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静謐なアンビエントやバレアリックを手掛けるJonny Nash、Earth Trax名義でのディープ・ハウスで注目を集めるBartosz Kruczynski、UKの現行バレアリック前線のCoyoteらがリミキサーとして参加した本作、そういった名前でピンと来た人はTommy Awardsなるアーティストを知らなくても本作を聞いておいて損はないだろう。Awardsはスウェーデンのバレアリック系のユニットだそうで、2017年中頃にはアルバム『Inre Rymden』をリリースしている。そちらは購入はしなかったものの試しに聞いてみた限りでは、ゆったり夢現なニュー・エイジやニュー・ディスコの要素を用いながら桃源郷広がるバレアリック色に染め上げており、朗らかでメロウな世界観を作り上げていた。そんな作品を前述のアーティストがリミックスしたのが本作で、参加しているアーティストからも分かる通りリスニング向けな落ち着きのあるバレアリック・ミュージックを更に深化させており、元の作品を一切知らなくてもこの手の音楽を好む人にとっては愛聴盤になるに違いない。"Prometheus (Jonny Nash Remix)"は原曲よりも更にビートや音数を削ぎ落としサックスやピアノを用いながらも、音の間に美学を見出すような静謐さ際立つディープ・ジャズへと姿を変え、如何にもNashらしいスピリチュアルな作品だ。本アルバムで特筆すべきは15分まで拡大した"Hans Logan (Bartosz Kruczynski Remix)"だろうか。元々は空高く飛翔するような開放感溢れるバレアリック作品だったが、序盤の想像力を刺激する重厚な瞑想ドローンによるニュー・エイジの展開から、清々しい電子音のシーケンスが浮かび上がって反復によるアンビエントへと移行、その間もピアノや木琴が耽美な響きを聞かせながら瞑想状態を持続させる流れは、壮大な一大叙事詩のようだ。こちらも10分に及ぶ大作の"Mike Sierra Foxtrot (Eirwud Mudwasser Nag Champa Radio)"は元のサイケデリアを活かしながら、廃れたような簡素なリズムも導入して侘び寂びなエレクトロニカ風にも思われる。"Ursa Minor (Coyote Remix)"は原曲の牧歌的なムードを壊す事なくおおよそ予想のつく開放感のあるバレアリック仕立てだが、"Rexy (The Normalmen Savana Reinterpretation)"は元の幻想的なスローなバレアリックからがらっと姿を変えて、奇抜な効果音もふんだんに用いて陽気なトリップ感のあるニュー・ディスコでアルバムの中で一番のダンス色強い曲だ。5曲のみなものの40分を超えるボリューム、そして期待通りに各アーティストのバレアリック性が現れた充実した内容で、Music From MemoryやMelody As Truth周辺の音楽が好きな人には食指が動くに違いない。



Check Tommy Awards
| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Good Mellows For Sunset Feeling (Suburbia Records:SUCD1002)
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「週末の海辺」から「夕暮れ時の感情」へ、橋本徹による『Good Mellows』シリーズの第二弾は少しずつ時間の経過を現すようだ。メロウというテーマを軸としたシリーズではあるが、この企画に為に新たに立ち上げられたSuburbia Recordは、入手困難な作品やアナログのみの曲を積極的に紹介する方針があり、本作では収録された曲の半分は初CD化とその意味でも大変意義のあるコンピレーションだろう。ただしそれが単にレアな作品を紹介するというだけには留まらず、『Free Soul』の切なく心に染みる音楽をクラブ・ミュージックの方面から解釈したならばとも仮定出来る音楽性は、ダンス・ミュージックが単に踊りの為の快楽的なものだけでなく感情的な面で訴えかける要素がある事も示している。オープニングを飾るのはポーランドの新星であるDas Komplexによる"Like A Fish"で、正にタイトルが示すように船が大海原をゆっくりと航海するような長閑なバレアリックで、旅の始まりとしては適切だろう。続くは近年クラブ・ミュージック側にも影響を及ぼしているイタリアのアンビエント・アーティストであるGigi Masinによる"Clouds"で、寂しげなシンセのリフレインと滴り落ちる切ないピアノのメロディーが、何処までも穏やかな地平が続く世界を喚起させる。中盤のSeahawksによる"No More Raindrops (Steel Pan Dub)"は爽やかなスティール・パンや残響揺らめくギターが空間の広がりを感じさせ、有機的で生暖かいダブ・ハウスといった趣きだ。そこから続くJose Padillaの"Adios Ayer"からMark Barrottの"Deep Water"の流れは、現在のバレアリックを先導するInternational Feel関連の音としての纏まりがあり、また大自然の営みを感じさせる優しいアンビエンスが素晴らしい。アルバムの後半には、頭角を現し始めているAndras Foxによる初期シカゴ・ハウス的な簡素な味わいのメロウさが特徴な"Running Late"、そして最後にByron Stingilyによる軽快なパーカッションと囁くような甘美なファルセットボイスで魅了するボッサ・ハウスの"Flying High (MAW Brazilian Vocal)"と、ハウスのグルーヴで憂いと高揚を伴いながらすっきりと余韻を残す事なく終了する。アンビエントからバレアリック、ハウスからジャズやダブまで景色が移ろうか如くジャンルの変遷も見せながら、全てをメロウで抱擁する夕暮れ時の切ない音楽観には誰しもうっとりと溺れるに違いない。

Tracklistは続きで。
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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |