Yuri Shulgin - Animal Planet (CockTail d'Amore Music:CDA024)
Yuri Shulgin - Animal Planet

かつてMistanomistaを名乗っていたロシア系アーティストのYuri Shulginは、多数の楽器演奏も行うマルチプレイヤーらしく生っぽくライブ感あるディープ・ハウス/ビートダウンな作風で注目を集めていたが、近年はYuri Shulgin名義においてジャズっぽさは残しつつもヒプノティックな電子化を強めて、アシッドやオールド・スクールな感覚も持ち込んだ作風でより現代的なダンス・トラックの方向へと進んでいたように思う。その音楽性が決して間違っているとは思っていないが初期の作風に思いがあった当方としては、またMistanomista路線は復活してくれないものかという思いもあった。そんな中でベルリンの独創的な新世代テクノ/ハウスを送り出すCocktail D'Amoreからリリースされた新作は、彼らしいライブ感と共に確かにレーベル性の変異体ディスコを継承した奇抜な音楽性に溢れており、アーティストとして一皮剥けた成長を果たしている。タイトル曲となる"Animal Planet (Main Mix)"は近年の作風通りにアシッドのベースラインやカタカタとしたTR系のリズムを用いているが、それによって懐古的なオールド・スクールに向かう事もなく、爽快に響くタムと共にトリッピーな効果音や自由に躍動するフュージョン風なシンセのメロディーが鮮やかな色彩感覚を生み出して、ヒプノティックなモダン・ディスコとでも呼ぶべき作風を確立させている。"Boogie Space"もドタドタとしたドラムやアタック感の強いシンセタムが辿々しくもライブ感溢れるグルーヴを生んでおり、そこに捻れるアシッド・サウンドや奇抜な電子音が飛び交い、古き良き時代がアップデートされたシンセ・ファンクな作風はShulginの演奏力に裏打ちされているようだ。"Walking"になるとギターや管楽器も有機的な絡み合いながらよりジャズやファンクの要素が打ち出され、Mistanomista名義の作風を思い起こさせたりもする。"Dubby Body"はキックが入らずにスネアやハイハットで軽いビート感に合わせ、ヒプノティックな電子音響が続き抽象的な展開でただただディープな世界観を構築する異色な曲だが、その分だけ深い音響によって酔わせられるようだ。CockTail d'Amoreからリリースされただけあってそのトリッピーなディスコ/ファンクな作風は、なかなかな個性を放っている。



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| HOUSE13 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
SofaTalk - Diforisma (Cognitiva Records:CR001)
SofaTalk - Diforisma

イタリアの若手アーティストであるPiero PaolinelliことSofatalkによる新作は、オリジナルが4曲の上に4アーティストによるリミックスも含めて8曲と、EPにしては大きなボリュームと多彩な音楽性が詰め込まれている。Sofatalk自身はディスコやファンクにジャズ等に影響を受けた事を公言しており、2015年作の『Floating Thoughts』(過去レビュー)においてもディスコに強く影響を受けたモダンなハウスを披露しており、まだ作品数は多くはないものの注目をしているアーティストの一人だ。本作ではリミキサーを多く起用する事でより音楽的な拡張性が進められており、SofaTalkの音楽性がよりバラエティーに富んだものへと発展している。始まりは今人気上昇中のTominori Hosoyaの変名であるTomi Chairによるリミックスの"Tomi Chair's Feeling of Nature Intro"で、美しいパッドの中にピアノが天上から降り注いでくるような響きが神々しく、この静謐なアンビエントは正にHosoyaの作品として生まれ変わったと言っても過言ではない。続くはSofatalkによる"Diforisma"はざらついてリズミカルなブロークン・ビーツとエモいサクソや木琴系の音や煌めくキーボード使いと、ワンマンプロジェクトとは思えないライブ感があるジャズ・ハウス風で、展開の多さによってスウィング感も抜群だ。それをロンドンの若手アーティストがリミックスした"Diforisma (Z Lovecraft Remix)"は、より西ロン系ブロークン・ビーツとしての方向性を推し進めてしなやかなリズムと華麗な雰囲気を纏っている。"Terraforma (Theme from Smoke)"もつんのめった変則リズムが印象的で、そこにカリンバらしき可愛らしいメロディーや陶酔感あるキーボード使いにぶいぶいとしたファンキーなベースを用い、やはりジャズやファンクからの影響を公言しているのも納得な作風だ。ロシアン・ハウスのYuri Shulginが手掛けた"Paradigma (Yuri Shulgin Remix)"は原曲のジャジーな雰囲気を残しつつもビートダウン風に落ち着かせて、控えめにアシッドなベース・ラインやコズミックなSEを織り交ぜて何か本場デトロイト・ハウスにも聞こえてくる。一方でChicken LipsのメンバーでもあるStevie Koteyによる"Paradigma (Stevie Kotey Remix)"は、原曲からそれ程乖離させる事はなくリズムをディスコ・ダブ風な4つ打ちに仕立て、展開を抑えた事でズブズブと深みにはめるような音楽性。DJツールからリスニング曲までバランス良く収録されており、EPとは言えども内容の濃い一枚である。残念ながら日本にはアナログは入ってこなかったが、配信でも購入出来るので是非聞いてみて欲しい。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Yuri Shulgin - Modeight (Modernista:modeight)
Yuri Shulgin - Modeight
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今年の初頭にリリースした「Polyphonic Mind」は生演奏主体のジャズ×ハウス(にアシッドを少々)な作品で、それはどちらかと言うとかつてのMistanomista名義を思わせる音楽性だったが、この新作は逆にローファイーなアシッド・ハウスなのは面白い。当ブログでも何度も紹介しているYuri Shulginはロシア系のアーティストで、2011年にはEthereal Soundからもジャジーなディープ・ハウスをリリースするなど、ロシアン・ハウスが盛り上がる中で頭角を現した一人だ。デビューからEPのみしか制作していないものの、当人が演奏家でもある事もあってかその作風は表現力に富んでいる。いきなりカタカタとした安っぽいキックやハイハットにハンドクラップのビートで始まる"East West Connection"は古き良き時代のアシッド・ハウスを思い起こさせるが、豊かな色彩と動きのあるメロディーや差し込まれる奇妙な電子音が何ともユーモラスで、安っぽい味わいの中にもダイナミックな音楽性が閉じ込められている。"Nervous Arp"はよりコズミック感のある電子音を用いて穏やかに宇宙遊泳をするようなディープ・ハウスで、その煌きのあるメロディーは時にアシッド風にエグくなったりエモーショナルになったり変調するが、終盤は崩れるように混沌へと突入する作風が面白い。"Morning At Home"はより艶かしいフュージョン的なシンセの旋律がジャズ・ハウス色を強くしているが、下で刻んでいるビートは初期シカゴ・ハウスのそれでチープ感が発せられており、爽快な多幸感の中にもアシッド・ハウスの毒を忍ばせている。前作に収録されていてもおかしくない"Modular"は、生演奏主体のジャズ・ファンクのグルーヴに覚醒的な電子音のメロディーを被せ、セッション性の強いMistanomista初期作品のアップデート版にも感じられる。とつらつらと書いていると、結局は「Polyphonic Mind」と同様にアシッド・ハウスとジャズが下地にある事に気付いた訳だが、単にアシッド・ハウスの焼き直しではない所にShulginのマルチ・プレイヤーとしての才能が現れているのだ。



