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BEST OF 2019
今年も一年間当ブログを御覧頂いた読者の皆様、どうもありがとうございました。今年は昨年以上にBandcamp等の配信での購入量が増え、聴き込めていない音源がどんどん溜まっていくなど、もはや配信地獄と化している状況。音楽業界自体が決して栄えているわけではないにも関わらず、配信のおかげでリリースが容易になり世に放たれる音楽の量は増え、素晴らしい音楽に出会える機会は過去以上に思う事も。ただクラブへと足を運ぶとフロアの隙間が大きく寂しい状態だった事も少なくはなく、特に真夜中に出歩いてパーティーへ赴く人が減っているのは、健全なのか活気が無いのか。当ブログの以下に紹介したベストでもテクノ/ハウスは殆どなくリスニング系が中心ではありますが、それでもクラブへ遊びに行った時の高揚感は別物で、パーティーでのDJによる素晴らしい音楽の世界と仲間との出会いはやはり現場に行ってこそだと思います。また来年もパーティーで踊りつつ、引き続き素敵な音楽を紹介出来たらと思います。それでは、来年も良いお年を!
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| BEST | 09:30 | comments(0) | - | |
Various - 環境音楽 = Kankyō Ongaku (Japanese Ambient, & New Age Music 1980 - 1990) (Light In The Attic:LITA 167)
Various - 環境音楽 = Kankyō Ongaku (Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980 - 1990)
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これ以上にない位にど直球なタイトル、そして時代のニーズに応えた内容、それこそ日本の1980〜1990年に生まれたアンビエントや環境、そしてニューエイジを編纂した『環境音楽』なるCDでは2枚組のコンピレーション・アルバム。ここ数年日本の過去のハウス・ミュージックが、日本のシティポップが、そして日本のアンビエントやニューエイジが世界的にも見直されている状況で、色々な作品のリイシューやコンピレーションが雨後のタケノコのごとく生まれていたが、その中でも最も発売前から注目を集め集大成とも呼べる作品が本作だ。編集者は現代アンビエントで頭角を現したVisible CloaksのSpencer Doranで、10年以上前に来日した際に日本の音楽に触れてはまっていったようだが、そこら辺の詳細については『日本の「環境音楽」はいかにして発見されたか/Visible CloaksとLight In The Attic』にかなり濃密に記載してあるので是非読んで頂きたい。

さて、Doranによる選択は如何なものかというと、アーティスト単体でリイシューに至っている芦川聡、尾島由郎、久石譲、深町純、小久保隆、日向敏文、イノヤマランド、吉村弘らに加え、環境音楽で名を馳せるパーカッショニストの越智義朗にニューエイジの系譜に名を連ねる伊藤詳、またはジャズ界から鈴木良雄に、そしてYellow Magic Orchestraや細野晴臣まで、特定のジャンルでカテゴライズするには一見幅が広そうでもあるが、収録された曲の雰囲気としての統一感はある。それは特に日本古来の簡素な趣を重要視する侘び寂び的なモノにも感じられ、無駄を回避するミニマリズムなシンプルさや派手さを削ぎ落とした静謐な響きが、それが意図的だったのか分からないにしてもアンビエントやニューエイジという音楽に上手く作用したのだろう。例えば土取利行の"Ishiura (Abridged)"、これが当時ニューエイジと呼ばれていたとは思えない音楽で、サヌカイトという石を用いてぽつんぽつんとした単音の連なりが、間が広がり静けさが強調されたこの曲は今ならばアンビエントになってしまうのだろうか。また芦川による"Still Space"はシンセサイザーを用いているが、極力無駄を排したミニマルな構成によってのんびりとした時間軸が感じられ、さながら色味の失せた水墨画のような風景を喚起させる。また、この手のジャンルにまさか久石の音楽が選択されるとは予想も出来なかったが、"Islander"は彼らしいアンビエントな電子音の響きに有機的で土着的な打楽器を組み合わせ、それをミニマルな現代音楽にも寄せて反復させる展開で、収録されたのも納得させられる。ニューエイジ面が強調された曲であれば、宮下富実夫の"See The Light"や深町の"Breathing New Life"に小久保の"A Dream Sails Out To Sea - Scene 3"辺りが特にそうで、美しく清らかなシンセの響きによってうっとりと甘美な夢の微睡みを誘う音楽はスピリチュアルや癒やし系とも呼ばれてしまう可能性もあるが、俗っぽくはならずにただひたすら心を洗うように静謐な空気に満たされる。アルバムのラストは細野が無印良品のBGMとして制作した温かいシンセが牧歌的で長閑な地平を何処までも広げる"Original BGM"で、今では入手困難なこの曲は店舗の空気に自然と馴染む正に環境音楽、つまりはアンビエント・ミュージックを体現している。一口にアンビエントやニューエイジと言ってもそれぞれの曲にはアーティストの個性もあり、それがCD盤では23曲(アナログでは25曲)も収録されているのだから、このジャンルに初めて手を出す人にとっても本作は非常に役に立つ素晴らしいコンピレーションだ。なお、豪華ブックレット仕様の中にはDoranによる詳細なライナーノーツも記載されており、全て英語だが解説という面からも価値を持っている。惜しむらくは、日本の音楽であるのに日本のレーベルがこういったコンピレーションを誰も手掛けない事である。



