ。やはりどの曲も適度な浮遊感と流麗なサウンドを中心に、多少はテクノな感覚も盛り込みつつも軸はぶれる事なく、アーティストの音楽性が直球で伝わってくる点にHosoyaのこれから目指す方向が感じられ、今後を期待してしまうのも自然な事だろう。



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