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| HOUSE12 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Yuri Shulgin - Acid Vertigo (Modernista:mod four)
Yuri Shulgin - Acid Vertigo
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ロシアのディープ・ハウスの隆盛の際に突如として現れ、生演奏も取り入れたセッション性の強いトラックメイキングが特徴のMistanomista名義でも活動していたYuri Shulgin。他アーティストの作品にも楽器の演奏者として参加するプレイヤーとしての評価、また本人のその幽玄かつ黒いディープ・ハウスは評判となりEthereal Soundからも作品をリリースするなど、まだリリース歴は浅いものの音楽的な才能は疑うべくもない。そんなShulginにとって久しぶりとなる新作は、既存の特徴を損なう事なく新機軸を求めた意欲作となっている。タイトルからも分かる通り本作はアシッド・ハウスをベースしているのだが、"Acid Vertigo"を聴けばそれが単なるアシッド・ハウスの焼き直しではない事に気付くはずだ。ビキビキウニョウニョとしたアシッド・ベースのラインは当然アシッド・ハウスそのものではあるが、煌めくようでゴージャスな上モノは対極的に優美な世界で包み込み、アシッド・ハウスとフュージョンが融け合ったようなライブ感溢れるコズミック・ハウスとして、Shulginのプレイヤーとしての感覚が発揮された音楽性が光っている。"Acid Pattern"も同様にアシッド・ベースが大胆に躍動するが、透明感のある上モノのおかげかややディープ・ハウス色が強めだろう。しかし注目すべきはキックやパーカッションにハイハットなどが細かく躍動的にビートを刻み、いわゆるクラブ・トラック的な均し方とは逆を行くような展開の大きさがあり、しっかりとShulginらしさが感じられる事だろう。またその名もダブバージョンとなる"Acid Vertigo (Dub Version)"は、メロディーは後退しながら逆にリズム帯に強烈なダブ・エフェクトを用いて、より肉体的かつ立体的なビート感を強めたシカゴ・ハウスらしさが際立っている。アシッド・ハウスという今再度注目を集めているジャンルへ接近しながらも、自身のプレイヤーとしての個性もしっかりと主張した作品であり、期待に応えた一枚だ。



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| HOUSE10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Yuri Shulgin - Beluga (Black Wall:blwa-001)
Yuri Shulgin - Beluga