Tracklistは続きで。
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| ETC4 | 19:00 | comments(0) | - | |
Toshifumi Hinata - Broken Belief (Music From Memory:MFM042)
Toshifumi Hinata - Broken Belief
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『東京ラブストーリー』等のサウンド・トラックも手掛けるコンポーザーの日向敏文が、今エレクトロニック・ミュージックの界隈で注目を集めている。それもニューエイジやアンビエント方面では随一の発掘力を誇るMusic From Memoryが、日向の作品の発掘作業のおかげである事に異論は無いだろう。筆者もそうだがまさかこんな素晴らしい音楽がかつてあったと認識していた人は決して多くないのだろうが、日本ではなく海外から日向の音楽が掘り起こされるとはMFMの嗅覚は恐るべしと言わざるを得ない。レーベルインフォによ依れば1982年に米バークリー音楽大学卒業後、アコースティック楽器よりもその当時の最新の楽器であったアナログシンセサイザーに可能性を見出し、電子楽器をアナログテープに多重録音し、そしてバイオリンやピアノを含むその他を伴奏を重ねて音楽制作をしていたと言う。その探求が結実したのが1985〜1987年にリリースされた初期4作『Sarah's Crime』『Chat D'Ete』『Reality In Love』『Story』であったのだろうか、MFMの運営者であるJamie TillerとTako Reyenga、そしてオブスキュア・ミュージックの先駆者であるChee Shimizuがそこから選りすぐりの曲を纏め上げたのが本作である。豊かでしっとりとした情緒的なシンセサイザーの響きを軸に生音も合わせたサントラ的なイメージ喚起型の音楽はかつてならコンテンポラリーミュージック、現在の感覚で呼ぶのであればニューエイジやアンビエントになるのだろうが、制作から30年以上経た今でも全く魅力が損なわれないのは、やはり一曲一曲の魅力的な旋律や整ったコード展開による普遍的な音楽性が故だろう。アタック感の強いシンセドラムの響きと叙情的なシンセのレイヤーが甘美に誘惑する"Sarah's Crime"は、温かいフレットレスベースや途中から入るしなやかなヴァイオリンの音色にもうっとりさせられ、バレアリックな空気が満ちる白昼夢へと落ちていく。フィールド・レコーディングや会話も交じる民族的な雰囲気から始まる"Midsummer Night"は、そこからすっと分厚いシンセのレイヤーが情緒豊かに浮かび上がりニューエイジ風だが、耽美なピアノの演奏に耳を惹き付けられドラマチックなドラマの1シーンを見ているようだ。ビートレスな構成だがゴージャスなシンセが伸びて、そして繊細で切ないピアノに心が憂う"異国の女たち"も、どこかサントラ的でその後ドラマに音楽を提供するようになったのも自然な流れだ。シンセが歌っているような"Broken Belief"は鐘らしき音も入り混じり宗教的な厳かな佇まいだが、そこからふっと朗らかに幻想的なピアノと微睡みのシンセが展開し、色彩がぼんやりと滲んだような淡いサウンド・スケープには耽溺せずにはいられない。そして最後の抜けの良い太鼓と静謐なシンセのリフレインと弦楽器が物悲しく、和の侘び寂びな感覚を生む"小夜花"まで、徹頭徹尾メランコリーな感情に満たされるリスニング性の高い音楽が一貫している。複数のアルバムから選び抜いた曲群ではあるが全く違和感の無いシネマティックなアルバムで、色々な風景をイメージさせる豊かな表現力が後のドラマ等のサントラ制作にも反映されたのだろう。ニューエイジやアンビエントの分野で再評価著しいが、間口を狭める事なく日常を彩るBGMとしてお薦めな一枚だ。



Check Toshifumi Hinata
| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |