CALENDAR
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< August 2019 >>
RECOMMEND
MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog]
MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog] (JUGEMレビュー »)
Massive Attack
名作MEZZANINEリリース時に予定されていたマッド・プロフェッサーによるダブ・バージョンが、今になりリリース。こちらはアナログ盤。
RECOMMEND
Mezzanine
Mezzanine (JUGEMレビュー »)
Massive Attack
メザニーンのリマスターに、上記のダブバージョンを合わせたCD2枚組。
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
FRKWYS Vol.15: serenitatem
FRKWYS Vol.15: serenitatem (JUGEMレビュー »)
VISIBLE CLOAKS,YOSHIO OJIMA,SATSUKI SHIBANO
MOBILE
qrcode
SPONSORED LINKS
Welcome To Paradise Vol. III (Italian Dream House 90-94) (Safe Trip:ST 003-3 LP)
Welcome To Paradise Vol. III (Italian Dream House 90-94)
Amazonで詳しく見る(MP3)

オランダの気鋭・Young Marcoは自身で主宰するSafe Tripからは様々なアーティストによるヴィンテージ感溢れるシンセが特徴なディスコやエレクトロを送り出す一方、Gigi MasinやJonny Nashと組んだスペシャル・プロジェクトのGaussian Curveにおいては遥かなる田園地帯を想起させるバレアリック性を発揮し、そしてMarcoの音楽性はそれだけではなくイタロ・ハウス/ディスコをこよなく愛する面もある。その意味では本作は彼が生み出した音楽ではないがセレクターとしての才能が発揮されてイタロを愛するパーソナル性が如実に発揮されたコンピレーションと断言出来る、それこそタイトルからしてこれ以上は無い位に適切な「楽園へようこそ(イタリアの夢のようなハウス)」という編集盤だ。2017年にはアナログで『Welcome To Paradise (Italian Dream House 89-93) 』(過去レビュー)がPart1とPart2で分けてリリースされており、このPart3でシリーズとしてはどうやら完結するようだが、80年代後半から90年代前半の短い期間に盛り上がったイタロ・ハウス名作を咀嚼するのにこの3枚の編集盤は間違いなく役に立つだろう。本作でも煌めくような美しい響き、ロマンティックで官能的な世界観、そして爽やかなバレアリック感が広がるイタロ・ハウスが満載で、例えばOptikによる"Illusion"は甘く清涼なシンセコードに大らかなベースラインと4つ打ちキックが安定したグルーヴを作るシンプルな作風だが、無駄な装飾をせずに明瞭なメロディーで楽園志向な世界観を生み出す作風はイタロ・ハウスのテンプレートでもある。Leo Anibaldiの"Universal"なんかは808 Statesの"Pacific"まんまだろというツッコミも入りそうだが、海辺の自然音らしきものを用いつつ透明感のあるシンセが伸びる爽快なハウスはこれぞバレアリックを体現している。4つ打ちだけでなくダウンテンポによって切なさが強調された"Deep Blue (The Inner Part Of Me)"は、イタロ・ハウスの特徴でもある情緒的なピアノのコードに色っぽい女性の声や鳥の囀りのサンプルも用いて、ぐっと感傷的な気分に浸らせる。アルバムのラストは名曲中の名曲、近年再発もされたDon Carlosによる"Ouverture"で、抜けの良いアフロなパーカッションが走りながら線が細くも優美なストリングスと煌めくピアノがクリスタルのような輝きを生み出す至福のバレアリック/ハウスで、ここが楽園でなければ一体何処なのかと思わせる程の多幸感だ。90年初頭の古き良き時代感満載な音楽は流石に時代感が強いもののどれもハッピーな雰囲気に満たされており素晴らしいが、また本作を纏めるにあたり未発表音源だった"Resounding Seashell"と"Dance To The House (Unreleased Edit)"が発掘されて収録されるなど、秘蔵音源的な意味合いでもこのコンピレーションの価値は高い。『Welcome To Paradise』というタイトルに嘘偽り無しの最高なコンピレーションだ。



Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| HOUSE14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Darling - Tulipa Moves (Safe Trip:ST 012-LP)
Darling - Tulipa Moves
Amazonで詳しく見る(MP3)

Young Marcoが主宰するSafe Tripは現在形のダンス・ミュージックのレーベルではあるが、何処か懐かしい時代感を含んで特にシンセサイザーの多幸感ある響きにこだわりがあるように思う。実際にMarcoはイタロ・ハウス/ディスコの再燃への貢献、またはGaussian Curveの一員としてモダンなバレアリック/ニュー・エイジの開拓に励んでおり、Safe Tripの音楽性はいなたくもほのぼのとした快楽性がある。Darlingはそんなレーベルで中心的に活動する一人で、本作は2018年にリリースされた彼にとっての初のアルバムだ。オランダのアーティストであるという以外はDarlingについての詳細は不明なものの、過去の作品を聞いても辿々しいドラムマシンによるリズムやアナログであろうシンセを用いて、イタロの系譜上にありディスコやエレクトロも盛り込んだダンス・ミュージックは古い味わいもありながら若々しいエネルギーに満ち溢れている。そしてこのアルバム、ダンスのリズムがある電子音楽ではあるが熱狂的なクラブの中のダンス・ミュージックではなく、ほのぼのとした田園風景が広がる仄かにバレアリックな曲群は底抜けにポジティブでドリーミーだ。神秘的な電子音のソロから始まり闊歩するようなリズムが入ってくる"Estimu"からして、無意味ながらも楽観的で豊かな電子音のメロディーや動物の鳴き声にも似た電子音の反復がコズミック感を作っており、70年代の電子音と戯れていたジャーマン・プログレが幾分かダンス化するとこんな曲調だろうか。"Tulipa Moves"はTR系の乾いたリズムがカタカタと軽快に躍動しオールド・スクール感のあるハウス調だが、透明感のある清涼な電子音の上モノは遊び回りながら長閑な世界に包んでいく。落ち着きながらもエレクトロ気味のリズムである"So Did We"はやや内向的で沈み込むようなメランコリーがあり、しかし光沢感のあるサウンドはシンセポップ調でもある。"The M Song"ではリズム無しで神秘的なシンセが描くメランコリーな旋律は、火照りを冷ますニュー・エイジやチルアウトの系譜上にある。"Pillow People"はその安っぽく原始的なリズムが初期テクノを思わせ、チャイムらしき可愛らしい音色や幻想的なシンセのメロディーも加わる事で、90年代のベッドールーム・テクノであるArtificial Intelligenceを思い起こさせる。アルバムは曲それぞれが異なる個性を持っているが総じてレトロフューチャーと呼ぶべきか、ヴィンテージな音の響きや野暮ったいリズム感を伴っており最新の音楽でありながらどこか懐かしく、聞いていると心がほっと安心する穏やかさに満ちあふれている。



Check Darling
| TECHNO14 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Marcel Dettmann - Selectors 003 (Dekmantel:DKMNTL-SLCTRS003)
Marcel Dettmann - Selectors 003
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
世界有数のフェスティバルとして評価の高いDekmantelがレーベルとしても始動して、そして新たに立ち上げた『Selectors』はMotor City Drum EnsembleやYoung Marcoと実力派アーティストを招きながら、例えば彼らのルーツや埋もれてしまった名曲等を紹介する意味で非常にコンセプト性の強いシリーズだ。そしてその第三段はベルリンテクノを代表する一人でBerghainでもレジデントを行うMarcel Dettmannが担当していているが、DJプレイでは最新系のテクノから古いシカゴ・ハウスからエレクトロまで網羅する彼がこのシリーズでは一体どんな選曲を行うのか興味深かったのだが、蓋を開けてみればインダストリアルやポスト・パンク中心と驚きを隠せない。本人の説明では"プレ・テクノ・コンピレーション"との事なので、その意味では彼にとってのルーツの紹介、そしてテクノに影響を与えた音楽の紹介という点で面白さがあるだろう。アルバムの開始はエレクトロニック・ボディ・ミュージック(EBM)を代表するユニットの一つ、Front 242の1985年作である"Don't Crash"で始まるが、破壊的なドラムマシンやノイジーなシンセなど退廃的なムードながらも肉体性もあるグルーヴ感は今で言うダンスとロックの繋ぎとしても成り立っており、そしてこの荒廃した雰囲気はDettmannのDJプレイにも感じられるものだ。The Force Dimensionは当方は初耳のユニットだが、"Algorythm (Manipulating Mix)"はパンキッシュで痺れるビート感ながらもポップなメロディーやベースの使い方はシンセ・ポップのキャッチーな響きもあり、かなりダンス色の強いEBMとして魅力的だ。逆にフィラデルフィアのインダストリアルユニットのExecutive Slacksによる"So Mote It Be"は、鈍い朽ちたようなマシンビートに呪詛的で呻き声のようなボーカル、そして金属がネジ曲がるようなサウンドを織り交ぜて、一般的にイメージする破壊的なインダストリアルというものを伝えてくれる。そしてただ単にオリジナルを収録するだけではなく、A Thunder Orchestraの"Diabolical Gesture (Marcel Dettmann Edit)"はDettmannがDJセットにも組み込みやすいようにエディットを行っており、この場合だと原曲よりもBPMを上げてパーカッシヴなロウテクノ風に変換しているのも面白い。他にもCabaret VoltaireやMinistryなどインダストリアルの大御所からマイナーなユニットまで網羅しているが、しかしどれも痺れるような電子ビートを軸に破滅的な金属サウンドからウキウキするシンセ・ポップまで、この手のジャンルの幅広さを伝えるような選曲になっており、正に『Selectors』としての役割を果たしている。テクノを期待していると少し肩透かしを喰らうかもしれないが、アーティストのルーツを掘り下げながら未知なる音楽に出会う機会を作ってくれるだろう。



Check Marcel Dettmann

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| ETC4 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Young Marco - Selectors 002 (Dekmantel:DKMNTL-SLCTRS002)
Young Marco - Selectors 002
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
Dekmantelが企画するコンピレーションシリーズの「Selectors」、第一弾はDanilo PlessowことMotor City Drum Ensembleが担当し注目を集めて企画としては成功を収めており、その勢いに乗って第二弾が登場。担当はオランダからバレアリック/イタロ・ハウスの深掘りをYoung Marcoで、何でも「高価盤やレア盤の寄せ集めにならないように選曲した」そうで、第一弾が今では高価になってしまったレアなハウスをふんだんに使用していたのとは対照的にも感じ取れる。勿論Plessowも単に高価な曲の寄せ集めではなく手に入りずらい素晴らしい曲をDJとして使用して欲しいという意図も込められてはいたので、その意味ではこのMarcoの選曲も前者と大きく外れている事はない。本作について言えばハウス・テイストもあるものの、もう少しディスコティックやシンセポップ等のプロト・ハウス的な音楽性が中心で、レトロな世界観に懐かしさを感じる事だろう。同郷オランダからはDanny Boyの僅かに発表された作品の一つ"Diskomix (Disko Version)"があり、1983年作と言う事を考慮してもネオンライトをイメージさせる光沢感あるシンセ使いが懐かしく思われるシンセ・ポップな作品は、「アチョー」という声やロボットボイスの影響で中華テイストが面白く聞こえる。続くGerrit Hoekemaもオランダのアーティストで、実はコンピ等への曲を提供するのみでソロ作品をリリースした事はない点で非常にレア度は高いのだが、"Televisiewereld"はプロト・ハウスとでも呼ぶべきいたないビート感が味わい深く、奇妙な効果音がよりユニークさを強めている。勿論正統派ハウスな作品もあり、それこそシカゴのディープ・ハウス伝道師であるLarry Heardによる"Dolphin Dream"で、Heardらしい無駄のないエレガントな響きとチルアウトな感覚のある慎ましいハウスは素朴でもあり他の曲との調和を崩す事はない。現在形のアーティストであるWolf Mullerは未発表曲を提供しているが、"Pfad Des Windes"はジブリの名曲をカバーした異色作。ジブリらしい懐かしい田舎風景のムードがありながらも、エキゾチック・ディスコな響きはやはりレトロ調の味わいがある。他は90年代の作品が多く、シカゴのFrank Youngwerthによる90年前半の"Whirr"はやけに軽快なパーカッションが弾むヒップ・ハウス調で、非常に時代の空気が強い。Green Baizeの"Spick And Span"は90年代初期のイタロ・ハウスで、シカゴやデトロイトからの影響も感じさせるチージーな響きの中にエモーショナルな感情を込めた作品だ。全体を通してモダンとは対照的なレトロ調のバックトゥルーツな意図が感じられ、時代の幅やジャンルの差はあれど全体の空気の統一感として全く違和感無く纏められている。単なるレアな曲の寄せ集めでは当然なく、ミックスせずともYoung Marcoのバレアリックやイタロな音楽性を投影した世界観は、部屋を彩る素晴らしい音楽集になるだろう。勿論DJにとっては使い勝手の良い武器になるに違いない。



Check "Young Marco"

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Satoshi & Makoto - CZ-5000 Sounds & Sequences (Safe Trip:ST 006)
Satoshi & Makoto - CZ-5000 Sounds & Sequences
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
販売されていなくても素晴らしい音楽は実はひっそりと存在している、但しそれを見つけるには飽くなき探究によってのみなのだろう。イタロ・ディスコ/ハウスをこよなく愛するYoung MarcoがCZ-5000というカシオのシンセサイザーを調べているうちに、YoutubeでCZ-5000を演奏している双子のSatoshi & Makotoの動画を見て、それに感動したMarcoはリリースする為に二人とコンタクトを取り音源を送ってもらったそうだ。結論から言うとこのアルバムは本年度の電子音楽系のベスト5に入れたい程に素晴らしい作品で、CZ-5000という発売から30年以上経過している古い電子楽器を用いても、こんなに豊かな表情を持った音楽を作れるなんて驚き以外にない。二人はYMOやKraftwerkに興味を持っていたそうだが、正に電子音楽への探究心はいつしかCZ-5000を舐め回すように愛着へと変わり、その結果CZ-5000の魅力を最大限に引き出す事に成功したのだろう。ジャンル的にはビートの無いアンビエントか多幸感ふんだんなバレアリックかと言った印象だが、クラブに向けてではなくベッドルーム内での音楽はやはり内省的にも思われる。ふわふとしたサウンドの反復によって長閑な日常を彩るような明るいアンビエントの"Flour"、ノスタルジーにも近い切なさを誘発するしんみりしたメロディーと抜けの良いパーカッションを用いた"Bamboo Grove"、決して享楽的な志向ではなくイマジネイティブでもある豊かな情景が浮かび上がる。控えめにリズムも入った"Untitled"はプロト・ハウスとでも呼ぶべきか、素朴さが可愛くもある。広大な夜空に瞬く星のように電子音がきらきらと広がる"Ar"、夢の中を浮遊するドリーム・アンビエントは優しく、そして心地良い。"Lumiere"も同様に昼下がりに微睡みに落ちて行くようなアンビエントだが、"Poincare"では一転して目が覚めた如く電子音が軽快に弾けるポップさもあり、CZ-5000だけを用いた制作ながらも実に曲毎に豊かな表情を見せる。偏に二人のCZ-5000への愛情がその可能性を引き出した事実、それがSafe Tripというレーベルのバレアリック性に適合した事、そしてその音楽がMarcoの目に留まった流れは奇跡的にすら思える。シンセサイザーの魅力がたっぷりつまったドリーミーなバレアリック/アンビエント、聴き逃す事なかれ。



Check "Satoshi & Makoto"
| TECHNO13 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gaussian Curve - The Distance (Music From Memory:MFM018)
Gaussian Curve - The Distance
Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
音楽のマジックが起きるなら、きっとこんなユニットだとは思わずにいられない組み合わせ、それが現代音楽やバレアリック面から再評価著しいGigi Masin、Melody As Truthを主宰するギタープレイヤーのJonny Nash、そしてイタリアのディスコやバレアリックを掘り起こすMarco Sterk AKA Young MarcoによるGaussian Curve。Masinのスタジオで遊びながら音楽を作っていた事がきっかけでこのユニットが発足し、2014年にはMasin再評価の後押しを行ったMusic From Memoryから初のアルバムをリリース。それ以降はそれぞれが考えるアンビエント〜ニューエイジ〜ディスコな方面で各々の個性を見せ付けていたが、2016年にはアムステルダムで再度スタジオセッションを行う機会があり、その成果が結実したのが本作だ。各々がプレイヤーである事が各曲に強く影響しており、生演奏も電子楽器も分け隔てなく用いながら生命が萌芽するような芳醇な色彩や柔らかい響きを奏で、それらは未だ見果てぬ桃源郷への道を指し示すかのように淡くドリーミーな風景を見せる。"Breathe"ではNashによる物哀しいギターがしっとりと染み、そこに繊細なMasinのピアノやSterkによる淡い電子音が被さりながら、琴線を震わす情緒が湧き出してくる。続くタイトル曲の"The Distance"ではシルクのように滑らかで優しいストリングスとそこに連なる穏やかなリズムが先導し、徐々に空間に割って入るようにNashによる咽び泣きするギターが現れて、木漏れ日が降り注ぐ白昼夢の中を彷徨うようだ。透明感のある情緒的なシンセがリフレインする"Dancing Rain"はMasinのソロワークの延長線上にあるメランコリーな曲だが、"T.O.R."の現代音楽的なミニマル性を強調する機械的なシンセのフレーズにじっくりと感情を刺激するトランペットのソロや浮遊感を伴う電子音を配して水平方向にへと伸びていく感覚は、3人だからこそのニューエイジやバレアリックの要素が融和しているように思われる。そしてうとうと眠りを誘うぼやけたシンセから始まる"Another Place"、ここではMasinによる呟きのような声やか細いピアノ等が慈愛で包む如く鳴っており、今にも壊れそうな程の繊細な優しさに心が穏やかになっていく。何処を切り取っても一点の曇りも無い純真のような真心や優しさに満たされた淡くも繊細なアンビエントやニューエイジ、そして爽快な広がりとなるバレアリック感が自然と溶け合い、ここは天上かユートピアかと思う程の至福な音楽。Music From Memoryと言うレーベルの音楽性、そして3人のそれぞれの音楽性が見事に発揮され、淀む事のない美しきサウンド・スケープが広がっている。



Check "Gaussian Curve"
| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Best Of DKMNTL X Patta (Dekmantel:DKMNTL044)
Various - Best Of DKMNTL X Patta
Amazonで詳しく見る(MP3)

今やダンス・ミュージックのフェスティバルとして世界に名を馳せるアムステルダムのDekmantelだが、同時にレーベルとしても癖があり個性的なテクノやハウスのアーティストの作品をリリースしており、名実共にオランダのダンス・ミュージックの人気の高さを象徴する存在だ。2015年にはそのレーベルとファッション・ブランドであるPattaがコラボし、フェスティバル等で6枚のアナログを限定販売していたそうで、その中から3曲をベストとして抽出して一般リリースに至ったのが本作だ。現代バレアリックやイタロ・ディスコに造詣の深いYoung Marco、アムステルダムのアーティストであるTom Trago、近年途端に注目度が高まっているFatima Yamahaが選ばれており、流石に複数の曲の中から厳選された3曲だけにどれもアーティストの個性があり嘘偽りなく素晴らしい。何と言ってもYoung Marcoによる"The Best I Could Do (With What I Had)"の底抜けな多幸感、青々しい空が広がるような開放感に満ちたバレアリック・ハウスが一押しだ。疾走するグルーヴを生むキックやハイハット、そこに飛翔するように伸びていくシンセのコードが乗り、パーカッシヴな木琴系の音やメロディアスなシンセが彩っていく実に豊かな色彩感覚を持った曲であり、これは太陽光が降り注ぐ野外にぴったりな作風だ。対してTom Tragoによる"Brutal Romance"は真夜中の雰囲気が強く、ブリブリとしたベースラインが前面に出ながらドラッギーなシンセが妖艶なムードを発するエレクトロニックなハウスで、夜の熱狂的なダンスフロアさえも想起させる。そして最後はFatima Yamahaが彼らしいポップな電子音を用いて、メロウでスロウな哀愁の"The Creature From Culture Creation"を披露。どれも各アーティストの従来の音楽性が発揮されており、このシリーズのベストと銘打って纏められただけあり質も高く、パーティーの各時間帯で使えるようなお得な一枚だろう。

| HOUSE12 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Welcome To Paradise (Italian Dream House 89-93) (Safe Trip:ST 003)
Welcome To Paradise (Italian Dream House 89-93)
Amazonで詳しく見る(MP3)

バレアリックからイタロ・ハウスまで感情的なシンセを用いて多幸感に満たす音楽を制作するYoung Marco、2015年には自身のレーベルであるSafe Tripを立ち上げて自身の音楽性を反映させた音楽を送り出している。そしてそのルーツを掘り起こすようにリリースされたのが本作、日本語に訳すと「ようこそ楽園へ」と音楽性をそのまま端的に表したタイトルである。サブタイトルは「89〜93年のイタリアのドリーム・ハウス」、つまりはイタロ・ハウス/ディスコである事は間違いなく、そこに示された期間にリリースされたほぼクラシックと呼ばれるに近いイタロ・ハウスの名作をMarcoが自信を持って掻き集めた編集版だ。ではイタロ・ハウスとは一体何なのか、勿論その名の通りイタリアから生まれたハウス・ミュージックではあるのだが、やはりその特徴はピアノやシンセのハッピーなり多幸感なりが強いコード感を打ち出しつつ、他の作品から大胆にネタを(サンプリングする)パクる点だろうか。例えばNYの熱狂的なソウルフル・ハウスとも、または厳つく荒々しいファンキーなシカゴ・ハウスとも異なり、底抜けに明るく煌めく響きは燦々と陽が降り注ぐ空の下にいるような錯覚さえ体感させる。それを端的に表現しているのが始まりに用意されたKey Tronics Ensembleによる名作"Calypso Of House (Paradise Version)"で、綺麗で透明感のあるピアノと爽やかに伸びるストリングスを配し、地中海のバケーションにぴったりなバレアリック感に満ちた楽園的な世界を広げるこれぞイタロ・ハウスだ。伝説的なクラブであるハシエンダの定番でもある"Last Rhythm (Ambient Mix)"、耳に馴染みのある曲だろうが、ビートレスで引っ張っていくセンチメンタルなアンビエントミックスが収録されており、哀しげなシンセの旋律や泣きの笛の音色が胸を締め付ける程の郷愁を帯びている。意外なところではプログレッシヴ・ハウスで名を馳せるSashaの"A Key To Heaven For A Heavenly Trance"も収録されているが、確かに普段のプログレではなくもう少々穏やかながらものびのびとしたグルーヴ感があり、セクシーな女性の吐息も用いた官能的な雰囲気がイタロに適合している。こちらは生粋のイタロ・プロジェクトであるDon Pablo's Animalsによる"Paranoia"は、やや黎明期のメロウで素朴なシカゴ・ハウスを思わせる歌モノであるが、やはりトリッピーではありながらも爽快感や開放感を含む晴々しい世界観がイタロ的な所以だろう。Now Now Nowは初めて耳にするアーティストだが、こちらもイタリアのユニットだそうで、天上で聞けるだろう神々しい歌声を用いたドリーミーな"Problem (Abyss Version)"はもはやバレアリック・ハウスと呼んでもよい位に楽園的で、イタリアン・ドリームを体現する曲だと思う。この編集版に収録されたどの曲も基本的には闇よりも光、屋内よりも屋外、閉鎖的より開放的といった印象を持ち、激しく打ち付けるビートではなく快楽的なフレーズで多幸感に満たす前提があり、それが正に白昼夢に溺れる感覚に繋がっているのだろい。楽園へようこそ…というタイトルに嘘偽りはない。





Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prins Thomas - Principe Del Norte Remixed (Smalltown Supersound:STS294CD)
Prins Thomas - Principe Del Norte Remixed
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
コズミック系やニュー・ディスコと呼ばれる音楽では特に人気を博すPrins Thomasが、そこからアンビエントへと向かった大作『Principe Del Norte』(過去レビュー)はクラウト・ロックやテクノも取り込み、意外性だけでなく音楽的な豊かさを見せつけた傑作だ。コズミックな要素のあるニュー・ディスコにアンビエントの夢想やクラウト・ロックのサイケを合成し、ダンス・フロアだけに囚われない表現の拡張を行い、アーティストとして更に高みに達する事に成功した。そしてその延長上に待っていたのは世界各地から実力はアーティストを招いたリミックス集で、アンビエントマスターのThe Orbやミニマル・ハウスの重鎮であるRicardo Villalobos、フレンチ・ハウスからはI:CubeにRunning Back主宰のGerd Janson等がそれぞれの作風を活かしつつオリジナルを尊重したり、又は個性的に染め上げたりして自由なアルバムになっている。オリジナル盤を活かしたと言う意味ではやはりThe Orbによる"H (The Orb Orbient Mix)"がまっとうで、無重力空間を演出する電子音が浮遊してノンビートながらも心地良いうねりのグルーヴを生んでいくアンビエント・ダブは、音楽的な相性の良さもあり期待通りのリミックスだ。ユニークなリミックスを披露しているのはサイケ・プロジェクトであるSun Arawによる"B (Sun Araw Saddle Soap Remix)"で、多幸感あるギターサウンド等ニュー・ディスコの面影は残しつつも、何処かコミカルな電子音がふざけたようなユーモアとなっており、気の抜けた牧歌的サイケを展開する。原曲は13分もあった大作の"C"だが、メランコリーで湿り気を帯びたディスコ・ハウスへと変化させた"C (I:Cube Remix)"、オリジナルのバレアリック感に優しくアシッドベースを加えて多幸感を増長させた"C (Young Marco Remix)"、そして完全に贅肉を削ぎ落として自身のスカスカなツール性重視のミニマルへと仕立てあげた"C (Ricardo Villalobos King Crab Remix)"と、三者三様のリミックスは比較しても面白いだろう。勿論それらのみならずThomas自身による未発表曲も秀逸で、多幸感に満ち溢れた緩過ぎるアンビエントから弛緩しながらも眩い輝きを放つニュー・ディスコまで披露し、『Principe Del Norte』の世界観がここに継承されている事は明白だ。リミックス集としての面白みは当然だが、Thomasによるアンビエントへの傾倒が一時的なものではない事に期待が膨らんでしまう。



Check ”Prins Thomas”

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| HOUSE12 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gigi Masin, Alessandro Monti, Alessandro Pizzin - The Wind Collectors / As Witness Our Hands (Diplodisc:dpl 009)
Gigi Masin, Alessandro Monti, Alessandro Pizzin - The Wind Collectors / As Witness Our Hands
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
Music From Memoryからの編集盤である『Talk To The Sea』やJonny NashやYoung MarcoとのユニットであるGaussian Curveの作品により、近年はクラブ・ミュージック側からもその動向が注目されるイタリアのGigi Masin。鍵盤奏者でありエレクトロニクスも導入する実験音楽家でもあり、そして静謐なアンビエントやニューエイジのような何処か瞑想じみた要素を感じさせる音楽を制作するプロデューサーだ。クラシックからのルーツも匂わせる美しさを放つディープ・ハウスを得意とするSven WeisemannがMasinをリミキサーに起用したり、橋本徹がGood Mellowsシリーズに彼の作品を収録したりするのを知れば、Masinというアーティストについても何となく想像出来るかもしれない。『The Wind Collectors』はそんな彼が1991年にリリースしたアルバムで、同郷のマルチプレイヤーであるAlessandro Montiと鍵盤奏者であるAlessandro Pizzinとセッションを行って出来上がった物だが、ここでは当時は録音されたものの収録されなかった曲まで追加された完全版として蘇っている。シンセサイザーとピアノの音を軸にギターやベースを用いた演奏は、一切の荒波を立てる事もなく、ただただ穏やかな地平線が広がるような静かな海の景色を喚起させる。強い主張をしないシンプルで繊細なメロディー、薄っすらと淡く広がるシンセサイザーの響き、静けさの中に宿る叙情など、非常に無垢で弱々しくも飾り気のない分だけ嘘偽りなく心に響く音楽だ。クラブ・ミュージックの観点からのアンビエントとは異なるし、かと言って実験が際立つ作品でもなく、ミニマルなコンテンポラリー・ミュージックとでも呼べば適切なのだろうか。そして、この度のリイシューでは何とデモ音源や未発表のセッションも収録した『As Witness Our Hands』も追加されており、そこではMasinの永遠の名曲である「Clouds」のデモやTerry Rileyのカバーである「Medusa's Refrain」も聞ける。話題性は十分であるのは当然として、これらのセッションを含んだ盤は幾分か感情が強く出つつ実験的な面も滲み出ており、古楽やフォークにプログレッシヴ・ロックの要素等が目を出している。だが気難しく構える必要はないだろう。ただただ淡い抽象画のような美しいサウンド・スケープに耳を傾ければ、穏やかな時間が待っている。



Check "Gigi Masin"
| ETC4 | 07:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gigi Masin - Wind (The Bear On The Moon Records:BAR003)
Gigi Masin - Wind

2015年の音楽的な出来事の中で、Gigi Masinの再評価を抜きにして語る事は出来ないだろう。Masinは70年代から活動するイタリアの実験音楽のアーティストで、どういう訳か最近ではSven Weisemannのリミックスを行い、またニュー・ディスコ系のTempelhofとの共同でアルバムを制作、そしてJonny NashやYoung MarcoとのGaussian Curveを結成したりと、クラブ・ミュージックの方面から注目を集めている。2014年にはオランダのMusic From Memoryから編集盤である『Talk To The Sea』がリリースされるなど、確実にMasinの再評価の動きは強くなっていた。そんな状況の中、今年になって遂にMasinが主宰するThe Bear On The Moon Recordsから1986年作である本作が遂にリイシューされたのだ。この作品は当時は500枚程プレスは終わったものの、その大半が洪水被害に遭い殆ど販売されないまま、少々のみが出回ったとされる非常にレアな物だ。ただそんな稀少性のみが特別扱いされる理由ではなく、勿論その音楽性は今も尚古びれる事もなくその当時のまま輝いているのだから、現在も評価される所以なのだろう。本作でMagin自身はシンセやピアノにギターを演奏し、そして歌まで披露しているが、他にもサックスやトランペットにベースやストリングの奏者まで率いて、限りなく静謐なアンビエントを形成している。"Call Me"ではMasinによる消え行くような物哀しいボーカルと共に朧気なストリングスや静かに浮かび上がるピアノのメロディーが、一体となり儚くシネマティックな風景を見せる。"Tears Of Clown"もやはりピアノのメロディーがとても美しいが、それは瑞々しく昼下がりの夢現な快活さがあり、アナログの柔らかいシンセとの合間から気高いトランペットが目覚めを引き起こすようだ。逆にぼんやりとしたシンセが抽象的にゆっくりとうねる"Tharros"は鬱蒼とした空気が満ちたドローン風で、室内楽を通過したアンビエント的だ。また"The Wind Song"では穏やかなシンセのコードに割って入ってくる牧歌的で和んだトランペットに涙しそうになり、"Celebration Of Eleven"では羽毛のような柔らかいシンセが反復する中に哀愁のギターやベースが零れ落ちる展開が琴線に触れ、全く汚れのない清らかな音が心身共に洗い流すような日常生活の中に存在するアンビエントとして受け止める事が出来る。その極限まで静謐で美しい世界観はBGMとして聞き流すのではなく、しっかりと相対し面と向かって耳を傾けたくなる程に真摯な内容で、部屋の空気を一変させるリスニング作品として素晴らしい。



Check "Gigi Masin"
| ETC4 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prins Thomas - Paradise Goulash (Eskimo Recordings:541416507275)
Prins Thomas - Paradise Goulash
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
ノルウェーのニューディスコ大使と称されるPrins Thomasによる新作は、計3枚にも渡ってジャンルの壁を取っ払って、兎に角あらゆる音楽を楽しんで貰う意図でミックスされた大作だ。そのタイトルからも分かる通りNYの伝説的なクラブであるParadise Garageへのトリビュート的な内容であり、確かにジャンルレスという点においてその意思を受け継ぐコンセプトであろう。元々2007年には同様にニューディスコだけに限定されずに底抜けの多幸感を打ち出した怪作である『Cosmo Galactic Prism 』(過去レビュー)を披露しており、それを前提とすると2014年にリリースされた『Rainbow Disco Club Vol.1』(過去レビュー)はテクノを中心としたミックスとなった事で奇妙なユーモアは後退し、彼らしい賑やかなごった煮サウンドによる恍惚感は喪失してしまっていたと思う。そんな流れを踏まえて、本作は再度ジャンルレスかつタイムレスな選曲を行う事で、単にダンス・ミュージックの躍らせるという機能性だけにこだわらずに、変幻自在な流れによって惑わされながら何処か掴み所のない恍惚状態を引き起こす面白い作品に出来上がったと思う。勿論様々なジャンルは用いながらもバランスを壊す突飛な流れにはなっておらず、CD1〜3の流れに沿って大まかなジャンルの区分けはされている。CD1は最もレイドバックしており、牧歌的なロックから始まり民族的なジャズや懐かしみのあるハウス、夢現なアンビエントから艶かしいファンクを通過してのディープなアシッド・テクノまで、肩の力が抜けたプレイでゆっくりと温めながら多用なリズムと音色によって先ずは肩慣らし的な導入だ。CD2では2000年以降のニューディスコやテクノにハウスなど現代的なダンス・ミュージックが中心となり、徐々にビートは力強さを増しながら夜のパーティーへ向かうざわめきを喚起させる魅惑の快楽的な時間帯へと突入する。その流れを引き継いだCD3ではより快楽的な真夜中の時間帯から始まり、ディープかつミニマルな流れを保ちながらエクスペリメンタルな電子音楽へと遷移し、湿っぽく可愛らしいジャズやライブラリーミュージック的なリスニングの曲、そして熟成したような味わいのあるプログレッシヴ・ロックを経過して下降気味に終焉へと向かう。CD3枚に渡って起承転結がはっきりとした流れは非常にスムースで、パーティーの始まりから終わりまでを意識したようにも感じられるし、多数のジャンルを過剰に詰め込んだ事でその情報量の多さに抵抗の出来ない恍惚感も生まれている。流石に3枚合わせて200分越えなのでお腹いっぱいにはなるものの、Thomasらしく外向きの享楽的なパワーが発散するDJプレイが目に浮かぶようで、やっぱりこんなミックスが彼らしいと思わせられる内容だ。