2010年に突如としてMistanomista名義でデビューし、自らも各楽器の演奏が出来るマルチプレイヤーとしてのロウなハウスで注目を集めたYuri Shulgin。ロシアを含めた旧ソ連圏のディープ・ハウスは、例えばVakulaやAnton Zapを含めてにわかに盛り上がっているが、このShulginも注目に値するアーティスだ。本作は自身のレーベルであるBlack Wallを設立しての第一弾作品となるが、DJではなくアーティストとしての面を打ち出した楽曲制作を十分に活かした内容となっている。オリジナルはしなやかに跳ねるブロークンビーツの上を透明感のあるパッドで滑らかに統制をとりつつ、束縛から解放されて自由気ままに幻想的なメロディーを奏でるシンセを被せ、セッションを思わせる躍動させ見せるディープ・ハウスだ。自然であるがままの温かさが通底しており、また煙たくなり過ぎない適度な黒さのバランス感覚が長けている。ノルウェーからの新星であるAnders Wasserfallのリミックスはよりディープ・ハウスとしてのスタイルを進めた4つ打ちの安定したリズムを刻んでいるが、端正なエレガンスを纏いしっとりとしつつDJツールとしてハウスの機能を上手く高めている。対してShulginと同じくロシアで活動するAlex Danilovのリミックスはふらつく酩酊感を打ち出したロウな質感のディープ・ハウスで、肉を削ぎ落して何処か気の抜けたドライな感情が漂っている。最後のInsane Bass Versionは誰が手掛けたのかは不明なものの味気ないアシッドなベースやハンドクラップを多用したシカゴ・ハウス仕様だが、途中から徐々に幽玄なメロディーが微かに入ってくる対比の展開が美しくもある。それぞれ個性のあるリミックスとなっておりどれもフロアで機能する事も間違いなく、ロシアンハウスの躍進は目が離せない状況だ。

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| HOUSE8 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Yuri Shulgin - Flow EP (Ethereal Sound:ES-016)
Yuri Shulgin - Flow EP

タジキスタン出身、ロシアで活動中とクラブミュージックにしては珍しい経歴を持つYuri ShulginことMistanomistaの新作。自身で運営しているBlack Sunshine Recordingsから既に2枚のEPをリリースしておりますが、そのどちらもが自身で多くの楽器をプレイして作り上げたデトロイト・ビートダウンを意識した黒いハウスで、新人とは思えない完成された出来で好評を得ております。A面の"Cinematic Brooklyn"もエレガントなピアノのコード展開から神聖なホーンまでスピリチュアル・ジャズの様相を呈し、まるでMoodymannの新作とも勘違いする程の艶やかな官能を感じさせてくれます。B面にはコズミックな電子音使いがレトロフューチャーでありながら土臭さも漂うファンキーなダウンテンポ作品"What A Track"と、シカゴ・ハウス風のチープなキックやハンドクラップが入りオールドスクールながらもキーボードソロが暴れてファンキー過ぎる"Flow"と、DJツールとしてだけではなくライブ感溢れる音楽としての完成度は文句無し。勿論ディープハウスとミックスするにもぴったりな作風で、Yuri Shulginは暫く目が離せない存在となりそうです。

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| HOUSE7 | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mistanomista - Another Day (Black Sunshine Recordings:BSR-002)
Mistanomista - Another Day
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今ロシアのディープハウスがじわじわと盛り上がっている模様。その中でも昨年のデビュー盤が既に賞賛を浴びているYuri ShulginことMistanomistaは、自身で様々な楽器を演奏出来るマルチプレイヤーとしての才能を駆使した音楽性で話題沸騰中。本作でもその手腕は活かされていて、タイトル曲の"Another Day"ではセッション的なライブっぽさを感じさせるプレイでホーンやエレピが物憂げに哀愁を発していて、適度に枯れた味わいがあります。Moodymann直系のディープハウスながら、そこまではくどくなく適度な加減なのが上手いですね。裏面の"And You Can Get It"は完全にセッションを意識したブロークンビーツで、細かいリズムの刻みや綺羅びやかなシンセの動きに躍動感があり、生っぽさを強く打ち出しております。そして同じくブロークンビーツながらもアシッドなベースも入るファンキーな"Sukarajam"と、3曲どれもが充実した内容。ディープハウス/ブロークンビーツ系のアーティストでは、今後目が離せない存在となりそう。

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| HOUSE6 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mistanomista - Detroit Session (Black Sunshine Recordings:BSR-001)
Mistanomista - Detroit Session
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デトロイトと言う単語が入っていたらついついチェックしてしまう。そんな訳でロシア人アーティスト・Yuri ShulginことMistanomistaが新レーベル・Black Sunshineの第一作としてリリースしたEPを購入してみました。なんでもMistanomistaはギターやベース、キーボードなどをしっかりと演奏出来るマルチプレイヤーだそうで、"Detroit Session"もライブ感のあるドラミングやエレピが入っており、非常に生臭いジャジーハウスとなっております。ローファイでスモーキーな点はMoodymannやTheo Parrishを思い出せる所もあるけれど、彼らほど濃厚だったりどぎつくもなくしっとりとお洒落感を強めた印象ですね。裏面の"Take 1"はドープなシンセがズブズブと深みを演出するエレクトロニックなディープハウスで、こちらの方がその点ではMoodymannらの不穏な空気に近いかも。まだ一作目なのに素晴らしい出来なので、今後が期待出来る新人です。

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| HOUSE6 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |