YS - Perfumed Garden (Music Mine:MMCD20029,30)
YS - Perfumed Garden (2019 Remaster)
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ここ数年活動が活発になっていたとは言えども、ジャパニーズ・アンビエントの再燃が無ければ恐らく本作のリイシューも無かったのは間違いない。近年は温泉好きシンセバンドとしてNaturally Gushing Electric Orchestraとして活動するサワサキヨシヒロは、1992年頃から音楽活動を開始し、Techno The GongやMeditation Y.S.等複数の名義を用いてプログレッシヴ・ロックに影響を受けたテクノ/アンビエントを展開し、そして1994年には本作をリリースするとNME誌からは「ジャンルを超えたファンキー・チル・アウト」として評価され、その頃盛り上がりつつあった日本に於ける空前のテクノブームの立役者の一人となる。つまりそんなテクノが著しく熱かった時代にリリースされた本作は、しかしそんな熱気とは対照的にダンスの狂騒とは無縁な緩く底抜けにオプティミスティックな世界観と音に何の意味も込めずにただひたすら快適性のみを追求したような響きによって、唯一無二のアンビエントを確立させていた。本作で魅了されるのは何を差し置いても"Neocrystal (On The Beach Mix)"で、繊細な光の粒子のような音のシーケンスと浮遊感をもたらす美しい鳴り、そして控え目に用いられたTB-303のアシッドは凶暴性よりもひたすら快楽へと向かい、意味も意識も込められていない純粋無垢なアンビエントは10分にも渡って覚める事のない白昼夢へと誘う。実は何気にフル・アンビエントなのはこの曲位で、他の曲はフローティングするテクノやブレイク・ビーツ寄りスタイルが多く、しかしそれでも音の響きはやはり無垢で多幸感が全開だ。"Magic Dome"なんかは当時Dave AngelがMIXCDの中で用いたりもして話題になり、軽くリズムが入りダンス寄りな作風ではあるが下辺ではアシッドが明るくうねりつつ優雅なストリングスが絢爛に彩るハッピーな世界観は、この後のユーモアに溢れ陽気な音楽を展開していく実にサワサキらしさがある。今回のリイシューに際して特筆すべきはボーナスディスクの方で、Meditation Y.S.名義でApolloからリリースしたEPやコンピレーション収録曲が纏められており、今となっては入手困難な曲が一同に聞ける事だろう。特にApolloからの14分にも及ぶ"Slumber"は"Neocrystal"級のフル・アンビエントで、眠気を誘うダウンテンポのビートにほんわかとした音の粒子が浮遊しながら、TB-303のアシッド・ベースにダブ処理を行いながら多層的な音響により意識も融解するサイケデリックなトリップ感を得て、極楽浄土への片道切符な名曲だ。アンビエントとしてはボーナスディスクの方がより純度は高く、"Aqua Gray"なんかもリズムは跳ねたブロークン・ビーツ調ながらもか細く繊細なシンセが複数のラインで陽気な旋律を奏でつつ、下部では太いアシッド・ベースがファンキーにうねる毒々しくもハッピーなアンビエントで、この何も考えていないような楽天的な世界観がやはりサワサキ節だ。そして"Neocrystal"の別バージョンで初披露となる"Selftimer"は、基本的に上モノはそのままでリズムに変化を加えて重厚感が増したダブ・バージョン的な曲で、当然天国を目指すトリップ感は最高級。CD盤では2枚で10曲の内、9曲は10分越えの大作とアンビエントしてはこの長尺な構成だからこそ夢から醒めない持続性が活きており、25年前の作品ながらも全く今でも通用する素晴らしいアンビエント・アルバムだ。ジャパニーズ・アンビエントが再度注目を集める今だからこそ、知らなかった人達にも是非とも聞いて欲しい一枚。



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| TECHNO14 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Chris Coco - Indigo (Music Conception:MUCOCD031)
Chris Coco - Indigo
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バレアリック・ミュージックが世界的に盛り上がる現在のシーン、日本においてはその道を求道的に歩み続けるCalmがその先駆者である事は間違いないが、そのCalmが自信を持って彼が主宰するMusic Conceptionから送り出したのがChris Cocoによるニューアルバムだ。Cocoは80年代後半から活動を開始し、90年代初期に訪れたイビザのバレアリック・ミュージックに強い影響を受け開眼し、その中心的存在であるイビザのCafe Del MarやCafe MamboのレジデントDJを務めるなどこのシーンの重鎮の一人。そんなアーティストが最新作に名付けたタイトルは『Indigo』で、日本に何度か訪れる度に日本の藍色に魅了されたそうで、この色に対するイメージや意味を音楽へと転換させたと本人は述べている(参照)。そんなコンセプトから生まれた音楽は全編淀みの無いクリアな多幸感に満たされたチルアウト/バレアリックな響きで、開始となる"Event Horizon (In)"からしてビートレスな空間にほのぼのとした電子音のメロディーが静かに浮遊しながら淡いシンセのディレイが広がるこの曲は、Meditation Y.S.(Yoshihiro Sawasaki)の音に意味を込めずに底抜けにオプティミスティックなアンビエントを思い起こさせる。続く"Pou Des Lleo"もビートの無いぼんやりとしたアンビエントだが、ピアノやギターにベース等の有機的な音色を前面に打ち出しながら透明感あるエレクトロニクスも自然に溶け込んで、喧騒から離れた何処か落ち着いた時間が過ぎる田園地帯の牧歌的な雰囲気に心が安らぐ。そしてCalmと一緒に制作した"Indigo"は胸を締め付けるトランペットやピアノも用いられて確かにCalmらしいセンチメンタルな雰囲気が強く出ており、ざっくり生っぽいリズムも合わせてしみじみとした郷愁が溢れ出る音楽は、静寂の中に凛とした気品が感じられる。"You Are Exactly Where You Need To Be"も繊細で美しいピアノが静けさの中に点々と描かれ、抽象的でぼやけたシンセがキャンパスに滲みながら広がっていくようで、淡くも美しい色彩感覚がドリーミーな風景を喚起させる。"Onda"はまたしてもMeditation Y.S.路線のオプティミスティックな響きを活かしたダウンテンポ・アンビエント、天上へと誘われる夢心地な時間。最後は"Event Horizon (In)"と遂になった"Event Horizon (Out)"、豊かな色彩とクリアの響きの電子音と壮大なオーケストラの音が一つとなり豪華絢爛でありながら、音の隙間を活かす事で気品良さも残した壮大なバレアリック・サウンドは、またここからアルバムの開始へと繋がる事でアルバムの世界は何度でもループする。イビザと言うとどうしても夏の商業的で享楽的なパーティー・シーズンが有名なものの、其の地には豊かな自然が自由奔放に広がる場所もあるようで、このアルバムからはやはり後者のイメージが適しているだろうし、それは日本の藍色の深い感情や穏やかな安堵のイメージと被さる点もあったのだろう。ただひたすら心の安静を取り戻す清々しくもドリーミーなこのバレアリック・ミュージックは、流石イビザでの長い音楽経験に裏打ちされた真髄がある。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
サワサキヨシヒロ and NGEO - Electrospout! (Naturally Gushing:NGD002)
サワサキヨシヒロ and NGEO - Electrospout!
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2016年、タイトル通りに『Sawasaki Is Back!』(過去レビュー)で復活を果たしたサワサキヨシヒロ。過去にはR&S傘下のApollo RecordsやSublime RecordsにTransonic Recordsなどから底抜けにオプティミスティックなテクノ/アンビエントをリリースし、日本のテクノの創世記を担った一人である。2000年以降の活動は断続的だったが、その一方で偏執的な温泉愛は音楽と映像による温泉布教活動であるNaturally Gushingへと発展するなど、クラブシーンからはやや距離は置きつつもサワサキの緩く無邪気なアンビエントは密かに続いていた。本作は復帰2作目となるが、温泉プロジェクトの発展系であるNaturally Gushing Electric Orchestra名義での作品であり、サワサキが監督となり複数のアーティストによる(作曲も含め)制作となっている。アルバムの幕開けは「シロクニゴッタオンセンガスキナノ」というバーチャルボイスで始まる"Sulfur"、直ぐにフワフワとした明るい電子音が浮遊するように旋律を奏で気の抜けてリラックスした空気が満ちていく様は、確かに温泉に浸かってほっこり夢現な気分と似ている。続く"The Steam Paradise"ではエグいエレクトロニック・サウンドが脈打ちつつも、陽気なトリップ感が広がっていくエレクトロ風味で、鮮やかな電子音に彩られている。"Dig It"ではモジュラー・シンセだろうか奇怪な電子音が散りばめられた音響系で、ユーモアと自由さに溢れている。再び温泉気分な"Love Onsen"、甘く語りかけてくるボイス・サンプルとドリーミーな電子音の連なり、そしてリラックスしたハウス・ビートで温泉の中の無重力感が心地良い。ビートレスでアンビエントに振り切れた"EMS Onsen"、この無意味な電子音による無邪気なオプティシズムは昔のサワサキを思い起こさせたりもする。一方でエグミのあるアシッド・サウンドと力強いキックによる4つ打ちが前面に出た"Carbonic Acid"は、アナログ機材やモジュラー・シンセを用いた制作による人力的なラフ加減があり、何だか肉体性を伴うようだ。電子音への探求はPCは極力使用せずにヴィンテージなアナログ・シンセやモジュラー・シンセなどを用いる事になり、その結果として電子音楽ながらもElectric Orchestraの名通りにライブ感のある音楽になったのだろう。音そのものに意味を込めずひたすらオプティミスティックな響きに向かった、つまりはサワサキらしいナチュラルなアンビエント性があり、昔からのファンも納得のアルバムだろう。