Check "Prins Thomas"

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Vangelis Katsoulis - The Sleeping Beauties Remixed (Into The Light Records:ITL002.5)
Vangelis Katsoulis - The Sleeping Beauties Remixed
Amazonで詳しく見る(MP3)

アムステルダムを拠点とするInto The Lightから面白い作品がリリースされている。このレーベルは2012年設立とまだ歴史は浅く、近年のダンス・ミュージックではなくギリシャのオルタナティブな電子音楽を掘り起こす事に力を注いでいる。そんなレーベルの最新作である本作はアテネ出身のシンセ奏者であるVangelis Katsoulisによるものなのだが、特筆すべきはリミキサーとしてノルウェイのバレアリック急先鋒のTelephonesやオランダのYoung Marco、そしてL.I.E.S.やThe Trilogy Tapesから変異体テクノ/ハウスを手掛けるAndrew Field-PickeringことMax Dが参加しており、どれもこれも現在のダンス・ミュージックとしての体裁を保っている事に安心して欲しい。何といっても素晴らしいのはA面に収録された8分超えの"The Slipping Beauty (Telephones Re-work)"で、原曲がどうなのか全く知る由もないのだが、このリミックスは完全にTelephones色へと染まった開放的なムードに満ちたバレアリックな作風だ。祝祭感を放つ明るいマリンバの響きに導かれ、ガラクタから鳴るようなエキゾチックなパーカッションや仄かに誘惑の味付けをするシンセサイザーを含ませて、広大な海洋に浮かぶ長閑な南国の島のような楽園ムードが満載だ。色彩鮮やかなトロピカル感と緊張を解きほぐす牧歌的な緩みが貫くこの曲は、バレアリックとエキゾチカの幸せな邂逅により生まれている。一方でMarcoは控えめに情緒を付け足してディープ・ハウスへと塗り替えた"Enigma (Young Marco Remix)"を提供している。木琴と思われるしんみりと懐かしい音と澄み渡るシンセのメロディーが絡み合う事で切なさが倍増し、強調する事のないスムースでなだらかな4つ打ちが続く作風は、思慮深く内向的な性質も含めてLarry Heardを思わせるようだ。Max Dによる"Improvisation (Max D Edit)"も淡く伸びるパッドから発する情緒はディープ・ハウス性が強いが、そこに星の瞬きのようなキラキラしたサウンドやドタドタしたパーカッションを加えて、より肉体的なグルーヴ感を強調したリミックスとなっている。それぞれが持ち味を発揮して異なる風合いの曲調である事から、DJとしても多方面で使えるであろう非常に便利なリミックス集であり、また旬のアーティストによる今の音を理解するにもうってつけだ。



Check "Vangelis Katsoulis"
| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Young Marco - Biology (ESP Institute:ESP0018)
Young Marco - Biology
Amazonで詳しく見る(MP3)

Lovefingersによって2009年に設立されNYを拠点に運営を続けるESP Instituteは、日本からもCos/MesやThe Backwoods aka DJ Kentらがリリースするレーベルであり、ニューディスコからバレアリックな作風まで親しみやすい音楽性で高い評判を得ている。そんなレーベルの中でも主力の一人として活動しているのがオランダのMarco SterkことYoung Marcoで、過去にもキラキラとしながらも哀愁漂うシンセを多用したイタロディスコ風な作品を手掛けて話題となっていたが、その延長線上で遂に初のアルバムとなる本作を2014年にリリースした。このアルバムでは今までのEPの路線を踏襲しながらも更にニューエイジ風なやや大袈裟さも取り入れており、それは冒頭を飾る"Biology Theme"からも感じられる。凛としたストリングスと金ピカな光沢を見せるシンセによる絡み、そしてそこに可愛らしいベルの響きも加わり、極楽浄土か夢の世界かのようなバレアリックな多幸感が溢れている。続く"Psychotic Particle"では生々しく純朴なマシンビートが入ってくるが、トリッピーなシンセの旋律が安っぽくも快楽的で、弛緩した空気と相まってひたすら心地良い。その一方で感傷的なメロディーと膨らみのあるパーカッションが特徴的な"Sea World"は、確かにバレアリックな空気はありながらも夕方から夜に掛けての時間帯に合いそうな、穏やかに切なさに引き込むニューディスコだ。そして最もニューエイジが強く打ち出されたのが"Out Of Wind"で、風が吹く環境音の中から瞑想へと誘うようなベルが鎮静作用を伴い響き渡り、アルバムは一旦ここで落ち着きを見せる。しかし裏面へと移るとイタロディスコ風なビートが疾走し、胸を締め付けるような感情的なシンセが先導する"Suzaku"で幕を開けるが、この切なさはオールナイト明けの朝方のフロアで最高の瞬間を提供するだろう。その後もセンチメンタルで情熱的な展開が続き、アルバムは通して非常に煌めく多幸感に包まれた作品となっている。少々安っぽくもある、しかし人間味の感じられる手作り感満載な音楽は、だからこそ愛らしくもあり人懐っこくもあるのだ。



Check "Young Marco"
| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Luke Slater - Fear And Loathing (React:REACTCD210)
Luke Slater-Fear And Loathing
Amazonで詳しく見る(US盤1)
 Amazonで詳しく見る(US盤2) Amazonで詳しく見る(UK盤)
2月18日のエントリでLuke Slaterの話が出てきたので、久しぶりに彼の魅力が味わえる全盛期の頃のMIXCDを聴いてみました。とにかくLuke Slater、もしくは別名義のPlanetary Assault Systemsと言えばゴリゴリぶっ太くワイルドな音を聴けるハードな野郎と言うイメージがありまして、昔はまじで好きでした(ハード路線を逸脱した近年は好きじゃない)。オリジナル作品がそうでありますからDJプレイも例にも洩れずかなりハードで、男気なり根性なりを感じられるDJでした。2001年リリースである2枚組の本MIXCDもやはりハードな展開が貫かれ、気合いを注入したい時にはぴったりな内容であります。

まずは一枚目、Jeff Mills、Ben Sims、Player、Regis、James Ruskinなど今となってはなんだか懐かしささえ感じる一昔前のハードなお方達のトラックがずらり。スピード感、重量と共に一級品でとにかく一直線にガツンガツンなプレイが聴けるのですが、不思議と粗雑さは感じないですね。確かに音は荒々しいのですが、乱暴にミックスするのではなく丁寧にミックスしている様でワイルドな中にもまとまりがあります。トライバル、ミニマル、ハードテクノなどが渾然一体となり肉体をしばきあげる好内容ですね。

対して二枚目ですが、こちらはスピード感よりも重厚さ、そして深みを感じさせる意外な内容です。ハードテクノもミニマルも確かに使われているのですが、勢い一直線ではなくドスンドスンと揺れが生じる重みがあり横揺れ系のグルーヴィーな展開ですね。ぶりぶりベースなエレクトロも出てきたり、渋みの効いたファンキーな音も聴けて全く予想していなかった意外な内容ながらも、じっくり聴き込めるミックスです。一枚目の激ハードな音の後に、二枚目のちょい緩めの音が来ると良い感じでアフターケアになりますね。

しかし久しぶりにこの様なハードなテクノを聴くと、やっぱりハードテクノって痛快で格好良いと思います。なんで最近は全く人気が無いんでしょうね?

試聴

Check "Luke Slater"

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| TECHNO5 | 07:30 | comments(7) | trackbacks(1) | |
Kevin Saunderson - Ekspozicija 07 The Detroit Connection (Explicit Musick:EXPLICITCD007)
Kevin Saunderson-Ekspozicija 07 The Detroit Connection
Amazonで詳しく見る

初めに言っておきますがサブタイトルの"The Detroit Connection"なんて言葉は、まず鵜呑みにしない方が良い。何度かKevin SaundersonのDJプレイは聴いているけれど、デトロイトの範疇を越えて完全にハードテクノな域に入ってます。"Good Life"は確かにデトロイトハウスだけど、しょっちゅうKSが回す"Good Life(Re-Edits)"は完全にハードテクノの域だ。Juan Atkinsはエレクトロ(かな?)、Derrick Mayはシカゴハウスを基にしているとしたら、KSのDJプレイは多分ヨーロッパのハードかつスタイリッシュなテクノを基にしているはず。彼のプレイを聴いている人は分かると思うんだけど、勢いのある4つ打ちテクノをこれでもかと繋げてフィルターで音を切ったりしてブレイクを作るプレイはデトロイトとは異なる物だと思う。だからと言ってKSのプレイは駄目じゃんなんて事は無く、むしろ上記3人の中ではKSのプレイが一番好き。プレイ的にはKen IshiiとかBen Simsなんかに近いと思うけど、ハードな中にもここ一番で盛り上げるヒット曲を随所に挟み込むプレイは基本的に盛り上がらない訳が無いんですよ。ハードテクノからトライバルテクノ、太鼓の効いたパーッカシブなテクノなどをガツガツと、勢いよく繋げて豪快な流れを生み出すんですな。でそれを踏まえて本作ですが、やっぱ変わってねーなーと言うのが感想w。いや、良い意味で変わってない。序盤にBorder Communityの曲を持ってきたのは意外だったけれど、その後は終始ズンドコ節で時折上げたり下げたりの繰り返し。永遠にワンパターンな男だけれども、緩急の付け方とかフィルタの掛け具合はセンスが良いとしか言いようが無い。彼がデトロイト3人衆の中で一番ヒットした訳は、やっぱり派手な作風があったからだと言うのがここでも証明された。でも何だかんだ3人衆の中で一番大好きなのがKS。

試聴

Check "Kevin Saunderson"

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| TECHNO4 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Adam Beyer - Essential Underground Vol.9 (DJ-sets.com:DJ022-2)
Adam Beyer-Essential Underground Vol.9
Amazonで詳しく見る

テクノのMIXCDでは定番シリーズとなっているEssential Underground。今までClaude Young、Marco Bailey、Ben Sims、Christian Smith等人気者を引っ張り出してきたが、今回はスウェーディッシュハードテクノの雄、Adam Beyerが参戦。1枚目は普段の内容と変わらずゴリゴリで疾走感のあるハードテクノ。旬のトラックを使っていて、激しいのが好きな人にはかならず受けるものとなっています。そして2枚目なんですが、こちらは意外にもディープでゆるめのテクノ。最近はTruesoulなんてレーベルも立ち上げてデトロイトテクノっぽいトラックも作ったりしていますが、正にそれをイメージしたかのようなMIX。エレクトロ、テックハウスまたクリック系に近い物もMIXしてるんだけど、大人のMIXって感じで激しいのに疲れ気味な僕にはこの位が丁度良いかも。2枚目に使用されているTruesoulから出たJoel Mull、Cirez D、Henrik Bのトラックはまじカッコイイです。それにAdam Beyer別名義のMr.Sliff-The Riffのじわじわビルドアップしてゆくシンセも最高。Truesoulも含めてAdam Beyerは今後も要注目です。今回は1枚目より2枚目の方が内容的にはお薦めですね。取り敢えずトラックリスト見て下さい、買いたくなるでしょう。

試聴

Check "Adam Beyer"

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| TECHNO1 | 15:21 | comments(0) | trackbacks(2) | |