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| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Yoshihiro Sawasaki - Sawasaki Is Back! (どうぶつレコード:DRYS0001A)
Yoshihiro Sawasaki - Sawasaki Is Back!
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まさかの本人名義では16年ぶりとなるアルバムとなる本作、手掛けているのは日本のテクノシーンの創世記から活動しているYoshihiro Sawasaki。2008年にはNaturally Gushing名義で温泉を題材にしたアルバムもリリースはしていたが、ここにきて本人名義で新作が出ると思っていた人は多くはないだろう。かつてはアンビエント・レーベルであるApolloよりMeditation Y.S.でオプティミスティックなアンビエントをリリースしたり、Dr.YS & The Cosmic Drunkards名義でのポップなドラムン・ベース路線、果てはDJ Everything OK!名義でのシティーポップを題材にしたMIXCD制作など、その音楽性は名義と共に多岐に渡る。そんなアーティストの新作は今までの名義の要素を集約させたような内容で、Sawasakiらしいポップかつ多幸感を電子音に込めたダンス・ミュージックが中心だ。アルバムのオープニングはアイドルデュオのChelipをフィーチャーした"onsen girls"だが、キラキラとしたシンセ使いにトリップ感のある滑らかなアシッド・ベースも用いて、ポップスのキャッチーな要素を活かしたテクノポップらしい作風に仕上がっている。"maybe it’s coming up"での音に意味を込めないオプティミスティックなシンセの使い方は、Meditation Y.S.時代を思わせるスペーシーな心地良い浮遊感もあるが、それよりもリズムはテクノ/ハウスとしての体裁が強い。一転して"bubble up!"では再度ドラムン・ベースへと挑戦しているが、切り刻んだボイスサンプルや鋭角的なリズムがファンキーな動きを見せ、アルバムの中では一番真夜中のパーティー感が強いだろう。他にもクリック・ハウスをポップに解釈したような奇妙なファンキー・ハウスの"pumping pingpong"、トライバルなパーカッションで疾走するミニマル寄りなテクノの"is the casino really legal in onsen resorts?"など、アルバムの中で多彩な作風を披露している事は大手を振ってこの本人名義での音楽を楽しんでいるかのようにも思われる。全体としては随分とポップでとっつきやすいサウンドにはなっているが、元々アンダーグラウンド/オーバーグラウンドを意識する事なく業界を渡り歩いてきたアーティストではあるし、Sawasakiらしいリラックスしたトリップ感は存分に体感出来るだろう。



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| TECHNO12 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Naturally Gushing vol.1 (Naturally Gushing:NGD001)
Naturally Gushing vol.1
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日本のアンビエント仙人・サワサキヨシヒロののほほ〜んとした温泉アンビエント。ちなみにサワサキさんと言えば1994年にR&S傘下のApolloからリリースされたMeditation Y.S.名義のEPで、既にオプティミスティックなアンビエントを披露していたのですが、徐々にドラムンに走ったりと奇行・迷走していた時期もあった挙句にようやく本作でアンビエントに戻ってきました。しかも温泉好きが高じてか温泉をコンセプトにした「Naturally Gushing」シリーズを立ち上げて。「Naturally Gushing」とは自然湧出の事で、本物の温泉への思いを音楽へ込めているそうです。久しぶりのアルバムですが、初期の頃のオプティミスティックな音色が戻ってきているだけでなく、そこにジャジーでライブ感のある音を持ち込んだりして新境地も開拓。とは言っても大半はふわふわぷかぷかな極楽浄土のアンビエントなのでご安心を。この温泉アンビエントは全く澱みや曇りの無い純粋で楽観的なムードに満たされていて、温泉に浸かってリラックスするが如く身も心も解きほぐされていきます。都会の喧騒に包まれて心が汚れた時、毎日の仕事で心が疲れた時、そんな貴方の心を清らかに、そして癒してくれる温泉なアンビエント。あ〜温泉って最高ですね、日本人に生まれて良かった〜☆

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
2009/11/20 AT-FIELD @ EFFECT
祝・脱DJ童貞!!

友達の下川カユコさんと全玉ちゃんが企画するAT-FIELDと言うパーティーでDJしました〜。自分が思ったよりも多くの人に遊びに来て頂いて、本当にどうもありがとうございました。ミキサーも持ってないんで当然繋ぎも出来ないので内心不安でしたが、取り敢えず自分の好きな曲をがしがしと回させて頂きました。う〜ん、レコードはやはりピッチ合わせや繋ぎが難しい…。後でCDJも使ったんだけど、BPM出るからレコードよりかなり扱いが楽でしたね。続きで回した曲やパーティーのお写真でもどうぞ〜
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| EVENT REPORT2 | 17:45 | comments(12) | trackbacks(2) | |